【インタビュー】BIM 『Because He’ s Kind』 | 俺は俺のことをやってるから

昨年は“吐露ノート”、“Yearn”などのシングルやVaVaとのコラボ曲“Fruit Juice”、『大豆田とわ子と三人の元夫』の主題歌"Presence"にも参加し、TV出演も行うなど多彩な活動を見せていたBIM。まとまったソロ作としては2020年の『Boston Bag』以来となったミニアルバム『Because He’ s Kind』には、柔らかいけれども強いエネルギーが込められている。10年を迎えたキャリアで積んだ経験からくる自信や、同時に世界や人に対しての優しい目線を内包するそのエネルギーは、BIMの作品作りにどういった影響を与えているのだろうか。

BAD HOPからBenjazzy、Daichi Yamamoto、どんぐりずといった初めてのコラボレーターから、旧知のin-dを迎えた本作について、BIMの自宅兼スタジオで話を訊くことができた。

取材・構成 : 和田哲郎

撮影 : Cho Ongo

- 定期的にインタビューをやらせてもらってます。

BIM - 助かってるんです(笑)。本当は作品を出した後のインタビューは和田君が最初がいいんだよな。作品に関するポイントが整理できるから。

 - 去年も動いている感じはしたけど、まとまった作品だと2020年の『Boston Bag』以来。少し意外でした。いつごろから作り始めていたんですか?

BIM - 『Boston Bag』が出て、ちょっとしてビートは考え始めてましたね。Rascalのビートはちょっと後だけど、それこそCwondo君との”Mosquito”はBillboardでもライブしてたぐらいだから、結構前からあって。

- じっくり作っている。

BIM - それこそ合間に『とわ子』とか客演仕事が入ってきたりして、そっちやりつつ、まあいつか出せたらなと。CDSが10周年だから忙しくなるだろうなと思って、今年の前半戦でバッとやった感じですね。

 - 焦りとかもなくなってきているのかなと。

BIM - たしかに。ファースト作った時、代官山でインタビューをしてもらった時とは全然違うかな。

 - どの辺りが変わりましたか?

BIM - ソロになった当初は自分のためにやっていると言っていたけれど、今から比べるとオーディエンスを意識していた。今はもっとあの時以上に意識しなくなって、自分がどういうことやりたいかっていうことが本当に最重要で。そこをちゃんと向き合えた曲とかは、お客さんからもリアクションをもらえることが増えてきたから、自分のために作るやり方が俺に合っているのかな、と思うようになってきました。

 - それが自信にも繋がっていっているのかなという感じはして。「RASEN」でも思ったんですけど、やはり普段は試さないようなフローとかを作品の中にも落とし込んでいっているような気がしています。

BIM - 昔より客観視はできているかもな、と思います。だから自分のために作っているとか自分がやりたいことをやるということの中に、客観的な目線も入ってきている。じゃあ今「RASEN」にBIMが出て、どうやったら面白いと思ってもらえるかな、とか。あれはゲームだから、勝つとかじゃないけど、ゲームで目立つにはどういうことをやればいいのかなということを意識できるようになりました。

 - BIMというアーティストを、高木優人が後ろから見ているみたいな。

BIM - 今回アルバムのジャケは自分で描いたんですけど。今まで『The Beam』と『NOT BUSY』と『Boston Bag』、全部俺が4人なんですよ。だけど今回3人にして。なんとなくBIMと高木優人が近づいてきたなというのはあって。それは本当に周りの友達とかのサポートによるものなんですけど、もっと肩の力を抜いてできるようになってきている。

 - 周りの友達から「そうした方がいいよ」と言われることがある?

BIM - レンくん(A&R)とか、kZmとか、コウキとか、Heiyuuとか、話していて「おもろい」と言ってもらえることがあって、「あっ、じゃあこれでいいか」って。それこそ「THE CREW」という大舞台でそのままの感じを出せるか実験してみたんですけど、kZmが袖からゴンフィンガーやってくれたり、意外といい反応があった(笑)。自分じゃ、これでいいかわからないし、お客さんの反応も笑ってくれているのか笑われているのか分からなかったけど、「これ笑ってくれてる感じがするな」、このやり方でいいなと、徐々に壁が取れてきたという感じはあります。

 - そういうステージ上の余裕とかも出てきたのも、自分とBIMが近づいてるから?

BIM - そこを近づけることって、自分が思っていた以上にすごく大変なことで。ステージ上で楽しく話しているのは事実だし、曲とかでも本当の自分をさらけ出しているようにちょっとずつなってきて楽しいし、逆に楽だし、ってのは事実なんですけど、俺には相当な努力が必要なんですよね。だから、今もさらけ出すことの方がカロリー使いますね。でもそっちの方がカッコいいなって自分で思っているから、それにちょっとでも近づけるように目指してる感じですけど。結構ちゃんと反省したりもしますね。「あそこもっとこうできたな」とか。これはkZmに言われたことなんですけど、「お前が頑張ってることを他のヤツがそこまで大事にしてるわけじゃないからいいよな」みたいなことを言われて。確かにそうかもなと。この前のAマッソと佐々木(KID FRESINO)のライブを見ても思ったんですけど、あれって、佐々木しか目がけてないゴールに佐々木がフル本気でやっているから、すごくこう、美しいし、面白いし、感動するライブだった。それが自分の中でも、何かちょっと見えてきているのかなというのは思ったりします。

 - それってやっぱり、10年続けてきた中でようやく見えてきたものということですよね。

BIM - これは俺の中で必要で、これは必要じゃないとかの判断が、やっぱり20代前半の頃は、世の中の判断と混ざっちゃっていてわかんなかったんですけど、ちょっと大人になって、それが自分の中で判断つきやすくなってきてるというのはあります。

 - デビューした当初って、10年後の今、自分がこうなっているみたいなことは想像してたりしたんですか?

