【インタビュー】lilbesh ramko 『終末collection』 | これからも生きていこうぜ

グリッチ・サウンドには私性が潜んでいる。本来的にグリッチとはデジタルメディアの完璧さに対する欠損で、ことベッドルーム愛好家の私たちにとっては現実と不可分な世界の欠損である。私たちの棲家たる情報の都市が崩壊した時、ただひとつ自我が残される。

2020年にSoundCloudでデビューしたlilbesh ramkoは、こうした私性を極端に、そしてユニークに示している。架空のフィーチャリングやライブの度に変更される名義、ミームまみれのトラックなど極度にインターネット的/非実体的でありながら、いざライブパフォーマンスを見ると、セット時間中ほぼずっと喉を枯らして叫び続けるという徹底したフィジカリティを披露するのである。この相反的なパフォーマンスの明滅にlilbesh ramkoの実体がある、ように思う。

『Demonia』など国内のデジタルなラップミュージック・シーンにおいても一際注目を集め、各所でメンションされるlilbesh ramkoとは一体何者なのか。今回デビューアルバム『終末collection』のリリースを機にインタビューを敢行した。フレンチ・テクノ、ファミコン、絵師、歳納京子、闇金ウシジマくん、千葉で釣ったアジ……と、さらに混乱するような内容ばかり聞き出してしまったようにも思えるが、あくまでピュアに、極めてピュアに今現在の心境について語ってくれた。

取材・構成:namahoge

撮影 : 盛島晃紀

デジタルな居場所

 - 何年生まれですか?

lilbesh ramko - 2002年5月6日生まれです。

 - 出身は?

lilbesh ramko - 東京です。生まれて最初の方は静岡にいたんですけど、本当にもう記憶もないくらいです。

 - 音楽的な原体験を教えてください。

lilbesh ramko - 親父がめちゃくちゃ音楽好きで、90'sのヒップホップやフレンチテクノを車の中でかけてたんですよ。それをずっと聞いてて。でもちゃんと聞き始めたのは、誕生日にウォークマンをもらった小学校3年生の時です。それから掘ろうと思って掘ったわけじゃないですけど、気づいたらYouTubeで調べてMVを見てライブを見て、みたいな。

 - ラムコさんのTwitter(現:X)で二十枚ほどジャケットを並べた画像を拝見したのですが、Justice、Mr. Oizo、SebastiAnといったEd Bangerからのリリースが並んでいましたね。

lilbesh ramko - 一番最初に「音楽って楽しいんだな」と思えたのがJusticeのアルバム『Justice』で。音楽をやるようになった今あらためて聞くと、意外とベースの音が割れてたりするんですよ。音割れを受容できる音楽の素養みたいなものはそこで培ったのかもしれない、とか思ったりします。

 - そういったルーツだとなかなかクラスの同級生とも話が合わないようにも思います。

lilbesh ramko - そうですね。流行りとかが分かんなくて、僕がすごい鈍感だったんですよね。日本語ラップでもスチャダラパーが好きだし。でも、ほかの子に僕が教えて流行らせるということはあって。小学校4年生の時にニコニコ動画のドナルドの音MADをクラスの子に教えたら、クラス中で流行っちゃったみたいな。

 - それから音楽を始めるのはどのように?

lilbesh ramko - ボカロの"千本桜"ってあるじゃないですか。僕が小6くらいの時に、"千本桜"のトラックをぶっこ抜いてラップを乗っけてるやつを聞いて、「ラップかっこいい」ってなって。それからラップを掘るようになったんですけど、高校2年生の時に、Instagramで名前と顔は知ってるけどよく喋ったことのない相互フォローの人がSALUのMVをストーリーに上げているのを見て、「ラップ聞いてる人いるんだ」って嬉しくなって返信して、サイファーを一緒にすることになるんですよ。

 - 急展開ですね(笑)。

lilbesh ramko - 渋谷の駒場東大駅の坂を上がったところに公園があるんですけど、学校帰りにそこ寄って、フリービートを流してサイファーして。

 - 何人かで集まっていたんですか?

