My Classics Vol.10|BudaMunk

連載『My Classics』。この企画ではアーティストやデザイナーなどのお気に入りの一品と、これから欲しいアイテムや気になっているものを紹介していく。普通のインタビューでは中々見ることのできないアーティストの嗜好や素顔などが垣間見えるものに。

記念すべき第10回目となる今回は、唯一無二のスタイルで絶大な支持を集めるビートメイカー/DJのBudaMunkをフィーチャー。LAで音楽制作をスタートしたという彼の、初期から使い続けている機材や今気になっているものについてや、9月にリリースされたばかりのジャズピアニストTsuggsとのコラボアルバムの制作についても訊いた。

取材・構成:島田舞

写真:Cho Ongo

BudaMunkのMy Classics フード編:アンコールワット(代々木)のカンボジア料理

 - このお店を知ったきっかけは?

BudaMunk - 4、5年前たまたま通って見つけて、家がわりと近いので家族で来てました。

 - 東南アジア料理が好きなのでしょうか。

BudaMunk - 米が好きなんですよね。中華も好きだしアジアの料理が好きです。あんまり洋食を食べないんですよ、食べてもピザとかハンバーガーとかジャンク系が多い。

 - LAに住んでた時は何を食べてたのですか?

BudaMunk - チャイナタウンに住んでたんでアジア系のものばかり食べてましたね。LAってお店が閉まるのが早いんですけど、アジア系の飲食店は朝までやってるところが多いので行きやすいし、クラブ帰りに行けるから。LAでも好きなカンボジアレストランがあって、ご飯に肉が乗ってる定食にテールスープっていうのがついててそれがうまかったです。あとはメキシカンとか、ファーストフードが多かったです。

 - 作業中に食べるものやルーティーンとかあれば教えて欲しいです。

BudaMunk - 作業中はあんまり食べないですね。酒も飲まないし、お茶かエナジードリンクです。

 - コーヒーよりお茶派なんですね。

BudaMunk - コーヒーもたまに飲みますけど、お茶が多いです。

 - ビートメイカーの方は料理好きな方が多いイメージがあるのですが、ご自身で料理はされますか?

BudaMunk - 料理はほとんどしないです。インスタントヌードルくらい(笑)

BudaMunkのMy Classics アイテム編 ①:AKGのヘッドホン・Q460

 - ヘッドホンは多種多様ですが、AKG(アーカーゲー)を選んだ理由は?

BudaMunk - 深い理由はないんですが、Quincy Jones(USのミュージシャン、プロデューサー)が監修してるみたいだったので。前もJBLのQuincy Jonesプロデュースのヘッドホン使ってて、良かったんですけど壊れちゃったので別のメーカーのを試してみた感じです。そんな高いヘッドホンじゃないんで、すごいいい音って訳でもないんですけど、普通にいい感じ。

 - クリアなサウンドが特徴みたいですが。

BudaMunk - そうですね。でも全部の音が良く聴こえるって訳でもなくて、全体的にいい感じにまとまってるっていう印象です。

 - バランスがいいんですね。このヘッドホンを使うシチュエーションは?

BudaMunk - 夜ビートメイクしてる時とか、外で音楽聴く時とか。

 - 今まで使ってきたヘッドホンやイヤホンはJBLとかが多かったのですか?

BudaMunk - いや、色々ですね。Beatsとかも持ってます。

 - 用途によって使い分けてたり?

BudaMunk - という訳でもなくて、どんどん壊れていっちゃうから買い足してる感じです。

 - ヘッドホンやイヤホンに求めるポイントはありますか?

BudaMunk - 実際に聴いてみての感覚ですね。

BudaMunkのMy Classics アイテム編 ②:AKAI MPC 2000XL

 - こちら1999年発売とのことですが、いつ購入されたのですか?

BudaMunk - 2002年くらいに新品で買いました。

 - ということは、18年間使い続けているんですね。

BudaMunk - そうですね、全然壊れない。人によってはどんどん買い替える人もいるけど、新しい機材を買ってまた一から使い方を覚えるのが面倒くさいです(笑)使い慣れてるってのもあるし、音が好きなのでずっと使ってます。

Photo by BudaMunk

Photo by BudaMunk

Photo by BudaMunk

 - なぜこの機種を?

