BIM & Akeem the Dream 注目のインターネットラジオチャンネル Know Waveを語る
Aaron BondaroffはSupreme創成期の重要なメンバーの1人であり、2001年には自身のブランドaNYthingを立ち上げ、NYのストリートシーンのモードを知る上では欠かせない人物である。そのAaronが、当時住んでいたLAの自宅で始めたインターネット・ラジオ局がKnow Waveだ。
Know WaveはAaron自身がMCをつとめる1番組としてスタートし、徐々にAaronの友人たちによるDJミックスの配信や、フリートークの番組なども増えていき、ジャンルや形式にも縛られずに、様々なカルチャーを自由に発信するスタイルはじわじわと認知されていった。
その後再びNYに戻ってきたAaronとKnow Waveは、現在のNYのオルタナティブなカルチャーを発信する場所としてオリジナルな存在感を発揮している。
そしてロンドンでも放送が始まり、今年7月には日本でもTHE OTOGIBANASHI'SのBIMとCDSクルーをホストにした番組『CREATIVE ROOM 』がスタートした。日本でのKnow Waveのディレクションを行っているAkeem the Dreamと番組ホストのBIMにKnow Waveの魅力や日本での番組作りについてなどを聞いた。
取材・構成 : 和田哲郎 撮影 : 横山純
- 2人がKnow Waveを知ったきっかけは?
BIM - 英語が全然わからないからYoutubeで白人のイケメンDJがプレイしている動画で知ったのかな、それが何年か前。その時はなんだろうなこれと思ったくらいで、スクショして撮ってたのは覚えている。なんだろうこのロゴみたいな。
Akeem the Dream - 5年前くらいかな。AaronがNYからLAに移住した時、彼が借りてたハリウッドの家がでかいホーンテッドマンションみたいだったんです。(笑)でそこに色んな奴らが住み着いてて、そこでパーティーしたり映像流しながらDJしてる時期があって、それをSemen SpermsってヤツとAaronが放送しだしたのが最初の放送だったと思います。Aaronの知り合いがLAに来たときにそいつらをいじったり好きな曲を適当にかけたりっていう。自分もLAに遊びに行ったときにPaul Tと一緒にレコードとかMP3とか持って遊びに行ったのを覚えてます。
BIM - そこから日本版が出るのに5年くらいかかってますね(笑)
Akeem the Dream - かかったね~(笑)でもそこからだいぶ成長したと思う本当に。LAでできなくなって、NYに戻ったときにギャラリーと連動するようになって、ロゴをリニューアルしてサイトもちゃんと立ち上げてって感じになったんですよね。LAでやってたときは一発録りで編集もなし、ターンテーブルが2つあって、マイクがあるだけで適当に振って喋って音楽かけて。本当にあんなのよくやってたなって。Aaron上手いなと思ってましたね。
BIM - それで最初お金は生まれてたんですか(笑)?
Akeem the Dream - お金はいまだに生まれてないと思う(笑)
BIM - 趣味みたいなもの?
Akeem the Dream - 趣味、趣味。でもAaronはそういう場を作るのが好きなんだと思う。場を作るのが仕事と思ってんじゃないかな。活動がNYに戻ってからは顔出してないけど、どっかのお店の一角をブースにしてたりしてたような… 今はまたさらに地域密着で、DJとかライブパーフォーマンスのパーティーとか良くやってる。
BIM - 日本でもそういうのができたらいいですね。
Akeem the Dream - 本当だよね~。
- Know Waveの魅力はどんなところだと思いますか?
