【インタビュー】VaVa | また音楽を楽しめるようになった

昨年は3rdアルバム『VVARP』を発表したVaVaが、4/5(水)に早くも新作EP『Love Less』をリリースする。これまでも、インタビューなどで多作家だと発言してきたVaVaだけに自然なことと思えるかもしれないが、しかし『VVARP』から今作に至るまでにVaVaには大きな変化があったという。アルバムをリリースし、ワンマンライブも成功させるなど、昨年のVaVaの活動は傍からみたら順調そのものように見えるが、実は激動そのものだったという。

EP『Love Less』のリリース、そして4/22(土)にO-EASTで開催されるワンマンライブを前に、大きな転機を予感させる作品ができるまでの激動の時期と、そこから抜けでたことで起こった音楽観の変化などについて、VaVaのA&RのSUMMITの増田氏と共にたっぷり語ってもらった。

取材・構成 : 和田哲郎

撮影 : 盛島晃紀

- 4月にリリースされるEP『Love Less』は、デモバージョンを発表したばかりの"寝たふり"も収録されています。リリースすることに決めたのはいつなんですか?

VaVa - リリース自体はデモを上げた段階から「していいんじゃないか」みたいなのがあった気がする。
O-EASTでワンマンが4月22日にあるので、それまでに何か作品を出せたらいいなって。コロナ前にO-EASTでワンマンやるつもりがダメになって。それがフルキャパの予定だったんですよね。で、一昨年にリベンジとして半キャパのO-EASTでワンマンをやって、去年がLIQUIDROOMで、今年フルキャパのO-EASTでやらせていただく、ってことで、緊張してます(笑)。実は3年間の時を経ての盛大なリベンジなのでいろんな方がこの日足を運んでいただけたらいいなって思ってます。

増田 - ワンマンまでに何かしら新しいVaVaちゃんの側面を知ってもらえたら、っていうのを前提とした作品ですよね。

VaVa - そうですね。

- 本当に多くの曲を作っていると思うんですけど、今回のEPは、『VVARP』以前に作っていた曲も入っていたりするんですか?

VaVa - いや、全部アルバム以降ですね。ただ、前のアルバムまでずっと足し算で曲作ってて。スキル的にもどんどんできることが増えていったから……でも、足し算で作るのに僕がなんとなく飽きてしまって。『VVARP』を作ってから音楽自体をあまり聴かなくなった時期があったんですよ。その間に自分の音楽観が変わった部分があって、そういう意味でも今回のEPはすごく意味のある作品だと感じてて、作れてよかったなと思ってるんです。

- アルバムを作った後に音楽を聴かなかったっていうのは、どれくらい続いたんですか?

VaVa - たぶん3、4ヶ月くらい。聴いてはいるんですけど、楽しく聴いてないって感じだと思います。

増田 - 「足し算でやってた」ことに対して、どういう所に疑問を持ったのでしょうか?

VaVa - それこそヒップホップを聴くのに疲れちゃって、槇原敬之さんとか宇多田ヒカルさんとか、何も意識しないでそういう自分の畑じゃない音楽を聴いていたら、2バース目くらいで俺めっちゃ泣いてたんですよ(笑)。その時「うわ、音楽ってヤバ」みたいになって。全然意図してなくて、普通に流してただけなんだけど、「これが音楽だわ」ってなって……。音楽がひめる魔力。自分はリスナーのためだけに音楽を作っているわけじゃないけど、作り手がリスナーより楽しんでいる人じゃないと、楽しいと思わせたり、感動させられる曲は絶対作れないよな、みたいなことをなんとなく思って、意外とそれできてる人って実は少ないんじゃないのかなって。僕は『VVORLD』を出してからいろんな人に「知ってもらえた」ということを体感し始めたんですけど、人のことを意識しながら曲を作るのって、僕の場合はすごく合わないけどその感覚がずっと離れなかったっていうのが正直ありました。僕は別に音楽理論も何も分からないし、ミュージシャンでもないので、アーティストとは言うんですけど、アートとか物作りって決して人の目を気にしてやることではないっぽいなって、ヒップホップ以外の音楽を聴いて思いました。それこそ槇原さんの音楽って、自分の口からは言えないような恥ずかしいけど、まっすぐなことをめっちゃ堂々と歌いますよね。自分が本当に思っている気持ちを代わりに歌ってくれてる感じというか。普段通りの馬場貴大でありたいというのは『VVORLD』の時ももちろん考えていたけど、歌い方やイントネーション、歌詞とか、俺まだ格好つけてる部分あるなって思いました(笑)。もっとそのままでいいんじゃないかな、まだ脱げる部分あるなって思ったんですよね。『VVARP』の時にもインタビューしていただいたと思うんですけど、今回のEPは歌詞の感じも全然作り方が違うんですよ。そこが大きな変化ですね。

- 今仰ったようなことはそのまま"ポルノ"の歌詞に出てるのかなって。

VaVa - そうです、右往左往して。あと、去年OMSBくんと『BOYS II MEN』ってツアーをやったんですけど、もうOMSBくんのアルバム『ALONE』がよすぎて、「好き」って俺なかなか言えなかったんですよ。この前本人にようやく、「良すぎて好きって言うのに時間かかったんですけど、俺めっちゃ好きです。最高です」みたいなことを言って(笑)。リリースも同じ時期だったし、間近でOMSBくんの新曲聴いて感動している人らを見てたから、「うわー、すげぇ……」って、ちょっと食らっちゃって。そういうので去年はめちゃくちゃ刺激を受ける、かなり大変な1年でした、正直。

- そういう時期を経て、すんなり新しく作り始めることができたんですか?

