オックスフォード大学が14億円をかけて大麻の医療成分の抽出を目的とした研究プログラムを開始する
イギリスの名門大学オックスフォード大学がおよそ14億円を投資して医療大麻の研究プログラムを開始することが明らかになった。
アメリカなどの国では医療大麻の解禁が進んでいるが、大麻にはパーキンソン病や慢性疼痛などの緩和、メンタルヘルスなどに効果があると考えられている。しかしながらイギリスで大麻はクラスBのドラッグに指定されており、配布、所持も違法とされている。
オックスフォード大学が立ち上げたプログラムでは、大麻から医療効能のみを抽出し、新しい治療方法として使用できるかどうかを研究する。
プログラムのメンバーであるZameel Cader博士はこのプログラムで被験者にジョイントを吸ってもらうということはないと説明する。プログラムでは大麻に含まれるあ化学物質であるカンナビノイドの研究が行われる。カンナビノイドのうちどのような成分が病気の治療に役立つかどうかを調査する。
「大麻の吸引は望まざる副作用を引き起こすのが問題。若い時に大麻の吸引をすると統合失調症のリスクが高まる。だから精神病のような副作用を起こさないものを抽出することがプログラムの目的だ」と博士は語る。もちろん抽出が実現するとそれを薬として治療に有効利用する可能性もでてくる。
ここ数年、アメリカのいくつかの州では医療用大麻の解禁が進んできた。スタートレックで有名な俳優パトリック・スチュワートも関節炎の緩和のために大麻を使用してきたことを公表した。2年間米ロサンゼルスで医療の手段として大麻を試してきたが、イギリスでは未だに医療大麻は認められていない。合法化するには法律や規制、治療などの面での研究が必要となる。
しかしながら、医療大麻の解禁は嗜好用大麻の解禁につながるのではないか?とCader博士は問われたが、「この研究は医療目的であり、快楽や陶酔のようなものの研究ではない。私たちが作ろうとしているものが嗜好用のカンナビノイドになるかどうかは分からないし、他のメンバーがそのようなことに興味があるのかどうかも知らない」と答えている。