lilbesh ramko - いや、その子と僕だけだったんで。その子がサッカー部だったから「部活忙しくて行けない」みたいに言われちゃうと、一人しかいないし(笑)。

 - (笑)。

lilbesh ramko - 僕はあんまり日本語ラップに詳しくなかったから、その子から新進気鋭のラッパーを教えてもらったんですよね。当時、『TOKIO SHAMAN』が盛り上がってたと思うんですけど僕は全然知らなくて。

 - その友達との関係の中でラップミュージックを知っていった。

lilbesh ramko - でもサイファーにもだんだん飽きてきちゃって、iPhoneにGarageBandをダウンロードしてビートを作るようになるんです。音楽をちゃんとアップロードしようというのは大学1年生の時なんですけど、高校卒業してその子とは疎遠になっちゃったので、一人でビート作って一人でなんとなく乗せてみて、という感じで。

 - SoundCloudを遡って一番古い音源は2020年ですね。

lilbesh ramko - それがちょうど大学1年生の時、インスタで繋がった外国人の友達と作ったやつです。

https://soundcloud.com/lilbeshramko/aggressive-mantis-squad-ft

 - その後、SoundCloudで知名度が上がっていく経過についても伺いたいです。

lilbesh ramko - ええと、自分の曲なのに曲名忘れちゃった……あ、"everytimeiplaysmashbroswithu,ialwayslose; ) ft.me"って曲があるんですよ。当時フォロワーが12人だったんですけど、その曲をきっかけにmasaboyとAZBeatsさんからインスタでメンションしてもらって。そもそもメンションっていう文化があるんだ、ってところからだったんですが、嬉しくて曲を上げ続けて。それから"dodge tomahawk03?"って曲でメンションが広がって、lazydollからも反応されて一気に知られたみたいな感じですね。

- 最初から国内のシーンについて知っていましたか?

lilbesh ramko - いや、何も知らなかったです。サンクラはただ上げるためのものだったので、国内の音楽を掘ることはあんまりなかったんですよ。

 - そもそもhyperpopやdigicoreといったワードについては知っていた?

lilbesh ramko - それは知ってました。2020年くらい、YouTubeのおすすめですかね。p4rkr(現:quinn)の"i dont want that many friends in the first place"っていう曲があって、一気にハマりました。トラップはずっと聞いていたんですけど、声は加工されてるしパキパキしてるし、音が割れているし、「なんだこれ」となって。

 - 自身の曲作りにも影響しましたか?

lilbesh ramko - そうですね。あとは100gecsやFax Gangとか聞いてましたね。

 - ラムコさんは初期の楽曲からゲームのようなデジタルなシンセサウンドがありますよね。ライブでアンセム化している"lost woods!"では、もはやラムコさんが生まれる以前のゲーム音楽がサンプリングされていたり。

lilbesh ramko - 単純にファミコンのゲーム音楽が好きだったんですよ。小学生の頃、親が共働きで20時とかまで帰ってこないからずっとゲームしてたんですけど、Wiiショッピングの中の『ゲームセンターCX』って番組でレトロゲームに興味を持ったんです。それでファミコンを買って。

 - え、実機で?

lilbesh ramko - はい。

 - ガチだ(笑)。

lilbesh ramko - だからそういう影響もあるんでしょうね。楽器もできないし、生の楽器よりもピコピコしたチップチューンの方が逆に落ち着くというか、自分の中で居場所を感じられるというか。

 - 居場所ということでいうと、インターネットに居場所を求めたというところがあるのでしょうか。初期の楽曲では架空の人物をフィーチャリングしていたり、ライブで毎回名前を変えたり、匿名的な立ち振舞いをしています。

lilbesh ramko - それはなんでなんだろう……本当に自分でも分かんないんですよ。なんでこんなこと考えついたんだろうというか。頭おかしいですよ、普通に。本当に分かんないですよね。