BudaMunk - その時出てた一番新しいのがこれだったのと、あんまりよく分かってなくて、とりあえずMPC買えばビート作れるっていう認識だったので。一台だけでビート作れるっていうのが、当時他にあまり無かったのもあります。

 - 現在に至るまでカスタムしたり修理したりしましたか?

BudaMunk - ボタンが押しづらくなったり…LAは乾燥してる気候だったのに、日本は湿気がすごいせいか帰ってきた瞬間に全部サビて、Ghostinmpcにお願いして塗装してもらいました。

 - 他の機種を使うことは?

BudaMunk - SP1200とか使ったことあります。PCも使うし、Maschineとか。

 - 機材は曲のテイストによって使い分けているんでしょうか。

BudaMunk - 特に意識はしてなくて…それぞれの良さがあるのでその時の気分です。PCで作ってた後にMPC触ると、またちがった感じがして楽しいです。

MPCだとEQも付いてないしフィルターが少しあるくらいで、音をほぼいじれなくてそのまま録音するしかないんですけど、PCで作る場合は自分で音をいじって自分が出したい音に変えないといけないので耳がすごく鍛えられました。以前は一切EQとか気にした事がなくて、MPCで作ったビートをそのまま録音するだけだったんですけど、MaschineだとEQとかエフェクトとか色々できるんです。でも音をちゃんと分かってないと出したい音にならないので、最初はすごく難しかったです。

まだまだ勉強中なんですけど、PC使い初めてから少しずつ分かってきた気がします。それによって自分の出したい音の幅が広がったと思うし、それを踏まえてMPCを触ったら音の聴こえ方も変わってくるし楽しいですね。

 - 新しい機材の使い方はどのように?

BudaMunk - 一緒に作ってる人とかに、ILL-SUGIやAru-2とか、Devin Morrisonには色々教えて貰いました。あとDibiase、Mndsgn、Jansport Jとかからも一緒にビート作った時とかに色々学びました。

 - ビートを作る上で刺激を受けているアーティストはいますか?

BudaMunk - 基本自分の周りにいるアーティストから刺激受けてますね。それが自分のビートに直接反映されているかは分からないです。自分は自分のスタイルを追求していくだけなので。ビートを聴いて貰ったら分かると思います...(笑)

BudaMunkのこれから欲しいもの ①:Maschine+

NATIVE INSTRUMENTS
NATIVE INSTRUMENTS

 - こちら10月発売のMaschine最新機種ですね。先ほどの話だと今も持っているとのことですが。

BudaMunk - 今持っているのはコントローラーというかPCに繋げて使えるもので、Maschine+は繋がなくても完結できるみたいなんですよね。

 - ではMPCと近いですね。

BudaMunk - そうですね。

Gaku(Jazzy Sport) - 結構話題になってるみたいですよ。音楽作ってる人と会うと絶対Maschine+の話になる。値段も15万くらいだから頑張れば買えるくらい。

 - 確かに給付金も入ったしいいタイミングですね。話が変わりますが、BudaMunkさんをインタビューするにあたって色々調べてた際、検索エンジンに「BudaMunk」と入力すると「BudaMunk 機材」が予測の一番上に出てくるんですよ。これってビートメイカーとしてはかなりプロップス高い事ですよね。

Gaku - 確かに何使ってるのかは皆知りたがるんじゃないかな。

BudaMunk - インタビューでも良く聞かれますね。

 - 現場とかで若いアーティストにも機材について質問されますか?

BudaMunk - そうですね、あります。

BudaMunkのこれから欲しいもの ②:TRANSPARENT SOUND /  BALMUDAのスピーカー

 - これはどう言った理由で?

BudaMunk - TRANSPARENTはお店でたまたま聴いてすごく良かったので。BALMUDAは聴いたことないんで良く分からないんですけど、デザインが良くて気になってます。

Gaku - BALMUDAってあの家電とかのブランドの?

BudaMunk - そうです、スピーカーも作ったみたいです。

 - 今はどこのスピーカー使っているんですか?

