月間韓国音楽2017年9月編 Selected by stttr & DJ DJ機器

K-Popだけでなくヒップホップ、エレクトロニックミュージックまで、独自の発展を遂げている韓国の音楽シーンから生まれる良曲をピックアップする人気連載。

今月も選曲を担当するのは、もちろんstttrとDJ DJ機器の2人の韓国音楽愛好家。

stttrの2017年9月オススメ曲

1. ELRIS - "Pow Pow"

コメント

最近デビューしたELRISの新曲です。イントロは元気系のロック曲ですが、一転歌い出しのお洒落なコード進行とギターの音色にやられました。その後のアップテンポで目まぐるしい展開も楽しいですね。Weki Mekiの"I Don’t Like Your Girlfriend"なんかもそうでしたが、新人グループがこういう自由度の高い曲を打ち出してくるところに最近のK-Popの風通しの良さを感じます。3、4年前、あまり面白い曲がなくてK-Pop全体が停滞していると個人的に感じていた時期もあったのですが、今はまたとてもいい時期を迎えていると思います。

作詞作曲は最近乗りに乗っている制作会社MonoTreeのファン・ヒョンさん。MonoTreeはKARAなどのプロデュースで有名なチームSweetuneのメンバーが独立して作った会社です。MonoTreeには何人も作曲家が所属しているのですが、それぞれが器用に色々なタイプの曲を作っています。MonoTree制作陣が作った曲はLadie’s Code - "Galaxy"、Steller - "Sting"、Sohee - "Spotlight"、LOONA/YeoJin - "Kiss Later"などなど多数。強すぎます。

2. BewhY - 『The blind star』

コメント

ラッパーBewhYがアルバム『The blind star』をリリース。一曲を除き全曲をYoutubeで公開しています。ラップ人口が多く、ラップスキルの水準も非常に高い韓国ですが、そのなかでも圧倒的にラップがうまいと評判のBewhY。昨年のShow Me The Moneyでの優勝も後押しして、名実ともに韓国を代表するラッパーになりました。ただBewhYは他のラップスターとは違い色んな面で一筋縄ではいかないアーティストで、そこが個人的に面白く期待しているところでもあります。

二年前の前作、ビートは全曲自作でした。BewhYのビートはうねるようなドラムとベースの上にピアノやストリングスが乗っているのが定番で、不穏でスケール感があります。3拍子、8分の6拍子など多彩なリズム、シネマティックな展開なども特徴的で、インストでも十分に楽しめる素晴らしいクオリティ。韓国で流行っているメロウな曲ともトラップとも違う独自のスタイルですが、BewhYの声質やフロウによくはまります。自作自演とはいえそれを乗りこなすラップセンスと音楽的理解の深さがうかがい知れます。

リリックは非常にキリスト教色が強いのが特徴で、ほぼ全曲でキリスト教的言及があります。"In Trinity"というシングルはBewhYのラップとビートを堪能できる傑作ですが、全編にわたって神と信仰について歌っています。この点についてリスナーからはやはり賛否両論あるようです。韓国はキリスト教徒が多い国ですが、キリスト教徒じゃなかったら感情移入できるポイントがほぼ無いので白けてしまう、ということはあるかもしれませんね。

前置きが長くなりました。新アルバムは、ほぼすべての曲で他のプロデューサーと共作しています。メロウな要素を取り入れた"휴게소 (HEWGESO)"や"My Star"は個人的にイマイチでしたが、"Bichael Yackson"、"9UCCI BANK"、"Wright Brothers"、"Dejavu"(BewhY単独プロデュースの既発曲)などは良かったです。調べてみると、Bichael Yacksonと9UCCI BANKで共作したTruthislonelyという人物はBewhYの変名だという説が有力です。やはり一人で作るほうがいいのでは…。

3. 9月もアンダーグラウンドヒップホップにいい曲がたくさんありました。その中から3曲紹介。

childwood - "풍선"

コメント

若手ラッパーのBravoとyelloasisによる新ユニット、childwoodの풍선(風船)という曲です。この瑞々しさ、素晴らしくないですか?DIYなビデオもセンスいいですね。今月出たラップで一番良かった!

