【インタビュー】蔦谷好位置 / KERENMI|「俺もやってみよう」ってノリを自由に形にする

蔦谷好位置の変名プロジェクト・KERENMIが1stアルバム『1』をリリースした。CHARAや藤原聡(Official髭男dism)などをはじめとして、SALUやGOODMOODGOKU、玉名ラーメンまで参加した初のアルバムにはどんな思いが込められているのだろうか。J-POPの最前線で活躍する彼ならではの、現在の素直な心境を訊いた。

取材・構成:宮崎敬太

撮影 : 横山純

おじさんが余計な心配することないなって思うようになりました(笑)

 - 2018年にリリースされた“ROOFTOPS feat. 藤原聡(Official髭男dism)”がアルバムから改めて先行配信されたんですね。

KERENMI - そうです。AbemaTVの恋愛リアリティ番組『月とオオカミちゃんには騙されない』の挿入歌に使われることになって。“ROOFTOPS”がコンビニで流れてますからね。KERENMIをはじめたばかりの頃はそんなに反響はなかったけど(笑)。

 - 当時のインタビューでは日本の閉鎖的な音楽業界に対する忸怩たる思いからKERENMIをスタートさせた、という旨のお話しをされていました。

KERENMI - はい。でも今回のアルバムも含め、蔦谷好位置名義の作品も含めて、いろいろ制作しているなかで僕自身の考えがかなり変わってきたんですよ。そもそもKERENMIを始めようと思ったのは5〜6年前。あの頃、僕はJ-WAVEでラジオ(注:『THE HANGOUT』2016年9月で終了)をやってて、SoundCloudで曲を発表してた頃のMura MasaとかLido、Cashmere Catを紹介してたんです。Mura Masaなんてまだ10代だったんじゃないかな? 僕が面白いと思ったのが、彼は楽器が結構うまいのに、DAWでベースミュージックを作ってるということ。理知的で音楽的にも美しいのに、フロアの雰囲気はちゃんとあって、でも明らかにベッドルームで作ってるのもわかる、みたいな。当時はそういうバランスの人はあまりいなかった。もちろん過去にもSquarepusherみたいな人はいたけど、もっと学者っぽくて、難しい感じがしてた。それはそれで好きだったけど、当時の僕はMura Masaに代表される新世代の人たちに面白さを感じてて、そういうのを日本でもやりたかった。

 - 当時の日本ではMura MasaやCashmere Catみたいな音は、音楽好き以外には需要がない雰囲気でしたからね。

KERENMI - そうそう。やっぱり僕も自由に音楽を作りたい気持ちはあるので。そんなことを思ってKERENMIを始めたんだけど、そしたらここ2〜3年で日本の音楽シーンは劇的に変わった。米津玄師、星野源、KingGnuは、チャレンジングな音楽を作りながら、同時に結果も出してる。さらに彼らの周りにいる坂東祐大くん(Ensemble FOVE)のようなものすごく才能がある子たちもオーバーグラウンドな活動をするようになってきて。あとKing Gnuで言えば、藝大の同窓生のWONKとか石若駿くんとか。そういう流れがあった上で、僕はOfficial髭男dismのブレイクもあると思ってるんですよ。

 - 蔦谷好位置名義で“宿命”の編曲を担当されてましたね。Chance The RapperというかBrasstracks的なサウンドをJ-POPに持ち込んだとして、大きな話題になりました。

KERENMI - そういうサウンドの部分だけでなく、あの曲はJ-POPの中ではかなり変わった構成の曲なんです。普通のJ-POPだとAメロ、Bメロ、サビのあと間奏を挟んで大サビっていうのが恒例の流れだけど、「宿命」は一番のAメロと同じメロディが一度も出てこない。二番のAメロは一番の発展形で、三番の落ちAメロもさらに発展したメロディ。サビは毎回同じだから、あまり複雑な印象を与えないかもしれないけど、実はメロディだけでもかなり複雑に入り組んだ構造になってる。展開が多い曲だからリズムもすごく変化するし、音の増減も激しい。

 - にも関わらず“宿命”は2019年夏を代表する1曲になりました。

KERENMI - あの曲で結果が出たのは僕もちょっと驚きました。作ってる時は「ちょっと攻めすぎかな」って思いもあったし。昔だったら、そもそもあの形で世に出せなかったと思う。例えば「盛り上がったままがいいから音抜くな」とか、いわゆるヒットの法則に則ったものをレコード会社から求められた。そうするとどんどん無難な曲になっていく。だから僕自身にとっても髭男「宿命」は、日本の音楽シーンの変化を実感できたすごく重要な1曲だったんです。

