【コラム】SKATELOG by hakase Vol.9|シグネチャーモデル

ご無沙汰していますhakaseです。気がつけばもう9月、オシャレなお店だと秋物もならびはじめてますよね。まあ実際は昼間滑ってるとすぐ熱中症になりそうなくらいまだまだ暑い日が続いてますが...みなさんもこまめな水分補給を忘れずにいきましょう〜。

さて、お店で働いていると色んなことを聞かれます。言うのも恥ずかしいのですが、前に「ハカセさんてプロなんですか?」って聞かれたことがありまして...笑(プロに申し訳ない...)プロスケーターとアマチュアスケーターの違い、意外と曖昧というか、ちゃんとわかる人少ないのではないでしょうか?有名な人がプロ、そうじゃない人がアマ?

そこで今回のコラムではプロとはなんぞや?について書いていこうと思います。

文:hakase

写真:Cho Ongo

僕が考えるプロスケーターとは、「シグネチャーモデル(板や靴)がリリースされていて、かつその商品の売り上げなどによって生計を立てているスケーター」だと考えています。

え?いきなり何?シグネチャーって?ではまずこちらのビデオをご覧ください。

少し古い映像になりますが、これはGIRL SKATEBOARDSに所属するCory Kennedy(コーリー・ケネディー)というスケーターがプロに昇格した時のビデオです。彼の名前が入ったデッキをパークにいるキッズたち全員が先にセットアップ。一緒に滑っているのですがCory Kennedyは中々気付きません。最終的になんかおかしいぞ、ってなってよく見たら自分の名前が書いてあるじゃん!っていうサプライズなオチです。

そう、この自分の名前の入った板、これこそがシグネチャーモデルです。彼のファン達がスケートショップへ行ってそのデッキをたくさん買ったとします。売れれば売れるほど、それはそのスケーターが人気であることの証明で、同時にそのスケーターの給料にもつながってきます。逆に言えば、誰だかよくわからんやつの名前が書いてあっても板売れないですよね?つまり誰もが認める、彼のような上手いだけじゃなくてカッコよくて人気のあるスケーターしかシグネチャーモデルをリリースすることはできないのです。

ではもう一つビデオをご紹介。

スケーターじゃない人でもStefan Janoski(ステファン・ジャノスキー)の名前は聞いたことあるのではないでしょうか。そうNIKE SBのあのシューズは、僕も大好きなスケーター、Stefan Janoskiさんのシグネチャーモデルです。

ビデオの中でもあのシューズが作られた経緯などが語られているのですが、確かにリリースされた2009年当時のスケートシューズはゴッツい見た目の物が大半で、出来上がったサンプルはナイキ社内でも不評だったとか...。自分も初めて見たときはこんな薄い作りでスケボーできんのか?ってなったのを覚えています。

しかしあのシューズは、とにかく素足感覚で板をコントロールしやすく、かつ見た目もイケてるやつがいいというStefan Janoskiの意見を100%反映して作られたもの。彼の生み出したシューズであれば履くしかない...半信半疑でしたがジャノスキのファンだった自分はおそるおそる購入し、滑ってみたところ...超やりやすい!しかも意外に丈夫。かつ見た目もその辺のゴッツイスケシューよりオシャレじゃん、最高!!ってなったのでした。

結果としてスケシューの常識を打ち破ったそのシューズは、他の全てのブランドから似たような見た目のシューズがリリースされるようになるほど、世界的に大人気のモデルになっていったのでした。

まあこの靴ほどになるとStefan Janoskiを知らなくてもデザインで買う人もでてくるので、彼がいかにカッコいいスケーターかは関係なかったりするのですが、どちらにせよNIKE社に認められていなければシューズをリリースすることなど不可能。ジャノスキさんが一流のスケーターであったのは間違いありません。

その他にも最近だと、

Tiago Lemos(ティアゴ・レモス)さんの、移籍後初となるNew Balanceからのシグネチャーモデルに併せて公開された映像も記憶に新しいですね。

このように、スケートボーディングの世界ではシグネチャーモデルがリリースされているか、いないかがプロかアマかを定義する大きな目安となっております。
もちろん、シグネチャーモデルをリリースせずとも、YouTuberをやったり、スケートスクールをしたり、自分で洋服を作って売ったり、スケートボードに則した何かで生計を立てている人達もいます。しかし、真の「プロスケーター」とは強豪ひしめくスケートの世界で、誰もが認めるスキルと人気を手にした一握りにのみ与えられる称号なのです...。

みなさんも靴や板を買う時に、もしそこに名前が書いてあったら一度ググッてみてください。きっとかっこいいスケーターがヒットして、さらにテンションがあがるでしょう。そしてぜひ選ぶときの基準にしてください。好きなスケーターを応援したいならそのスケーターのモデルを買いましょう。お気に入りのあいつがシグネチャーデッキ出したらしい!!けどちょっと太いな...いや、でもそんなの関係ねえ!
それがスケーターってもんです。

Info

SKATELOG by hakase 連載10回目記念 質問コーナー開催

次回は当連載の記念すべき10回目!読者からのスケートに関する疑問や質問にhakaseが答えていく回になります。FNMNLのinstagramのストーリーの質問コーナーを受付けますのでどしどしお送りください。

質問方法:FNMNLのinstagramのストーリーより質問をお送りください。

注意事項:スケートボードやそれに関するファッションなどについての質問に限ります。

Profile

hakase
長野県出身。Diaspora Skateboardsのメンバー。あだ名のhakaseは、詳しい方の博士ではなく、ひょっこりひょうたん島の同名キャラクターが由来。2020年4月に松本にて自身のスケートショップ・canola skateshopをオープン。

hakase Instagram
Diaspora Skateboards
Diaspora Skateboards Instagram

RELATED

Diaspora skateboardsとJazzy Sportによる6度目のPOP-UPが大阪で開催‬‭ | 初日夜にはCampanella、in-d、Gottzらが出演するパーティーも‬‭

Diaspora skateboardsとJazzy Sportが、大阪のセレクトショップWHATZISにてポップアップを開催する。‬

Diaspora skateboardsとLOTTOによるイベントが3月に開催 | ISSUGI、JJJ、in-dがライブで出演

Diaspora skateboardsとLOTTOが初のコラボレーション発売を記念して、スケートボード・音楽・フットボールカルチャーをテーマとしたイベント"Coppa Diaspora"を3/22(金)に開催する。

Diaspora skateboardsとJazzy SportによるPOP UPが広島で開催 | in-d、MULBEなどが出演するパーティーも

Diaspora skateboardsとJazzy Sportは、広島でDiapsora skateboardsを取り扱うセレクトショップ、programme HIROSHIMAにてコラボポップアップイベントを11/3(金・祝)に開催する。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

WONKとThe Love ExperimentがチョイスするNYと日本の10曲

東京を拠点に活動するWONKと、NYのThe Love Experimentによる海を越えたコラボ作『BINARY』。11月にリリースされた同作を記念して、ツアーが1月8日(月・祝)にブルーノート東京、1月10日(水)にビルボードライブ大阪、そして1月11日(木)に名古屋ブルーノートにて行われる。