【インタビュー】(sic)boy 『vanitas』| 静止画の中で見つめた東京のビジョン
「ジャンル東京」をテーマにしたKMとのコラボアルバム『CHAOS TAPE』(2020年)で、自身が影響を受けたヒップホップやロックの世界観を、自分らしく掲示し一気にシーンに躍り出た(sic)boyが、EP『social phobia』などを経て自身名義では初のアルバムとなる『vanitas』をリリースした。
前作からの流れを踏襲しつつも、カオスではなく1人のアーティストの確固たる世界観として打ち出した本作には、自身に満ちた(sic)boyの姿勢を感じられるし、LAでUSのアーティストたちとレコーディングを行なったのも次のステップとして自然な流れとして受け取れる。自身の道を進んでいく(sic)boyに、今作についてやラップについての思いなどを訊いた。
取材・構成 : 山本輝洋、和田哲郎
撮影 : 陆叁
- 今作はすでにReal Soundのインタビューでも話されていましたが、やっぱりLAでの制作が1つのキーになっているということですね。
(sic)boy - ほぼ制作しか出来なかったんですけど、それぐらい詰まったスケジュールで、ひたすら曲を作ることに集中して。やっぱり東京にいる時よりも「音楽、音楽」って感じで。今までと違った感じで制作出来たんで、めちゃくちゃ勉強になりました。
- LA行きが決まった経緯は?
(sic)boy - 今回のアルバムを制作するにあたって、海外のアーティストをフィーチャリングした曲をメインに作っていこうということをチームで話してて。もちろんコロナもあるのでリモートでも可能なんですけど、行くことによってちゃんと顔を見合わせながら作るのが良いと思って、無理を言って決めてもらいました。
- フィーチャリングで参加しているアーティストの方々とは、各楽曲ごとに話しあって作ったのでしょうか?
(sic)boy - そうですね。KMさんが作ったビートを持っていって、そこでもう歌を録り始めちゃいましたね。
- アメリカのラッパーはレコーディングが速いということは聞きますが、それ以外に「日本と違うな」と思ったことはありましたか?
(sic)boy - 各々、良い意味でのラフな感じがあって。適当ではないけど、リリックがそんなに定まっていなくても鼻歌だけでも録ったり。僕はリリックをしっかり書いて、「こういう風に歌うんだ」っていうのを頭に入れてレコーディングに臨むんですけど、今回はそのスピード感についていくのに必死だった部分もあって。だから肩の力を抜いて、ブースに入って戦ってみるっていう勝負強さは鍛えられたのかなっと思います。
- それがいい影響となったと感じますか?
(sic)boy - そうですね。『CHAOS TAPE』の時は何パターンもフロウを考えてリリックも沢山書いて、そこから消去法で一番良いものを選んでいたんですけど、LAでの制作はスピード感と、一個決めたものを磨いていく作業に集中出来たかなって感じがします。
- そもそもフィーチャリングで参加されているアーティストはどのように決めたんでしょうか?
(sic)boy - 自分からオファーしたいっていうのもあったんですけど、レーベルとも話し合って、「こういう人いいんじゃない?」っていうのをどんどん送ってもらって。その中でも僕がカッコいいと思った人に声をかけて見た感じですね。
- それぞれ実際に会ってみた時の印象はいかがでしたか?
(sic)boy - サウンドで出ているものと、会ってみての印象にギャップが会った人は意外といなくて。みんなライフスタイルだったり自分の姿勢が全部音楽に出ていて、そういう意味でめちゃくちゃ驚きがあったことはあまり無かったですね。
- LAでの制作で得たものを日本に持ち帰ってみて、今までと何か変化を実感したことはありましたか?
(sic)boy - 「東京ではこのフロウ出来なかったな」とか、「このリリック浮かばなかっただろうな」みたいなことはありました。でも、その反面「もうちょっとここ詰めてみても良かったな」みたいなところも見えたりして。もちろん東京に帰って歌い直したりもしたし、全部が全部LAに行ったからめちゃめちゃ良かったというわけでもないですね(笑)。やっぱり東京の良さもあるし。
- LAでのレコーディングによってこれまでの作品に無かった開放感というものがあった?