 - 最初から架空の人物像を立ち上げようという意図があったんじゃないかと。

lilbesh ramko - いや、そういうのはないです。全部その場のノリで適当にやったやつで……なんだろうな。でも、僕が高校1年生の時から2019年くらいまで、旧Twitterで絵師だった時期があったんです。そのアカウントは5000人くらいフォロワーがいたんですけど、やっぱ他の絵師さんと繋がるじゃないですか。話を聞くと、別名義でもっと有名なアカウントを持っているとか、匿名の世界で架空の自分がたくさんいる、みたいなことがあって。そういうことの影響があるのかな。

 - 絵師だったんですか?? そのアカウントは今は……

lilbesh ramko - 消しちゃいました。オリジナルキャラクターの4コマで、ドット絵で。

 - めちゃくちゃ気になりますが……ジャケットも自身で描かれてますもんね。

lilbesh ramko - そうですね。

 - 音楽よりも絵師界隈のインターネットコミュニケーションの方が早かった。

lilbesh ramko - 実際に誰かと会って喋ろうってなったのは音楽が初めてですけどね。普通にネットの人と会うの怖いから、会うっていう発想すらなかったです。

歳納京子にずっとなりたかった

 - 初めてライブをしたのはいつですか?

lilbesh ramko - 2021年の1月くらい、長野のイベントに呼ばれたんですよ。それが一番最初で。でも、その時から全然やってること変わらないんですよ。出演時間分の1本wavを作って、ひとりで流して、ひとりで叫び倒すみたいな。

 - (笑)。ライブのスタイルもすごく印象的で、ナード的なサウンドの中でシャウトし続けるというのは最初からやっていたと。

lilbesh ramko - 2017年頃から海外のラッパーをずっと聞いていて、特にXXXTentationがめちゃくちゃ好きで、ライブ映像もよく見ていたんです。まあ、やろうと思ってやったというよりは、ハイになってああなっちゃってるんですけど。

 - ライブには破壊衝動的なところも感じます。

lilbesh ramko - 暴れたいというか、体を大きく動かしたい欲みたいなのがあるんですよ。走り出したい、みたいな。ライブのエネルギーはそれですね。だって、普段生活していてガチガチの本気の叫びって出せないじゃないですか。実家でも、ひとり暮らしでも、どんな場所でも。でもライブだとオーケーだから。

 - ライブは好きですか?

lilbesh ramko - 大好きですね。超楽しいです。

 - なるほど。初ライブ以降の経過についても伺えますか?

lilbesh ramko - で、その後6月あたりに東京でイベントがあって、そこのオーガナイザーが『Demonia』の人とも繋がっていて、見に来てくれて「面白いじゃん」みたいになって『Demonia』にも呼んでもらえたんだと思います。

 - たぶん自分が初めてラムコさんを見たのがR Loungeで開催された『Demonia』だったと思います。

lilbesh ramko - どの回だろう、R Loungeの時の名義見ていいですか。名義リストがあるんですよ……あ、たぶんその時は「ラムレーズン好き好き同盟」です。

 - (笑)。ライブ用の名義についても伺いたいなと思っていて。自分が調べた限りでも、「沢田もえ」、「バビ坊」、「度し難きJKバウム」、「黄金☆プリチー伝説」……と、もはやlilbesh ramkoの原型を留めていないことが多々ある。

lilbesh ramko - そもそもlilbesh ramkoに至るまでも変遷があるんですよ。2020年に始めた当初は「PY」という名前で……なぜかわからない、適当なんですけど。その後「yung dragon」になって、「lil yung dragon」になるんです。で、「魔女っ子08」という名前になって、「lil ramko」になって。

 - 現状に近づいた。

lilbesh ramko - それから「lilbesh yung dragon」という名前になります。一度戻るんですね。次が「lilbesh yung dragon ramko」。そうして「lilbesh ramko」になるんです。

 - 流れを聞いてもさっぱりでした(笑)。

lilbesh ramko - 2週間に一度くらい変えていて……でも、名前って個人的にはどうでもいいんですよ。音楽があればいいっていうか。名前に愛着もないんで、ライブの際にはその時のバイブスでやらせてもらっている。遊ばせてもらっていますね、優しいイベントオーガナイザーの方々に。本当にありがたい。