BIM - 「本当はもっと」って思っていた時期も、初期はあったと思いますね。それこそ「お茶の間で」みたいな。でもTHE OTOGIBANASHI'Sのファーストだしてセカンド出すまでの間で、これは結構いばらの道だぞということに気づいて、それこそ何回かインタビューで言っているけど、俺のソロのファースト出す前は諦めかけてた感じでしたね。で、”Bonita”出して、もう1回やるかとなった感じだから。どっちかというと、OTG'sのセカンドの時から考えたら信じられない感じですね。ファーストの時はもっと俺らは行くと思っていたんですよ。

 - そういう意味で今作を見ると、やはりキャリアを積まないとできないことがたくさんあるなと思って。一つがゲスト陣。先日のJP THE WAVYさんとLEXさんとのPodcastでも話してましたが、普通にBenjazzyくんと飲みに行くと言っていたんですけど、それも本当に初期の頃だったら信じられない(笑)。

BIM - ぽっと出やろうがBenjazzyと仲良くしてるんじゃねえよって(笑)。俺がBAD HOPの方々に引け目を感じていたらこんなに仲良くなれていなかったと思うんですよね。俺は俺のことやっているし、彼らも彼らで、俺らができないことやっているし、っていう風に俺は思っていて。ベンちゃん(Benjazzy)もそういう風に思っていてくれたってことなのかな。わかんないけど。飲みの席とかで「こういう風に思ってます」とか「BAD HOPでこういう話が出ます」とか言ってくれたりして、こっちをほどいてくれたって感じですね。仲良くなろうとしてなったっていうより、ちゃんと見てくれてんだなと思って、仲良くなれるかもって思ったって感じ。

- Benjazzyさんはどういうラッパーだと思いますか?

BIM - スポーツとかで言ったら、もうとてつもなく足速いし、超センスあるのにめっちゃ練習してくるやつ。敵だったら一番ダルい(笑)。今回一緒にやる時も、そこで勝負するのは、俺の自己満でしかないと思って。例えばベンちゃんがこういう風に刻んできたから、ここまで刻むとかの勝負じゃないんですよね。曲としていいものにしたいということが第一にあって。でも、ベンちゃんがウチに来てレコーディングした時、レンくんに「Benjazzy、やばいんだけどおれの録り直しかな」って言ったら「いやこのままでいこう」となって。

 - 自分のヴァースを?

BIM - そう。ベンちゃんのヴァースがすごいツメツメでバッチバチにカマしているから、じゃあ俺もそれでやろうってなったら、それはもう俺がやる意味ない。普段出せないベンちゃんを出してもらうことがめっちゃ最高だし、いいフィーチャリングだなと思いましたね。超練習してマメだらけになってる感じ。本当にすごいですね。一緒にレコーディングしていて思いました。

 - BIMくんも"Kawasaki DRIFT"のBenjazzyバースをBIMくんらしくオマージュしていますよね。

BIM - "BIMにゃ 切り抜け られない 問題ばかりで"。ベンちゃんってもちろんルーツとかは違う部分があるかも知れないけど、聴いてきた音楽とかも近かったり、今は一緒だなって思うことが多いんですよね。中学生の時に会ったら仲良くできてないかもしれないけど、今は俺もヒップホップの世界に入って、いろんなことを経験してきて、こういう風にしたい、でもまだ報われない部分もあるから、もっとアーティストとして頑張りたいということを考えている上では、一緒な感じがすごいして。最初から話が合わないなと思った瞬間がないというくらい、何かフィールしたっていうか。

 - すごくいい話ですね。普通に生きている中だと交わらなかったかもしれないけれど、ヒップホップというフィールドの中だと共通言語があるし、同じことを話せるという。

BIM - 「あの時、かてえ頭とコルクメット」という歌詞が俺すごく好きで。もともと”2018”のヴァース全部歌えるぐらいBenjazzyファンだし。「かてえ頭とコルクメット」とか、「原チャリ欲しいトゥーサウザンシックスティーン」って、俺もSUMMITの”Theme Song”で原チャリのことを言及していて、コルクメットいいなあっつって。原チャリは買わなかったけど、あの時よりちょっと成長して、たまにクラブ終わりとかキツかったらタクシー乗れるようになったな、とか。そういうのをかけ合わせて俺も「コルクメット」使おうと思って、でもみたこともないから、「見たことないコルクメット」っていうふうに歌った。対比にしたらああいうふうになったけど、実は飲んでいる時は違いないっていうか(もちろん人と人だから違うんですけど)、不良と陰キャみたいな感じではないかな。

