Kendrick LamarがTDEのスタジオルールや妹にトヨタ車をプレゼントしたことなどを語る
4/14に4枚目のアルバムとなる『DAMN.』をリリースしたKendrick Lamarが、LAのラジオ局Power 106の番組『The Cruz Show』に出演した。
7月から始まる『THE DAMN. TOUR』を控えているKendrickは、同ツアーへの思い、先日話題になったTDEスタジオ内のルール、故2Pacと比較されること、高校を卒業した妹へのプレゼント、Twitterでの思わぬ失敗、そして6月20日に急逝したMobb DeepのProdigyについて話している。
TDEのスタジオ5箇条を書いたのはKendrick?
先日、Kendrickと同じくTDE (Top Dawg Entertainment)所属のラッパーScHoolboy QがSnapchatにポストしたことで話題になった、TDEのスタジオにおける5つのルール。これを書いたのは、なんとKendrickだという。
TDE's studio rules deserve to be carved into tablets of stone pic.twitter.com/PqfI2ikAi9
— andy (@aboynamedandy) 2017年6月6日
「俺が書いたんだけど、よく見ると全部(ScHoolboy) Qのために書かれてるよね、Qのウィードに触れちゃいけないとか(笑)。(Kendrickにとって2枚目のアルバムである)『good kid, m.A.A.d city』の頃だったと思う。スタジオに来てヴァイブやエナジーをぶち壊す通りがかりの人がいっぱいいたから、どうにかしなきゃと思って(書いたんだ)」
『DAMN.』の制作にあたっては、そのスタジオに寝袋を持ち込んでいたそうで、Kendrickをはじめとする制作陣の本気度が窺える。
「俺がJAY(-Z)やEm(inem)に対してそう思ってたように、俺のスポットを狙ってる奴がいっぱいいるからね。JAYやEmの目を見ると今でも情熱が感じられるでしょ。俺も満足するわけにはいかないんだ。結局のところ、これは俺ら自身のためじゃなくて、究極的には世界のためだから、110%投入しなきゃいけない。」
さらに、リスナーが聴く環境での音の鳴りを試すべく、プロデューサーのSounwaveらと共に、いくつかのバージョンを制作してドライブしながら試聴する、といったプロセスも踏んでいたのだとか。Kendrickの言う「110%」は単なる誇張表現ではなさそうだ。
『DAMN.』ツアーも110%
7月7日にカナダのケベックシティから始まる『THE DAMN. TOUR』を控えているKendrick。同ツアーにかける思いとは?
「これに向けて長いこと準備してきたんだ。ファンがアルバムだけじゃなくて、ヴィジュアルな体験をできるようにね。Travis (Scott)も素晴らしいし、D.R.A.M.も素晴らしい。あともう少しサプライズも用意してるよ。ステージも音楽と同じで110%じゃなきゃいけないんだ」
ちなみに、そんなKendrick自身にとって初めてのショウは、コンプトンはルーダーズ・パークにて行われた故Eazy-Eのミニライブだったという。それから20年以上経ち、今度はKendrickが出身高校で音楽のプログラムに参加したり、地元のベスト・バイにてCDのサイン会を開いたりするまでになった。前者についてはお気に入りの出来事の一つだとし、後者については以下のように語っている。
「俺だけじゃなくて、俺の音楽への献身を示してくれたから、あれもお気に入りの出来事の一つだね。みんな炎天下で8時間も待ってくれたから、俺もトイレや食事のために休憩するわけにはいかなかった」
2Pacと比較されることについて
子供の頃、父親に肩車されて2Pacの"California Love"のMV撮影現場を見たというKendrick。Pacについては、夢で会い「音楽を死なせるな」と伝えられたことを明らかにしていたり、『To Pimp A Butterfly』に登場させていたりと、Kendrickに最も大きな影響を与えた人物の一人であることは間違いなさそうだ。番組の後半でも、90年代のお気に入りの曲として"I Get Around"を挙げている。賞賛を込めて「次の2Pac」と称されることもあるKendrickだが、本人はどう受け止めているのだろうか?