Akeem the Dream - Know Waveの良さは、そこらへんの奴らが只喋ってるってとこですかね。(笑) 友達で意見や視点を持っているやつが集まってきて公共の場で喋った経験とかないくせに、言いたいこと言いまくる所が魅力だと思います。同世代の奴らがあらゆる事について、言いたい放題言ってるの聞くのは爽快感があるんですよね。最初はAaronだけがパーソナリティーだったけど今やNY、ロンドン、東京でも似たような習性を持った地元の奴らがいろいろなテーマで番組を作ってるのがおもしろいですね。あとはインディー・ミュージックやパフォーマンス・アートとか、そういったオブスキュアなものとのつながりも魅力です。
- BIMくんはNYに行ったときに、Know Waveが体現するようなNYのごちゃ混ぜな面白さを感じたりしますか?
BIM - NYに行ってもずっと同じ所にいるから。今年の春と、去年の冬と春に行って、ずっと同じ所にいるけど行くたびにツルんでる奴は変わってって、ジャンルも違う奴が増えていってるなって。別に服とか買わないオタクみたいな奴がいたりとか、そいつとかに色々教えてもらったりしました。
Akeem the Dream - それってWiki(Ratking)とかの周りの人?
BIM - そうそう、それはDookってやつ。あとGogyってやつがアートスペースでイベントやってて、そのイベントに一緒に行ったんですよ。狭い入り口を入っていったらそこらへんのやつらが集まってたけど、全然ヒップホップって感じじゃない人も1/3くらいいて。いた女の子がかわいかったな。
Akeem the Dream - オルタナティブでインディーな物はKnow Waveに集まりがちですよね。GHE20G0TH1Kとかもいれば、Wikiとかのパーティーも放送されたりとか、JazzのOnyx Collectiveとかもあるし。今でもグチャグチャで面白いNYが感じられるのがKnow Waveだと思いますね。サイトにいってアーカイブを聴くだけでも、今のNYってこんな感じなんだっていうのがパッとわかるっていう。
- Know Waveはなんでごちゃ混ぜ感を出せるのでしょうか?
Akeem the Dream - Aaronかなやっぱり。彼は現場を作るのが本当にうまいと思う。分け隔てなくバランスが良くて仲間が多い奴なんで。懐が深いって言うんですかね?
BIM - Aaronとは歳が近いですか?
Akeem the Dream - おれの2個下くらいかな。NY育ちだからもの凄くいろんなものを吸収していて精通してる。後カルチャーを作ったり応援するのが好きな人ですよね。大事なものはみんなでプッシュしていこうみたいな。
BIM - おれは高校生くらいのときにAaronに会ったことがあって、AaronがaNYthingをやってたときで、写真を撮った記憶がありますね。で、また何年後かに会ってみたいな。そのときは普通に道で会っただけですね。
- いまNYのいろいろなものが一気に出てこようとしてるじゃないですか
Akeem the Dream - これからまたNYがブレイクするんでしょうかね?
- やってる人たちは何も狙ってない?
Akeem the Dream - ないと思いますね。ただ楽しいからって自分たちが思うからやっているだけな気がします。
BIM - Know Waveは世の中的に有名なんですかね?
Akeem the Dream - 有名じゃないでしょ(笑) Tshirts着てる人はちょこちょこ見るけどね。
- 日本でやろうと思ったのはいつくらいからですか?
Akeem the Dream - 4年前くらいから日本でもやってよって言われてて、やるやるって言って、試行錯誤して今になっちゃったっていう(笑)。でもきっかけはやっぱりBIMちゃんとCDSのクルーのみんなと会ったことだと思います。これは絶対Know Waveで番組やってほしいって思いました。
BIM - 収録にはAkeemさんいなくて、編集だけしてもらったんですよね。
Akeem the Dream - あはは。そうそう。自分が居ると使えないトークしちゃうんで(笑)
- じゃあほぼお任せって感じで。
Akeem the Dream - そうですよ。
BIM - そんなことないですよ、編集4回くらいしてますから(笑)
Akeem the Dream - 面白いとこだけ切り出して、いらない所はここねっていうのだけ言いました(笑)。
BIM - ほんとはもっと使いたいところあったんですけど。元々は5時間くらい録ってて、Akeemさんに渡すときには3時間くらいにエディットしてた。64でゲームをやっている場面が2時間くらいあって、その部分はとりあえず全カットしようって。他にも面白いところはあったんですけどカットしたところもありますね。
Akeem the Dream - 心を鬼にしてエディットしました(笑)。一応一時間ちょっとが目安なので。
- でも聴いてて、すごい自由な感じでやってるなっていう。あっちのKnow Waveっぽい感じは聴いててありましたね。
Akeem the Dream - そうですね、友達が喋ってるのを聴くっていう感じが伝わったらいいと思いますね。
BIM - 普通の他愛もない話をして、でもPUNPEEくんとOMSBくんと話すとどうせ音楽の話になるだろうなと思ったから、それでちょうどいいやって。
- 次の回で呼びたいゲストとかいるんですか?