 - フックのところもすごいいいなと。

BIM - 俺にとって水切り石がターニングポイントとしてあるんですよ。落ち込んだ時とかよく多摩川に行っていて。中学の時かな、当時の彼女と川いって石に2人の名前を書いて、それで水切りして、という思い出があって。ベンちゃんは武道館まで行っているスターで、俺は浮き沈みあるけど、ずっと続けている感じってすごく理想なんですよね。急上昇はしないんだけど、ずっと続けていって、いつかいいところまで行こうみたいな意気込みをもって、あのサビになりました。エッオッエッオッエーっていう掛け声は、あれはダンボのテントを立てるシーンなんですよね。「エッホ、エッホ」というのがあって、何か頑張ろう、みたいな。ベンちゃんも耕すと言ってるし。だからそういう農民の曲みたいなイメージで。祭りみたいな感じ。

 - そういう色々なリファレンスって、すぐに頭の中から取り出せるようになっているんですか。

BIM - いや、ビート聴いて、作業部屋でという感じですね。最近はもうメモったりもしてないし、ただでさえ、日常でうんこしてるときも、シャワー浴びているときも、自分の活動のこととか考えちゃう癖があるから、もうこれ以上自分をいじめるのやめようって。酒飲んでいる時と運転している時に何か思いついてもメモらないで、それが頭に残っていたら使うぐらいで。日常的にそんなハードワーカーになりすぎるフシがあるから、メモったりせずに作業部屋で「曲作るぞ」ってなったときにそれを引っ張り出してくるという感じ。

 - 歌詞はまだ紙に書いている?

BIM - 最近はフリースタイルまでいかないですけど、スタジオで録りながらメモっていくっという感じ。メモを写したのを録るというよりも、それか宇宙語でフロウだけ入れたのに文字を当てはめていくとか、そういう感じで。エミネムみたいに書いている感じではないですね。

 - そこは以前と違うスタイルなんですね。

BIM - そうですね。録りが自分でできるようになってから7年くらいかけて、そういう感じになってきましたね。

 - 次は先行で去年リリースされた"Yearn"ですね。この曲のフックで「俺じゃない俺に今日も雇われて」というフレーズが引っかかっていて。俺じゃない俺というのはBIMということですか?

BIM - これは友達へのメッセージソングと、さっき言っていたことと逆になっちゃうけど、BIMと高木優人というものがまだ別れてるから、そこをフォーカスして歌っているっていう感じですかね。それこそ奥田民生とか(椎名)林檎さんとかでもあるけれど、「んん~」って掴みきれない歌詞ってあるじゃないですか。「俺じゃない俺に今日も雇われて」もそういう感じかな。俺っていう言葉を介して「雇われる」も分かるけど、なんのことだか、主語も述語もはっきりしていないけど、それでいいなと思って。なんとなく、その人にあった捉え方でよくて。

 - 私信というか、パーソナルな手紙みたいなところもあるけど、それを全て明かすわけではない。そういうパーソナルなものから、お客さんにはもっと抽象的なものとして伝わるところまで持っていく作業というのはどういうものなんですか?

BIM - よく考えるんですけど。どうやってラップやってんの?って聞かれるとか、今ラップやりたいですっていう人になんて言えばいいかなと思ったら、俺の能力では、もう「10年間毎日やるしかない」っていう。10年間思ったことを出そうとして「ああこんな出し方しかできなかった」っていう壁打ちをずっとしていて、ちょっとずつできるようになってきたことだから、どうやってやっているかわからないんですよね。こう振りかぶってこうやったらこうなるよ、ってプロ野球選手に言われても、それはそうだよねっていう感じ。思ったことを歌詞に起こすというところで、自分の中で地肩は付いてきたのかなと思ったりする。まだ初級も初級ですけど、その人前に立って、歌詞を聞いてもらうということは、俺流というのはあるのかなと思います。

 - 誰か歌詞を書くうえで参照にした人とかいますか。奥田民生のフレーズはこの曲にも出てきますけど、この人の歌詞の書き方すごいな、みたいな人っているんですか?

BIM - 奥田民生と、超ベタでお恥ずかしいですけど椎名林檎と、あと最近はミスチルの桜井さん。先輩に”LOVEはじめました”って曲がヤバいというのを教えてもらって。ちょっと暗い曲なんですけど、歌詞がすごくて。やっぱJポップの方でちゃんと戦ってる人がヤバイって思いますね。だってみんな音楽好きで、海外の超やばいアーティストのフェスとか見て「やべー音楽やりてー」っていってやってるわけだから、絶対とがってるんですよね。そんな生ぬるい歌詞ばっかなわけではないし、やっぱり歌詞聴いたら「しょえー」って思うことが、ポップスで一線でずっとやってる人に思いますね。”LOVEはじめました”はちょっとやばかったんですよね。殺人現場でカメラを向けてるヤツがいて、犯人より先にお前らが死刑になればいいとか歌詞を書いていて。それってストレートなんだけど、ただの攻撃に聞こえなくて。ちょうど全体で見た時に、ちゃんと愛がある歌詞だなという風にわかる。そういう表現はまだ自分にはできていないことだから、まだ道のりは長いなと。

 - 曲全体でわかるということなんですね。

BIM - そうですね。俺もたぶんどっちかっていうと彫刻を作るイメージというか。もうちょっと立体的に、ここで起きていることが、こっちでふんわり回収されているだけで、俺の中では成り立っていて。でも文だと繋がってないというか、自分の中で立体的に言葉を置いていっている感じなんですよね。