VaVa - この中だと"uma uma"って曲はサウンド的にも『VVARP』の系譜ではあるので、最初の方にできました。その後だと"birthday"って曲。この曲は、「恋愛をしていてなんとなくうまくいかないっぽいぞ」って薄々わかっているのに、ワクワクしちゃってるしどうしよう、みたいな曲で。僕もアーティストである前に人間だし、恋愛もするんだけど、そっち関係で一切うまくいかない時に作ったものですね。誕生日じゃないけど、すごい誕生日みたいに毎日楽しい、けど、これっていつか終わることがわかってる、みたいな。

- この曲はこれまでよりもリアリティがすごいなと……。

VaVa - 結構マジで全部実話なんですよ(笑)。ほんとにヘリコプター借りたし。めっちゃアホです。

- 脱いだ部分っていうのが出てるんですかね。昔だったらもうちょっと抽象的に書いてたりするのかなって。

VaVa - やっぱこういうの恥ずかしいじゃないですか。けど、恥ずかしくあっていいよなって思いました。
だからこのインタビュー読んで「あ、そういうことするんだ」みたいに思う人がたぶんいるだろうけど、それが僕なんで(笑)。恥ずかしいことをそのまま世に出した方が、滑稽でいいかなって。

- でも、この曲最初に聴いた時にめちゃめちゃいいなって思いました。

VaVa - マジですか。嬉しいです。この曲は30分で出来ました(笑)。

- 抜けもすごくいいし、これまでと違うポップさを獲得してるなって思いました。

増田 - 自分も一番初めに聴いた時から力がある曲だなと感じました。

VaVa - それこそ『VVARP』の時のインタビューでは「単語を自分流に繋げて」みたいに言いましたけど、今回はめちゃくちゃ文章みたいに作ったんですよ。お客さん的には"寝たふり"が一番最初に聞いたものだとは思うんですけど、それはSUMMITのREN君とin-dと3人で飲んでて、朝4時ぐらいまで真面目な話をしたんですよ。それですごいいきなりモチベーションが上がって、明け方に帰って作り始めて、朝10時にデモと簡単なMVができて。で、それをDropboxにあげて、外に出て、聞きながら朝日を浴びてたら泣いてたんですよ(笑)。「やばい、音楽めっちゃ楽しい」って、めっちゃ泣いたんですよ、ひとりで。はたから見たらヤバいやつ(笑)。

 - それツイートもしてますよね。

VaVa - ツイートしましたね。"Chapter"で「自分の歌で自分泣かせれば楽じゃないて思うけど」っていう歌詞があるんですけど、あ、泣けたわと思って。今はしてないですけど同棲してた経験も過去にあったりしたので、それが終わってもう空っぽの抜け殻のような、ストレスもあったりして。だんだんストレスは抜けてたけど、曲を改めて聴いて、感傷に浸るじゃないですけど、やっぱ音楽っていいなって。まさに音楽の魔力みたいなものを自分の楽曲で感じることができて、幸せになれた曲ですね。

- 音楽として作ることで幸せな感覚になった一方で、内容はすごく切ない曲ですよね。

VaVa - そうですね。やっぱ歌詞は前の時ほど明るく書けなかったですね。けど明るく書けなかったからこそ、自分でそれを聴いて救われたんで、無理に明るくしようとしなくていいんじゃないかなって。頑張ろうみたいな曲じゃなくて、「そのままでいいじゃん」っていうのが僕的にはすごく良かったので、この曲はいいなと。

 - あと、めちゃめちゃ歌ってますよね。

VaVa - 『low mind boi』以降の全曲、ここ4年ぐらいの曲は全部オートチューンと、もう一つ自分の中で決めてるエフェクトをずっとかけていて。今回のEPではそれがない曲も結構あって、そういう変化もあるので、歌ってる感じに聞こえるのは、確かにあるなって思いました。

- オートチューンとかを一回やめてみようというのも、アルバム以降のモードなんですか?

VaVa - 『VVARP』出した時はもちろんそんなことは思ってなかったんですけど、僕っていわゆるヒップホップも、もちろん好きだけど、根底として一番強い気持ちは"聞いたことない音楽を作りたい"ってだけなんですよ。表現としてヒップホップが好きなだけなんですけど、例えば僕が『VVORLD』を出した時、オートチューンってあんまりなかったと思うんですよね。今はもうめっちゃ当たり前になってきたけど。逆に自分の中でオートチューンに甘えてる部分って正直ゼロじゃないんですよ。やっぱ楽だし。けど基本的に、新しいものをずっと追いたい精神があるので、それが当たり前になった瞬間に離れたい衝動が、逆張り精神があまりにも強いのですごいんですよ。とりあえず一旦離れようと思って……でも、オートチューンってタトゥーは入ってます(笑)。まあ、オートチューンに頼ってばかりだったけど、人生にオートチューンはかからないので(笑)。っていうか、新しい自分と新しい音楽を知りたいし、聴きたいというだけかも。