 - 前回のインタビューで、クライアントから「ちょっと格好良すぎです」と却下されることがあると話してましたもんね。カッコいいから却下って意味わかんない。

KERENMI - 昔だったら“宿命”のアレンジは確実に却下されてた。あの曲はイントロでリズムが一旦切れて、ビートがほとんどなくなるでしょ。そういう展開が多いと「わかりにくい」「ノリにくい」と言われてたんです。確かに四つ打ちのような同じリズムが一定の間隔で鳴ってたほうがノリやすいって言い分はわからなくもないけど...。同じ理由で1曲の中でキメを作りすぎると「休符が多すぎる」みたいな。つまりそういう人たちは、あまり音楽に興味がない人にまで曲を届けたいから、できるだけ簡素に、かつ過去の成功の論理に則った形に仕上げたいわけです。尖った部分をどんどん削っていけば確かにわかりやすい丸いものができる。でも表現のレベルは確実に下がるんですよ。

 - 何が硬直した日本の音楽業界を変えたと思いますか?

KERENMI - ストリーミングやYouTubeが浸透したっていうのもあると思うけど、僕個人の意見では米津の存在は本当に大きいと思う。彼は本質的にものすごくオルタナティブな思考を持った、どちらかと言うとアンダーグラウンドな人なんですよ。コアなシーンで熱狂的な支持を集めるような。だけど彼は内向きにならず、自分の資質を全開にして外に発信した。彼にはボカロP時代から支えてくれたファンがいたけど、そういう人たちも彼の変化を受け入れて、大きなうねりを作ったことは本当にすごいことだと思う。

 - そうした若い世代から刺激を受けて、KERENMIの在りようも変わってきたということですか?

KERENMI - はい。若い人たちが自由に頑張ってる姿を見てたら、おじさんが余計な心配することないなって思うようになりました(笑)。しかも今の若い人たちはみんな面白い。僕が想像だにしない視点からいろんな物事を捉えてて、話すと本当に勉強になる。いろんな曲を聴いて会話をしてたら、僕自身もだいぶ柔軟になった。だからKERENMIは蔦谷好位置としてのプロデュースワークではできないけど、自分の中にあるものを素直に表現する、打ち込みをベースにしたプロジェクトに自然となっていったんです。海外の新しいものは大好きだけど、僕自身が昔から聴いて、好きだった、美しいと感じてきた音楽は当然のようにあって、そうしたものは曲を作っていると自然と出てくる。それも受け入れようって。“103 feat. motoki ohmor”とか。

 - この曲はすごくJ-POP的なメロディだと思いました。

KERENMI - ヴォーカルのメロディに動きがあるし和声がたくさん動くから、J-POP的に聴こえるんだと思う。この曲に関しては、アメリカ、というか世界的なポップミュージックのトレンドのトラックに、動きのあるメロディを乗せてみようというアイデアからできました。今のトレンドはシンプルなビートにシンプルなメロディを乗せて、歌のリズムで変化を作っていく。トラップから派生してるから、歌ってるけどラップの延長線上にあってメロディはフラットで繰り返す感じですよね。じゃあ、あえて歌のメロディを跳躍させてみようと思って作ったんです。ちなみに今回のアルバムで一番古い曲は三年くらい前に作った“Beautiful Eyes feat. Michael Kaneko & hasama”。この頃は「歌のメロディではなくサウンドで勝負しよう」って気持ちでした。当時だったらKERENMIで“103”みたいな曲は作らなかっただろうな。だから、若い世代のおかげで僕自身も相当柔軟になりましたね。

 - なるほど。

KERENMI - さらに言えば、“ROOFTOPS”はシンディ・ローパーの“Time After Time”に影響を受けています。“Time After Time”のサビは5度メジャーから始まるという変則的なサビ。そこが面白くて。スタジオでなんとなくピアノを弾いてたら“Time After Time”のサビのコードをさらに不安定にしてsus4的な響きを持つ分数コードにして、そこを掴みにしたらどうだろうと思いついたんです。こういうアイデアも、当時は複雑すぎて受け入れられなかったと思う。

GOODMOODGOKUは相当好き。BIM、NF Zesshoもカッコいい

 - “Play the Game feat. SALU & Michael Kaneko”は前回のインタビューの時、制作中とおっしゃってた曲ですね。

KERENMI - はい。だから二年くらい前の曲ですね。スタジオでピアノを弾いてたらメロディができたので、そこから組み立てていきました。最初はSALUが三連符のフロウでラップしてたんです。でも僕はもっとメロディのあるフロウをイメージしてて。だから二人で相談しながら進めました。その工程を経ているので、一風変わった感じの曲になったと思う。