- なるほど。

BIM - もちろんラッパーって、自分の良さとか悪さをそのまま見せてかっこいい。でも俺って、自分の見せたいところを見せるには、結構説明が必要なんです。一緒に時間を過ごしてもらったりとか。だから、いろんな曲でゆっくりとなんとなくなんとなくっていう感じで、いつか自分が絵みたいな曲を作って成り立つようにはなりたいなと思ったりしますけど、今はそっちのも好きだし、性に合っているなって思う。

 - 彫刻だったら、前から見たらこうだけど、後ろから見たらこうなっているんだって。

BIM - そうです。そういう感じで、今モノ作りをやっている感じ。

 - 面白いです。次は"Celebration feat. Daichi Yamamoto"ですね。この曲はDaichiくんとですが、前から一緒にやろうと思っていたんですか?

BIM - みんなDaichiくんとやってんのいいな、俺もやりてえよって思っていたんです。で、やっとオファーできるようになったなと思った。歳は一個上だし生意気な言い方かもしれないけど、ここ何年かで歌詞とか聞いていても、Daichiくんは一皮剥けた感じがするっていうか。もう早くやりたいこの人、となっちゃった感じです。『とわこ』の時にも「やっべ、ダイチくんカマしてるやーん!」ってなったり。あの頃オファーしたと思うんだけど。で、OMSBくんのビート。

 - ビートが超いいですよね。しかもOMSBくんっぽくないというか。

BIM - OMSBくんって、たまにインスタとかに、超繊細なビートあげているんです。イメージ的にゴッツイビートを作る人ってイメージがあるけど、あの方のビートは強さの中の繊細さがすごく綺麗で。この曲もそうだなと思って、地味さの中にすごくポップを感じたビートですね。レンくんがOMSBくんのビートを聴かせてくれて、「これやりたい」ってやったやつですね。OMSBくんのゴリッとした感じのも好きなんですけど、こういう繊細なやつってOMSBくんの人柄がすごく出ていて、すごく真面目で優しい方だから、それが出ているビートだなと思ってすごく好きです。

 - 「反吐が出そう」から「セレブレーション」に移るというのも。

BIM - 嫉妬の歌ですね。やっぱり嫉妬があってこその活動なので、常に。

 - でもそういうのをただ暗くやるんじゃなくて、ちょっと艶っぽい感じをやるという…

BIM - こんな感じでやっと歌えたって感じです。隠すことで精一杯だったし、今はほんの少しは昔より報われている部分があるから、昔は「俺は本当はこうなのに、なんでこれをわかってくれないんだ」っていうことで、「あいつらはいいよな」っていう嫉妬が強かったですけど。今は、「俺ができないことができてすげえあの人」っていう感じというか。なんで俺が、っていうより、あの人やっぱやべえな、みたいな。それはDaichiくんにも思うしOMSBくんにも思うことで。

 - それはもう自分もちゃんとやっている、という自覚があるから。

BIM - 俺はもうこれしかできないんで、みたいな。だからこれはDaichiくんとかOMSBくんに向けた歌詞ではないんですよ。何か全体的な自分の嫉妬心とか。今の感情。

 - Daichiくんは客演だと、ちゃんと相手のアーティストのことをネームドロップしたりとか、そこらへんがニクいというか。

BIM - あの人はネームドロップさせたらたぶんアジア1ですよ。あんなキレイにできないですよ。ちゃんと脈絡あるところだし。Daichiくんが言ってるから全然成り立つ。何がやばいって、ネームドロップしてるのに曲のパンチラインがそこにならないところ。普通そこに注目しちゃうんだけど、他のところにちゃんともっていくところが、キレイなネームドロップだなと思う。誰かの力を借りてパンチラインを作ってるわけじゃなくて、この曲とかもPSGの”寝れない”のところが一番のパンチラインの場所じゃないと思うし、本当にすごいなと思います。

 - しかもフローも結構チャレンジしている。

BIM - これDaichiくん録りなおしているんですよ。というか書き直している。一回フル尺であって、それを書き直してこれを録った。

 - じゃあ全然違った?

BIM - 「what you want ~」とかも新しく入ってきた。すごい楽でしたわ(笑)。プラスアルファでやって返してきちゃうから。初めて曲やってんのに、阿吽の呼吸みたいなものを感じましたね。あんまり説明しなくても「はい、わかりました」って歌詞、ボン。

 - いい曲でしたね。で、次がどんぐりずとの"Anchovy"。

BIM - バカ野郎たちの。

 - BIMくんがどんぐりずとは、一番最初に遊んでた感じがしますね。

BIM - 俺のどんぐりずだったのに、今となってはみんなのどんぐりずに(笑)。「どんぐりずって知ってる?」みたいな感じだったんですけど、早さなんて意味ないんだなと思いました(笑)。

 - 彼らの魅力はなんですか?