- "寝たふり"も、絶唱って感じですよね。

VaVa - 確かに(笑)。ライブで歌ってくれたらいいなぁ。でも正直『VVARP』の時とか曲の構成も、ライブのことをめっちゃ考えて曲作ってたんです。そういうのも全部フル無視でいいやって。なんで俺はお客さんとか聴いてくれる人のために曲を作ってんだろう、みたいなことを思っちゃって。サービス精神は全然悪いことではないと思うんですけど、元々考えすぎる方だから。なんなら自分が一番楽しんでる方が絶対いいしって。それから、いろんな人が新曲を出すたびに、「この人って楽しんでるかな」って考えて聴いてみると、楽しんでるか楽しんでないかがめっちゃ分かるんですよ。「うわっ、この人楽しんでない」みたいなものが、すぐ分かるようになっちゃって。だからこそ、本当に楽しんで作ってる人の音楽はめっちゃ好きですね。そこが自分の中で音楽の聴き方がすごい変わったところ。

- 本当に去年はいろんな転機が。

VaVa - プライベートも仕事も。世間的には華々しく見えてたかも知れないけど、僕的には地獄みたいな1年(笑)。メンタルがやばかったっすね。あんまりメンタルヤバいとこ人に見せないんですけど、あまりにもヤバかったっすね。

- ヤバかった時期は、音楽を聴く以外は他にどういうことをしてたんですか?

VaVa - 基本的にはゲームとかもするんですけど、やっぱり、『low mind boi』以降は曲作ってない日がほぼないんですよ。1日に平均で2,3曲作って、なんなら書き出さないでボツにするとかもある。なんならそれが大半ですね。それを全部やめたことによって、1日のうち4時間以上はフリーな時間が増えた。そうなった時に、ゲームと、あと本ですね。これまで『ズッコケ三人組』ぐらいしか読めなかったんですけど、ちょっと読んでみようって。本から物事を考えたり人の人生を学んだりとかして、「めっちゃ楽しいこといっぱいあるわ」みたいな(笑)。あと、僕は元々あんまり人と会うのが得意じゃなかったんですよ。ひとりでいる時も、曲を作ろうと思ったらすぐ作れる環境だし、いつ曲を作りたい気持ちが湧いてくるかとか、いつめっちゃいい曲が出てくるか分からないから、家から出るのが怖い時期があったんですよね。『VVORLD』から『VVARP』までかな。そもそもお酒自体別にそんな好きでもないし、なんで人は飲むんだろうみたいに考えたんですよ。そしたら、それは本と同じで人の話を聞きたいからなんだなって思って。人の価値観とか、自分の中にはない、言葉になっているものとか。飲みだったら、間違っていると思ったら「いや俺はこうだよ」って人に言うけど、それは人に言ってるだけじゃなくて自分に言い聞かせてることもある。自分の考えてることって、やっぱ口に出すと間違ってないと実感できる部分もあるから、人と会うのってたぶん、めっちゃいいことだなって思い、「人と会おう!」ってなってよく外に出ました。それもかなり大きいです。人と会わない日も朝起きて、とりあえず音楽聴くとしても、映画のサントラとか、歌詞がない音楽を聴きながら、ひとりで公園の芝の上で寝転んで、「おー、どうしようかな」、みたいな。やっぱ悩む理由は違えど、みんな人間は少なくとも何かしら悩んでるんで。自分のことを見つめるってちょっと怖いじゃないですか。今までは逃げてた部分が結構あるなって思ったんですね。

- どういうことでしょう?

VaVa - えー例えば……なんだろう。何かが間違ってることに気づいているけど、それを直すの相当労力かかるんだってことまで、なんとなく意識的に分かってるぐらいの状態。だからそれを見つめるのも怖いし、時間かかるから、それはやめてゲームしよう、みたいな時って多分めっちゃあると思うんですよ。けど一回、音楽についてあんま考えずに、落ち着こうみたいな。そんな日をどんどん作ってから、音楽がめっちゃ楽しくなりました。

増田 - 前にVaVaちゃんに言った事があるんですけど、曲を作ることが逃避になってるような時もあるのかな、という気がして。あくまで自分が感じた印象ですが。それが合ってるかどうか分かんないっていうのはその時にも話したんですけど、手を動かすことで誤魔化せていることっていっぱいあると思うから、そういうことじゃないような気がする、みたいな話は朝まで飲んだ時にしましたよね。だから本当に大事なことはもうちょっと考えてからでもいいんじゃない、って。自分でも無意識に気づいていると思う。それやったら少し気を休めてみたらって。

- すごく分かります。量をこなせば大丈夫って思ってしまうというか

VaVa - そうなんですよ、それってある種解決になっちゃうんですよ。やることでプラスもあるんですけど、やっぱ自分のことを認めてあげるのが相当難しかったんです。馬場貴大がVaVaを見る理想が高すぎて。どんどん乖離が生まれてる感じがあって。だからこそ毎日狂ったように曲を作りまくるみたいな。だから"ポルノ"で1000曲って言ってますけど、なんならストックは1000曲以上あるんですよ。たぶん増田さんにも送ってない歌詞もめっちゃあるし、フリースタイルも含めて歌詞のテスト版も1000曲くらいあるし、ビート含めたら数千とかあると思うんですけど、さっき増田さんが言ってくれたように、曲を作らないことが逆に近道なこともあるってことは、ずっと理解できなかったんです。

増田 - やっぱり実際にそれでやってきたっていう自負もあると思いますし、人にも説明しやすいですよね。でもそれに終始してしまうと、気づかないうちに大事なものに自分で蓋してしまってるというか。

VaVa - なので曲を作らなくなりました。で、降った時に曲を作るようになりました。それに曲が降ってくる時が増えました。

増田 - "寝たふり"を作った時もそういう感覚だったのかな?

