【メールインタビュー】N.O.S. | 東京で加速しつづける新世代レイヴプラットホーム

今年3月、始動から一年を迎えるレイヴプラットホーム/レーベルN.O.S. (Nitrous Oxide Systems)。これまでにDJ Seinfeldやbaltraなど海外から新鋭プロデュサーを招聘し東京でプラットフォームを確立していくとともに、Seoul Community Radioとパーティーを開催するなどアジアのダンスミュージックシーンの一角を担う存在となっている。

またレーベルとしても活動する彼らは、日々掘り下げていく中で身についた深い音楽の知識をもとに作り上げるトラックをアジアだけにとどまらず世界へ向けて発信しつづけている。

そして彼らは、今月23日にDenis Sulta、D. Tiffanyを迎えて設立1周年のパーティーをVENTで開催する。

そこでFNMNLでは、1周年のパーティーを控えるN.O.Sにメールインタビューを行い、これまでの活動について話を訊いた。

質問・構成:高田 崚

- N.O.S.(Nitrous Oxide Systems)がスタートして1年が経ちますが、この5人(Frankie $, KAZUHO, k_yam, Romy Mats and Kenchan)で結成することになった経緯を教えてください。

N.O.S. - 元々メンバーのKAZUHOとk_yamは渋谷にある小箱<KOARA>の現行レギュラーパーティー「REMEDY」のオリジナルメンバーとして2014年より活動を共にする仲で、そこではローカルコミュニティーの形成、トレンドを気にしない独自表現の場をテーマに活動をしています。2017年にRomy Matsがその『REMEDY』のメンバーに加入した頃、それまでの内向きなパーティーとは異なる外向きな発信活動を小箱を飛び出し、『REMEDY』とは全く別ラインでやってみようという流れになったのが事の始まりでした。そこに当時より『REMEDY』のメンバーともDJ共演が多く、音楽やパーティーについて頻繁に会って話す仲間であったFrankie $と、メンバーのVJを担当した経験も多く、異彩を放っていたKenchanも加わり、2018年4月6日のWWWβでのローンチパーティーを開催する流れになりました。

Photo by Jun Yokoyama

- 名前の由来を教えてください。

N.O.S. - なんとなく「略すと言いやすいけど、略さないとややこしくて覚えづらっ!」みたいな雰囲気の言葉をつけたくて、こうなりました笑 音楽関係ないですが。Nitrous Oxide Systemsはカーレース用の車などに"亜酸化窒素のガスを使用してガソリンの燃焼を促進するシステム"のことを意味するので、僕らも活動を通じてハイエナジーかつスピード感のある印象を与えていけたらいいなと思っています。

- メンバーの役割など教えていただきますか。

N.O.S. - 現在のN.O.S.は5人ともDJとして活動する他、各々が他の役割も担ってカバーし合いながら活動しています。

Frankie $: プロデューサー、楽曲リリースに関するレーベル運営のハンドリングを担当。

KAZUHO: プロデューサー、プロモーター、マネージャー業務を担当。

Kenchan: VJ、アートワーク、アパレル全般のヴィジュアル周りを担当。

k_yam: プロデューサー、システム周りの管理を担当。

Romy Mats: プロモーション全般を担当。

というような感じで、普段は各々が出来る事で貢献し合いながら機能しています。

- パーティーをオーガナイズすると共にレーベルとして活動していますが、ダンスミュージックシーンにおいてその2つを両立して行っているクルーは少ないと思います。どのような意識をして活動していますか。

N.O.S. - N.O.S.を始める時、DJパーティーのみの活動ではその先の活動イメージがしづらかったんです。そのようなカタチのパーティーは東京だけでも既に沢山存在するわけで。はじめは単純にパーティー以外のアプローチになればと思い、楽曲リリースやアパレル制作等のDIYな活動も行うレーベル・プラットホームとして始動しました。1年が経ち、パーティーだけでなくレーベルとしてN.O.S.のプロデュース活動にも注目してくださる方が増えたことや、海外との交流の中でも僕らのプロダクトが大きな発信材料になっていることを強く感じるようになりました。今はレーベル活動を通して、東京に縛られずに更に外向きな発信を意識し、いかに機能していくかがN.O.S.の一番のモチベーションになりつつあります。

- 「東京に縛られず更に外向きな発信を意識する」とありますが、そういったことを意識している理由を教えてください。

N.O.S. - 僕らは単に海外のアーティストを東京へ呼んでパーティーを行うことだけに価値を感じていません。パーティーを開催するにしても、ゲストの選択~ツアーアレンジング等のプロモーターとしての活動、企画・演出を極力自分らで決定し、行う過程においてN.O.S.に対する周囲からの信頼やブランド力、存在価値というものが生まれると思っています。そういった意識がこれまでのSCRとのコラボ、海外アーティストとのエクスチェンジパーティーなどの東京だけでは難しい活動にも繋がったと思いますし、今後レーベルとしても東京のみならず、より広い範囲でN.O.S.や、N.O.S.からリリースしたアーティストが注目してもらえる可能性になると考えているからです。