 - lilbesh ramkoも変わるかもしれない。

lilbesh ramko - そうですね。

 - でも、知名度って名前に従って付いてくるものじゃないですか。

lilbesh ramko - そういうのはあんま興味なくて。変な名前のやつがいると思って見に来たら、あれラムコじゃんみたいな、みんなに言われるんですよ。それでいいじゃん、みたいな感じです。

 - ちなみにラムコというのは『ゆるゆり』由来ですよね。

lilbesh ramko - 『ゆるゆり』の歳納京子というキャラクターがいて、そのキャラの作中のペンネームが「西京極ラム子」で、そこから取りました。

 - ややこじつけ的ですが、「西京極ラム子」が同人作家であるというところも、ラムコさんの多重キャラ的な在り方と重なるような気がします。

lilbesh ramko - そうなんですかね。でも僕も、歳納京子にずっとなりたかったんで。今もですけど。

これからも生きていこうぜ

 - 2022年には渋谷 CIRCUSにて『バビフェス』を主催されています。このあたりの経緯も伺えますか。

lilbesh ramko - 2021年はライブが徐々に増えてくるんですけど、主にR Loungeでやっていて。2022年の3月かな、CANTEENのシークレットパーティに呼んでいただいたんですよ。そこでてぃーやまさんから「イベントやってみない」と声をかけてもらって、ずっとやりたかったので、10月に実現したという流れですね。

 - どういう思いで開催されたんですか?

lilbesh ramko - 意外とあんまり考えてなくて、普通に遊びたいよね、友達みんな集まって遊んだら楽しいじゃん、みたいなノリなんですよね。2021年からいろんなクラブに行くようになって、それまでのイメージと違いすぎて、こんなに本気で踊っていい場所があるんだ、っていうのが嬉しくて大好きになったんです。だから自分の好きな人達全員呼んでイベントやったら絶対楽しいだろうなって。

 - 初回は当日券だけで完売して、翌年に第二回をWWWで開催するという好評企画にもなっていますが、それを経て見える景色が変わったようなことってありますか?

lilbesh ramko - うーん……「楽しかったなぁ」っていう感じですね。

 - 名義についてのスタンスもですし、話を伺っていて、線的に成長していくイメージというものがあまりないように感じました。

lilbesh ramko - あんまりないです。もともと売れたくて始めたわけじゃないし、売れたいとも思わない。聞いてもらって、お金がもらえたら嬉しいですけど、フランクに生きたいなっていうか。僕はget money的なラップもすごく好きで聞いていたし、かっこいいと思うんですけど、自分はそういうの全くないんです。向上心みたいなものは疲れちゃう派なんですよ。

 - ガツガツしていない。

lilbesh ramko - 小学生の時からずっと運動会とかが苦手で。変に競わされるじゃないですか。あれが本当に嫌で、みんな仲良くしてればいいじゃんみたいな。僕がいい点を取ると「次は負けねえぞ」みたいなことを仲いい子に言われて、たぶんその子には悪気はないんですけど、心の中でひっかかるものがあって。苦手なんですよね、競わされることが。

 - それこそ、ラムコさんが「142clawz」名義でユニットを組まれていますが、hirihiriさんも近いトーンですよね。

lilbesh ramko - hirihiriさんは去年の6月頃にvqから紹介してもらって初めてお会いしたんですけど、「こんなに自分と合う人いるんだ」みたいな、すごい感動しました。マジでhirihiriさんは違う場所で育ったとは思えないというか。最高の人です。

 - 『終末collection』も曲調こそハードですけど、アッパーな志向は全くなく、一曲目の"namique."では「そのままでいたいだけ」と叫んでいます。直接的に「もう消えたい」「どうでもいい」といったワードが出現するのには陰鬱さすらも感じました。

lilbesh ramko - 『終末collection』の歌詞は全体的にめっちゃ暗いんですよ。あれ作る以前は適当に生きたいなって感じだったんですけど、彼女ができて、将来のことを考えるようになったんです。ずっと一緒にいたい、将来もそうしたいって思うじゃないですか。そうすると「このままで大丈夫かな」ってすごく不安になったんですよ。その時に作ったからあんな感じになっちゃって。僕、めちゃくちゃお風呂長いんですけど、湯船に浸かりながら、自分の考えについて考えるんですよ。自分の考えを批判して、批判して、ずっと批判して、煮詰まっちゃいがちでなかなか答えは出ないんですけど、結局は楽しく生きられるのが一番なので、そのためには自分に対して許してあげるというか、妥協するというのがすごく大事だなって結論に至ったので、そういうのを漠然としたテーマとして『終末collection』を作りました。