BIM - どうしましょ?パッと会ったときに話しましょうねって感じじゃなくて、自然に話し始められる人が誰かなって考え中。PUNPEEくんとOMSBくんはいつも喋ってるから、そういう感じでやれたから自分も面白くなったけど。
Akeem the Dream - 考えといてね。でもまた同じメンバーでもいいんじゃない?BIMちゃんのが王道ヒップホップ番組だとしたら、全く逆のロックンロールとかパンクの番組も作りたいなと思ったりもします。後ダンスホールとかも良いですね。成り行きでもう2個くらい番組が出来たらいいなと…
- どういう人に今後番組をやってほしいとかありますか?
Akeem the Dream - 阿部くん(阿部周平。インターネットラジオ局Vincent Radioを主宰)に頼んでたやつが完成したのでこれから公開する予定です。あと実は高木完さんに何かやってほしいんですよね。
- アメリカのKnow Waveはイベントをやったりとかしてるじゃないですか。日本ではいかがですか?
Akeem the Dream - 去年Aaron達とAlex OlsonとRatkingがVisionに来て一回やりましたよね。また何かできたら良いですよね。
BIM - CREATIVE ROOMをKnow Waveのイベントと連動させられたらいいねって話をしてましたね。
Akeem the Dream - それ絶対やりたい。
BIM - そこでエピソードも録っちゃうみたいな。アーティストとかじゃなくて、おれの普通の友達も出しても面白いかもしれないですね。話せる友達が思いつかないけど。Know Waveは音楽情報提供番組って感じじゃないのが好きですね。聴きたい人が聴けばいいから。あとは自分が話したい人との理由付け。Know Waveで録るんでって。
- BIMくん自身も最初にしゃべるのうまくないって自分で言ってましたよね。
BIM - 話すことがあればいいんですけど、話すことないのにつなぐのが苦手。はい始まりましたみたいなのが。ライブMCの練習にもなるし、初回はうまくいったと思ってるんで第二回頑張ります。
Akeem the Dream - 小さく成長してくのであんまり期待しないでください(笑) 本国のエピソードと合わせて是非。
- 誰かがKnow Waveでやりたいって言ってきたらどうするんですか?
Akeem the Dream - 勿論ウェルカムですよ!
BIM - Akeemさん厳しいですよ。
Akeem the Dream - そんなことない、そんなことない。面白ければ大丈夫です。
BIM - Know Waveを日本の人は聴いてくれてるんですかね?
Akeem the Dream - 自分は結構聴くんだけどなー。
BIM - なにしながら聴くんですか?飲みながらとか?
Akeem the Dream - いや掃除しながらとか、移動の間とか。Know Waveの番組でIrakクルーのKunleっていうやつがずっと社会とか政治とか世界情勢について毒を吐くだけの番組があるんだけど、それとか最高に面白いよ。しゃべる相手が居てもKunleがずっと一人で喋っちゃう。
BIM - ゲスト呼んで、自分が論破してみたいな(笑)
Akeem the Dream - そう(笑) それ聴きながら掃除してる。日本でもオルタナティブな内容であればあるほど、Aaronも喜ぶと思います(笑)。