Nonameが「もう白人の観衆の前でパフォーマンスしたくない」と語る

先日、次回作のリリース後に引退することをほのめかしたシカゴのフィメールラッパーNoname。ファンとアーティストの関係性が不健全になってきていることが、その原因とみられているが、そんな中、彼女が「白人の観衆の前でパフォーマンスしたくない」と述べ、話題になっている。

事の始まりは先週木曜日の彼女のツイート。現在は削除されているものの、Nonameは自身のTwitterで「私がずっと作り続けているコンテンツは、主にリベラリズムに挑んでいるような人々よりもむしろ私のことを嫌うような白人の観衆に消費されている。なぜなら、Lizzoとかの楽曲が彼らの人種差別的な傾向を和らげているから」と投稿。自身の楽曲が主に白人のリスナー達に消費されていることに嫌悪感を示した。

その翌日の金曜日にも、彼女は「私の黒人のファン達は“主に白人(に消費されている)とはどういうこと?我々は貴方をサポートしているし、彼ら(白人)がライヴに行ったことがないってことを証明してる”って言ってる(現在は削除)」とツイートし、さらに続けて「皆、本当に黒人の人々が黒死病とか経済的な制約のせいで私のライヴに来られないっていう考えているの?DaBabyとかMeganとかSminoのライヴに全然黒人がいないように?私の曲が嫌いなら言って、そしてどっか行って笑(現在は削除)」と述べ、現代においては黒人のファン達もライヴに来ることが出来るはずなのに、実際には少ないことに疑問を呈している。

ここでNonameのファンの内の1人が、彼女の黒人のファン達はライヴに足を運ぶタイプではないのではないかと意見を投げかけたところ、「それは本当」と彼女は理解を示しながらも、「残念だけど、私はもう白人が圧倒的に多い観衆の前でパフォーマンスを続けることは出来ない。私には今2つのライヴのブッキングがあるけど、それが終わったら音楽を作ることに身を委ねる。皆ベッドから離れたくないでしょ、私もそう感じる。私は白人のためにステージでダンスを踊りたくない」と意見を譲らなかった。こちらのツイートも現在は削除されてしまっている。

そして、土曜日の朝、Nonameはまたしても自身のTwitterにて考えを述べた(こちらも現在は削除)。彼女は「白人はすぐに態度を変えるのが弱みだけど、私に愛を送ってくれる人達のことは全員見てる」と綴った後、「ほとんどの黒人のアーティストの何が面白いって、大多数の白人の観衆のために心地の悪いパフォーマンスをしていること。でも彼らはお金のために公に何かを言うことはない。これは必ずしも悪いことでは無い。なぜなら、彼らも食べていかないといけないから」と皮肉を交えてツイート。

最後に彼女は「私がライヴをやるとき、何千もの白人の人達が私に向かって言葉を叫ぶ。だけど、私は自分自身のアートを変えるつもりはない。@nonamebooksを見てね(現在は削除)」と投稿し、一連の非難ツイートを締めくくった。

かなり痛烈な批判を連投したNonameだが、実際かなり複雑な悩みを抱えているようだ。来年、『Factory Baby』と題した新作をリリースすると告知している彼女だが、果たして今後どのようなキャリアを歩んでいくのだろうか。

RELATED

Nonameが「トランプを史上最悪の大統領と呼ぶのは非生産的」と持論を語る

先日はJ. Coleの楽曲“Snow On Tha Bluff”を受けて発表したアンサーソング“Song 33”で大きな話題を呼んだNoname。Black Lives Matterムーブメントにおける自身の考えを明かしたことでオピニオンリーダーのような役割を担わされた苦悩も明かしていた彼女だが、今回、トランプ大統領について自らの持論を語ったことが話題を呼んでいる。

Nonameが「私はJ. Coleが言うような時代のリーダーじゃない」と苦悩を明かす

先日、J. Coleの新曲“Snow On Tha Bluff”の中でディスとも取れる言及を受け、それに対するアンサーとして新曲“Song 33”をリリースしたNoname。Black Lives Matter運動に十分にコミットすることが出来ない苦悩を明かしたJ. Coleに対し、NonameはJ. Coleによる自身に対する言葉が不当であること、また女性やトランスジェンダーが暴力を受けている現状を厳しく告発した(J. ColeとNonameのやり取りについての詳細はこちらのコラムを参照して頂きたい)。今回、先述の出来事を経たNonameが改めて自身の抱える苦悩を明かしている。

【コラム】Black Lives Matterが映し出すもの - NonameとJ. Coleについて -

日本でも各地でデモが開催されるなど、世界中で盛り上がりを見せているBlack Lives Matterの抗議運動。そんな中J. Coleがリリースした楽曲"Snow on Tha Bluff”のリリックが、抗議運動の急先鋒に立って動いていたNonameを揶揄していると話題になり、対するNonameも即座にJ. Coleへのリアクションも含んだ"Song 33"をリリースし、J. Coleの姿勢を糾した。

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。