(sic)boy - リリックについては、結構内向的な部分よりも前向きになれているかなと思います。それは東京に帰って聴いてみても思ったし、何より達成感もあったんですよ。最初はめちゃくちゃ不安だったし。でも曲が出来ていけば、段々自分の自信にも繋がったりして。だから、今まで作ってきた曲とはまた違う開放感とか、ちょっと前向きな部分も出せたのかなと思います。
- 内向的な部分から前向きな部分を出せたとのことですが、やっぱり今までと比べて内省的なリリックよりも外に向かう意思を凄く感じて。それが、例えば“Misty”や“BLACKOUT SEASON”、“Heartache”などの楽曲でアーティストとしての意思表示がより明確になっているのかなと。それも自信を得たというところから繋がってきているんでしょうか?
(sic)boy - そうですね。覚悟を決めて前に向かって、後ろは向かないようにしていて。それこそ“Heartache”はずっとSoundCloudに出していた曲なんですけど、最後にちょっと前向きな、自分なりの意見表明みたいなものを足して。昔の、2、3年前の自分がSoundCloudでしか音楽をやっていなかった時と今を凄く比べるようになりました。
- 2、3年前と比べると、どの辺りが一番変化した部分だと思いますか?
(sic)boy - 根本的にはあまり変わってないと思うんです。だけど、やっぱり昔よりも音楽に対して熱量を注げるようになったし。やっぱり去年から今年にかけては“Heaven's Drive”だったり、色んな人に聴いてもらう機会が増えたタイミングでもあったので、プレッシャーも増えたけど、変化していないように見えてちょっとずつ良くなっているのかなとは思いますね。
- アルバムタイトルの『vanitas』は、豊かさを象徴するものの中に死を象徴するものが同居した静物画の様式のことを指すようですが、タイトルにしようと思ったのはなぜでしょうか?
(sic)boy - 絵画のジャンルの一つだと思うんですけど、雰囲気的にも今の自分の音楽のスタイルであったり、このアルバムが普遍的なものになるように、気合いが入ってるっていう感じで。僕自身も新譜をめちゃくちゃ追いかけるタイプというよりは、昔のクラシックなロックだったりを今でも聴いてて。だから、少なくともこのアルバムがそういうものになれたらいいなっていう希望も込めた感じです。
- 残っていくものとしての意匠に惹かれたということなんですね。ちなみに、今作は前半にハードかつゴシックなイメージの楽曲があって、それと後半のエモーショナルかつポジティブな楽曲が同居している作りが「Vanitas」という様式と重なる部分があるように感じたんですが、そこは意識されたんでしょうか?
(sic)boy - そうですね。前回の『CHAOS TAPE』が良い意味でも悪い意味でもカオスな、バラつきのある内容だったんですけど、今回は曲調は違えど向いている方向であったり、アルバムとして並べて良い感じになるように作っていて。どっちかと言うと、『CHAOS TAPE』や『social phobia』の時は「新しいことやろう」って思ってたんですけど、今回は割と時代に逆らって、「10年後に聴いても新しいよね」とかじゃなくて、10年前に聴いてもカッコいいものになったんじゃないかって。そういう意味合いも込めて、めちゃくちゃ最新のことをやっているという感じは頭から外して、クラシックな匂いがするように作りました。でも、前半の曲の方が僕は好きっすね(笑)。
- “vanitas”や“Crow”はメロディも含めて、(sic)boyさんがお好きなMarilyn Mansonだったり、そういったもののエッセンスは凄く出ていますよね。一方で先ほど最新のモードは意識しないようにしたと仰っていましたが、中でも“Misty”などはいわゆるハイパーポップなどにも通ずるような楽曲になっているのかなと思いましたが。
(sic)boy - 多分、僕がめちゃくちゃ得意なBPMとトラックの感じなんですよね。だから、これでめちゃくちゃ成り立っているのはKMさんのビートが現代において素晴らしいものだからだし、“Misty”は今っぽいかもしれないですね。
- いわゆる「エモラップ」というか、オルタナティブなラッパーたちがハイパーポップ的なジャンルに接近することは最近特に増えていると思うんですが、(sic)boyさん自身はそういったものも聴かれますか?
(sic)boy - 100gecsも聴きますし、Alice Longyu Gaoも聴きますね。僕のイメージってギターのオルタナティブな要素が好きなのかなって思われがちなんですけど、意外と電子音が混じったキラキラしたサウンドも好きだし。あんまり好き嫌いは無いかもしれないですね。
- 釈迦坊主さんをフィーチャーした“落雷”もガバのように聴こえる部分もありますよね。日本のアーティストで参加している方は釈迦坊主さんとGottzさんとAAAMYYYさんですが、日本からの客演陣はどういう経緯で実現したんでしょうか?
