【ライブレポート】舐達麻|ホームLagoonでのラストイベントで錦を飾る
2019年12月17日(金)に、舐達麻主催のLagoon閉店イベントが開催された。締めくくりとなるこのイベントには、Lagoonでライブをしていたアーティストを中心にピックアップ。漢 a.k.a. GAMIやJin Doggなど舐達麻と親交が深いアーティストも加わり厚みのあるラインナップとなった。
このイベントは、開催の10日前に舐達麻のSNSにて突如告知。
閉店するんで、ホームだけど無くなるから 最後になりますが 熊谷ラグーンで #舐達麻 ライブするので是非見に来てください よろしくお願いします。
文章は淡々としているが、アーティストのラインナップや告知への力の入れ方に彼らのホームへの愛がひしひしと感じられる。
今日本で最も勢いのあるヒップホップクルーの舐達麻は、現在はライブで全国各地を駆け回っている。以前はLagoonなど、地元である熊谷を中心に活動していた。彼らにとっても、地元のファンにとってもLagoonは非常に思い入れ深い会場だ。最後を飾るこの記念すべきイベントを、フォトレポートにてお届けする。
取材・構成:島田舞
写真:Ryohei Obama
当日夜22時近くに熊谷駅を降りると、駅周りは静けさに包まれていた。向かって歩いていくと、おそらく地元の人であろうおじいさんに「今夜何かあるんですか?すごい人だかりが向こうでできているよ!」と話しかけられたので、「音楽のイベントがあるんですよ。」と答える。
角を曲がるとざっと100人以上の行列ができていており、なるほど地元の人も驚くわけだと納得。通りかかった人も、何が起こっているのか不思議そうに長蛇の列を見ている。静かな住宅街で、この一体だけが異様な熱気に包まれていた。
オープンと同時にフロアは賑わい見せ、DJタイムを楽しむ。この時はまだフロアも8割程の人で余裕があったが、タイムテーブルの進行と共にどんどん人が増えていく。これから、あの舐達麻のライブを見る事ができるんだという期待感がフロアに充満していたと思う。オープンからステージ前に人が集まっているイベントは珍しく、オーディエンスの熱量を感じた。
「俺らだけ浮いてるんですけど...」と語るSUSHIBOYSも、Lagoonでライブをし続けてきたアーティスト。確かに彼らの明るいキャラクターや音楽性からすると、サグいラインナップとは少し異なると感じたが、ライブでのパフォーマンスやオーディエンスの盛り上げ方で引けをとるものはない。キャッチーなフレーズで大合唱を引き起こす。
孫GONGのライブが始まると空気が一変。後ろからオーディエンスが押し寄せ、最前列にいた人がステージになだれ込んだ。演者がステージから気遣う場面も。
Jin Doggが「今日で最後やからLagoonぶっ壊そうや」と呼びかける。それにオーディエンスも熱狂し、フロアでモッシュが起こった。本当に箱が壊れるんじゃないかという勢いでライブが進む。この頃にはフロアはエントランスまで身動きが取れない程パンパン、満員電車状態。その中でモッシュが起こり、エネルギーが爆発していた。
そして遂に待ち望んだ舐達麻の出番となり、会場の熱狂がピークに。オープンから約5時間、超満員の中オーディエンスの体力もかなり限界まで来ていたが、「舐達麻はなんとしてでもみたい」という声が多く聞こえた。彼らのホームでもあるLagoonでの最後のライブ、地元のファンなら誰しも最後まで見届けたい。
ライブは去年リリースされた2ndアルバム『GODBREATH BUDDHACESS』に収録されている楽曲を中心に進んでいく。彼らの出世曲となった”FLOATIN'”も披露し、ファン歓喜のセットリストとなった。
筆者は舐達麻のライブを初めて見たが、彼らがいい意味でイメージと変わらないことに感動した。MCで咳き込むBAD SAIを見て、曲中に挿入されている咳き込みの音を思い出す。イメージそのまんまである。そんな彼らの、「ホームでライブしている、限りなくリアルな舐達麻」を見ることができるのは今回でラスト。歴史的な瞬間に立ち会える喜びを噛みしめながらライブを堪能した。ライブを見守るオーディエンスの横顔もどこか名残惜しげ。
Lagoonにとって、このイベントは最高の記念になったに違いない。自身のアルバム以外にも客演での活動も増え、活動の幅が広がってきている舐達麻。引き続き彼らの動向は要チェックだ。