Tinasheが「人種に基づいてカテゴライズされた音楽ジャンルを廃止するべき」と語る
LA出身のシンガーで、新世代のR&Bアーティストとして大きな支持を集めているTinashe。そんな彼女が、音楽ジャンルのカテゴライズについて疑問を呈している。
Complexによると、昨日公開されたRolling Stoneのインタビューに登場したTinasheは、「私は全体的にジャンルというものを廃止する必要があるって言うところまで行ってる」と語り、「ジャンルの多くが生まれて進化し続けてきたのは、人種と人種に基づく音楽のカテゴライズに基づいていると思う」と、音楽ジャンルというものは人種に基づいて分けられているものであるため、その枠自体を撤廃する必要があるという持論を語った。
続けて彼女は自身の経験について「私が最初にシーンに登場したとき、新しいR&Bガールというレッテルを貼られることに嫌悪感を感じていた。R&Bが好きじゃ無かったからではなくて、特に自分のレーベルで、会社の“アーバン”部門をマーケティングしているチームと、ポップなアクトを担当しているチームとでは、運営がどう違うのか分かっていたからだよ。(中略)私はいつも、私の音楽や芸術が既にそのカテゴリーに当てはめられていると感じてた」と、デビュー当時から既に黒人であるという理由で恣意的に「R&B」のカテゴリーに押し込められたことを実感していたと明かしている。
今年1月、グラミーの最優秀ラップアルバム賞を受賞したTyler, The Creatorが受賞の際のスピーチで「ジャンルを超えたことをやっているのに、あいつらはいつも“ラップ”や“アーバン”ってカテゴリーに俺たちを押し込む。“アーバン”って言葉は好きじゃないんだ。Nワードをポリティカリーコレクトネスに配慮して言っているだけのように思える」と、自身の音楽を「アーバン」と表現されることへの疑問を露わにし話題を呼んだ。また6月にはBlack Lives Marrerムーブメントを受けて大手レーベルのRepublic Recordsが音楽ジャンルとして「アーバン」という言葉を用いることを禁止すると決定したことも報じられた。
例えばラップやR&Bといったジャンルがアフリカ系アメリカ人のコミュニティから生まれたことは間違いないが、現在音楽をそれらのジャンルにカテゴライズすることに構造的な問題があるかどうかは議論が続けられているところだ。しかし、ジャンルの壁を超えフラットな視点から自身の音楽を追及する若いアーティストが次々と登場する中で、それらに旧態依然としたカテゴライズを行うべきなのかは疑問だ。「ジャンル自体を無くすべき」というTinasheの意見はかなり急進的なものだが、今後もこういった議論が続くことに大きな意義があることは間違いないだろう。