BIM - まず、チョモくんの地肩ですね。

 - このトラックもめっちゃいいですね。展開するところが最高だなと。

BIM - あと声はこのシーンだったらトップ3じゃないかなと思うぐらいすごい綺麗な声だなと。あと、森くんの歌詞。意味ねーから本当に(笑)。本人も「BIMくんこんなんでいいんだよ」って(笑)。まるでお笑いコンビかのような、本当にいいバランス感ですよね。で、超仲いいし、あの2人の中に混ぜさせていただいたっていう感じのイメージの曲です。彼らの突破力は、会ってさらにわかる。意外とステージ上だとそこまでさらけ出してないところはあるから。森くんとkZmが一緒にリリース日にお祝いしてくれたんですけど、チョモくんはミックスあるから帰るって。「お前帰んないんだ」って。まあ外交官と他の担当で。

 - ああいうバランスに友達からなるんだって。

BIM - めっちゃおもろいんですけど、小学生の時に絶交してたらしいっすけどね。

 - どんぐりずを初めて聞いた時に、音楽性とかは違うんだけど、ポジションとかキャラクターとかでCDSとかの系譜にある人たちだなって感じが…

BIM - それは俺も正直最初思ったことあって。これちょっとオブラートに包んで書いていただきたいんですけど、ある先輩とかともよく話すことで、「系統」って方々はめっちゃ出てくる。けど、これは俺の意見ですけど「この人たちやばい、ぶち上がる」っていう人は本当に少ないかも知れない。なんか光り輝く芯が見えるというか。歳とか全く関係なく。チルとか、オシャ系とかはごまんと出てくるけど、どんぐりず見た時とかは「うわっ、やられた」って思いましたね。kZmがTohjiくんとかLEXくんに思った感じというか。それはあったと思う。俺はもうぶち上がりでした。ヤベーの出てきたぞって。みんなに普通にヘッズとして「こいつやばいやばい」って紹介して。芸人さんのななまがりにブチ上がってる感じが、どんぐりずにブチ上がってる感じと似てる。だからSkaaiくんの”Floor is Yours”聞いた時もそれ思ったし、SPARTAの”Orca”とか聞いた時も思いましたね。昔だったら「頼む、やりすぎないでくれ(笑)」って思ってたかも知れないけど、今は普通にブチあがっちゃって一緒にやろうって言っちゃう。No Busesとかもそうですね。Cwondoくんも。全く畑ちがいのところで、うわってなって。ジャンル違うから悔しいとかないですけど、どんぐりずは思いましたね。やられたなーって。俺もやりたかったわ、みたいな。でも思いついていなかったからボロ負けなんですけど。2人でやっているからこそ生まれる化学反応みたいな。だからそんな感じでフィールしましたね。

 - この曲は元々こういうトラックの展開があったんですか?

BIM - 最初は色味と天気を伝えて。どんぐりずの曲って最近はちょっとダンスっぽくなったし、青くて夜が多いイメージ。じゃなくて、もっとグレーで曇りみたいな感じがいいっていう話をして。言いたがりって思われたら恥ずかしいんですけど、俺も一緒に、「ここでこうしたい」とか「ここでドラムンにしたらいいと思う」とか口出して、全部チョモくんが形にしてくれた感じです。作っていく過程では、ずっと一緒にスタジオにいました。歌詞は意味ない(笑)

 - どんぐりずのマナーに合わせたというか。

BIM - 一応最初のテーマは、「大人にしか分からない遊び方」みたいなことで。この歳になって、自由きままに生きていることが子どもっぽいってあんまり思わないんだよね、ってのみながら話をしたんです。自分の人生をちゃんと第一にみて、自分の好きなものに向かっているって、大人というとらえ方もできるよねみたいな。誰かに言われたことじゃなくて、自分のやりたいことをやるということは大人っていう捉え方もできるし、その逆もあるけど。その大人の遊び方だぜ、というのを曲にしたいと2人に言って、「いいね」みたいな。じゃあ、「牡蠣」だねって。牡蠣って子どもはわかんないし牡蠣ってダサいから、アンチョビでどう?って。アンチョビで行こうってなって、あとは意味ない。ノリです(笑)。

 - 次がin-dくんとの"Take Me Back"。今作は新しい人だけじゃない。

BIM - 客演に呼んだのは初めてですかね。”6度”って曲はあるけど、あれも正規リリースしてるものじゃないし、実質オトギぶりぐらいの感じで。

 - なんでまたこのタイミングで?

BIM - 今すっげえ仲いいんですよ。昔だったらもう一緒にスタジオ入るなんて2人っきりになるから絶対嫌だったし、喫煙所で2人っきりになるのもすげえ嫌だったんだけど、今めっちゃ仲いいっすね。で、昔のことを歌おうぜってなって。レコーディングとかも、普通に一番長いからめちゃ文句を言ったし、「もっといけるもっといける」ってなって、最終的にすげえいいヴァースになったと思いますね。それこそパンチラインもある。俺は石沢ってやつの名前入れてて。たくみは「松尾」ってやついれてて、2人ともぶち上がってて。あと(sic)boy君からも連絡きたし、間宮祥太朗からも「二高の曲聞いたぞ」って連絡きて。でもあいつは二高いってなくて二中までだから、こんど二中リミックス作るわって話を昨日したりして。ほんと思い出ソング。二高生からすごい連絡きて嬉しかったっすね。「一年生は禁止だった天下一の焼肉チャーハンを世界一よ」というので天下一の焼肉炒飯食ってるメンション来たりとか。「うおー、大してうまくなさそうだなー」って。あのときうまく感じたけど、世界一は言いすぎたかも。って思いましたけど笑。ぺぺっとソースかかっただけのキャベツのサラダとか。