 - その不安というのはどこから来ているんですか?

lilbesh ramko - もともと人と仲良くするために自分を作るというのが苦手で。大学進学までは順調だったけど、大学に入って友達ができなくなって。それに、大学の学部選びも間違えたなって思うんです。「俺、これ学びたかったわけじゃないな」ってめっちゃ思っていて。

 - 何学部なんですか?

lilbesh ramko - 商学部の金融学科です。学部選びの時、ちょうど『ウシジマくん』を見てて、金融を学ぼうと思ったんですよ。入学したら全然ウシジマくんじゃないじゃん、みたいな。

 - (笑)。

lilbesh ramko - そりゃそうなんですけどね。一旦好きなことしようって思って今年一年は休学中なんですけど、来年には戻らないといけないし、これまでも言語学とか心理学とか興味あるやつばっか受けて必修なんも受けてなくて、よく考えたら大学の費用も払わないといけないし、ヤバいじゃんどうするよ、みたいな感じで。

 - 大学を卒業して就職するというルートをかなり現実的に考えているからこその不安なんでしょうか。

lilbesh ramko - そうですね、就職はしたいです。ヘコタレなんで無理かもしれないですけど……てかそもそも卒業が難しいんで。本当にお父さんお母さんに感謝しているので、親孝行っていうか卒業はせめてしたいなって。

 - 「音楽でご飯食べていきたい」とは考えない?

lilbesh ramko - そういうマインドはないですね。自分の創作が趣味として大好きなので、その時間に不安な要素を持ち込みたくないな、みたいなのがすごくあって。音楽は楽しくやりたいから、これで食うために「曲の長さはこれくらいで」とか「フックはキャッチーに」とかあんま考えたくなくて。

 - それこそ、ラムコさんが音楽をやっていることを家族は知っていますか?

lilbesh ramko - 普通に知ってて、「いいじゃん」って感じで。でも、僕の音楽はたぶんそんなに好きじゃない(笑)。

 - シャウトしまくりのライブの様子は少し心配になるかもしれませんね(笑)。

lilbesh ramko - でも、一回見られたことがあるんですよ。ライブに来たとかじゃなくて、僕がインスタのメンション見てたら「ショウちゃんだよね」って後ろから……あ、ショウちゃんって呼ばれてるんですけど。褒められたんですけど、恥ずかしかったですね。

 - (笑)。『終末collection』の話に戻りますが、制作にはどれくらいの期間がかかりましたか?

lilbesh ramko - 2ヶ月半くらいかかってますね。もともと8月15日までに作ろうと決めていて、6月から8月までに5曲くらいできてたのかな。8月入ってから"i (dont) know."ができて、残りの3曲は8月14日から8月15日までの間に作りました。マジで頑張りました。いつもそうなんですよ、定期テストとか受験勉強とかも一夜漬けしかできなくて。

 - 夏休みの宿題みたいな(笑)。ちなみに制作はどういう流れで?

lilbesh ramko - お風呂に入ってシャワー浴びながら、ララララーとか鼻歌を歌って、頭の中でループさせて、お風呂出た瞬間にAbleton LiveでMIDIに起こして、みたいな。

 - お風呂がすごく重要なんですね(笑)。

lilbesh ramko - マジで重要です。

 - 今作は客演もなく、トラックも全てご自身でつくられてますね。

lilbesh ramko - 自分は歌い手ではないというか、歌が下手だし、音楽家なので全部やりたいというか。

 - 『終末collection』をリリースしてから2週間ほど経ちましたが、反響を見てどうですか?