VaVa - そうですね。自分の中の設計図が頭の中にあって。だからめっちゃ作るの早いですよ。本当に曲自体は30分〜1時間くらいで終わるんですよ。その感覚は『VVORLD』の初期にめっちゃ近い。もちろん『VVARP』のリリースパーティーもめっちゃ楽しかったし、ライブの時も楽しいんですよ。でも私生活として、もっと音楽好きになりたいとか、色んな音楽知りたいとか。いまはヒップホップのトレンドがめっちゃ早いじゃないですか。トレンドを追うタイプでもないし、そのトレンドはそのトレンドの光る子たちがいるし、別にヒップホップの最先端になりたいわけでもないし、新しい音楽をただ聴きたいだけなんで。こんな休んでいいのかなみたいなのは最初思ったんですけど、今はそれが音楽を楽しめるきっかけになれたので。

増田 - そういう態度でずっと生活してると絶対疲れてしまいますよね。

VaVa - 作りまくれば絶対その中にいいのがあると思っちゃってた。僕の中のハードルが高いから、1日10時間くらいサンプリングのために曲を探して、1曲も見つからなくて「あー今日何もできなかった」みたいな感じで終わる日がめっちゃあった。曲めっちゃ作ってても世に出なかったら寝てるのと同じなんだよ、って思っちゃってて。だから辛かったんでしょうね。それが間違ってるなんてなかなか思えなかった。それが間違ってない人もいると思うんですけど、僕の場合はそういう生き方でずっと生きられるタイプの人間ではなかったので。

- でも、その作り方でちゃんと自分として活動ができてて成功してるわけじゃないですか。

VaVa - いや、全く成功してないですよ。僕全く成功してないんで。本当に。それはもう断じて言います。あと、満足できないのが正解だとも思ってます。聴いたことない音楽を作りたいのに、作った瞬間に聴いたことある音楽になっちゃうので、僕の中ではもうそれが「ある音楽」になって、また作らないといけない。なので一生満足できないけど、それは逆に幸せだなっていうのはすごい思います。前はとても満足してました。

増田 - そういう憧れというか、アーティスト像っていうのは昔からあるやろね。革新的でありたいというか。

VaVa - ワクワクしていたいだけかも。でも、それに対して焦ってる部分が昔はめっちゃあったと思いますね。なんとなくそういう人たちと多分違うから、走りまくったけど、「いや走る場所違ぇし!」みたいな(笑)。そもそも走んなくていいっぽいっていうのをめっちゃ思った。

 - EPの制作に至る話はかなり聞けましたね。もうちょっと個別の曲の話を聞けたらなと。一番最初にできたのが"uma uma"ですね。次が"birthday”。”birthday”のあるふぁさんは前作でも"イノセントエクスプレス"で一緒にやってますね。

VaVa - "uma uma”を作ってくれたのは黒魔さんという方で、それも音ゲー系の人で、よりゲーム音楽っぽく作りたいなみたいに思ったんでオファーしました。なので『VVARP』の時と近いマインドで作った曲です。

- トラックについてはこの曲、かなり隙間がないですよね。

VaVa - トラックだけで聴けちゃう感じですよね。なので『VVARP』の時の僕と今の僕の間ぐらいの感じというか。でも『VVARP』寄りな感じはありますけど、この曲の好きなポイントがあって。アホだなVaVa、ってとこ(笑)。この曲の2バース目で「ラブソング歌えない」って英語で言ってるんですよ。でも今はめっちゃゴリゴリ歌ってるし(笑)。この時は満足してるんですよ、プライベートも。でも満足していて何が幸せか分かんなかったんで、その時はラブソングとか歌えねえだろうって思ってたけど、近い将来ゴリゴリ歌うっていう。

- 変化も見えるEPになっている。

VaVa - そうですね。”birthday”はEPの中ではかなり僕の中のそのままを出した感じがあるので、特別な曲でもあります。もちろん全部特別ではあるんですけど。そもそもこれまでラブソング自体があんまりないというか。「俺さらけ出してま〜す」じゃないけど、そのまま恥ずかしげもなく書くみたいなのは、意外と初めてに近いかもしれない。そういう自分でありたいみたいな状態で曲書いてた部分はゼロではなかったと思うんで。この時もメンタル相当ヤバかったんでそのまま書いた感じだし。

- でもメンタルがヤバい状態から歌詞にすることで、さっきも言ってましたけど昇華される部分っていうのはあるんですか?

VaVa - ありましたね。楽しいですね、相当。まあ、生き方が相当下手だと思います。こんなの空想で書けばいいのに、空想で書けない。書こうと思ったら書けると思うんですよ、頭悪いわけではないと思うんで(笑)。けど、嘘になるのが自分ではなくなっちゃう気がして、その曲を気に入れる自信がない。だから辛い経験をしたけどこういう曲ができてよかったみたいな、ちょっと救われる部分はあるかもしれないです。

 - この曲、すごいプライベートなものだと思うんですけど、でもこういう感情って誰しも持ったことあるんじゃないのかなっていうところをちゃんと書けてる気がします。

VaVa - 嬉しい、それめちゃくちゃ嬉しいです。「MVで慣れてたけど写りが気になるiphone」とか、これガチですからね。マジで。ブッサイクやなーって思いながら、その時の彼女が撮った写真とか。めっちゃ嫌だなって(笑)。絶対みんな思ったことある。この曲はデモ段階の時にdooooくんのリリパでかけて。それがTwitterで回って、聴いてくれてる人たちの界隈で、この曲いいって言ってくれてたみたいで。それは嬉しかったですね。

- その次にできた曲は何ですか?