- これまでにKAZUHOさんやFrankie $さん、k_yamさんはEPをリリースしてきていますが、曲を作るにあたって、特にインスピレーションを受けているものなどありますか。

N.O.S. - 何でも聴き、毎日曲を掘っているので、「音」という面ではインスピレーションは色々ありますが、N.O.S.でリリースするものは100%フロア向けではないものも多く、基本的にパーソナルライフで刺激を受けた時に作ったものが多いです。また、全員に共通して言えるのはUKダンス・カルチャーをルーツに持っていることですね。アシッドハウス~90'sハードコアなどのレイヴ、ウェアハウスサウンド~トランス、グライム、ベースミュージックを含め、UKのダンスミュージック・カルチャー全てにリスペクトを持ち、影響を受けています。かといって単に昔の音楽を再現するわけでなく、常に新しさを求めながらアドバイスを交わし、リスペクトのある音作りを目指しています。

- これから先、N.O.S.のメンバー以外でも海外のアーティストがリリースすることなどありますか。

N.O.S. - 勿論そのつもりではいます。今はまだメンバーのみのリリースでレーベルカラーの定着を優先している状況ですが、今後は国内のみならず、同じようなビジョンを持ったアーティストのフックにも力を入れていきたいと考えています。最近は特に韓国を中心にアジアのアーティストやクラブなどと関係を築いているので、その辺りからスタートしてワールドワイドな発信に拡大していきたいと考えています。

- またN.O.S.のアートワークのデザインやアパレルなど、音楽と一貫してレイヴカルチャー的な雰囲気が感じられますが、特に影響を受けたアーティストなどいますか。

N.O.S. - 雑食気味なので様々なところから影響は受けているのですが、特にJohn WhitneyとBill Kouligasを尊敬しています。

- 最近ではDJ SeinfeldとSeoul Community Radioを招いたコラボパーティーを開催していましたが、いつもとブースの位置を変更しhuezのライティングを取り入れてました。普段東京では味わえないようなパーティーになっていたと感じましたが振り返ってみてどうですか。

N.O.S. - まずDJ Seinfeldのブース内での存在感、プレイスタイルを生かした演出をしたいと考えました。レイヴィーなプレイスタイルにシフトしていたDJ Seinfeldが映えるようにフロアとの距離感、フリーダムなフロア作りにこだわり、当日はあのようなセッティングになりました。SCRは、以前からN.O.S.と交流があり、彼らも長らく東京での企画を望んでいたこともあり、ここだ!と思い今回声をかけました。振り返ると、huezのライティング、KenchanのVJ演出の絡み合いも素晴らしかったし、エネルギッシュな曲も多くかかり、ブース後ろでも沢山の方が踊ってくれたりと、今時の東京では見れないハイエナジーかつフリーダムで新鮮な画を作れたと思います。今後もパーティに合わせて演出面でもN.O.S.のこだわりを表現していけたらいいなと思います。

Photo by Jun Yokoyama
Photo by Jun Yokoyama

- 去年6月にはSeoul Community Radioに出演、DJ Bowlcut主催のレーベルhazed&confuciusからリリースするなどソウルとの関係性はより密接的になっていると思います。またアジアの各主要都市に設立されているCommunity Radioが東京でもローンチされるなどよりアジアのダンスミュージックシーンが注目される環境へと変化していますが、アジアのコミュニティにおいてN.O.Sはどのような役割を果たしていきたいと思いますか。

N.O.S. - アジアにはN.O.S.と近い感覚を持ったローカルシーンを支えるプロモーターチームやレーベル、アーティストが各所に存在しています。N.O.S.のパーティーにも出演したソウルのDJ Bowlcutや<Contra Seoul>のShinsとは日頃からソウル-東京間の情報交換を行なっています。また、N.O.S.は自分らでプロモーター活動やツアーアレンジングを行うことが多く、これまでに海外アーティストのツアーシェアをソウルと数多く行ってきました。そこで築き上げてきた互いの信頼関係やリスペクトが少しでも互いのローカルシーンにも良い影響が出ればいいなと思うと同時に、今後の楽曲のリリースも含め、東京だけでなくアジアのダンスミュージックシーンの可能性や視野が広がるための燃料としての役割を果たしけたらと考えています。

- そしてN.O.S.1周年の設立記念パーティーではDenis Sulta を招聘しますが、Denis Sulta Boiler Room x AVA Festival DJ SetやDenis Sulta @ Cité du Train for Cercleを見ると、これまで呼んできたアーティストとは違ってよりエネルギッシュなハウスミュージックをプレイするDJだと思います。1周年の節目でDenis Sultaを招聘するきっかけとは何でしょうか。