 - “KOTOSARA night and day feat. Chara , 高岩遼(SANABAGUN.)& GOODMOODGOKU”はすごいメンツが揃いましたね。

KERENMI - エロい曲を作りたかったんですよ。まずメロディが思いついて、サビの歌詞も自分で書きました。若い子が昼も夜もずっとセックスして3日目、みたいなイメージ。当然デュエットが良くて、女性は最初からCharaのウイスパーな感じをイメージしてました。男性は低くて色気のある声が欲しくて、最初は細野晴臣さんが思い浮かびました。でも若い人が良かった。でも細野さんくらい色気があって低音で歌える男性ヴォーカルが全然いない。どうしようかなと悩んでたら、ラジオからたまたまSANABAGUN.の音源が流れてきたんです。高岩くんの声を聴いて「これだー!」って(笑)。

 - 運命的な出会い(笑)。

KERENMI - ライヴもすごいエネルギッシュだし、高岩くんは曲のテーマにもぴったりだと思ったんです。ラッパーに関しては何人か候補がいたんですけど、個人的にGOODMOODGOKUくんが大好きで。そしたらスタッフが繋げてくれたんですよ。曲のテーマを伝えたら「俺、エロい歌詞しか書けないです」という最高の返事が返ってきました(笑)。GOKUくんに関しては一切ディレクションしてないです。だからこの曲は作詞作曲のクレジットもKERENMI / GOODMOODGOKUという形にしました。GOKUくんは本当に好き。色気があってカッコいい。

 - ちなみに最近気になってる日本のラッパーはいますか?

KERENMI - BIMくん。あとNF Zesshoくんもいいですね。トラックメイカーに関しては、SweetWilliamがずば抜けてると思う。音色のチョイス、解像度、グルーヴ、すべてにおいて非常にクオリティが高い。技術点と芸術点、ともに5点満点みたいな。あと舐達麻のトラックを作ってるGreen Assassin Dollarもカッコいいと思う。NujabesやJ Dillaのビートに影響を受けた次の次の世代というか。面白いですよね。

一緒に制作するアーティストの中にある、顕在化してない魅力を見つけて引き出したい

 - “からまる”は大比良瑞希さんのヴォーカルがすごくカッコよかったです。

KERENMI - この曲はKERENMIとして初めてタイアップのお話をいただいて書き下ろしました(注:木ドラ25『電影少女-VIDEO GIRL MAI 2019-』)。最初から「ダークな感じで」というリクエストをもらっていたので、トラップのビートにヴォーカルを乗せようと思いました。制作時に流行っていたAriana Grandeの“7 rings”の影響がちょっとあるかも。この曲は制作時間が本当になくて突貫作業でした。で、ヴォーカリストを誰にしようかスタッフと相談してる時に大比良さんの名前が出てきたんです。

 - この曲はメロディも蔦谷さんが制作されたんですか?

KERENMI - トラックとメロディは僕が作って、作詞は田中秀典(agehasprings)が担当したんですが、彼女はシンガーソングライターでしょ? だから「人が作った曲を歌うのは嫌じゃないかな?」って危惧もあったんです。でもラップっぽいフロウとか、コーラスの重ね方とか、秀典の歌詞にも、普段と違うやり方をすごく楽しんでくれて。時間がない中、本当に一生懸命に取り組んでくれたんです。何が嬉しいって、彼女はこの曲を自分のライヴでも歌ってくれているんですよ。大比良さんとの取り組みは、僕がKERENMIでやりたかったことのひとつが達成された気分でしたね。

 - というのは?

KERENMI - 僕は一緒に制作するアーティストの中にある、顕在化してない魅力を見つけて引き出したいという気持ちがあって。「からまる」ではそれができたと思う。大比良さん一人では生まれなかった音楽を一緒に作ることができた。こういうのって毎回うまくハマるわけじゃないから、余計に嬉しかったですね。

 - “Over Night”は玉名ラーメンさんの世界観をさらに洗練させたような楽曲になりましたね。

KERENMI - 彼女は「SCHOOL OF LOCK!」が主催したフェス『マイナビ未確認フェスティバル2019』をきっかけに知ったんですよ。出演者は二十歳まで。しかも一般公募のエントリー制。僕は審査員をしてたんです。このフェスは賞レースでもあったんですけど、僕個人としては玉名ラーメンが圧倒的に素晴らしいと思った。でも優勝はできなくて。それでもなんとか評価したくて、審査員特別賞に選んだんです。その段階から玉名ラーメンとは曲を作りたいと思ってました。

