【オフィシャルレポート】変態紳士クラブ|酸欠寸前の爆発的パフォーマンス

変態紳士クラブが2月2日に東京・新木場Studio Coastにてワンマンライブ『変態紳士舞踏会-2222-』を開催した。彼らはこの日のお昼に新曲”DOWN”のMVを発表。会場の入り口にはMVに登場したオールドスクールなステーションワゴンが展示された。

取材・構成:宮崎敬太
写真:Kenji.87

変態紳士クラブの真骨頂は何と言ってもライヴパフォーマンス。それを知ってか、観客のテンションも開演前から非常に高い。定刻になりバンドメンバーがステージに現れると、パンパンのフロアがステージに向けてうねり始める。メンバーはGeG(PC&KEY / 変態紳士クラブ、Yard Vibes Band)を中心に、井上惇志(KEY / showmore)、KenT(SAX&KEY / Soulflex)、RaB(Dr / Soulflex)、Funky D(BASS / Soulflex、Yard Vibes Band)、Tatzma the Joyful(G / Yard Vibes Band)、KKJ(G / Juicy Hip Apartment)の7人。抜群の演奏力と、柔軟な対応力を持った実力者たちだ。初っ端から重厚なグルーヴとパンチ力のある演奏で、会場を煽り始める。そしてWILYWNKAとVIGORMANが登場すると、まるで何かが弾けたように凄まじい声援に会場が飲み込まれた。

そこに投下されたのは新曲の"Do It"。ライヴのスタートにふさわしいエネルギッシュでアッパーなナンバーだ。初披露の曲でも、しっかりと観客を乗せてしまうのが変態紳士クラブのすごいところ。そしてライヴ用にアレンジされたWILYWNKAの"Everyday"、"CIROC"まで一気に駆け抜けてしまう。

フロントマンの2人は、真冬にも関わらず、あまりにも高い熱気を発している観客に驚きつつも嬉しそうな様子。WILYWNKAが「もう夏やな」と笑うと、VIGORMANが「みんなの熱気で俺らももう汗ビショビショや」と受ける。

そして次の曲"WAVY"に突入する。バンドがイントロの一音目を鳴らすとさらに大きな歓声が上がる。VIGORMANのヴォーカルパートは当然観客も合唱し、WILYWNKAが「また酒にやられて」とラップすると、次のライン「ぶっ飛んじゃってる」は観客がレスポンスする。続く「すきにやる」も当然大合唱。観客のハイテンションな反応が、演者にさらに良いパフォーマンスを引き出させる。変態紳士クラブのライヴはいつもポジティヴなエネルギーが循環しているのだ。

ライヴの前半はオリジナルではメロウな楽曲も、よりグルーヴィでダイナミックにアレンジして演奏されていた。このあたりに変態紳士クラブの強みがある。バンドのコアにいるのは、今はプロデューサーであるが、これまでにキーボーディストとして数々のバンドのメンバーとして研鑽を積んできたGeG。フェスやホールといった大きな会場から、小さなライヴハウスやクラブにいたるまでさまざまな現場での演奏を経験してきた。当然、会場規模にあった音、セットリストの組み方、パフォーマンスの見せ方に至るまでを熟知している。さすがの経験値に裏打ちされた絶妙なさじ加減で、観客の気持ちをがっちりと掴んだ。

そして中盤では、変態紳士クラブというクルーのアイデンティティを歌う楽曲が披露された。WILYWNKAは「変態紳士クラブのモットーは、モラルとマナーはないけどルールはあるということ。VIGORMANはソロでレゲエをやってて、俺はソロでヒップホップをやってます。変態紳士クラブの根っこにはブラックミュージックがあって、それが俺らの芯になってるんです」と話す。そして「いまいろんなラップが流行ってて、細分化されたいろんなヒップホップがある世の中ですけど、今日はみなさんに”本物のラップ”を持ってきました」と続け、アルバム『PAUSE』から”Return Of The Rap”、”2020”をパフォーマンスする。歌の前にしっかりとテーマを説明するので、情報量が多いラップ曲でもしっかりと世界観を感じることができる。細かいがライヴの中ではとても重要なポイントだ。

VIGORMANは「変態紳士クラブの重要なポイントは俺らがただの友達っていうこと。変態紳士クラブを組んでもう3年くらいになるけど、今でも週3〜4は一緒に晩飯を食べてます。俺は友達は狭く深く付き合うのが良いとと思ってるんですよ。次はそんな数少ないホーミーズと一緒に作った曲」と前置きして、アルバム『SOLIPSISM』に収録された”A Few”を歌う。続く”HOME”はライヴの定番曲。GeGのソロアルバム『Mellow Mellow~GeG's PLAYLIST~』からのナンバーだ。「今後どうなっていくとしても、俺らはアホみたいな顔して、アホみたいな曲を、アホみたいに歌っています。仮の自分たちが思った通りの大人になれなかったり、世の中がおかしくなってお前に変える場所がなくなったとしたら、このステージを帰る場所だと思ってください。俺らはいつでもアホみたいな顔してここにおるから」というMCがまさにこの曲のテーマになっている。