 - 高校の時を何か振り返れるぐらいな感じになったのかなという。

BIM - みんなも子供できたし、周りの友達とかも。マジで会えなくなってきているから、ただでさえみんな仕事して転勤とかで会えなかったから、今かなと思って。同窓会もなかなかできないし。二高の歌うたっとくかっていう。いつか法政の学祭呼んでほしいけど。そんな曲です。歌詞で書いてるからあんまり語ることねえな(笑)。

 - これはもう普通に全部書いてあると。

BIM - そうですね。ニ高じゃない人も自分の学校に置き換えて聴いていただけたらと思います。”Inner Down”は好きだわー。これフリースタイルで録ったんですよ。

 - フリースタイルっぽくない。

BIM - かぶせが入っているからどうにかごまかせているけど、結構ズレてるんですよね。で、ピッチとかも修正してほしいって(Illicit)Tsuboiさんに言ったんですけど、このままがいいって言われて。「ここはこの曲の一番キモだと思ってて、今の現状部分を本当に最高だと思ってます。今ここだけ修正が入っておりません。自分的にですが、本当に感動して泣いてしまった部分でもあります。この曲、本当に最高です」って送ってくださって。「はい、変えません」って。

 - それは変えないですね。

BIM - 初めてそんなことを言ってもらえたからすげー嬉しかった。ずっとフリースタイルで作って眠らせてたんですよね。で、レン君に聞いてもらったら「これめっちゃいいじゃん」となって、じゃあ仕上げるかと2ヴァース目さっと書いて、ワンヴァース目とフックはフリースタイル。初めてですね。だからその時の感情が入っている。

 - 悲しげで寂しさがある曲ですよね。

BIM - 完全にコロナのことが入ってますよね。自由が利かないということ。それをフリースタイルで歌ってるから、超普通に話している感じ。「僕の前を風が通り過ぎる」って完全にLAの風。”吐露ノート”でも風とか言っているんですけど、風っていうのが俺の中で好きなキーワードなのかもしれない。「死んでしまいそうさ」とか、普通に歌詞に書いていたらすごく暗い言葉だけど、わりとポジティブな「もう死ぬわー」みたいな死ぬなんです。DEATHではなくて、このままじゃ死ぬわ、みたいな死ぬです。

 - 心情的な意味ですか。

BIM - こんなずっと家にいさせられたら死ぬよ、みたいな。早くどっか遊びいきてえなみたいな感じです。それこそ、いろんな曲を作っていてぶち上がってる状態。はやくライブやりたいけど、どんどんライブがなくなってて、夜フリースタイルで録ってみたっていう。

 - でもフリースタイルで録るものだったら、もうちょっと直接的な言い回しになりそうなものだけど。

BIM - 「コロナうざい」とかね。俺がそれをやるようになったら叱ってください(笑)。お前ならもっとできるだろ!って(笑)。椅子に座って書こうと思ったら書けないような曲だと思う。この前もレンくんに言ったんですけど、これもう一丁作るってなったら結構厳しいっすね。今のところこれを作れる人はそういないかも知れないな、っていうぐらい、自分の中で「こんなんできた」ってものですね。テクニックを駆使してるわけでもないけど、自分の中でもよっしゃーという感じ。

 - 地肩の部分から出てきたっていう。

BIM - 自分の中の考え方の出し方が、飲んでる席の感じっていうか。今回のテーマも「優しくなりたい」というテーマがあるから、人は優しい方がいいから、でも自分でいじわるしちゃってるなと思う時とかもあるし。でもそれが徐々に自分の中でもうちょっといろんなことを受け入れられるようになってきて、だからこそ出せたのかなと思います。この歌詞は。

 - 最後が"Mosquito"ですね。

BIM - B.D.さんが那須高原の方でお店をやっていて、そこに藤井さんとTeitoと俺とコウキで行ったんですけど、その車の中でCwondoくんからビートが届いて、十個くらい聞かせてくれていたんですけど、このビートが来た時に、「すぐください」みたいになるくらい、とりあえずビートを気に入って。歌詞はもう赤裸々に、まあフィクションも織り交ぜてはいますけど、自分の人生での、それこそ愛についてを。ネガティブな方向にもポジティブな方向にも、愛は常に何かに作用しているわけだから、それをきれいごとじゃなく言おうという感じですね。きれいに言うことだったら、どなたかがやってくれると思うので、俺にしか言えないニヒルな感じというか、毒づく感じの愛の歌があってもいいんじゃないかなと。っていうのでポップなトラックにあわせて作った曲ですね。

 - 愛についての歌でタイトルが”Mosquito”っていうのもいいですよね。

BIM - 最初は、愛を吸い取る嫌なヤツみたいなイメージで書き始めたんですけど、書いているうちに、自分を蚊に見立て始めて。サビが最後に歌詞ができたんですけど、「雨上がりに飛ぶ蚊」っていうのが、「雨降って地固まる」の俺版というか。雨って俺にとってはポジティブな印象じゃないけど、そこで生まれた蚊はそれによって助けられて、羽ばたいていくわけじゃないですか。それで人の血を吸う。嫌なやつだけど、こいつにも愛はあって、雨があって、雨がハッピーと思うやつもいれば、みたいな。”Tissue”という曲で歌ったことのちょっと進化形というか、いろんな方面で物事を捉えられて、ネガティブなことでもけっこうポジティブだったりするし、っていうことを歌った曲ですね。