(sic)boy - 単純に僕がめちゃくちゃ好きな三人ですね(笑)。やっぱりライブで会ったことがあるアーティストと仲良くなって、そこから曲を作るという流れが多くて、もちろんそれがベストな出会いかもしれないですけど、今回は初めてお会いする方も多くて。それでもこうやって参加して頂けたのは光栄だし、めちゃくちゃ嬉しかったですね。
- しかも、三人とも全然違うタイプのアーティストですよね。釈迦坊主さんは『TOKIO SHAMAN』から繋がりはあると思うんですけど、Gottzさんは共演のイメージが無くて。(sic)boyさんにとってはどの辺りが魅力ですか?
(sic)boy - ”Crow”もLAで作った曲で。客演で誰か呼びたいと思って、ワイルドな野生の感じはGottzさんしかいないかなって。言葉選びも漢気のある感じで、それって......僕はメイクして金髪で、そういう部分で「女々しい奴」って思われてもしょうがないと思うんですけど、漢気溢れるワイルドなエッセンスはGottzくんに頼もうかなという感じで。
- AAAMYYYさんも意外な人選でしたが、こちらはいかがでしょうか?
(sic)boy - AAAMYYYさんはGottzくんとは真逆で、優しさを取り入れたくて。ちょっとノスタルジックな中にも優しく包み込むようなものがあって......今回は全部即決だったのが肝かな。自分の中の直感で「この人だ、お願いします!」って感じでしたね。
- “水風船”はトラックはオルタナティブな感じだけど、AAAMYYYさんの歌自体はJポップっぽいところもあるというか。その辺りはどういう形で作っていったんでしょうか?
(sic)boy - 元々KMさんが最初に作ったトラックは、ちょっと雰囲気が違ったんですよ。結構トリッキーなビートだったんですけど。プリプロを終えてたのでAAAMYYYさんに送って歌詞を送ったら、すぐに早いタイミングでプリプロを送ってくれて、僕からは「最高です」しか無かったですね(笑)。流石だなというか、勉強になりましたね。
- AAAMYYYさんの魅力はどういうところに感じますか?
(sic)boy - やっぱり声ですよね。女性アーティストの中でも僕が凄く好きなタイプの声と、メロディの作り方であったり。なんとなく自分の中でこの曲のビジョンとして、ちょっとコーラスを入れて欲しかったりもして。自分で入れるのも楽しいんですけど、今回はこうやって初めて女性のアーティストとフックの部分を掛け合いしたり、そういうのをやってみたかったんですよね。で、一番ベストな人は誰かなと思って、無理言って入ってもらいました。
- 今作はメロディの幅も凄く広がった印象がありつつ、ハモりという部分で言えば、“Creepy NIghtmere”でのlil aaronとの日本語のハモりが凄く印象的でした。あれはどのようにしてレコーディングされたんでしょうか?
(sic)boy - あれは、彼が「俺も日本語で歌いたい」みたいな感じで(笑)。「FUKANZENNA~」みたいな感じで、全部ローマ字にしました。でも、意外とそういう考えは出てこなかったんですよね。カッコいいヴァースがあって、「これでいけるかな」と思ったら最後に足してくれて。そういう遊び心もありなながら、ちゃんとカッコよくなるのは彼の才能だし。感動しましたね(笑)。「lil aaronと日本語で一緒に歌ってる......」って。
- lil aaronはもちろんずっと聴かれていた感じですよね?
(sic)boy - もちろん、ずっと大好きでした。それこそ、彼とスタジオで会った時にInstagramをフォローし返してくれたんですけど、僕が3年前ぐらいに送ったDMが残ってて。SoundCloudのリンクを貼って「よかったら聴いてよ」みたいに送ってたんですけど、「お前こんなの送ってきてんじゃん」ってちょっと笑われました(笑)。嬉しかったですね。
- 海外のアーティストと共作するにあたって、みんな速かったというお話はされていましたが、(sic)boyさんから彼らにリクエストなどはあったんでしょうか?
(sic)boy - そうですね。「こういうハモりを入れてみてもいいんじゃないか」とか、「こういうアドリブがあっても良くなるんじゃないか」って。そうやって舵を取ってやっていこうと。そんなに英語がめちゃくちゃ喋れるわけじゃないので、あっちのスピード感とオーラに飲み込まれちゃいそうにもなったけど、やっぱり「こういうものが作りたいんだ」ってちゃんと説明すれば、何でもトライしてくれたし。それも嬉しかった瞬間ですね。
- バランスが客演のアーティストに傾いていることもなく、全部(sic)boyさんの作品になっている辺りが凄いなと思いました。ちなみに、今までMVがカットされている楽曲は全てLAで作られたものですよね。曲の方もポジティブな方向に向かっている中で、ビジュアルイメージ的な部分も今までよりカラフルなものに変化しているのが印象的で。新しいアーティスト写真も含めて、清涼感があるイメージに変化しているなと。そこも今回の作品を出すにあたって意識されたポイントだったんでしょうか?
