【日本と韓国 : 隣国で暮らしてみて Vol.2】|XY GENE

2000年代後半からのK-Popブームや韓国映画などをきっかけに、文化的な距離は大きく縮まった日本と韓国。K-Popも、もはやブームではなく1つのカルチャーとして完全に根付き、若年層は国内よりも気軽に韓国を旅行することも多くなり、それはまた逆もしかりで、コロナショックの前までは両国の文化的な交流は、とても盛んだった。

そしてそれはアーティストにとっても同じくで、メジャー・インディー問わずまたDJなどでも両国のアーティストがパフォーマンスをするのは、ごく自然な光景になった。FNMNLでは、さらに一歩進んで、日本から韓国に渡りキャリアを積んだアーティストや、逆に日本で生活を営んでいる韓国のアーティストに話を訊くインタビューシリーズをスタート。それぞれが隣国での生活を選んだ理由を訊く。

第一回目のNOAに続いて登場するのはXY GENE。幼少期からダンサーとしてのキャリアを積み、12歳から韓国大手事務所にて、武者修行を行い帰国した彼は、2月に1stアルバム『Daydreaming』をリリース、ソロアーティストとしてのキャリアの第一歩を踏み出した。

そんな彼に韓国に渡ったことをはじめ、ハードな練習生としての生活やソロアーティストになろうと決意した経緯を訊いた。

取材・構成 : Erinam

撮影 : 寺沢美遊

 - 12月にデビューシングル“Can’t take back (feat. Lazzy , Kohjiya from MADz’s)”をリリースしたXY GENEさんですが、元々音楽キャリアのスタートとしてはマイケル・ジャクソンの追悼ダンサーオーディションで1000人の中から選ばれて多くのショーケースにも出演されていたと伺いました。そのオーディションに応募したきっかけはどんなものですか?

XY GENE - 元々マイケル・ジャクソンが好きすぎて「踊りたい」と思ってオーディションに行きました。

 - その前からずっとダンスはやっていたんですか?

XY GENE - 元々ずっとダンサーで、曲を作り始めてからまだ1年半くらいしか経ってないんです。

 - ダンスを始めたきっかけもマイケル・ジャクソンですか?

XY GENE - ダンスを始めたきっかけはマイケル・ジャクソンで、そこからアーティストになりたいって夢があったんですけどダンサーとしてやっていて、音楽を作り出したのは1年半前くらいです。レコーディングとかをどうするかも分からなくて、ただ曲を作りたいと思ってたんですけど、中学の友達にラッパーのOnly Uがいて。あいつは曲を作ってて、「曲やろうよ」ってOnly UとかLEXに誘われて音楽を始めました。だから最初はヒップホップを作ろうかなと思っていたんですけど、「マイケル・ジャクソンが好き」っていうバックボーンもありつつ自分の音楽をやりたくて、最近は違う感じの音楽を作っています。

 - 音楽を作ろうと思ったりとか、ヒップホップに興味を持ち始めたきっかけも友達なんですね。

XY GENE- はい。でも元々マイケル・ジャクソンからChris Brownを聴いたり、Chris BrownからTygaに行ったりして海外のヒップホップにも触れていました。

 - マイケル・ジャクソンは世代ではないですよね。どうやって好きになったんですか?

XY GENE - 亡くなってから好きになったんですけど、ニュースに出てきたときに“Thriller”のMVが番組で流れて、めっちゃビビッと来て「これめっちゃ好き」ってなって、そこからのめり込みました。

 - そのときは何歳でしたか?

XY GENE - 8歳、9歳ぐらいですね。

 - マイケル・ジャクソンが亡くなって、映画『THIS IS IT』などが公開された頃ですね。

XY GENE - そうですね。その時に日本でマイケル・ジャクソンブームが起こって、そこでのめり込んだ感じです。

 - その後韓国の大手事務所の練習生としてキャリアを積んだそうですが、それはいつ頃からですか?

XY GENE - 小学校6年生の終わりぐらいから中学2年生の終わりぐらいです。

 - そのきっかけはなんですか?