N.O.S. - 確かに。これまでのゲストに限らずDenis Sultaは、世界中のハウスDJ全体でみてもキャラが確立しているし、卓抜していますよね。僕らもDenis Sultaのここ数年のスターダムに駆け上がる姿を追ってきて、N.O.S.としても注目せざるを得なかったですし、常に話題の中心に彼はいました。Boiler RoomやCercleでのプレイ映像を見た方は分かってくれると思いますが、あんなにスター性があってブッ飛んだDJはこの先も中々現れないと思います。現行ダンスミュージックシーンの新スターであり、今1番アブラの乗った暴れん坊のDenis Sultaが何を東京で見せてくれるのか僕らも当日までのお楽しみ状態です。そして今回はN.O.S.の設立1周年として、カナダより急上昇注目株D. Tiffanyも招聘します。誰よりも楽しむ!くらいの意気込みで僕らが正面からDenis Sultaに真っ向勝負する姿をお楽しみに沢山の方に遊びに来ていただけたら嬉しいです。

-またカナダ・バンクーバーより気鋭プロデューサー D.Tiffanyも共演しますが、彼女も一年前からレーベル 〈Planet Euphorique〉をスタートさせました。N.O.S.も設立一周年を迎えるにあたって彼女を招くことに何か特別な思いはありますか?

N.O.S. - 元々DJ ZOZIや盟友NapとのユニットAmbien Baby名義の作品も含めて彼女の緻密に作り込まれた危険性の高い音作りが好きで、DJスタイルにもどこかN.O.S.の雰囲気と近いものを感じていました。また、独自のエレクトロムーブメントを起こす現在のバンクーバーシーンそのものにも興味がありますし、N.O.S.やDenis Sultaと同じ平成生まれであり、今のバンクーバーシーンを牽引する大本命注目株ということで、今回の来日に関して僕らもプロデューサーとしても、DJとしても良い刺激をもらえるんじゃないかと非常に楽しみにしています。ちなみにN.O.S.の1st アニバーサリー前日の3月22日に韓国ソウルのクラブ<Contra Seoul>にてN.O.S.のレジデンシーパーティーを開催するのですが、そこでもD. Tiffanyをゲストに迎え共演することが決定しています。

- 最後に今後の目標など教えてください。

N.O.S. - レーベルとしては海外流通を視野に入れたフィジカルのリリース、国内外のアーティストのフックアップを意識した動きを本格化していくこと。パーティーとしては東京という地にこだわらず、音楽、演出、アパレル等、広範囲にアプローチしながらN.O.S.独自の創意工夫のレーベルカラーを発信していくことを目標に活動を続けていきたいです。

INFO

Denis Sulta & D. Tiffany at N.O.S. 1st Anniversery

Date : 2019/3/23 (Sat)

Venue: VENT

Open: 23:00

Door: ¥3500

FB discount: ¥3000

[FB event page: https://www.facebook.com/events/497844290660129/]

ADV: ¥2500

[ADV ticket outlet: https://jp.residentadvisor.net/events/1220992]

Line up:

[ROOM1]

Denis Sulta

D. Tiffany (Planet Euphorique)

N.O.S. DJs (Frankie $, KAZUHO, k_yam, Romy Mats)

LIGHTING: MACHIDA (LSW)

VJ: Kenchan

[Room2]

Seimei (TREKKIE TRAX)

LITTLE DEAD GIRL

shunhor (breathless)

Pocho in the House (Remedy)

Bugoctet (Eclipse)

 

Date : 2019/3/22 (Fri)

Venue: Contra Seoul

Open: 23:00

Door: 20000KRW

Line up:

D. Tiffany (Planet Euphorique)

Frankie $ (N.O.S.)

KAZUHO (N.O.S.)

Seohyun

 

 

RELATED

【ミニメールインタビュー】釈迦坊主|TOKIO SHAMANに向けたインドからの手紙

"耽美系エモトラップ”という枠組みを作ったとしても収まりきらない、謎に満ちたスタンスで活動を続けるラッパー釈迦坊主。渋谷WWWで5月に行われるイベント「TOKIO SHAMAN vol.5」に向けた意気込みを訊くためにメールインタビューを行った。すると本人はインドにいるという。旅行中の合間を縫って、簡単な質問の返信をもらった。また、彼の感性に近付くために、Spotifyのプレイリストも預かったので、イベント前に御一聴を。

【インタビュー】Chaki Zulu|満足していないと次のステップには進めない

YENTOWNをはじめとするアーティストたちにビートを提供するだけにとどまらず、緻密なディレクションによって作品を作り上げるプロデューサーChaki Zulu。

【鼎談】角舘健悟 (Yogee New Waves) × VaVa × VIDEOTAPEMUSIC 『Erection』 | 異色混交の宴を前に

2014年7月のcero×SIMI LAB×PUNPEE、2017年6月のスチャダラパー×never young beach×ZOMBIE-CHANG。これまでにもさまざまな場所で熱狂をメイクしたパーティー〈Erection〉主催の3ウェイ・ショーケースが約2年振りにバック・アゲイン。今回、ヴェニュ...

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。