【インタビュー】Kehlani | オープンな愛が最も大事なもの

今年アルバム『SweetSexySavage』をリリースしたカリフォルニアのシンガーKehlaniが、8月に開催されたサマーソニックで初来日を果たした。

Kehalaniは2016年は大きな精神的危機を経験したが、『SweetSexySavage』では影響を受けた90~00'sのR&Bをモダンなサウンドにアップデートした、力強い楽曲で見事に復活を果たした。

またアンドロジニー(*性別を超えた存在)ということも公表しており、LGBTQ差別とも戦うKehlaniに、そのルーツや新作などについてメールインタビューを行った。

- サマーソニックでのライブは素晴らしかったです。”Undercover”の前にLGBTQコミュニティーのためにと、メッセージを話していたのが印象的でした。あの曲はどのように生まれたのでしょうか?

Kehlani - ビートをもらった時に、かなり面白いフックだと思ったのがこの曲のはじまり。この曲のコンセプトは、セクシュアリティていうのがすぐ頭に浮かんだの。とてもいろんなことに活発的な世の中だけど、性に関しては、まだまだ戦わないといけない課題がたくさんある。その中で、今一番戦わないといけないといけないLGBTコミュニティーをサポートしようと思ったの。オープンに自分が心から愛している人を愛し続けることがなによりも大事だし、若い子たちに性について、“FUCK IT, in the faces that don’t want to see it happen”って前向きに思ってほしいなって思って書いた曲が“Undercover”。

 

-『SweetSexSavage』ではこれまでよりも力強いKehlaniというアーティスト像を表現しているかと思いますが、よりポジティブな方向に振り切れたのはなぜですか?

Kehlani - 私は結構感情的で、アップダウンがあるほうだけど、常に自分がもし逆境に直面していることに気づいたら、とりあえずその現実を受け入れて対抗する方法を見つけては、その出来事に対して悲しくなったりするのではなくて、笑って前向きに過ごしてしのぐって感じかな。

- アルバムには、90年代~00年代のR&Bのサンプリングが多く使用されていますね。こうしたサウンドが使用されることになったのは、なぜでしょうか?

Kehlani -  音楽制作している段階で、聴いてたら自然に影響受けて使用することになったって感じ!

- 影響を受けたR&Bシンガーは誰でしょうか?やはりAaliyah?

Kehlani - とても影響を受けたアーティストはHiatus Kaiyote。彼らは他と違う。音楽以外のことでもかなり活躍してるし、音楽的にも他とは比較もする必要がないくらい違うとおもっている。

- 生まれ育ったオークランドはアーバンミュージックが盛んな街ですよね。子供の頃はどのような音楽を聴いてきましたか?

 

Kehlani - 私はネオソウル系の曲をたくさん聴いていた。オークランドには何事にも動じない、とっても強い女性も男性も多かったからたくさんインスパイアされてきた。

- いれているタトゥーにはそれぞれ意味があるということなんですが、どのような気分の時にタトゥーを入れたくなりますか?

Kehlani - 個人的には、物理的な見た目とかは重要ではないと思っていて、重要なのはソウル(魂)とスピリット(精神)を私なりに物理的な形=芸術で表現しているから時と場合によるかな。

1339150

昨年いろいろありましたが、今はSNSとの距離感はうまくとれていますか?

Kehlani - 実は、また最近Instagramを再開したよ。自分のことよく知っているから言えるけど、私っていつもはじめたり、やめたりって繰り返すタイプだから。 自分の心を尊重し、維持するためにはソーシャルメディアがなくてもいいって思っただけ。長い間、見て分かるように初めて多くの人のエネルギーと人生を受け入れることなんてなかったし、その時は自分に余裕がなかっただけであって、一度ソーシャルメディアから離れてからは世界観が変わったかな。自分は100%存在していたけどね。

- 普段はベジタリアンなんですよね、日本でなにか美味しいものは食べましたか?

Kehlani - そうね。まず、私はベジタリアンではなく、ビーガンよ。だから、あまり日本ではたくさん食を楽しむことができなかったかも・・・。日本食はたくさん楽しめるものもあると思うけど・・・。でもたくさん醤油ラーメンは食べた!すごくおいしかった!

- ファッションも常にオリジナルなスタイルですよね、いま気になっているのはどのようなアイテムでしょうか?

Kehlani - 長い間アンドロジニー差別と戦いながら、いろんな服を試してきたけど、正直言えば、男物の服の方が好きかな。日本はファッションの中でもかなり多くインスピレーションを受けた!だから、たくさん買い物をしたよ。もっと日本のファッション界と繋がりたいなって思った!

Kehlani

- また日本に戻ってくるときに行ってみたい場所などはありますか?

Kehlani - 次に日本に来たときは都心ではないところに行きたいかな。いわゆる、カントリーサイドに行って日本の農産物に触れてみたいかも!私、実は農業に結構興味があって、日本は農業が凄いって聞いてるから絶対次は行きたいと思う!

Kehlani -

 

RELATED

【インタビュー】maya ongaku 『Electronic Phantoms』| 亡霊 / AI / シンクロニシティ

GURUGURU BRAIN/BAYON PRODUCTIONから共同リリースされたデビュー・アルバム『Approach to Anima』が幅広いリスナーの評価を受け、ヨーロッパ・ツアーを含む積極的なライブ活動で数多くの観客を魅了してきたバンド、maya ongaku

【インタビュー】Minchanbaby | 活動終了について

Minchanbabyがラッパー活動を終了した。突如SNSで発表されたその情報は驚きをもって迎えられたが、それもそのはず、近年も彼は精力的にリリースを続けていたからだ。詳細も分からないまま活動終了となってから数か月が経ったある日、突然「誰か最後に活動を振り返ってインタビューしてくれるライターさんや...

【インタビュー】Tete 『茈』| 紫の道の上で

長崎出身で現在は家族と共に沖縄で生活するTeteは、今年3枚の作品を連続でリリースした。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。