BudaMunk - 今はYAMAHAのモニタースピーカーと、聴く用にVictorのWOOD CONEっていうスピーカーを使ってます。WOOD  CONEはかなり気に入ってて2台目なんですが、膜の部分も木でできてて音があったかくて生の楽器の音が良く聴こえます。

ニューアルバムBudaMunk & Tsuggs - 『Thank and Gro』について

 - アルバム通してレイドバックしたビートが印象的だったのですが、コンセプトや制作で意識していたことなどあれば教えてください。

BudaMunk - Tony(Tsuggs)が家に良くきて曲作っているので曲自体はすごい数あって…Tony Suggsがジャズピアニストなのでファーストアルバムはジャズにしたいと思ってまとめました。もっとアブストラクトなものとか色々あるんですけど。

 - ということは第二弾もあるんですか。

BudaMunk - どういう形になるかは分からないけど、色々出していくと思います。

 - 他にもジャズミュージシャンの方々が参加されていますね。

BudaMunk - 元々TonyもDJ YUZEさんに紹介して貰って、彼らが繋がってたジャズのミュージシャンに参加して貰った感じです。

 - 自分だけでトラックを作るのと、他のミュージシャンとセッションで作るのでは作り方の過程が異なりますか?

BudaMunk - 基本的には一緒なんですけど、色んな作り方ができるってのはあります。ビートにプラスアルファで音を足して貰ったり、ドラムだけの状態で色んな音を足して貰ったりとか。無限に作り方がありますし、数もすごいスピードでできます。

 - 一日何曲くらい?

BudaMunk - 多い時とかは10曲くらいです。ドラムだけ作ったら、どんどん音を足していっちゃえるのですごい速い。

 - ボーカルで参加されているIman Omariさんとはどういう繋がりで?

BudaMunk - 共通の友達も多いしSNSでも繋がってて、一回日本に行くから会おうって連絡きたんですが、彼のでるイベントが石川県で東京には来れなくてまだ会ったことはないです。あと前のアルバム『Movin’ Scent』に参加してくれてるCavalierがIman Omariと仲良くてそいつからも俺のことは聞かされてて、俺の音楽もチェックしてくれてたみたいで。そういう繋がりもあって、今回の曲を聴いていたら彼の歌が思い浮かんだんで、お願いしました。

 - 今回のアルバム制作を通して印象的だったことはありますか?

BudaMunk - とにかくいつ作ったのかも覚えていないくらい大量に作っているので(笑)こんなのもあったのかと自分でも忘れちゃってるのでそれですかね。

 - ストックはだいたい何曲くらいあるんですか?

BudaMunk - 何曲だろう70曲ぐらいはありますかね…作りっぱなしでmp3に書き出してもいない状態のものがほとんどなんですけど。全部聴くのも時間がかかる。

 - 先日Instagramにてオンラインでリリースライブされてましたが、オンライン配信は初ですか?

BudaMunk - そうですね、しかもTonyとライブしたのも初めてでした。

 - 新型コロナウイルスでプライベートや制作へ影響はありましたか?

BudaMunk - 以前は週に何回かライブあるのが普通だったけど今は一切ないです。しょうがないですけどね、今は制作に集中しようっていう。最初は子供の保育園が休みになったのでずっと家族で過ごしてましたけど、今は戻ったので制作を色々進めてます。

 - ありがとうございました。

Info

BudaMunk & Tsuggs -『Thank and Gro』

2020.09.02(水)

Budamunk & Tony Suggs

〈FATBEATS〉/〈Dogear Records〉

Tracklist

01 Mergers and Acquisitions ft. Satoshi Yoshida & DJ YUZE

02 Convinced ft. Ameen Saleem

03 Conveyor Belt Rolla

04 Center-mental

05 Eat Fresh ft. T.I.V.E.

06 Time Zone

07 Good Vibes ft. Iman Omari

08 Evolving

09 Thank and Gro(interlude)

10 Half on a Baby ft. Jino

11 Kozmic Question ft. Patriq Moody

12 Amber Deck

bonus

13 Eat Fresh(instrumental)

14 Good Vibes(instrumental)

Produced by Budamunk & Tony Suggs

“Mergers and Acquisitions” guitar:Satoshi Yoshida, scratches:DJ YUZE

“Convinced” bass:Ameen Saleem

“Eat Fresh” vocals:T.I.V.E.

“Good Vibes” vocals:Iman Omari

“Half on a Baby” bass:Kenji “Jino” Hino

“Kozmic Question” trumpet:Patriq Moody

Mastered by Akihito Yoshikawa

Artwork by DAWNDEYS  

P4 collage by  Toru Kosemura(DAMNGOOD PRODUCTION)Tomohito Morita(DAMNGOOD PRODUCTION)

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