 - 「猛スピード」と「モスキート」と「もう好きと」というのも(笑)

BIM - 韻っていうのもその中にあったんですよね。全部同じふうに同じこと言ってるけど、そういう曲にしようと思ったときに、「これ韻だな」と思って。同じことなんだけど、いろんな捉え方ができる。「モスキート」と「もう好きと」ってひらがなにしたら全部一緒だけど、違うし。「猛スピード」とかも、この曲に正しい韻が踏めたなと思いました。

 - ここに意味のつながりが強くあるわけじゃないけど、この曲の形を正しく表しているということですね。

BIM - 一応でもこの曲を表すっていうか。猛スピードで駆け抜けている曲だから、その「猛スピード」と、でもこれは愛のことを歌っているから「もう好きと」、あと曲名言ってる……まあ意味ねえな(笑)。意味あるふうにしたかったけど意味なかった(笑)。

 - トラックもすごくキャッチーだけど、歌詞もキャッチーじゃない部分を含んでいるのがいいなあと。

BIM - 「君すごくうざいっていうのは言わないよ」言わないんかいっていうね(笑)。これ歌詞好きだなー。これと"Yearn"と"Inner Down"が歌詞気に入ってます。

 - それぞれの曲については結構聞けたんですけど、さっきも言っていた「優しくなりたい」というテーマについても聞きたいです

BIM - 俺の知り合い、みんな優しいんですよね。優しい人好きだなーって(笑)。あと俺、優しい人で「優人」って名前なんですけど、親父になんでこの名前なのか聞いたら、「優しい人になってほしいから」って。で、優人とつけてもらったからには、なるべく優しくならないとなと。自分の優しくないところなんてみんな自分本人が気づいているから、例えば怒ったりすることも優しくないわけじゃないし、それこそ自分の意見を押し殺すことが優しいわけでもないし、いろんな優しさがあると思うんですけど、どの優しさにしても、なるべく昨日より今日の方が優しくなれたらいいなーと思う。そっちの方が人にも好かれそうだし、売れそうだし(笑)。かといって、そんな善人じゃないので無理なんですけど。あと、中学校のときの先生の口癖もあって。口癖っていうか、友達同士で、先生が言ったフレーズが何か気に入っちゃって、先生が来たらそれを言うみたいな。それが「Because He's Kind」だったんですよ。「なぜなら彼が親切だから」。なんかそれが頭に残っていて、それで行こうと。ちょうど優しさについて考えていた時期だったんで。という感じです。

 - ジャケットはなんで自分で描こうと思ったんですか?

BIM - 最初レンくんからは写真って言われてたんですよね。でも、やったことなかったから。今この作品を誰かに頼むということができないなと思って。下手だけど、自分でやる以外あんまり思いつかなくて。歌詞とかも、今までの俺を見てくれている人が3作目まであるとしたら、例えばHeiyuuとかは毎日会っているから、俺の心情の変化とか表してくれると思うけど、それ以外のカメラマンさんとかに頼んだときに、今までの作品の俺で撮ってもらったら違うことになっちゃうなと思って。自分で描くしかないかなと思った感じなんですよね。明らかに前作までと違うというか、俺の中では何かが変わった。ポジティブに思っている部分があって、それを言葉に表せないから歌詞にしたし。だけどそれをジャケにするとなったら、かなりもう説明しようがないから、もう描いたって感じすね。ジャケは夜なんですけどでも、夜明け前なんですよね。それで裏ジャケが溝ノ口なんですよね。これ溝口が写ってて、後ろに俺が乗ってて、俺の車が2台あって、こっちに俺がまた待ってる。でも、なんでこうしたのかを説明しろと言われても「今はそんな感じだから」としか言いようがなくて。アイディアを出すのはHeiyuuにも手伝ってもらって、夜明けで、溝の口は明るくなっていて。溝の口はハッピーな街だから、いいんだけど、都内に出る時はよっしゃ都内にでるぞってなっていて。ボストンバッグのタトゥーも入ってるんですけど、都内に出るときにちょっと大きめのバッグ持っていったりするから、田舎もんだし。でも、その中にはアイデアが詰まっていて、アイデアが漏れ出していて、東京に向かっていく。みたいなイメージ。東京コンプレックスがそんなに強くあるわけじゃないんですけど、なんかあるんでしょうね。そういう東京へ向かっていくっていうか。

 - いい距離感の町なんですかね。東京との距離感みたいなところ。

BIM - 「東京コンプレックス」っていうとちょっと語弊があるな。東京じゃないことにアイデンティティーを見出している。そっちだな。東京に行かない理由、みたいな感じ。東京に行ったら絶対面白いことあるし、勉強になることもあるけど、それは来世か、40歳を超えてからでいいかなって。とりあえず今はこっちで、そっちを客観視できる生活がすごく居心地いいし、自分のためになっているなって思う。っていう感じで、ジャケを自分で書きました。今額装してます。11日に届く。

 - さっきから話にちょっと出してたんですけど、10年やってきたというところで、CDSが10年続くとは思っていた?

BIM - 思ってない。それはまあ思ってないですね。

 - BIMというアーティストを続けるより思っていた?