「重荷だよ(微笑)。嬉しいけど、俺は俺自身でありたい。俺にできるのは、彼が遺したアイディアや刺激や知識を自分自身に当てはめて、ステージに立って何かを伝えようとしている次の子供たちに受け継ぐことだけだ」
妹へのプレゼントと人々の反応
Kendrickの妹Kaylaは今年高校を卒業し、Kendrickからトヨタのカムリをプレゼントされたことを嬉しそうにSNSで報告していた。
Thank you big brother for my graduation gift! ❤️ @kendricklamar
Kayla Duckworthさん(@silnovia)がシェアした投稿 -
お世辞にも高級車とはいえないカムリをプレゼントしたKendrickをケチだと非難する声が挙がったことに対しては、次のような反応を示している。
「笑いが止まらなかったよ(笑)。免許も持ってない16歳にランボルギーニをプレゼントしろって(笑)? 彼女はまずちゃんと運転できるようにならなきゃいけないんだ。それに、まずは物の価値を分かってほしい。最初から高級車に乗ったら自分を傷つけてしまうかもしれないし、自分の立場を忘れてしまうかもしれない」
どれだけ稼いでも庶民の感覚を忘れない、さすがは「HUMBLE.」なKendrickといったところだろうか。ちなみに彼自身が初めに運転した車は、アルバム『good kid, m.A.A.d city』の表紙にもなっているお母さんのヴァンと、お父さんが保有していたスーサイドドア付きの92年式キャデラックだそうだ。
キャリアを台無しにしかけたツイート
Interscope Recordsの創始者ジミー・アイオヴィンとDr. Dreを追った4部作のドキュメンタリー『The Defiant Ones』が、米国のHBOで7月9日から放映される。これを一足先に観る機会を得たというKendrickは、同作について「Dreやジミーについて知らないことがたくさんあって度肝を抜かれた」と話している。
中でもホストのCruzが興味を示しているのが、Dreが30億ドルの契約を台無しにしかけたという話だ。規模こそ違うものの、Kendrickも同様の経験をしたことを打ち明けている。
「XXL誌の表紙に載る時、興奮して同じような経験をしたよ。あの頃はTwitterがデカかったんだけど、子供だった俺は興奮して発表しちゃって、まだ発表前なのにみんな知ってるって状況になったんだ(笑)。(XXLの人たちは)怒ってただろうな」
Kendrickがこれまでに幾度となくXXL誌の表紙を飾ってきたことから察するに、大事には至らなかったようだが、彼もこんなミスをするとはなんだか微笑ましい。
カンフー・ケニーの真実
番組の終盤、瓶から紙を取り出し、そこに書かれている質問に答えていくKendrick。「換金した小切手で一番高かったものは?」という質問はパスし、「ヒップホップ界の誰かに感謝の手紙を書くなら誰宛?」という質問には「DreとSnoop (Dogg)」と回答する("Nuthin’ But a G Thang"が初めてリリックを憶えた曲なのだとか)。そして、3枚目の質問を引き当てたKendrickは、思わず苦笑する。その質問とは…「(カンフー・ケニーを自称しているけれど)本当にカンフーのことを知っているの?」
「知らない」のだそうだ。
Kendrickが語る故Prodigyの魅力
BET Awardsの授賞式で、6月20日に急逝した「クイーンズの悪党」ことMobb DeepのProdigyに哀悼の意を表したKendrick。彼が2003年にリリースした作品は『Y.H.N.I.C.』(“Youngest Head Ni**a In Charge”の頭文字)と題されており、Prodigyの影響を多分に受けていたことを窺わせるタイトルとなっている。"Shook Ones, Pt. II"のビートでフリースタイルを終えると、彼の魅力について以下のように語った。
「Prodigyはクラシックなバースをいくつも持っていて、俺はずっとそれをリスペクトしてた。彼は曲で人を怖がらせるような攻撃性を持ってたけど、同時に実は家族思いだし、モラルがあって信心深くて、ストラグルを経験してきた人なんだよね。天国で安らかに眠ってくれ、Prodigy」
奧田翔(おくだ・しょう)
1989年3月2日宮城県仙台市出身。会社員。8月9日の『DAMN.』ツアー@ステイプルズ・センター、行きます!