XY GENE - マイケル・ジャクソンのトリビュートライブにダンサーのKent Moriさんや仲宗根梨乃さんが出てらっしゃったんですが、仲宗根梨乃さんが韓国のグループの振り付けもやっていて。それがきっかけで韓国のエンターテイメントを見るようになったんですが、日本よりもクオリティの高いことをやっていて、曲もカッコいいし一人一人のダンスのスキルも含めてカッコいいと思って、「行ってみたい」と思ってオーディションを受けました。

 - 小学生のうちに韓国に渡ったんですね。

XY GENE - はい。そこから韓国の寮で暮らしていました。韓国語を喋らなきゃいけない環境なので韓国語を頑張って、ダンスも朝から夜までやるような生活でした。

 - トレーニング内容はダンスと歌とラップですか?

XY GENE - そのときは自分がちょうど変声期だったので声を使うことはやっていなくて、本当にダンサーとしての練習をずっとしていました。

 - 他の国の子や韓国の子と一緒に共同生活をしていたんですか?

XY GENE - そんな感じですね。日本人が自分ともう一人しかいなくて、違う言語が飛び交っていて。韓国語はとりあえず喋れないとみんなとコミュニケーションが取れないので、頑張って練習していました。

 - 韓国にいた間はずっと宿舎で暮らしていたんですか?

XY GENE - ずっと宿舎ですね。でも楽しかったです。学校も行ってなくて、マンツーマンであっちの先生と勉強をしてて。社会とかの勉強はあっちのものになってしまって、日本に戻ってきてからちゃんと高校に入るために全部勉強しなおしました。どっちサイドも勉強してたから、どっちもリスペクトしてます。日本人も韓国にヘイトを向けてる人がいるじゃないですか。韓国にもいると思うんですけど、自分はどっちも広い目で見ていて。どっちが良くてどっちが悪いとかは気持ち的に無いですね。

 - 良い意味でフラットになれたというか。

XY GENE - そういう面もありますね。

 - 当時は週5で練習、という感じですか?

XY GENE - 週7のときもあって、結構自分は真面目な方で、普通は日曜日が休みなんですけど。「日曜も練習したいです」って言って一人でスタジオで練習したり。結構ガッツリやってました。

 - 一番キツかったのはどんな部分ですか?

XY GENE - 食べ物が辛くて(笑)練習は全然大丈夫なんですけど、食べ物が韓国料理だけで辛くて、胃薬めっちゃ飲んでて。

 - 宿舎ではご飯作ってくれる人がいるんですか?

XY GENE - そうです。アジュンマ(韓国語でおばさんの意)って呼んでる家政婦さんがいて、料理や洗濯をやってくれて。そのおばさんはめっちゃ優しくて、「日本から来て辛いものが苦手です。」って言うと良い感じにやってくれるんですけど、会社に行ってからはみんなで同じ定食の出前を頼むんですよ。やっぱり辛いものが大半を占めていて、辛くないものだとプルコギとか…結構メニューが縛られちゃって。食べ物に飽きそうになりました(笑)本当に外に出なくて、韓国に住んでるんだけど会社と寮にしかいないから、外に外食とかも全然行ったことがなくて。たまに休みの日にお兄ちゃん達とかと「どこか行ってみる?」くらいでも追われちゃったりするからあんまり良くない。思い出がそんなに無いです(笑)

 - 大手事務所だと練習生にもファンがつきますよね。

XY GENE - 自分秀太郎って言うんですけど、道端で「秀太郎!」って呼ばれて会社の人かと思って返事したら、他の人に「やばい、逃げよう」って言われて。「今の人誰?」ってなって、「あれファンだよ」って言われて「えっ!?」って。「こんな普通に名前呼ばれるんだ、こわ...」って(笑)黒マスクはめっちゃさせられてました。支給されるんですよ。

 - じゃああんまり遊びとかには行けなかったんですね。

XY GENE - 全然遊びに行ってなくて、たまにショッピングモールでササっと買い物したり外食したり。でも本当に休みがなくて、韓国だと9月ぐらいに秋夕(チュソク)っていうお盆休みがあるじゃないですか。その時は韓国に実家がある人は実家に帰るんですけど、海外から来てる人達は帰れないので、寮も5、6人くらいになっちゃって。みんなでちょっと自転車に乗りに行ったりはしましたね。でも結構寂しいです。正月も外国人メンバーだけで過ごして。でも割りかしいっつも誰かいたんで。あっちにいる練習生やメンバーの人は、みんな日本人でも優しくしてくれて。小さかったから面倒見も良くて、全然不安とかは無かったですね。今でも連絡を取ってるし、お忍びで日本来てる友達と遊びに行ったりしてます。

 - 逆に練習生が終わってから韓国に行ったりはしましたか?