BIM - THE OTOGIBANASHI'Sのセカンドあたりの時点で、これを10年やるなんて無理無理、って。本当につらかったから。金にもならないし、人に文句言われて「黙ってろよ」ってずっと思ったから、でも黙ってろよって言えるほど吹っ切れていない。もうめっちゃ食らっているし、くっそ、みたいな。好きなことやってるだけなんだから許してくれよと思ってたけど。だから10年も続けられるなんて思わなかったから、もう完全にそこは俺の手柄でもなんでもないですね。本当に。俺はただやりだした時にみんながやる気を上げてくれて、「おいっ、お前もうちょっと人気になるから続けろ、続けろ」と言われてまんまと騙されて(笑)。だけど、今はもっと続くと思っています。もしみんなが「お前とは嫌だ」って言わない限り(笑)、もう10年は余裕。それを言われたらおしまいなんですけど、第2のHeiyuuはもう無理だな。だから本当に事あるごとに、結構いろんな人に言えたりする方なんだけど、感情とか。Heiyuuにはマジで照れくさくて言えないんですよ、俺。だからツンケンしちゃうし。でもたまに、「助かってるわ」くらい言うようにはしてますね。あいつ本当に俺のこと好きだから。他にかまけてるんじゃねえかって嫉妬しちゃうから(笑)。だからHeiyuuはでかいですね、本当に。俺がどうあろうと信じてくれていたから。

 - なるほど。一番近くで見ている人が。

BIM - 俺自身なんもなかったけど。まあ大丈夫っしょみたいな感じ。あっちもどしっとしている感じありますね。だけどあいつ"Bonita"全然よくないって最初言ってたんだ。

 - (笑)

BIM - 「これでMV録るの?」って。タダでロンドン行けるんだったら行くけど、これかーって。「”Starlight Travel”で録りたい」って。でもやつはデカイですね。10年続けていく上で。

 - 次の10年が余裕だっていうのはどういう部分で?

BIM - みんながみんなのことを信用している感じがありますね。例えばJUBEEはRave Racersの活動とかバンドの界隈とのセッションとかいろいろやってるけど、どうせJUBEEのことだからかっこいいんだろうなって。VaVaくんとかもゲームやってるときとか腹立つことあるけど。だけどやっぱり作ってくるビート、「やば」っていうのを秒速で送ってくるから。そんなんされちゃったら、もう俺はもうお任せしますって。昔は俺が全部決めないといけないていうか、それはみんな若かったっていうのもあるし、俺が尖ってたってのもあるでしょうけど、何から何まで全部自分が目を通さないと不安だったっていうのが、俺自身があって。それはもう俺が勝手に何かみんなを見くびっていただけなんですけど。でも今はもう、みんな俺ができないことをできる人たちがいっぱいいるんだから、俺は俺のことやって、あなたたちはあなたたちのことをやってくれればgood goodみたいな。で、たまに会って飲むみたいな感じでいいかなって。

 - 信頼関係が前とは全然違うっていうか。

BIM - そうですね、俺は勝手にそう思ってますね。あとは通信簿じゃないですけど、常にみてくれる人たちの存在で、途中経過を確認してますね。和田、shakke、レン、増田。なんか、助かります。

 - いろいろ聞けて今日はとてもよかったです。ありがとうございました。

Info

Artist : BIM
Title : Because He’ s Kind 

Format : Digital Album

Release Date : 2022/03/30 

No. : SMMT-178
Label : SUMMIT, Inc.

01. Skippin' Rock feat. Benjazzy (Prod. by Rascal)
02. Yearn (Prod. by Rascal)
03. Celebration feat. Daichi Yamamoto (Prod. by OMSB)

04. Anchovy feat. どんぐりず (Prod. by チョモ )
05. Take me back... feat. in-d (Prod. by Astronote)
06. Inner Down (Prod. by Rascal)
07. Mosquito (Prod. by Cwondo)
M1, 2, 3, 5, 6 Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi @ RDS Toritsudai

M4, 7 Mixed by 小森雅仁
Mastered by Colin Leonard at SING Mastering, Atlanta, GA
using SING Technology® (Patented). 

Artwork : Yuto Takagi

Artist Photo : Ryohei Ambo.
A&R : Ren "Reny" Hirabayashi (SUMMIT, Inc.)

℗© 2022 SUMMIT, Inc.

RELATED

【インタビュー】maya ongaku 『Electronic Phantoms』| 亡霊 / AI / シンクロニシティ

GURUGURU BRAIN/BAYON PRODUCTIONから共同リリースされたデビュー・アルバム『Approach to Anima』が幅広いリスナーの評価を受け、ヨーロッパ・ツアーを含む積極的なライブ活動で数多くの観客を魅了してきたバンド、maya ongaku

【インタビュー】Minchanbaby | 活動終了について

Minchanbabyがラッパー活動を終了した。突如SNSで発表されたその情報は驚きをもって迎えられたが、それもそのはず、近年も彼は精力的にリリースを続けていたからだ。詳細も分からないまま活動終了となってから数か月が経ったある日、突然「誰か最後に活動を振り返ってインタビューしてくれるライターさんや...

【インタビュー】Tete 『茈』| 紫の道の上で

長崎出身で現在は家族と共に沖縄で生活するTeteは、今年3枚の作品を連続でリリースした。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。