lilbesh ramko - 思った以上に友達が聞いてくれてて嬉しかったです。okudakunとかlazydollとか、音楽を初めて最初の頃からつきあってる友達に聞いてほしかったから、届いてほしい人に届いたなって。

 - まず友達に聞かせたいアルバムだったと。

lilbesh ramko - 昔からいろんなことがあったのをお互い知ってて、「これからも生きていこうぜ」みたいなことを伝えたかったから、聞いてくれて本当によかったです。

終末でもラブ&ピース

 - ここまでお話を伺っていて、エッジの効いた音楽を作りながら安定志向というのが不思議に感じました。

lilbesh ramko - たぶん、音楽の伸びる伸びないって釣りと一緒なんで。来る時は来るし、来ない時は来ない。坊主の日もある。

 - 釣りですか。

lilbesh ramko - この前千葉県の方にアジを釣りに行って、60匹ぐらい釣ったんです。一日で食べて、めっちゃ美味しかったです。

 - (笑)。やはり趣味の一環に音楽を置きたいと。

lilbesh ramko - もちろん音楽やっててお金になったら嬉しいし、その稼ぎが就職するより大きくなったら天職にありつけたようなもので最高だと思うんですけど、それはそれで忙しいだろうし、音楽でご飯食べるっていうのが希望なわけでもなくて。これまで成り行きに任せて、風に揺られてきたようなものだから、ビジョンみたいなものも本当にないんですよ……ああ、でも星野源さんみたいになれれば楽しいだろうなって思います。自分も好きなことを話せるラジオとかやりたいし、絵とかも描きたいし。星野源さんになりたいです。

 - とにかく創作の楽しさを持続させることが第一で、リスナーを増やすといった手段には興味がないという感じでしょうか。

lilbesh ramko - そうですね、会ったことのないリスナーのことを考える余裕まではないというか……もちろんファンになってくれた人のことはめっちゃ大事ですよ。めっちゃ大事。自分が楽しいって思える状況を作ってくれるのはそういう人たちのおかげだから。

 - 先程仰っていた「友達にまず届いてほしかった」という発言や、『バビフェス』の「みんなで遊んだら楽しいじゃん」という思いからも、コミュニティのピースな状況をずっと保ちたいという意志を感じます。

lilbesh ramko - だから友達同士がギスギスしちゃった時とかも、僕はいつも仲裁するんですよね。本当にみんなピースになってほしい。……でも、逆に向上心を持たないってことにプライドがあるのかもしれないですね。僕は本当に上に上にっていうノリに嫌悪感があって。怖くなっちゃうから、自分はそうありたくない。小学生の時から、なんで足が遅いとバカにされるんだろうって思っていたし。

 - アルバムに関していえば、「終末」というコンセプトを通して反対にピースを祈る、というところがあるのかもしれません。今日はありがとうございました。最後に、なにか一言あれば。

lilbesh ramko - 家族と友達を愛して、平和に生きていきましょう。ラブ&ピースで。

Info

Title: lilbesh ramko"終末"release party
Date: 2023.11.10(Fri.)
Venue: 渋谷R LOUNGE 7F
Open: 17:30
Close: 22:00
Door: ¥3000(+ドリンク代¥800)※当日窓口にて、現金のみ受付

Artists: 
-RELEASE LIVE-
lilbesh ramko (and more)
-DJ-
asterisk*
fogsettings
hirihiri
NordOst
YONEDA

Ticket: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeEWq1hfMuwfqg4fv6ORqwuwJB9SMaOq9r6lw--_nrQPaVQQQ/viewform
※抽選期間は10月27日0時まで
※当日入場時に当選メールを提示

lilbesh ramko『終末collection』
2023.08.31 release
LinkCore:https://linkco.re/fvX0cUYd

Tracklist
1. namique.
2. 7ser5H.
3. pk(flash)Ω.
4. dreampop.
5. everything(everywhere)all at once.
6. i(don't)know.
7. ninja(kill)str34k.
8. by(your)side.
9. the world ends(with)you.

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