T.Iが『Trap Muzik』がリアルなドラッグディーラーを描いた先駆けの作品だったと語る
T.I.といえば以前Gucci Maneとどちらがトラップを発明したのかという論争を繰り広げたことは記憶に新しい。
この議論は最終的に結論が出ることはなかったが、いずれにせよT.I.が今から15年前に発表したアルバム『Trap Muzik』が今のシーンに大きな影響を与えたことは言うまでもない。
今回T.I.はNoiseyのインタビューに登場。『Trap Muzik』について語った。
「俺が思うに、あれは1つの時代の始まりだったんだ」T.I.はまずこう述べた。
彼は続けて、「あの頃は、誰も今世界で何が起こっているのか知らなかった。『Trap Muzik』は人々に毎日何が起きているのかを知らせる為に作ったんだ。あれは人間の人生についてのアルバムなんだ。映画に出てくるキャラクターなんかじゃなくて、両親と暮らしている実際の人々についてのね。俺は『Trap Muzik』を作ることで人々にドラッグディーラーのことを気にかけて欲しい、そして俺らを人間として見て欲しかったんだよ。『Trap Muzik』は『Boyz n the Hood』みたいな感じだね。他のラッパーの作品は『Scarface』か『New Jack City』って感じだったけど」
と話す。要するに、『Trap Muzik』は『Scarface』や『New Jack City』のような非現実的な映画ではなく、『Boyz n the Hood』のような日常を描いた映画に近いというわけだ。
その当時は『Scarface』や『New Jack City』で描かれているドラッグディーラー像が人々に定着しており、実際に街で起きていることを誰も知らなかった。このような状況を打破するために、自身もドラッグディーラーとして生計を立てていたT.I.は、その日常を描いた『Trap Muzik』をリリースしたのである。
ヒップホップとドラッグは切っても切り離せない関係にあり、その現実を表現した『Trap Muzik』がクラシックと呼ばれるのはある意味必然なのかもしれない。
ちなみに、T.I.は『Trap Muzik』がリリースされてから15周年たった今年、新作『The Dime Trap』をリリースするとアナウンスしていたが、結局まだ発表されていない。リリースはいつになるのだろうか。