G-Dragon、ZICO、hyukoh…韓国のトップアーティストたちが手がけるソウルファッションウィークのコレクションミュージック

Photo by horie yuri

初回ではSHINeeの、コンサートでのアートコラボレーションの世界を紹介しましたが、今回は近年大きな盛り上がりを見せているソウルファッションウィークと、それにまつわる韓国のアーティストについてご紹介したいと思います。

 

ファッションウィークといえば、一般的にパリやニューヨーク、ミラノが有名ですが、近年K-POPの台頭と共に韓国ブランドも注目を集め、ソウルファッションウィークも、日本のメディアでも取り上げられる機会も多くなりました。先月末も2017S/Sコレクションが、東大門デザインプラザにて盛大に開催されました。

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実際私も、日本で数回ほど、韓国ブランドのPOP-UP STOREの開催を手伝いましたが、韓国ブランドの日本進出もここ数年で相次ぎ、日本でも韓国ブランドを購入する機会や、見る機会も増えてきたのではないでしょうか。

ソウルファッションウィークも同様で、私が初めて行ったのは2012年ですが、当時は現在のような盛り上がりはなく、外国から観に来るような人もなく、韓国国内でも一般人というより、ファッション関係者やファッション学生のみが観に行くような感覚でした。

その後会場を戦争記念館、汝矣島IFCモール、そして現在の東大門デザインプラザに変更し、会場のキャパも徐々に大きく、そしてイベントとしても規定なども大きく変更され外部からの来場者を多く集めるようになりました。

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最近では、韓国アイドルや歌手が来場することも有名で、また韓国ではのきなみファッションモデルが芸能人のような人気を誇っていて、そして90年代の日本さながらの空前のSNAPブーム(といっても形態は雑誌ではなくWEBサイト)が後押しして一気にお祭りのようなムードのイベントへと変化しました。

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ファッションショーを見る・見ない関係なく、ここ一番のおしゃれをして、スナップを撮られに会場にくる一般客や、逆にここでフォトグラファーとして名をあげようとする人、有名人を見ようと集まるファン、そしてこのお祭り騒ぎを見に行く外国からのメディアや ゲストを含め、一同が楽しむフェスティバルなムードは、東京のそれとはまた違った雰囲気となっているのではないでしょうか。

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そして、ここまで盛り上がるようになった一因ともいえるのが、やはりK-POPとの関係性でしょう。日本よりも、アイドルや著名人の着用した服がいち早くネットに情報があがり、着用商品が一気に人気になる文化が、未だに息づいているのも影響しているのか、ファッションショーにも多くの著名人がゲストとして招待されます。

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SHINee Key
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MYNAME インス
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俳優ユ・アイン
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VIXXラビ

日本からもモデルの秋元梢が来場していました。

秋本梢
秋本梢

そういった中で、前回のコラムのように、ブランド側がアイドルの衣装を製作することもあれば、逆にアーティストが、ブランドのコレクションミュージックを作成している例も多くあります。

日本でもサカナクションの山口一郎が、アンリアエイジのコレクションミュージックを担当したことが話題になっていましたが、韓国でも多くのアーティストが、ファッションショーの音楽を手がけています。

アーティスト自身の楽曲と一味違ったイメージの楽曲を作ることも多く、また有名ブランドが新進気鋭のアーティストをいち早く起用することも多いので、ソウルコレクションにおいて音楽というのが、一つの大きな注目ポイントとなっていると思います。

前置きが長くなりましたが、今回はそんな今こそ注目すべきソウルファッションウィークでの、アーティストが製作したこれまでの歴代のコレクションミュージックを、いくつかご紹介致します。

まずはK-POPアーティストの着用が多く、韓国の大学生の間で犬のイラストトレーナーが大流行したbeyond closetというブランド。

このブランドでは、2015SSにBlock.BのZICOが音楽ディレクターとして参加しており、ヤンキーコンセプトに合わせて、ソロ曲"Tough Cookie"を始め、Block.Bの楽曲をリミックスした楽曲が披露されました。このコレクションは、ソウルコレクションだけでなくニューヨークコレクションでも同様に開催され、アイドルでありながらも音楽ディレクター・プロデューサーとしての才能にも改めて注目が集まる出来事となりました。

 

さらにランウェイにはWINNERのミノとスンユンが歩くなど話題になったコレクションです。

また音楽的に印象的なショーといえば、2014S/SのSteve J & Yoni Pのコレクションです。Steve J & Yoni Pといえば、韓国では有名な夫婦のデザイナーのブランドです。このコレクションでは、日本でも来日公演を行ったHI-LITE RECORDSのラッパー・Paloaltoがライブしながらショーが行われました。今でこそ空前のヒップホップブームで有名ですが、当時私はこれをきっかけにPaloaltoとHI-LITE RECORDSの音楽を聴き始めました。そのくらいコレクションと楽曲がよくマッチしたショーだと思います。