VaVa - "ポルノ"かな。"ポルノ"はビート段階で増田さんと二人で飲んだ時に聴かせたんですよ。さっき話してた、「作りすぎても良くないと思うよ」って言われた日に。でも作っちゃったから聴かせたくて……覚えてるんですよ、その流れで聴いてくださいって言うの気まずくて(笑)。で、聴いてもらったら、「めっちゃ良いかも、じゃあこれでやってみよう」って。これもすぐに歌詞書けたんですけど、サビにそもそも歌詞が必要かなって考えて、もうあんま言わなくていいかなみたいな感じでした。でもこの曲のサビは繰り返しだけど、バースでその時の気持ちがかなり出てるのかなって。やっぱかっこいい人たちとか、ヒップホップの人たちとか、それこそ去年VaVaとしてもライブをした『POP YOURS』で見た他のアーティストとか、色々やっぱ自分にはないものを持ってる人、もちろん自分も他の人から見たらそう思われてるかもしれないけど、自分にはないものを持ってる人ってやっぱ光って見える。うわぁ、いいなぁかっけぇなぁ、みたいに思うんですよね。けど、それを追うのは別に正解ではない。けど自分ってなんだ?、もう裸になれば?って曲。考え始めるともう訳分かんなくなるのを、ちょっと自分の中で実感し始めてる時ぐらいに書いた曲なので、それもそのままって感じなんですよね。

- トラックの幅もどんどんできることが増えてるっていうのはすごくいいことなんだろうなと思うんですけど。

VaVa - 『VVARP』で超足していて、詰め込みまくってたんですよ。で、今回音数を全体的に少なくしようとしたんですよ。自分のやってる曲に関しては。それがかなり違うかもしれないですね。で、引き算の美学っていうと、N.E.R.DとかPharrellのビートもそうだと思うんですけど、音数少なくて成立する音楽の方がやっぱ一つ一つの音が際立って聞こえるから、楽しくて。それもかなりでかいです。今作の違いとして。

増田 - 少なくすると音それぞれの居場所や役割が明確になるのかもしれないですね。

VaVa - たくさんいると華やかなんですけど、やっぱぼやけるんですよね。めっちゃ視力悪いみたいな感じになる。情報量が多いと、例えば僕がこの音がめっちゃいいって聞き方をして作ったとしても、聴いてる人はそこまでたどり着けない。それはリスナーが悪いとかそういうことではもちろんなく。僕が今回のEPで一番考えたのは、入り口はめっちゃ広いけど、出口の方がもっと広いっていう曲を作りたくて。それは解釈もそう。人によっての正解がある曲を作りたいって思ったのが、かなり『VVARP』と違います。歌詞も超シンプルになった。

- 余白を残している。

VaVa - やっぱついつい詰め込みがちだったので、今まで。そのまま詰め込みすぎないでいいかなって。仮にエフェクトをかけてなくても、露骨な感じが逆に「うわっエグいな」みたいなことを考えるようになってから、今回のEPは曲作るのがめちゃくちゃ楽しかったです。『VVARP』はもう、あの手この手で一回バーってやりまくって、その中で正解並べるみたいな感じだったんですけど、自分の中で、この曲が何味か、みたいなのがはっきりしてない部分があるような気がしてます。アルバム自体はもちろんめっちゃ好きなんですけど。なので今回はかなり別人のような気持ちで曲作ってました。VaVaじゃなくて、より馬場貴大って感じです。

- 次に作ったのが"Introduction -Capsule-"ですか?

VaVa - それは一番最後じゃないかな。ってことは"寝たふり"かな。

増田 - "ポルノ (sped down)"じゃないの?

VaVa - 確かに"ポルノ (sped down)"は、結構最初の方ですね。これが出来たくらいの時にshakke君にだけ聴かせて、「めっちゃいいけどさすがにダウナーすぎるな」みたいな。けど、何日か寝かせて自分で聴いてよかったので、増田さんに聴いて「これめっちゃいい」みたいな。sped downって日本のヒップホップでやってる人はあんまりいないし。海外のカルチャーでは全然ありますけど、そういうの面白いと思うのでやりたいです、って言って入れた感じですね。

増田 - しかも2曲とも構成も違うし、それがいいなって。

VaVa - 2バース目「フー」とかしか歌ってない(笑)。どっちも気に入ってますね。あと、"REVENGERS! feat. kZm"。トラックはSUMMITの事務所で、それこそ『VVARP』の和田さんのインタビューの日じゃないかな。時間があって事務所でネタ探ししてて。その時にあのネタがあって、うわこれめっちゃかっこいいなって。それで軽くビート作ったんですよね。その後、CreativeDrugStoreがフジロックに出演した時にkZmも来てて、「めっちゃいいビートできたから聴いてくれない?」って聴かせたら、「クソやべえから俺もラップするわ」って言ってくれて(笑)。俺、kZmって人としてめっちゃ好きで。一見怖そうに見えるかもしれないけど、人に対してめっちゃ優しいなと思う部分があるし、優しいからこそライブ中でさらけ出してる感じ、ちょっと分かるっていう感覚がずっとあって。ライブ中はなんなら、死んでもいいと思ってるんじゃないかな。

