ラップよりも他の音楽ジャンルが薬物の使用を促すという研究結果
ポップスやロック、ジャズ、エレクトロニック、フォークなどのジャンルがラップよりもドラッグの使用を誘発させる音楽だと、ヘルスケアを中心に扱うメディアAddictionが報じた。ラップのリリックにドラッグの表現が少なくなっていることがその結果に至った大きな要因だ。
ドラッグを誘発するジャンルは「ラップと最近のエレクトロニック」という認識は多い。しかし研究者は今回の研究で「双方のそのようなスタイルはすでにリスナーには効かなくなってきた」と指摘。その証拠にリリックにドラッグについての言及があるラップ曲はフォークを下回る1.3%という結果となっている。
薬物は危険という一般意識がカントリーミュージックのリスナーにはあるが、しかし、カントリーがドラッグへの言及が最も多いジャンルだった。ラップ以外のジャンルでのドラッグを言及する楽曲が増えていると研究者は指摘する。
APIのSongMeaningsによると、ドラッグに影響を受けた楽曲は70年代から2000代中頃にかけて数多く量産されてきた。その後の90年代初めから2013年にかけては減少傾向にあり、現在ではアーティストのドラッグに対する印象が変わったように思える。その中で全体で最も使われていたドラッグがマリファナで30%、次にコカインが22%と続き、その他ピルやメタンフェタミン、ヘロインなどがランクインしている。
研究者のLogan Freedmanは研究結果から「90年代に今までにないほど巨大なドラッグカルチャーがラップミュージックに浸透し始めた」と分析する。多くのアーティストが以前にも増してドラッグについて言及した楽曲を作る背景にはマリファナがアメリカで一般的に使用されているところにある。
ドラッグという言葉で想起するイメージはジャンルごとのリスナーで違う。ましてや、音楽を深く掘り下げない人にとっては尚更のこと。研究者はこの違いはラップのリスナーにとってドラッグを言及した楽曲は他のジャンルとは違った印象を与えているからだという。
最もドラッグに言及しているリリックを量産しているのは誰か。同研究ではEminem、Lil Wayne、Jay Z、Tech N9ne、Too Short、Bone Thugs-N-Harmony、Redmanなどの90年代後半から2000年代初期の作品などが選ばれている。
ラップ=ドラッグミュージックという認識はサウスのサウンドが支配的になるにつれ、大きなものとなってきたがその認識を覆す研究結果といえるだろう。(野口耕一)