 

そして、今見返すとモデルを務めるのが現在は俳優のイ・ヒョクス、イ・ソンギョン、ホン・ジョンヒョン、アン・ジェヒョン…となんと豪華な顔ぶれのコレクションでしょうか…。
このようにモデルとして注目を集めた人が俳優・タレントとして活躍するようになることも多く、(日本と同様ですね)モデルの最前線を知ることが韓国芸能の最前線ともいえるので面白い点かと思います。

Steve J & Yoni Pは、常に新しい試みを取り入れたコレクションを行っているのですが、また別のシーズンには、アーティストとしての知名度がまだある訳ではないインディーバンドThe Monotonesが、会場の中心にバンドセットを設置し歌うという演出をしたコレクションも行いました。

 

この時のコレクションも、とっにかくかっこいいです。暗黒の時代を生きる若者達が、さまよう中で決して失いたくない希望の光というテーマ。ロックンロールです。個人的に何回も何回も見直しているショーです。
残念ながらその後、The Monotonesのボーカルは脱退してしまいましたが、(バンドは現在も活動中)有名ブランドがこのようにインディーアーティストを、中心に置いたコレクションをしたことが印象的でした。
バンドにとっても、有名ブランドでの起用というのは一つの大きな起爆剤になりうるといえるでしょう。

Steve J & Yoni P 2013SSでは、今注目のシンガーソングライター イ・ランが弾き語りをしながらのショーもありました。叙情的なイメージを引き立てる歌声で素晴らしいです。

 

 

イ・ランは夏にセカンドアルバム「神様ごっこ」を発売し、日本でも「イ・ランと柴田聡子のランナウェイ・ツアー」の真っ最中です。

映像や映画の製作もしている彼女のミュージックビデオはとても美しいので是非ご覧ください。

 

個人的に出会った時に大きな衝撃を受けた"世界中の人々が私を憎みはじめた"も貼ってきます。

 

 

歌詞が詩的で一言一言がじわじわと体の中に染み渡ってくるような感覚になる歌です。

こちらもソウルコレクションの中心人物、キムドンジュンデザイナーがイビョンデデザイナーと共に作業したコレクションRE.Dでは、ヒップホップスタイルのコンセプトに合わせて、ラッパーのBeenzinoがショー中に登場しライブをするという演出。最後にはモデルとしても登場しています。

 

背の高さと端正な顔立ちで、モデルとしてファッション雑誌にも載ることのあるBeenzinoは、モデルの中に混ざっても違和感がなく、さすがという感じ。Beenzinoはミュージックビデオもファッショナブルな印象です。

これはネクストトップモデルという番組の企画でネクストブレイク必須なファッションモデルと撮影したミュージックビデオ。

 

インディーアーティストといえば、FNMNLでも特集されていた、今注目のDJ・トラックメーカーであるXin Sehaが、THE CENTAUR の2016S/Sコレクションミュージックを担当していました。ハンガン近くの公園で、夕焼けに照らされながらバレリーナが次々に出てくるショーはとても美しく、現場で直接DJとして回していた、壮大なクラシックとの雰囲気も相まって、今までみたコレクションの中でも強く印象に残っているコレクションです。

 

Xin Sehaは若手でありながら、艶やかでぬめっとした印象の音楽を作っているトラックメーカーで楽曲も面白いのでご存知ない方は是非。

 

先月末行われたばかりの、2017S/Sの最新のコレクションでも、アーティストコラボが目立ちます。前回SHINeeのコラボ衣装製作でも紹介したKYEは、360soundsのDJ Somdefが音楽を担当。360Soundsは韓国で最も有名なDJチームであり、韓国のDJシーンを牽引している存在ともいえるでしょう。

 

国内のこうした大きいファッションイベントでは、決まってと言っていいほど360SoundsのメンバーがDJする機会が多く、ソウルで文化の発信地ともなっているイテウォンのクラブCakeshopでも、ほぼ毎週末このメンバーが回してるところをみることができます。
KYEの音楽を担当したSomdefは、this is naver thatというストリートブランドの音楽を製作したときもめちゃくちゃクールだったので、ご紹介します。

 

このブランドは映像、撮影などもすべて身内で製作しているそうですが、映像がいつもかっこいい。そして有名モデル、Ash stymestを起用していて驚きました。DJといえば、新進気鋭ブランドVLADESの今季のショーは、DJ Hadoがプレイしながらのランウェイでした。若手ブランドですが、有名モデルばかり起用していてすごいです。豪華。