- 無茶するっすもんね。

VaVa - その点で僕も同じなんで、いつか一緒に曲やりたいねとはお互いずっと言ってて。じゃあこのタイミングでやろっかって作った感じですね。

- じゃあ最初から一緒にやりたいってことじゃなくて、流れがあって。

VaVa - それで「kZmラップしたいっぽいっす」って増田さんに言ったら「めっちゃいいやん」みたいな。

増田 - 俺もう「めっちゃいいやん」しか言ってない(笑)。

VaVa - いやいや、「めっちゃいいやん」の話しかしてないんで。「ダメやん」は基本的に話できないことばっか(笑)。「めっちゃいいやん」なんて増田さんはなかなか言わない人ですよ。

増田 - kZmさんの歌詞、自分も好きで。それこそさらけ出してくれている印象を受けました。

VaVa - お互いに悔しい思いがめちゃくちゃある人たちの曲です。こんだけステージに立っていろんな人に見てもらうきっかけはあるけど、でも俺らもめっちゃ人間だから、みんなと同じようにめっちゃ辛いことあります、みたいな。憧れの対象として見られがちだけど、マジでそれ以前にただの人間でしかない(笑)。この曲はライブやるのすごい楽しみですね。どうなるんだろう。

- それで最後に"Introduction -Capsule-"ができた。

VaVa - はい。『Virtual』とか『Idiot』とか『Universe』とかのEPの流れって、当時あんまりなかったんですよね、ヒップホップの人の中で。でもEPとかサブスクが近年は世の中で定着し始めて、そもそもEPに対しての驚きがどんどん薄れてるなっていう感覚があったんですよ。ありがたみというか。EPって、どうしてもインスタントな感じで見られてる感覚が正直僕の中であって。すり減らしながら作るものに対してもしそう思われてしまったらとても悲しいなって。でもそれって僕やアーティストのせいなので。人々のせいではなく。なのでイントロ作りたいなって思って、これも速攻できた曲ですね。ぼやっとそういうことを、地元の踏切の前歩いててタバコを吸って、ぼーっとしてる時になんとなく情景がすごい好きだったので、その情景を曲にしたいな、みたいな。で、『Love Less』というEPにしよっかなってなんとなく考えていたので。EPの入り口としていいんじゃないかなというので作りましたね。イントロっていう存在を作るのは久しぶりだったので、『VVARP』も僕が作りたいって言ったんですけど、増田さんが「いやなくていいと思う」と言って。僕はどうしてもそういうの好きなんで、作品の導入が作れてよかったなって、やっぱめっちゃ思いました。

増田 - 今思うと前作『VVARP』でイントロつけてたら無理やり世界観作ってたかもしれないですね。

VaVa - うん、確かに。

増田 - 自分の中のコンセプトがはっきりしてないと無くても良いのかなって自分は思う。1曲目にちゃんと掴めるやつがあった方がいいなって。必然性があればめっちゃいいですよね。

VaVa - 今回はテーマが愛なんで、すごいわかりやすくて作りやすかった。あ、そうだ、これ多分増田さんに言ってないけど、イントロができた時も泣いてました。

増田 - 俺正直、イントロ聴かせてもらった時に、もしかしたら2曲目にいいのが控えてるのに長く感じられてスキップされないかなって思ったんですけど、「いやイントロ入れたいです」って言われて、自分もiTunesのプレイリストに入れて聴いてみてから、あった方がいいかなって後で思った。今は自分もめっちゃいいと思ってて、そういうケースも全然あるんで。

VaVa - 例えばプレイリスト経由でVaVaを知ってくれてこの作品を聴いてみようってなった時に、イントロから聞いてくれたら嬉しいというか。僕自身はイントロとかそういうものに引き込まれる感じがめっちゃ好きなんですよ。どうしてもやりたかったので、めっちゃできてよかったですね。これも作って、朝泣いてましたね。全く泣かないんですよ普段、僕って。

増田 - VaVaちゃん泣かないってみんなによく言われてる。

VaVa - 葬式とか一回も泣いたことないし、逆に泣けない。本当に人に怒る時しか泣けない。怒る時に悔し泣きしちゃうタイプなので(笑)。そんな感じだったけど、音楽でめっちゃ泣けたから今作の制作は本当に楽しかったですね。たぶん俺が泣けるってことは、泣ける人いるだろうみたいな。だって僕がこの音楽に対して200%楽しいって思ってたら、まあ200%伝えられるとは正直思ってないけど、100%で伝わってくれる人って沢山いると思うので。どんだけ自分の音楽で楽しんでるかみたいなのが今回のEPで出してるから、すごい好きです。

増田 - やっぱ、順を追って経験してるから、現実と向き合って考え方が変わって、これからもまた迷ったりすると思う。それをお客さんに知ってもらうのも俺はいいことかなって思って。まさにOMSBさんの時にも話したけど、別に答えを提示するのがアーティストではないと思うので、迷いも含めてそういうのがめっちゃ俺は好きですね。自分にも他人にも誠実な感じがして。