 - 玉名ラーメンさん的には大抜擢ですね。

KERENMI - まだ高校生なんだとか。いやでもね、彼女は予選の段階から本当に素晴らしかったんですよ。しかも聡くんや大森くん(Mrs. GREEN APPLE)、Charaみたいなメンツの中に、彼女みたいなオルタナティブな存在が入るのも面白いと思って。この曲は彼女のために書いた新曲です。数時間くらいで原型を作って送ったら、彼女もすぐに歌を入れて返してくれた。ディレクションはほぼなし。歌詞もメロディも彼女が作りました。

 - 蔦谷さんとは父と子くらいの年齢差がありますよね(笑)。

KERENMI - 学校帰りに僕のスタジオに来てくれて(笑)。「普段はどんなの聴くの?」とか話したんだけど、その時は緊張してたのか、あんまり会話が続かなかったんですよ。内向的な性格というか。でも制作に入って、データをやりとりすると作品はものすごく雄弁で。コーラスの重ね方がすごくユニークでびっくりしました。あと最初に一番だけ歌ったデモを送ってもらった時、ヴォーカルに謎のリヴァーブがかかってたんですよ。ノイズもすごいあるし、音もあまりクリアじゃない。でもこれも彼女の味かなと思って、トラックにハメ込んでみたら、びっくりする程いい。それで彼女に「ヴォーカルはどうやって録ったの?」って聞いたら、夜中に自宅のリビングでこっそり録ったって。しかもご両親が寝た後だから、音が漏れないように布団かなんか被った状態で歌ってるらしいんです(笑)。

 - 10代らしいエピソードですね(笑)。

KERENMI - そうそう。でもあまりにもノイズが多いからヴォーカルは僕のスタジオで録り直したんですよ。そしたら録り直したバージョンはクリアすぎてイマイチ。というか、むしろ魅力が半減してた。だからデモのバージョンを採用することにして、二番も新たに録って送ってもらったんです。そしたら、録った日の両親の熟睡具合なのか防音具合なのかわからないですが、一番のデモと全然音が違う(笑)。そこはプロの技を駆使して、一番のザラつきと同じ雰囲気になるようにミックスし直しました。ちなみにこの曲も影響を受けた曲がありました。

 - 差し支えなければ教えていただけますか?

KERENMI - Flumeですね。去年出た『Hi This is Flume』というヒップホップっぽいMixtapeがすごく良かった。雨のパレードの福永(浩平)くんが教えてくれたんですが、Flumeといえば洗練されたフューチャーベース、というイメージがあったけど、このMixtapeはすっごいザラついてて。slowthaiとかJPEGMAFIAが参加してて、作品全体の構成も面白い。このEP彼に刺激を受けて「俺もやってみよう」というノリで作りました(笑)。

哀愁は日本人のDNAに刷り込まれた感覚

 - 奇妙礼太郎さんはどんな経緯で“ひとつになりたい”に参加することになったんですか?

KERENMI - この曲はもともと僕が歌っていたんですよ。スタッフも「1曲くらい蔦谷さんが歌う曲があってもいいんじゃない?」と言ってくれたんだけど、僕は自分の声が楽器として優れているとどうしても思えない。この「ひとつになりたい」にもっとしっくりくるヴォーカルがいるだろう、と。それで最初に思い浮かんだのが奇妙礼太郎さんでした。でも全然面識なくて。「どっかのライヴ会場で挨拶したようなしてないような......」くらいのノリだったけど、ダメ元でオファーしてみたらやってくれたんですよ。しかも僕のスタジオに来て「俺、この曲好きです」って言って、サッと歌って帰って行きました。マジで超カッコよかったです。

 - この曲も元ネタがあるんですか?

KERENMI - これは「できちゃった曲」。ピアノを弾いてたらメロディと歌詞が一緒に出てきて。たまーにそういうことが起こる。僕はごく稀だけど天才はいつもそういう感じらしいです(笑)。メロディは和風でフォークっぽい雰囲気があるけど、ちょっと跳ねてる。そこがフォークと違う。サウンドに関しては、オルタナティブR&B界隈の人たちがやってるピアノやギターだけのシンプルな曲をぼんやりイメージました。

 - 蔦谷さんは「日本的で」モダンなポップミュージックとはどういうものだと思いますか?