XY GENE - 韓国はその後友達と旅行でちゃんと行ったんですが、逆に新鮮で。一緒に練習していた友達は結構みんな予定空けてくれて一緒にカフェ行ったりしたんですけど、みんなデビューしちゃってたから後ろからカメラ持ってる人が来たり(笑)プライベートまで密着されてて、普段カカオトークで話してるんですけど、アカウントもめっちゃ変わりますね。

 - 韓国にいた時に一番思い出深い経験はありますか?

XY GENE - マジで毎日が同じルーティンで生きてて、イベントとかもあまり無くて。毎日会社で練習してて。

 - めちゃくちゃストイックですね。

XY GENE - 会社に着いたら、まず携帯を預けなきゃいけないんですよ。iPodしか使えなくて、ホワイトボードに自分の名前と何時に授業、みたいなことが書いてあって、空き時間はiPodで音楽聴いて踊るか、もう練習するしかない(笑)

 - じゃあ結構やめちゃう人も多いですか?

XY GENE - 全然やめちゃいますよ。何年もいる人は結構安定して慣れてるから大丈夫なんですけど、最初の3ヶ月くらいはやめちゃう人多いです。同い年くらいで仲良くなっても一ヶ月くらいして、「あいつどこ行った?」みたいになって、寮に帰ったらそいつの荷物が全部無くなってたり。連絡して「どこなん?」みたいに聞いたら「今空港。」って。自分は韓国で「やめます」って言うのが怖かったんで、ビザ取り直すタイミングで日本帰ってきて、実家に帰ってから言って、家にめっちゃ電話かかってきても親に出てもらって(笑)それで辞めました。

 - すごく期待されてたんですね。

XY GENE - 分からないですけど、自分が韓国にいるときも自分が知らない間にあっちから二人マネージャーが日本に来て、親と面談があったりして。他の人よりも面白いというか、変な経験はしてるかもしれないですね(笑)

 - 韓国で積んでいたキャリアはラッパーやダンサーというよりアイドルとしてのものだったと思いますが、そのキャリアを選ばず戻ってくるきっかけとなった心境の変化などはどのようなものですか?

XY GENE - なんだろうな...元々韓国に行ったのも、あまりアイドルになりたいってことじゃなくて。アーティストになることは決めていたんですが、韓国のアイドルと呼ばれている人たちも自分の中ではアーティスト寄りの存在だと思っていて。でも実際に行ってみたら、凄くアイドルっぽい部分もあるじゃないですか。そのギャップもありつつ、ちゃんと100%アーティストとして自分がやりたいことを表現していくことをやりたいとちゃんと思うようになって。それで日本に戻って自分で全部やろうと決めてから、自分で曲を作り始めました。

 - 自分で全部やる、という部分はアイドルになったら難しい部分も多いかもしれないですね。

XY GENE - 難しいですね。あっちにいる中で、「歌詞も自分で書いたものを歌いたいし、メロディも自分で作りたい」という気持ちになってきて。韓国にいる間はダンスの決まった振り付けを練習していて。元々マイケル・ジャクソンが好きだったので、自由に踊るのが好きだったんです。音楽をかけて、自分でグルーヴして、みたいな。そういうのが出来なくなっちゃって、ロボットになったような気分になって段々つまらなくなってきて。課題をこなすことを続けると、スキルは上がるんですけど自分というものを見失いそうになって。そこでやっぱり、「この環境じゃなくて日本に帰ろう」と思って。自分をもう一度見つけて、自分がやりたいことを再確認してスタートしようと決めてから日本でやろうと思ったんです。

 - それが中学生ぐらいだったんですね。

XY GENE - 中学で戻ってきて、戻ってきたら中学でOnly Uとかと仲良く遊んでいて。あいつが曲を作り始めてることを知って、「やろうよ」と言われて始めた感じですね。もちろん自分で作りたいという気持ちもあったんですが、レコーディングやDAWを使うことも全く知らなかったのでそこから入りましたね。

 - 今ではSoundCloudにオリジナルの楽曲をアップしていますが、その楽曲制作をちょうどこの頃に始められたんですね。

XY GENE - そんな感じです。

 - 今の音楽活動に行き着くまでにマイケル・ジャクソンのダンスや韓国でのキャリアが活かされてるな、と思うことはありますか?