(sic)boy - もちろんビデオもそうなんですけど、自分の音楽に対する構え方だったり、こうやって色々関わる人に対して思うことも、昔よりも前向きになったんですよね。イメージを無理矢理変えようということは無いんですけど、自然とこうやってなっていけるのがベストなのかなと思います。
- 自然な心境の変化が反映されているんですね。資料に「外から見た東京」という言葉がテーマとして書かれていましたが、LAに滞在して歌詞を書いている中で、離れたからこそ自分がいた東京という場所について考えさせられたり、意識した部分などはありましたか?
(sic)boy - そうですね。“Last Dance”なんかは特に、「渋谷で酒飲みたい」ってことをLAで歌っていて(笑)。それが、多分意味があることなのかなと思ったし。あれは最初、正直冗談半分で作ったんですよ。フックにする予定なんかなかったんですけど、KMさんもWesも凄く気に入ってくれて。東京にいたら書かない歌詞だし、多分、軽くホームシックだったんだと思います。LAでの制作はもちろん楽しかったんですけど、やっぱり東京に根を張ってやることに意味があると思うし。一時的ですけど、離れてみて気づくこともありましたし、「帰ったらもっとこういうことをしよう」とか、「こういう音楽やろう」ってことも色々考えながら過ごしました。
- “Last Dance”の「渋谷で酒飲みたい」という部分は、メロや歌い方の強度もあって凄く切実なものに聴こえましたが......。
(sic)boy - ガチなんですよ(笑)。ガチだから、ちょっとヤバいんですよね。
- コロナ禍での閉塞感とか、そういったところと重ねた聴き方をした人も多かったと思うんですが、それよりホームシック的な部分から来ていたものなんですね。
(sic)boy - 辛かったですね......マジで、本当に思ってたんで(笑)。
- LAにいる間に、「東京のこういうところが良かったな」と思った部分は他にありましたか?
(sic)boy - そんなんだらけですよ(笑)。「渋谷で酒を飲む」とか、これだけで聴くと「何言ってんだ?」ってなるかもしれないけど、そういうルーティンがちょっと出来ないだけでこんなに人間ってストレスなんだなって。これが、コロナとかも相まって、みんなもっとストレスが溜まってるような状況で。それでもなんとかやっていくしかない感じだったのかな。友達にも会いたかったし。
- 「それでもやっていく」というマインドって、この作品には凄く出ていますよね。さらに、それがリスナーにも波及するような形のリリックになっているのかなと。
(sic)boy - やっぱり暗い曲を作る方が多かったんですけど、今回のアルバムは聴いてくれる人に対して「一緒に頑張ろうぜ」っていう感じじゃなくて。「一緒に前を向こう」っていうよりも、「取り敢えず俺は前を向いたよ」っていう意思表明なんですよね。
- KMさんとのタッグもかなり深くなってきたと思いますが、KMさん自身もLAでの制作ということで違うモードになっていたかもしれないし、その辺りのコンビネーションで変わった部分はありましたか?
(sic)boy - そこまで大きな変化は無かったかもしれないですね。割といつも通りに曲を制作するリズムだけは崩したくなくて。「ここでこう進化した」とかは、マイナーチェンジを繰り返してるから......そういう点では意外とシンプルにやることを心がけていましたね。
- 二人でやる空気感が完成しているからこそ、大きく変化する必要も無いということなんですかね。
(sic)boy - そうですね。ガラッと変えられるタイミングは今までもあったと思うし、でもそこをお互い一歩引いて、ちゃんと自分たちの我を出しつつ作っていって、それで今までいい感じだったんで。そこを変えようとはあまり思っていないですね。
- さっきも作品の全体の流れとして、新しいものを追うんじゃなくてクラシックなものを作ろうとしたと仰っていましたが、それって自分のルーツだったりに立ち返るというところだと思うんですけど、何か(sic)boyさんが自信を持ったからこそ自分のルーツにも堂々と向き合えるようになったというか、アーティストのマインドとして今安定しているのかなと思いました。
(sic)boy - 去年よりは安定しているかもしれないですね(笑)。
- この間のWWW Xでのライブでは自分でもギターを持たれていましたが、この先を見据えて何かチャレンジしてみたいことはありますか?