KERENMI - 僕は哀愁だと思う。演歌もフォークもすごく哀愁がある。しかも日本人の感覚にしっくりハマる。理屈じゃなくて感覚的にフィットする。じゃあこれはどこからきたものなのかと考えると、日本人は忠臣蔵みたいな話が大好きですよね。あと平家物語とか。のっけから「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」ですからね(笑)。おそらく日本人の中にはこの感覚が流れてるんだと思う。だから日本のラブソングには失恋の歌が多い。あとすごく微妙な関係性に言及したり。そこが他の国とは違うところだと思う。「ベイビー、お前を抱きたい」っていうラブソングはなかなか共感しづらいもんね(笑)。

 - 音楽を取り巻くプラットフォームがフラットになってる昨今、僕は地域に根付いた音楽性が重要だと思うんです。昔は日本のポップミュージックに演歌の要素が入ってくることをかなり否定的に捉えていたんだけど、そうじゃなくて、向き合ってどうやって取り入れるかが重要なのかなと思えるようになってきました。この哀愁の感覚こそが日本人の個性じゃないかなって。

KERENMI - 日本人は感覚的に悲劇が好きなんだと思う。チャップリンは喜劇だけど、哀愁があるから日本人にも受け入れられてるんだと思うし。「ひとつになりたい」は哀愁漂いまくりの曲だけど、意図してそうしたのではなく、自然と出てきたものだから。

 - ネットが世界をつないだ今、重要なのは日本でしか生まれ得ない表現だと思う。日本のアニメが世界で人気があるのも、あの荒唐無稽な非現実感が日本人特有のものだからだし。そこを個性と捉えて、世界の新しい表現を取り入れながら、柔軟にアップデートしていくことが大事なのかなって最近思います。宇多田ヒカルさんはそれをかなり意識的に音楽で表現されている気がするんです。

KERENMI - 僕もそれは同感。宇多田ヒカルさんが去年Skrillexとやった曲はすごかった。「Skrillexにこんな一面あったんだ!?」って思いましたよ。

 - ちなみに最近面白いと思ったアーティストを教えてください。

KERENMI - いっぱいいますよ。オジー・オズボーンの新譜でPost Maloneをfeat.してる曲は最高でしたね。昨年はBillie Eilishも当然素晴らしかったですが。Lil Nas Xの“Old Town Road”も素晴らしかった。YoungKioっていう19歳がNine Inch Nailsの「そこ選ぶ?」っていうフレーズをサンプルしたトラックも良かったし、“Old Town Road”はUSのメインストリームで新しいメロディ感を提案したと思う。あとさっきも言ったけど、米津玄師と一緒にやってる坂東祐大くん。彼は米津の「海の幽霊」とか、去年の紅白で米津が嵐とコラボした“カイト”のアレンジもしてるんですよ。彼は本当に凄い才能。面識はないけど今後の活動に注目してます。

 - 今後KERENMIとしてはどのように活動していく予定ですか?

KERENMI - 1stアルバムを出すまでは時間がかかっちゃったけど、トラックメイカーなのでできるだけ定期的に作品を出していきたいですね。でも今はKERENMIをかなり自由に捉えているから、蔦谷好位置ではできないクリエイティビティを発揮する場所として、どんどん形は変わっていくかもしれません。あともっと気軽にコラボレーションできる環境づくりは引き続き取り組みたい。米津と嵐が一緒にやったのは素晴らしいと思う。海外だとポッと出てきた新人がイケてる人の曲に参加して、さらにそこにJustin Bieberまでいる、みたいな座組が当たり前にあるから。そこは僕が頑張れるとこかな、と思っています。

Info

KERENMI 1st Album「1」

2020.3.4(水)Digital Release

【収録曲】
M1. The Day
M2. Play the Game feat. SALU & Michael Kaneko
M3. ROOFTOPS feat. 藤原聡(Official髭男dism)
M4. KOTOSARA night and day feat. Chara, 高岩遼(SANABAGUN.) & GOODMOODGOKU
M5. からまるfeat. 大比良瑞希
M6. Over Night feat. 玉名ラーメン
M7. ひとつになりたいfeat. 奇妙礼太郎
M8. 103 feat. motokiohmori
M9. Beautiful Eyes feat. Michael Kaneko & hasama
M10. ROOFTOPS -Piano Ver.-feat. 藤原聡(Official髭男dism)

HP:https://www.toysfactory.co.jp/artist/kerenmi/

Instagram:@kerenmi_official/ @koichitsutaya

Twitter:@KERENMIII / @KoichiTsutaya

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