 

最後に日本人ラッパーKOHHの”Paris”が流れてるんですが、ソウルのコレクションで俺は今パ~リ、あついらはしぶ~やって流れてるのが、絶妙な気分になりました。
KOHHは、最近来日公演を行ったKeith apeとコラボし大ヒットした”It G Ma”以降韓国でも人気です。

また今季は、YOHANIXというブランドが、ラッパーBewhYとコラボ。

 

BewhYは韓国でヒップホップブームを巻き起こした『SHOW ME THE MONEY』という、サバイバルオーディション番組の今年の優勝者として、今年一気にトップアーティストへの道を駆け上り、こういったイベントへの露出が目立つようになりました。

 

とはいえ、最後にデザイナーさんが出てきたときと去り際に、そ、そんなにい?ってくらいペコペコしながら帰るのが、ラッパーらしからぬというか・・・・思わず笑いました。

中でも今季注目すべきコレクションは、韓国で初のショー開催をした99%ISではないでしょうか。
今回のコレクションは大人気バンドhyukohが、コレクションミュージックを製作しました。

hyukohは昨年韓国最大級の授賞式「MelOn Music Awards」」で2冠を受賞するほど韓国の若者の間で人気で、バンドが日本ほど世に出にくい中で今、一世を風靡しているバンドです。

普段は韓国の若者の刹那的な感情に寄り添ったメッセージ性の楽曲が多いですが、今回はブランドのパンクスコンセプトに合わせて、いつもと違ったイメージの楽曲を作成していましたが、どこかhyukohらしさも感じられ、とても良かったです。

 

hyukohの昨年の大ヒット曲"Comes And Goes"は一聴の価値ありです。

 

個人的に一番好きなのは、敏腕プロデューサーPrimaryと個性的な歌声を持つ歌手Lim Kimとコラボした"Gondry"という楽曲。

 

hyukohは日本でもSummer Sonicの出演や、Appleの公式イベントに参加してきましたが、今度単独ライブも開催するそうで、日本でも公演を観れる機会も増えそうですね。

最後に、ソウルコレクションではありませんが、BIGBANGのリーダーG-Dragonは、親交の深いデザイナー兼レディーガガのスタイリストであったニコラ・フォルケミッティとの縁で、MUGLER  2013 F/Wのコレクションミュージックを作ったことがありました。

 

15分に及ぶ長い楽曲ですが、とてもかっこいい。
さらに、Baauerのアルバムに収録されたM.I.AとG-Dragonをフィーチャーした楽曲"Temple"も世界的ブランド Alexnder Wangの2016A/Wニューヨークコレクションに起用されました。

 

これもとてもかっこいい。(我が表現力のなさよ)
やはりソウルを飛び出し、世界をフィールドに音楽ディレクター・プロデューサーとしても活躍して、韓国音楽を牽引しているG-Dragonの存在感は絶大。

こういった自身のアーティスト活動とは別に楽曲を作成・提供できる自己プロデュース型のアイドルや歌手の多さというのが、韓国の音楽シーンの特徴ではないでしょうか。
またファッションショーの音楽というのは、あくまでBGMとしての機能を多く果たしているため、本人のアーティスト性よりもシーズンのコンセプトによって作られ、また普段の楽曲と違って15~20分と長い為、こういった楽曲も作成できるのか!と新しい発見のように感じることが個人的には多いです。

今後韓国ファッションに注目すると共に、国内の新進気鋭のアーティストが製作している韓国のコレクションミュージックに注目してみるのもいかがでしょうか。
また、ソウルファッションウィークは会場の規模も大きいこともあり、音楽の演出以外にもセットやパフォーマンスなど様々な趣向を凝らしたショーが多い為、映像を見るだけでも面白いかと思います。

2回目からいきなり随分インディーな方向に舵を切りましたが、アイドル・DJ・ラッパー様々なアーティストが関わっている韓国のファッションミュージックシーンについてのご紹介でした。

今回の記事に使用した今季のスナップ写真は、複数のメディアにスナップを寄稿している友人のhorie yuriの撮影したものです。

BOYFRIEND
BOYFRIEND
SFW12
会場周辺のモデル

horie yuriの撮影したスナップサイトhatenkousnapはこちらから。

http://hatenkousnap.strikingly.com

http://hatenkousnap.tumblr.com/

Instagram @hantenkouyuri

ソウルファッションウィークの雰囲気や貴重なファッションウィークのバックステージ、現地の若者の今のファッションが分かって面白いです。

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Erinam
韓国在住のグラフィックデザイナー ・イラストレーター
韓国ブランド等のアテンド・コーディネーターとしても活動。

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