【メールインタビュー】Jamila Woods|脆く、あるいは勇敢に

今年5月に約3年ぶりとなるニューアルバム『Legacy! Legacy!』をリリースしたシンガーのJamila Woods。シカゴで生まれ育った彼女の楽曲は詩的かつ自身のルーツやアイデンティティに深く迫ったもので、多くの人々の共感を呼んでいる。10/12(土)の東京・渋谷WWW Xでの来日公演も目前に迫る中、今回FNMNLでは彼女にメールインタビューを敢行。ニューアルバム『Legacy! Legacy!』はもちろんのこと、地元であるシカゴや詩人としての彼女についてなど様々な側面から語ってもらった。

取材・構成:Hironori Hayasaka

- まず、最新アルバムのタイトルである『Legacy! Legacy!』にはどういう意味が込められているのでしょう?

Jamila Woods - タイトルはシカゴの詩人Margaret Burroughsの詩から来ています。その詩は歴史上の偉大なアフリカ系の人々の名前を挙げ、彼らの遺産について語るものです。アルバムを制作する際、私は各曲のタイトルに含まれる人々が遺した物を讃え、彼らの遺産が人として、またアーティストとして私に与えた影響を示そうとしたんです。

 - アルバム収録曲のタイトルは全てあなたが影響を受けた詩人や画家の名前になっているそうですが、当初からこのようなコンセプトでアルバムを作ろうと考えていましたか?

Jamila Woods - 常にそのようなことを考えてきた訳ではないですが、私はよく他の詩人にインスパイアされて詩を書くんです。今回はそれを楽曲という形でやってみようと思って、それが1stシングルの“GIOVANNI”になりました。その後、私をインスパイアした詩人たちにちなんだタイトルの楽曲を作るためにどのようなアプローチがあるか知りたくなったんです。最初はEPになると思っていましたが、次第により大きなプロジェクトへと膨らんでゆきました。

 - タイトルに選ばれたアーティストたちに共通するものなどはあるのでしょうか?

Jamila Woods - 彼らは妥協をしない人たちで、私はそこにインスパイアされました。それが彼らの作品や人格に表れているかどうか、という所です。それらが皆、私が自らのアイデンティティを一つ一つ受け入れていくことを助けてくれたんです。

 - 今回のアルバムに収録された楽曲はほとんどSlot-Aというプロデューサーが手がけていますよね?彼とはどのように出会ったのでしょう?また、制作は二人でどのように進めていきましたか?

Jamila Woods - もともと彼と私には共通の友達が沢山いたんですが、彼が私にビートを送ってくれたことからコラボレーションが始まりました。彼が初めて送ってくれたビートのファイルから“GIOVANNI”、“FRIDA”、“MILES”、“MUDDY”が生まれたんです。私は彼が作るサウンドが大好きだったので、その後二人で直接会うようになりました。二人での制作はとても上手く行ったし、お互いから多くのことを学べたと思います。

 - 1stアルバムの『Heaven』と今作との間に繋がっている部分はありますか?

Jamila Woods - 私の詩人としてのバックグラウンドはどちらのプロジェクトにも強く表れていると思います。私は言葉というものに強くこだわっているので、多くの楽曲はリリックが非常に濃密なものになります。そして、それぞれ違った意味でどちらのアルバムも自伝的なものに仕上がったと思いますね。

- 今回のアルバムは前作よりも内省的な歌詞が多いようにも感じますが、1stから何か変化したことはありますか?

Jamila Woods - 長く書き続けることで、自分自身を表現することが上手になったんだと思います。2ndアルバムで成長出来たことは自分の中でクリアに感じますね。自分自身、そして自分の声がもっと好きになったし、そのことで『LEGACY! LEGACY!』の中では脆く、あるいは勇敢になれたんだと思います。また、私が尊敬する人々を楽曲のタイトルにしたことで、彼らから受けた影響に対し出来る限り誠実であろうとする姿勢になりました。

 - あなたはずっとシカゴを拠点に活動してきたわけですが、シカゴでお気に入りの場所、作品を作る際にインスピレーションを受ける場所などはありますか?

Jamila Woods - シカゴの歴史、黒人の歴史、家族の歴史など、自分にまつわる歴史を学ぶことから大きなインスピレーションを受けています。シカゴでは電車に乗ったり、近所の人やビーチにいる様々な人たちを見ることが好きです。

 - ちなみに、若者達にポエトリーを教えているそうですが、詩を書くことと普通のソングライティングとの間に何か違うところはあるのでしょうか?また、歌詞を書くときのこだわりなどは?

Jamila Woods - 詩を書くこととリリックを書くことの違いについては、未だに自分自身に対して問い続けています。まだ完璧に理解しているとは言えないですね。詩を書き始める時と、歌詞を書き始めるときのプロセスは違うんです。言いたいこと、描きたいことのきっかけとなる言葉やアイデアのようなものがあって、そこに構造的な制限を加えることで、私が表現したいことをクリエイティブに表現することが出来ます。

 - 日本に来る際にやりたいことや楽しみにしていることはありますか?

Jamila Woods - 私は日本のファッションが大好きなので、時間があれば色々なショップに行きたいですね。以前東京を訪れた時は博物館の展示を観に行ったんですが、それは私が今まで見た中で最高な物の一つです。

 - 最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

Jamila Woods - みんなに会えるのが楽しみです!日本でツアーをすることが夢です。私の音楽を聴いてくれて、ライブを実現させてくれてありがとう!

 

Info

WWW & WWW X Anniversaries "Jamila Woods"
日程:2019/10/12(土)
会場:WWW X
LIVE:Jamila Woods
DJ:16FLIP ←NEW
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:ADV ¥6,000 / DOOR ¥6,500 (税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
チケット:
■一般発売:8/24(土) 10:00
e+ / ローソンチケット[L:72345] / チケットぴあ[P:161-087] / WWW店頭 / iFLYER

公演詳細: https://www-shibuya.jp/schedule/011424.php

related

【インタビュー】ILL-BOSSTINO『KINGS CROSS』|ヒップホップを突き詰めていけば絶対にここに来る

THA BLUE HERBのILL-BOSSTINOとdj hondaがタッグでフルアルバム『KINGS CROSS』を完成させた。若いリスナーにとってdjhondaの名前は知らなくても「h」のロゴキャップは見たことがあるはず。その主である彼は1990年に単身渡米。ニューヨークのシーンで初めて実力を認められた日本人ヒップホップDJだ。そしてKRS-ONE、Common、Mos Def(Yasiin Bey)、De La Soul、EMPDなど90年代を代表するラッパーたちと共演してきた。

【Rappers Update Vol.5】guca owl (前編)

「guca owl」と書いて「グカール」と読む。もともとはowl kid(オウル・キッド)という名前で活動していたが、guca(ジー・ユー・カ)=自由化という意味を込めた文字を頭に付け、夜の世界に生きていたフクロウは大空へと羽ばたいた。

【座談会】SIMI LAB『Page 1: ANATOMY OF INSANE』 |10年目の青春、カオス、邂逅

国内のヒップホップ・レーベル、SUMMITが今年10周年をむかえた。そして、そのSUMMITが発足した2011年にファースト・アルバム『Page 1: ANATOMY OF INSANE』を発表したのが、SIMI LABだ。

most popular

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。