(sic)boy - やっぱりフルバンドセットでのライブ演奏ですね。今まで出してきた曲も、アレンジを自分で出来たらいいなと。生で演奏することに対する憧れは今も変わらずにあるし。だから、来年はもっと曲を作るペースを落とさずに、ライブでの動き方も、バンドでやる意味とかを探し出せればいいなと思います。
- そうなってくると、もう「ラッパー」という枠とは言えなくなってくるというか。凄く自由なポジションになってくるのかなと思いますが。
(sic)boy - そうですね。でも、出来ればラップはずっとしてたいかな。そこはバンドセットになってもラップはしたいし、ロックもしたいし。全部やりたいですね。
- そのラップへの気持ちは、どういうところなんでしょうか?
(sic)boy - 僕は結構メロディメインで作るんですけど、今回の客演のGottzくんしかり釈迦坊主くんしかり、スピットすることの難しさを自分でも分かってるから、それがもっと上手くなりたいなって。やっぱり先輩とか後輩とか、周りのアーティストがいつもカッコいいし、ラップの上手い下手というよりカッコいいんで。そこで「俺は別にギター弾くし、ロックだから」とかは無くて、俺も追いつきたいなと思います。挑戦ですけどね。毎回ブーンバップかトラップを入れたかったんですけど、次回はラップにももっと挑戦しようと思います。
- 『social phobia』の“city flow”は自分は凄く好きですね。Dragon Ashを感じるというか、ラッパーとしての(sic)boyが見える曲ですよね。
(sic)boy - ありがとうございます......アルバムにも入れとけば良かったですね(笑)。やっぱり目がいくのはギターロックだったりがメインだから、そうやって“city flow”みたいな曲を褒めていただけると一生懸命作った甲斐があります。
- 今、(sic)boyさんがいるシーンって、ヒップホップがトラップかブーンバップかって話も全然古いし、ロックが入ってるのも認められてる時代だと思うんですけど、今自分がいるシーンってどういうものだと思いますか?
(sic)boy - 僕はシーンに入ってると信じたいですね。やっぱりみんな自分のことやライフスタイルをちゃんと歌詞にしていて、そういうのは僕らの世代のアーティストではヒップホップが一番熱いんかなって。周りの子達のバイブスを感じて自分の制作に取り掛かることも結構あったので、シンプルにリスペクトですね。カッコいい。
- 作品の中でハードにラップするというよりは歌に近づいた曲が多くなっても、自分の中のアイデンティティ的としては「ラッパー」でありたいということでしょうか?
(sic)boy - ここは凄く難しい話で。そこがはっきりしてないと表現が狭まっちゃうかなとか思ってたんですけど、今のところは聴く人が決めてくれればいいのかな。自分で言うのも違うし、受け取る人が、友達でも顔を合わせたことが無い人でも、一曲聴いて「この人はラッパーなんだな」って思ってくれたらめちゃくちゃ光栄で嬉しいし、「この人はロックがやりたいんだな」って思われてもめちゃくちゃ嬉しい。だから、自分でカミングアウトするというよりは、聴く人がどの曲を聴いて「こういう存在だ」っていうのを感じ取ってくれたかが大事で。そのスタンスは、多分ずっと変わらないですね。
- 今作は半分以上の楽曲に客演のアーティストが入っていますが、今後ジャンルや国を問わず一緒に曲を作りたいアーティストはいますか?
(sic)boy - 沢山いるな。でもやっぱりBring Me The Horizonですね。凄くぶっ飛んだ話になりますけど、今のロックアイコンは彼らなのかなって感じがして。お会いして見たいです。あとはHydeさんですね。最近RIZEのJESSEさんとお会いする機会があって。ずっと好きで聴いてたんですけど、カッコよかったですね。
- ありがとうございました。
Info
■アーティスト名:(sic)boy
■タイトル:『vanitas』
■配信日:2021年12月8日(水) 0:00
iTunes Store等主要配信ストア及びApple Music、Spotifyなど主要定額制音楽ストリーミングサービスにて配信開始
■Link: https://nex-tone.link/vanitas
■レーベル:add. some labels
■収録曲
01. vanitas
02. Crow feat. Gottz
03. Creepy Nightmare feat. lil aaron
04. FLN feat. Jez Dior
05. 落雷 feat. 釈迦坊主
06. Misty!!
07. 水風船 feat. AAAMYYY
08. BLACKOUT SEASON feat. phem
09. Last Dance feat. Wes Period
10. Heartache