VaVa - うん。イントロはどの曲よりも一番歌詞をシンプルにしたかったから、それもできて良かったと思います。

増田 - "ポルノ"以降に作った曲が明らかに変わってるなって。

VaVa - "birthday"が一番真ん中なんですよね。で、"ポルノ"があって、"寝たふり"になってみたいな。

- じゃあ、今作ってる曲はもっと。

VaVa - 一応、一曲あります(笑)。今年に入ってから音楽ってすごいっていうのをめっちゃ感じました。本当に去年から、全部変わりました。何が変わったかは自分の中でまだ分かってないけど、焦りとかそういうのは全部なくなった。と、言うより焦りから生まれる行動をやめた、みたいな感じですかね。遠回りした方が自分には合ってる。いろんな音楽がスピードめっちゃ早く生まれてくるじゃないですか、トレンドとか。そういうのも好きだけど、俺は噛み締めてずっと聞けるような音楽を聴きたいし、作っていたい。

- 今は本当にそう思いますね。無理にトレンドに乗ろうとしても、リスナーの人には背伸びしてる感が伝わったりすることもあるだろうし。

VaVa - そうなんですよね。僕が音楽聴かなくなって、本当はどういうアーティストが好きなんだろうって考えた時に、いわゆるタイプビートでやってる人より、自分で作曲してるアーティストの人の方が僕個人的には好きなんですよ。それはなんでかっていうと、個性が明らかに出てるんですよね。そういうのがあって、ふと思った時に、Tyler, The Creatorとかそういう人たちの音楽がずっと好きなんで、いびつでもそのままの、トレンドじゃなくて自分の美学をそのまま出してる人の方がやっぱ、自分的には惹かれるなぁ。普遍性がめっちゃあると思うので。もちろん好きなんですけどね、ヒップホップのヒストリーとか進化の過程とか。例えばMigosがいてトラップがあって、みたいな感じ。好きなんだけど、俺は別に社会の勉強したいわけじゃないから(笑)。ただワクワクしたいだけで曲作ってるから、それは多分一つの手法じゃないですか。

- わかりやすい構図っていうか。

VaVa - そういうのも全部気にならなくなりました。それがいいか悪いかなんてわからないですけど、今の段階では僕はすごい楽だし、音楽が楽しいって感じです。楽しいって文字が付く娯楽ってやっぱなかなか少ないと思うんで。だって普通に耳だけで、信号ですよ、聞いて楽しいって普通にやばいなみたいに思うから(笑)。楽しいって言ってもらって、聞いたことないものを作ってみたいなっていうのがすごくあります。

- 今はそのモードにフォーカスできている。

VaVa - 多分これ、モードというよりは根本の話になってるので。ずっとこの感覚は忘れたくないなぁとは思いますね。イカれてるぐらい曲を作ってた時の状況をバッティングセンターで例えると、打席に立った時に「おっ、あいつ打てるのか?」みたいに周りがなって、何回も振ってみたらすげーヒット出ちゃったみたいな感じで、アーティストとして認識されて、ただただ作りまくるのがめっちゃいいっぽい、ってなって休まずに打席に立ち続けてる。4,5年ぐらい振りまくって、1回も寝ずに休まずに。そんなん筋肉ボロボロの状態でいいヒットだってもう打てないし、仮に1000回ぐらい振ってヒット出ても人は驚かないし、自分も驚かないし、やべぇ何が楽しいんだみたいなとか思うから。

増田 - 確かに、打席に立てばヒットは出る可能性が上がるとは思うんだけど、自分が出したい方向のヒット、自分が納得できる球を、ちゃんと見てちゃんとヒットにできてるかどうかの実感を持てているか。っていうのは、やっぱり重要だと思う。VaVaさんも今までヒットは出してると思うし、認知もされてると思うけど、そこに自分の実感がちゃんと備わってなかったら、本人にとっては意味がないことに感じてしまうのかもしれないね。そこを痛感したのかもしれない。

VaVa - ずっと作りまくってたら考える余地もないし、頭パンパンっすよ。

増田 - 全然そんなこと俺求めたことないんやけどね。自然にそうなっていくもんなのかもしれない。

VaVa - 俺がめちゃくちゃ自分に求めてるんで。増田さんに認めてもらいたいなんて思ってないですよ。

増田 - うん。そういう意味じゃなくて、俺がそういう風なことをVaVaちゃんに求めたことはないやん。もっと曲作ってもっとヒットするようなやつを作らないと、みたいなプレッシャーを与えたり。

VaVa - そんなのはもちろんないですよ。

増田 - ないのに、出会った時からずっと「VaVaちゃん自身が何が好きかを表現してほしい」と言い続けていてもそうなってしまうってことは、やっぱり本当にそういうことなんだなって。

VaVa - やっぱり人に認めてもらってチヤホヤされるっていうのも魔力だし、未熟な部分がありました。だって満足に繋がるんで、めちゃくちゃ。

増田 - 満足を実感できたんやね、『VVORLD』とかは。

VaVa - 満足っていうか、そりゃ『low mind boi』よりは満足してるし、『VVORLD』より『VVARP』の時の方が満足してる。けど、満足って諦めと紙一重なんで。満足した時点で先にはもう進めないんで。ここの地点がいいやと思ったらいけないので、満足してるけどやらないとみたいな感じでただやってたら、ずっと同じところ走ってる感じになっちゃう。めっちゃやってて、「俺どっち走ったらいいんだっけ?」みたいな、何も考えないでやってる。楽しんでなかったって時期にはそういうのを強く感じました。