XY GENE - 韓国に行ったことも、自分を見つけるための旅だったと思っていて。日本に帰ってきてからはその経験があったからこそ自分をもっと好きになれたし、好きなことをやっている自分が好きという気持ちでやっています。だから活かされていると思いますね。

 - アルバム『Daydreaming』には同世代のアーティストが沢山フィーチャリングされていますよね。彼らはどのようなきっかけでコラボしたんですか?

XY GENE - 元々友達とかで、一緒にやって合いそうな人と単純に一緒に曲を作って、だんだんアルバムのコンセプトに合わせて積み上げた感じですね。出会いは色々で、Only Uは中学の同級生だし、クラブとかで知り合った人もいますね。大体は音楽始めてから知り合った友達なんですけど。イベントで一緒になって友達になったりとか。でもmonvmiちゃんはこの曲がきっかけで知り合いました。元々monvmiちゃんは知ってて、SoundCloud聴いて「めっちゃカッコいい」と思って「一緒に曲やりませんか?」っていうコンタクトをとったことから始まって、アルバムの曲も出来たし友達にもなりましたね。

 - SoundCloudで曲を聴くときに重視することはありますか?

XY GENE - 色んな人がプロフィールに載せている自己紹介を、「この人はどんなアーティストなのかな」っていうのを知るためにチェックしてますね。SoundCloudに出てる音楽ってやっぱりラフミックスぐらいで出してる音源が多いですけど、自分のカラーが出てるものですよね。その人の個性みたいなところを捉えて聴くようにしています。

 - 皆さん若いことにまず凄くびっくりして。自然と同世代が集まった感じですよね?

XY GENE - そうですね、自然と。

 - XY GENEさん自身がキャリアがある方なので忘れていたんですが凄くお若くて、Twitterを拝見したら高校生活のことが書いてあって。ちょっとびっくりしました(笑)

XY GENE - まだ18なので(笑)

 - フィーチャリングしてる皆さんも2000年代生まれくらいですよね。同世代ならではのバイブスというか、自分たちの世代だからこそな共感できる部分っていうのは何かありますか。

XY GENE - 難しいな...MADz'sっていう長崎のクルーと曲をやったんですけど、それは“DIVE”って曲のjaffくんっていうプロデューサーから知り合って。曲を作ってからMVを撮りたいと思って、そしたらLazzyっていうメンバーが「映像も撮れるよ」って言ってて。とりあえず東京に呼んで「やるぞ」ってなったら凄い機材とか持ってて。編集も全部Lazzyがやってて、若い人はみんな自分でやるっていうエネルギーがあって。LEXとかもミックスめっちゃ上手くて教えてもらったし。そのエネルギー感が好きですね。

 - 機材なども「仕事にしよう」というよりは、楽しんで自分で集めようという感じですよね。

XY GENE - みんなで「何使ってんの」みたいに情報交換して、自分も良いの見つけて買って。若い人は自分でやってる人が多いから「何のソフト使ってる?」で結構話が盛り上がったり。みんな独学が多いですね。

 - ダンサーや韓国での練習生活など様々なキャリアを経過してきた中で、どんどん自分自身にフォーカスしているような印象を受けて。最初は憧れの人を真似るところから始まって、韓国で他の人から教わることを経て自分が表現したいものが見えてきたのかな、と感じたんですが、気持ちの変化や表現したいことの核のような部分はどんなものですか?

