【メールインタビュー】HIROTTON|パンクとスケートボードから自分のスタイルを

スケートカンパニーHeroin skateboardsのデッキシリーズのデザインをはじめ、パンクロックやスケートボードなどストリート感漂うポップなモチーフを独自のフィルターを通して表現する作品が国内外で注目を集めているドローイングアーティストHIROTTON。そんな彼の個展が、4月9日よりBEAMS T HARAJUKUにて開催されている。

展示に合わせ、FNMNLではHIROTTONへのメールインタビューを敢行。そのキャリアや制作の背景、影響を受けたカルチャーや、今回の個展でフィーチャーされているモチーフ「トランプ」に込められた意味などが分かるインタビューとなっている。読んでから是非とも今週末まで開催される個展に足を運んでみて欲しい。

質問・構成:和田哲郎

- パンクロックやスケートボードとの出会いのきっかけを教えてください。

HIROTTON - 自分が中学生ぐらいの時、音楽に興味を持ちはじめたときに最初に聴きはじめたのがパンクロックでした。当時は今のようにYouTubeやインターネットが使えませんでしたが、本屋で国内や、海外のハードコアパンクの情報を得ているうちにスケートボードとパンクのカルチャーが近いことを知りました。通販などで好きなバンドのVHSなどを集めているうちにそこに流れるPVにスケートボードの映像が流れていて衝動的にスケートボードを始めました。16歳くらいだったと思います。

- 特に影響を受けたアーティストやスケーターなどがいれば、その理由と一緒に教えてください。

HIROTTON - アーティストで言うとイギリスのバンドCRASSのビジュアルアートワークを担当していたGee Vaucherには10代の頃から影響を受けました。作品のテイストはもちろんですが、アートワークに皮肉や社会問題等のメッセージが込められた作風に衝撃を受けました。ロンドンに住んでる時は実際に何度か会いに行ったりもしました。今の自分の作風にメッセージ性が強いのもその影響を受けたからだと思います。スケーターではイギリスのスケートボードカンパニーHeroin Skateboardsにスケートボードを始めた頃から影響を受けています。自分の場合、パンクのカルチャーからスケートボードに興味を持ったため、Heroin Skateboardsのライダーのパンクなスタイルや、クリエイティビティー、奇抜なデッキのデザインに惹かれました。10代の頃から憧れたHeroin Skateboardsのデッキデザインを現在では何度か手掛けさせてもらっていることはとても嬉しく感じています。

- 自身で制作をスタートしたのはいつですか?最初から今のようなスタイルだったのでしょうか?

HIROTTON - アートワークとして制作を実際にスタートしたのは2010年ごろロンドンで生活していた頃でした。それまでは日本の美術学校で溶接などで家具やオブジェなどの立体物を制作していました。卒業後、ロンドンに住み始め、溶接する施設を使う環境がなくなって、何かクリエイティブなことを模索している中で始めたのがドローイングでした。当時、よく一緒に遊んでいたロンドンのスケーターに絵を描いている友達が多かったため、割とナチュラルに描き始めました。大学に入るためにデッサンの勉強を少ししましたが、ほぼ独学で描き始め、その1年後ロンドンで初めて個展を開催しました。絵を描き始めた頃から基本的なスタイルは今とあまり変わっていません。

- ロンドンでの生活で一番大きな影響を与えたことはどんなことでしたか?

HIROTTON - 一番感じるのは物事に関する視野が広がったことだと思います。英語がある程度話せるようになったことで、アートもスケートボードに関しても可能性と世界が確実に広がったし、海外に一人で住み始めたことによって自分が本当に何が好きで、何をこれからしたいのか、今どこに立っているのか、など自分の深い部分ともしっかり向き合えたように感じます。その4年間がなければ今、絵も描いていないと思うし、人生の中でターニングポイントともいえる貴重な時期でした。

- 自身のデザインにおいて最も大事にしているのはどういう部分でしょうか?

HIROTTON - まずいつも思うのは自分のスタイルを全面に出すこと。自分の個展用のデザインに置いても、どこかとのコラボのデザインに置いても、自分のスタイルがうまく出せない状況だったら描かないほうがいいと思うし、まず楽しめないと筆が進まないので。特にコラボなどの依頼に対しては要望にもできるだけ答えるけど、100%相手の要望通りではなく、自分のテイストもできるだけ入れて、根本のスタイルは崩さないように心がけています。

- 現在のお気に入りのスケートスポットはどこでしょうか?

HIROTTON - 最近は舞浜のスケートパークや、荒川沿いのバンクスポットによく行っています。

- 今回の展示のキーアイテムになっているトランプですが、いつからスケート後にトランプをするようになったのでしょうか?

HIROTTON - トランプ自体は昔から好きでよくやっていたのですが、スケート後に毎回するようになったのはここ2年くらいだと思います。スケート後に飲みながらする事が多いですが、とりあえず昼にメンバーが集まった時点で一回トランプしてからスケートすることもあります。

- 今回制作したトランプで一番好きな絵柄はなんでしょうか?

HIROTTON - 今回のトランプは基本的に「大富豪」のルールに沿ったメッセージが込められていて、例えば8のカードはルール上、流し、のカードなので、流して自分が次のフィールドを作ると言う意味で「NEW LIFE」というメッセージが入っていたり、「BUILD IT YOUR SELF(自分で作りあげろ)」というメッセージが入っていたり。3のスペードはジョーカーよりも強いカードのため「I FEEL LIKE I’M BETTER THAN GOD SOMETIMES.(自分が時々、神よりも上だと感じる)」というメッセージが描かれていたり、そういった意味では全部に意味があったりするのでどれが好きかは選べないです!ただ市販のトランプではなかなか見られないJOKERが4枚入っているのは気に入っています。

- 最後に来てくれる方にメッセージをお願いします。

HIROTTON - 個展を開催することで来てくれた方々と実際に会えたり話ができることでアート活動を続けていく活力になっています。わざわざ足を運んでくださって、本当にありがとうございます。

Info

HIROTTON ART SHOW

BEAMS T HARAJUKUにて4/9(金)から4/18(日)まで開催

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