次の”Vintage From Teenage”では10代前半からの親友であるVIGORMANとWILYWNKAの関係性を歌った。そしてアーバンなハウス曲”湾岸TWILIGHT NIGHT”を終えた頃には、軽く頭痛がするほど場内の空気は薄くなっていた。それほど観客はライヴを楽しんでいた。

しかし、さらに大きな盛り上がりが待っていた。なんと次は本邦初公開の新曲で、しかも春にリリースされる変態紳士クラブの2nd EPのタイトルトラックだと言う。その名は『HERO』。WILYWNKAが「みなさんは変態紳士クラブの部員ですよね? 俺らのライヴは参加型です。俺らがしゃがめって言ったら、みんなしゃがまなあかんし、飛べっていったらみんな飛ばなきゃダメです」といたずらっぽく予告して演奏がスタート。ファンキーな四つ打ちのナンバーに観客はバウンスする。そして間奏で、フロアの客を文字通り全員しゃがませてから一気にジャンプさせる。その瞬間、Studio Coastにドズンという衝撃が起こった。ステージとフロアの一体感がどんどん上がっていく。”Mayday”、”大人が言う”など、変態紳士クラブのライヴでは定番の人気曲が繰り出され、クライマックスへと向かっていく。

そこにスペシャルゲストの唾奇が登場。場内には驚きと喜びの絶叫が響き渡り、フロアは再び大きくうねり出す。曲はWILYWNKAのアルバムに収録された”Take It Easy”。「財布と頭ん中はからっぽ」「生理2日目の女みたいだな」などなど、パンチライン満載のパーティソングだ。変態紳士クラブのメンバーは記憶をなくすくらい酒を飲んで遊ぶという。この曲の客演である唾奇は、変態紳士クラブの沖縄支部長として紹介された。会場がざわついていると「1曲だけで唾奇に帰ってもらうのはちょっともったいないよね……」とVIGORMANが観客に語りかける。そして「今日はGeGもいるし、みんなあの曲が聴きたいよね?」と”Merry Go Round”がスタート。オリジナルでBASIが歌うサビは観客が合唱する。変態紳士クラブのメンバーが普段遊んでいる輪の中に、観客も一緒に入ってしまうような楽しくてあたたかいムードに場内は包まれた。

割れんばかりの拍手の中、素晴らしい余韻を残して唾奇がステージを去る。そして”オレンジ”、”See You Later”でライヴ本編の幕を下ろした。すると観客からはすぐさまアンコールの声が上がる。ライヴのお決まりとして言ってるといより、本当に「もっと聴きたい」と願っているようなコールだった。

まずバンドメンバーが先にステージに登場する。すると猛烈なGeGコール。バックバンドの中央にスポットライトが当たり、GeGがエレピを演奏すると、小さなシャボン玉が雪のように舞い落ち、フロントマンの2人もステージに帰ってくる。アンコール1曲目は”DOWN”。とびきりメロウな新曲を会場に舞い落ちる雪がロマンチックに演出した。そして最後の曲は変態紳士クラブのアンセム”すきにやる”のセルフリミックス。より壮大になった代表曲をみんなで合唱する。終盤には感極まったWILYWNKAとVIGORMANが抱き合うシーンも。2020年最初のライヴは、凄まじいスピードで成長する変態紳士クラブの現在を感じさせる素晴らしい内容だった。

彼らは春に2nd EP『HERO』、6月には福岡、名古屋、東京、大阪を回る『変態紳士舞踏会 “HERO” TOUR 2020』を開催する。

Info

変態紳士クラブ - 2nd EP『HERO』
2020年春頃リリース
”DOWN”、”HERO”などを収録予定

全国TOUR 『(仮)変態紳士舞踏会-“HERO” TOUR 2020-』
6/13(土) DRUM LOGOS(福岡) open 18:15/ start 19:00
6/19(金) BOTTOM LINE(名古屋) open 18:30 / start 19:30
6/25(木) Zepp Tokyo(東京) open 18:00 / start 19:00
6/27(土) Zepp Osaka Bayside(大阪) open 17:00 / start 18:00
※スタンディング ( 整理番号付き ) ¥4,500+1drink
※最速先行受付中 !
https://ticket.line.me/sp/hentai_tour

変態紳士クラブ "DOWN" MV
https://youtu.be/1CqjHhBnk_Q

DOWN」配信リンク
https://tf.lnk.to/down

related

『夏の魔物』の東京編に変態紳士クラブ、大阪編に釈迦坊主、Moment Joonなどが出演

8/30(日)にエスフォルタアリーナ八王子で開催される『夏の魔物2020 in TOKYO』と、9/6(日)に大阪・‬味園ユニバースで開催される『夏の魔物2020 in OSAKA』の追加発表が行われた。

変態紳士クラブが2nd EP『HERO』を4月にリリース

WILYWNKA、VIGORMAN、GeGによるジャンルレスユニット変態紳士クラブが、2nd EP『HERO』を4/30(木)にリリースする。

変態紳士クラブが2年ぶりの新曲"DOWN"をリリースしミュージックビデオを公開

WILYWNKAとVIGORMAN、GeGによるユニット変態紳士クラブが、1st EP『ZIP ROCK STAR」以来2年ぶりとなる新曲"DOWN"を昨日2/2にリリースし、ミュージックビデオも公開した。

most popular

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。