XY GENE - 自分はめちゃめちゃマイケルを見て育ったので、パフォーマンスって部分にもっと力を入れたいと思っていて。今はヒップホップのシーンでライブをしているんですが、モッシュとかはあるけどアーティスト自体がパフォーマンスをするということがあまり無くて。自分はダンスも出来るし、そういうことももっとやりたいですね。アメリカではChris Brownとか踊るじゃないですか。そういうアーティストになりたいから、“DIVE”っていう曲のMVでは自分で振り付けも作って、友達のダンサーも呼んで5人で踊りました。そんな感じで、パフォーマンスをめちゃくちゃ大事にしています。

 - ダンスパフォーマンス映像が出るのも、良い意味で韓国のカルチャーが少し関わっているのかな、とも感じました。

XY GENE - それはめっちゃありますね。韓国のグループは自分の曲のパフォーマンスビデオを出すじゃないですか。そういうスキルを提示するツールだと思うので、自分もやりたいなと。それは韓国のカルチャーから来たと思います。

 - 韓国にいたときに影響を受けた人などはいますか?

XY GENE - アーティストとしてリスペクトしているのはJay Parkです。“All I Wanna Do”という曲があるんですけど、それもダンススタジオとコラボしてダンスビデオを出していて。そういう感じでダンスをもっとポップに押し込めたらと思います。

 - 日本は結構別れていますよね。ヒップホップのダンスのシーンもあるけど、音楽とは少し離れてる。

XY GENE - 音楽は楽しくて踊れるものだから、自分が踊っていくことで「踊れるんだよ、グルーヴ出来るんだよ」ってところを見せていきたいですね。

 - 今回のアルバム『Daydreaming』の中でおすすめの楽曲や聴いて欲しいポイントはありますか?

XY GENE - どれもおすすめで、自分の子供みたいに愛情を注いでいて。結構ジャンルに縛られていなくて、凄くオールジャンルに作ったアルバムなんです。アルバム全体として聴いても飽きさせないように出来るかな、ってことを思って、めっちゃエモ系やったり、かと思えばOnly UとHezronとの曲はヒップホップでおちゃらけてて。色んなカラーを見せられれば、と思って作ったアルバムです。

 - 楽曲を作るときに、やっぱり踊れるかどうかは重視していますか?

XY GENE - 録りながらめっちゃ踊ってます(笑)ダンサーと一緒に踊りたいぐらいのモチベーションなんですけど、クラブだと踊れないし。でもクラブでのライブでも結構踊っちゃってますね。普通に1個目のサビは歌って、2個目のサビはマイク置いて踊っちゃう(笑)

 - 観客もそれを見たら楽しいですもんね。今後としてはやっぱり歌うだけじゃなくてダンサーと一緒に踊るようなパフォーマンスがしたいですか?

XY GENE - そういうことがやりたいですね。舞台の演出とかもしてみたいと思っていて。仲宗根梨乃さんが自分に色んな舞台演出を見させてくれて、演出の大事さをめっちゃ思っていて。クラブのイベントだと演出も何もないじゃないですか。そういうところからもう少し大きくなったら、ちゃんと自分で演出もして振り付けもしたやつでやってみたいです。そういう理想形に近づけたいですね。

 - 本当にマルチですね。話が戻ってしまうんですが、仲宗根さんとの出会いはどんなものでしたか?

XY GENE - 自分がマイケル・ジャクソンのトリビュートのダンスオーディションに受かって。その時にKento Moriさんのナンバーに仲宗根さんがゲストで出演していて。リハーサルも一緒で。それが代々木体育館だったんですが、その時にジャクソン5のマイケル以外の兄弟が来てて、自分たちがジャクソン5をやったんですよ。「お前らヤバいな」みたいな感じでみんなで写真撮って。

 - 小さい頃から世界的に活動している人たちと一緒に舞台に立ったことは自信になりましたか?

XY GENE - 小さくて、全然ありがたみが分からなかったんです(笑)ただ「みんなのこと大好き!」みたいな。マイケルを恩師として思ってる同士たちとして思っていて。仲宗根さんもマイケルがめっちゃ好きで、マイケルの話したら止まらないぐらいにマイケルの話が出来る人で。自分は小さくて、「全然タメ語でいいよ」みたいな感じでKento Moriさんも「Kento」って呼ぶし、梨乃さんも「梨乃さん」とは呼ぶけど話すときはタメ口でいいよ、って感じだったから。今となったら「うわ、やべえ」って感じです(笑)でもずっと昔からそうで、Kentoさんも「Kentoさん」って呼んだら笑われる。一回ラジオに出て「Kentoさんにいつもお世話になってます。」みたいに言ったら「何かしこまってんの」みたいに言われて(笑)お兄ちゃんみたいな感じですがめっちゃインスピレーションを貰って、今となっては凄い人とやってたんだなと思います。