増田 - まさにこの期間に、馬場貴大がVaVaを評価する軸っていうのがより明確になったってことね。

VaVa - てか、VaVaっていうものがもう俺の視界からはなくなったかもしれないです。

- 変にアーティストVaVaっていうのを意識しすぎてた部分があった。

VaVa - マジで僕本っ当に理想高いんで、これあんまり他に言ってないんですけど。ヒップホップのイベントとか出るときって、俺が死ぬか他が死ぬかだと思ってるんで。

- そうなんですか。

VaVa - いや、それももちろん物理的な意味じゃなくて、ここでカマせなかったら俺は死ぬ、っていう。こっちが死ぬか、あっちが死ぬか、って感じてたんですよ。そんくらい俺がVaVaに求めるものが高すぎる。もちろん、お客さんに「VaVaのライブめっちゃやばかった」って思ってもらえたら幸せだし。逆に同業の人で「VaVaってライブいいっぽいな」って思ってくれたらめっちゃ嬉しいし。俺もやっぱ他の人のアーティストのライブ素直にめっちゃ良いとか思うタイプなので、こんなこと言ってても、そのマインドセットはずっとあるんでしょうね。みんな多分言葉にしてないだけだし。だいぶサバイブしてるタイプの人間ですね。

- そんなに精神的な部分で大きな変化があったってのは、あんまり気づきはしなかったですね。

VaVa - あんまり外に出さなかったんで。曲作ってる時、一人で叫んだりとかしてますからね。鏡見て自分と話す時もあったし。謎な期間がだいぶあったから、大変な一年間でした。自分と向き合うのってやっぱカロリー使うから、ずっと逃げてたところがある。

増田 - あとはワンマンの話もしたいんですけど、そういう自分の心境の変化を踏まえてライブっていうものとか、もしくはワンマンライブっていうものをどういう風に捉えてるか、どういう風にお客さんに楽しんで欲しいかとか。

VaVa - 前はお客さんの視点をめっちゃ考えて、どういうライブにしようか考えてたんです。自分が一番楽しいように考えたいなとは思いますけど、今はまだライブに消化できそうな感じは正直してないです、マインドの変化も。それはこれから感じていくのかなとは思うんですけど。

- それが消化できたらパフォーマンス自体も変わってくるかもしれないですね。

VaVa - 俺がめちゃくちゃ暴れたりとかは、したくてしてる部分があるけど、欲しくて求めにいくものでもない気がするので。結局僕らがやってることってエンターテイメントなんで。来てくれた人達に対して求めるのは全く良いと思えない。だったら求めずに与え、自分は楽しいようにやる、っていうのができたらいいですね。

- もっと静的というか、動かなくても良さっていうのが伝えられるような感じもしますね。

VaVa - そうですね。やっぱり派手なものが目につきやすいですけど、ヒップホップも果実と同じというか、果実がなってる木があったとして、果実ってめっちゃ魔力だけどすぐ腐るし、でももっと普遍的な考え方というか、木でありたいというか。

- 一番幹の部分ですか。

VaVa - そうです。しっかり土台があれば、どんなインプットを受けてどんな果実がなろうが、木は変わらないから。それが、僕の中でのアーティスト像。そういう感じをライブとかにも活かしたいなとは思ってます。当日できるか分かりませんが、来ていただきたいなとは思ってますね。やっぱり今『POP YOURS』とかもそうだけど、いろんなクールなアーティストの人たちが一気に見れるような凄いイベントもあるわけじゃないですか。そんな日もありながら、ワンマンに来てくれてるような人たちに対しては、本当に感謝だし、本当に嬉しいので、
だからこそ自分が楽しみたいなと思います。

- いい締めだったんじゃないでしょうか。ありがとうございます。

VaVa - 結構さらけだしたので、読んでて疲れた方いましたらすいません(笑)。ここまで読んでいただいてありがとうございます。まだ4/5リリースのEP『Love Less』を聴けないとは思うのですが、すごくめっちゃいいと思うので。心からいいと思うんで、聴いてもらえたら嬉しいです。一人でも多くの人に知ってもらえたら嬉しいなぁ。

Info

チケット先行販売(抽選)

https://w.pia.jp/t/vava/

※【先行受付期間 : 3/11(土)10:00 〜3/18(土)23:59 まで】
※抽選日 : 3/20(月)

【一般販売開始 : 3/25(土)10:00】

Info

Artist : VaVa
Title : Love Less
Format : Streaming / DL
Release Date : 2023/4/5
No. : SMMT-211
Label : SUMMIT, Inc.

■track List
1.Introduction -Capsule-
Lyrics by VaVa
Produced by VaVa

2.ポルノ
Lyrics by VaVa
Produced by VaVa

3.birthday
Lyrics by VaVa
Produced by あるふぁ

4.REVENGERS! feat. kZm
Lyrics by VaVa, kZm
Produced by VaVa

5.uma uma
Lyrics by VaVa
Produced by 黒魔

6.寝たふり
Lyrics by VaVa
Produced by VaVa

7.ポルノ [sped down]
Lyrics by VaVa
Produced by VaVa

All Recorded at ヴァヴァミュージックスタジオ
All Mixed & Mastered by D.O.I. (Daimonion Recordings)
Cover Photo by AmonRyu
Artwork by VaVa
A&R : Takeya "takeyan" Masuda (SUMMIT, Inc.)
© 2023 SUMMIT, Inc.

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