 - YouTubeに「mini Michael Jackson」という、小さい頃にマイケルの格好をして踊っている動画がありますよね。

XY GENE - あれは観光で行って、マイケルの命日が近いからお墓参りがしたくてLAに行ったんです。そしたらKentoさんが車で色々連れていってくれて、そこで“Thriller”のMV撮影のリハで使っていたスタジオに行ったんです。そしたら「ここ踊っていいの?」ってなって、「いいよ」って言われたから踊ったのがあれで。

 - その時の映像は今でも沢山の人に見られていますよね。

XY GENE - マイケルが好きってことを突き詰めたらKentoさんにも梨乃さんにも会えて一緒に踊れるっていう、夢を実現出来るってことを見せてもらえて。それがあるから今の原動力になっていますね。「やりたい」って思い続ければいつか出来るから、思える気持ちを貰いました。

 - そういった経験があるから、というのもあると思うんですが、韓国のキャリアも勿体無いじゃないですけど、皆がなりたくてもなれないような所にいたじゃないですか。それを捨てても自分のやりたいことを突き詰められる、というのは凄いですよね。

XY GENE - 元々Kentoさんも梨乃さんもやりたいことをやりまくった人たちなんですよ。小さい頃から「やりたいことはやれよ」と言われていて。韓国に行くって選択もやりたいことだったけど、行ったら行ったでやりたいことがやれなくて段々息苦しくなって。やりたいことをやるのが自分のためだし、それで生まれた作品も嘘じゃないから、自分でやりがいもめっちゃあると思って。

 - 意志の強さや、アーティストとして表現したいことが明確ですよね。では、最後に、これからアーティストとして表現したいことや展望を教えてください。

XY GENE - マイケル・ジャクソンから影響を受けているので、「XY GENEと言えばパフォーマンス」と言われるぐらいになりたいですね。

 - ありがとうございました。

Info

Artist:XY GENE
Title:Daydreaming
Release Date : 2020.2.28
Label : Trigger Records TRGR-1014 【Tracklist】
01.Intro
02.Friday night
03.Lazy (feat.YOSHIKI EZAKI)
04.Can’t take back (feat. Lazzy , Kohjiya)
05.DIVE
06.Rampage horse (feat. HEZRON , Only U)
07.Road to U (feat.(sic)boy)
08.Don’t leave me away (feat.monvmi)
09.What should I say
配信 URL:https://linkco.re/Su2V5AS4

Twitter:https://twitter.com/0501gene
Instagram:https://www.instagram.com/gene____01/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCMMKQfRUE7lN3tJNJkDkuuA

日本と韓国 : 隣国で暮らしてみて
Vol.1 NOA

RELATED

【インタビュー】5lack 『report』| やるべき事は自分で決める

5lackが今月6曲入りの新作『report』をリリースした。

【インタビュー】BES 『WILL OF STEEL』| 初期衝動を忘れずに

SCARSやSWANKY SWIPEのメンバーとしても知られ、常にアクティヴにヒップホップと向き合い、コンスタントに作品をリリースしてきたレジェンドラッパー、BES。

【インタビュー】CreativeDrugStore 『Wisteria』| 11年目の前哨戦

BIM、in-d、VaVa、JUBEEのMC4名、そしてDJ/プロデューサーのdoooo、ビデオディレクターのHeiyuuからなるクルー、CreativeDrugStore(以下、CDS)による、結成11周年にして初となる1stアルバム『Wisteria』がついに発表された。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

WONKとThe Love ExperimentがチョイスするNYと日本の10曲

東京を拠点に活動するWONKと、NYのThe Love Experimentによる海を越えたコラボ作『BINARY』。11月にリリースされた同作を記念して、ツアーが1月8日(月・祝)にブルーノート東京、1月10日(水)にビルボードライブ大阪、そして1月11日(木)に名古屋ブルーノートにて行われる。