LOLLY - "Seagull ft. STXXCH, 야간캠프"

コメント

上のビデオのディレクター(Inufさん)つながりで見つけた曲です。かっこいいですね~。いい曲をこうして無理なく映像にしていて、フットワーク軽いですね。韓国ヒップホップの未来は明るいと感じさせられました。

JJANGYOU - "MA DA BIKIRA" (prod. LAPTOPBOYBOY X IAN PURPP)

コメント

インターネットっぽいビデオが特徴のクルー、WavisabiroomからJJANGYOUのソロ曲が出ました。彼は普段もっとゆったりしたフロウなんですが、曲に合わせて歌うようにラップしていてナイスグルーヴ。曲はLaptopboyとIan Purppのビート集から。Laptopboyは精力的に活動しているトラックメイカーで、ラッパーFuturistic Swaverの別名義です。

番外編 EXO - "超音力 (Power)"

コメント

完全に自慢なのですが、EXOの新曲MVの0:17から一瞬映るこのポスター、私が韓国の友人たちとほぼ毎年開催している『미친다/及ぼし』というパーティーのポスターなんです(ティーザーのほうが長く映っていて分かりやすいかも)。

Vy6aYZpi

ティーザーが出た段階で関係者騒然、さらにEXOファンの解析により瞬く間にツイッターが捕捉されたりしてかなりウケたのですが、真剣な話、EXOの複雑な世界観に突然放り込まれて現実と虚構の境目が揺らいでいます。神(SMエンタ)は我々に何をさせようとしているのか…。

stttr

stttr

プロフィール

DJ。新旧韓国音楽。
韓国や日本など東アジア各国のポップミュージックを比較研究しています。

https://soundcloud.com/stttr

DJ DJ機器の2017年9月オススメ曲

総評

今月はEXO、高等ラッパーでいろいろあって降板したNO:ELことチャン・ヨンジュンG.SoulのEP、ELRIS(ベラちゃんかわいい!)、APRILIUのカバーアルバム(オジャパメン!!!)、BOBBYがよかったですね!

1. 이달의 소녀 오드아이써클 (LOONA/ODD EYE CIRCLE) - "Girl Front"

コメント

이달의 소녀(今月の少女:イダレソニョ)、別名LOOΠΔのグループ内ユニット、ODD EYE CIRCLEがデビュー。メンバーは5月編に私が紹介したKim Lip、6月編にstttrさんが紹介したJinSoul、そして最後のドロップで突然中東音階を受信する"Love Cherry Motion"でデビューしたChoerryの3人。3人とも顔が強い!ブロンド2人の黒髪1人ということもあまり見たことがないバランス感覚で楽しいです。楽曲はWave Racerやpa's lam system的な疾走感あふれる初期Future bass的な曲です(NEON SOUNDとか名称もあった)。
3人のソロ曲は、本当に素晴らしいクラブトラックの側面が強かったが、イダレソニョはLOOΠΔ 1/3のときと同様にグループのユニット活動曲はポップな要素が強化されるようです。
ミニアルバム内の"LOONATIC"という楽曲がレトロ感あるギターポップ(?)で大好きな曲です!Girl FrontのMVのアザーカットで構成されたリリックビデオもGOOD!活動曲以外があまりによいですね…LOOΠΔ 1/3のときの"알 수 없는 비밀" (Sonatine)もドラマティックで非常に良かったです。

LOOΠΔはYGが主催のアイドル再起サバイバル「Mix Nine」に最初に発表されたヒジン、ヒョンジン、ハスル3人が参加する(再起するほどデビューした時間が経っていません!!!!)ので非常に心配です。個人的にはPRODUCE 101のようなプログラムは、もはや増加しないようにと思います…。

2. SEVENTEEN(세븐틴) SVT LEADERS - "CHANGE UP"

コメント

SEVENTEENからVOCAL TEAMリーダーのウジ、HIPHOP TEAMリーダーのエスクプス,PERFORMANCE TEAMリーダーのホシの3人のユニット、SVT LEADERSの楽曲が公開されました。そういえば自分は本国、日本のCARATだがここで紹介するのは初めてですね...
2017 SEVENTEEN PROJECTの「CHAPTER 2. 新世界」の始まりの曲のようです。『ONE PIECE』が好きなのでしょうか?(ミニアルバムの名前が『Going Seventeen』だったりしましたし…)。個人的に"울고 싶지 않아(Don't Wanna Cry)"の楽曲がそこまで円満でなかったこともあってか(スタイリングは最高でした!!!変なところの穴の開いたシャツ!!!)、"CHANGE UP"はとても素晴らしい楽曲に感じます。

Brasstracks的なFuture Brassサウンド展開してカッコいいですね!!BrasstracksはChance the Rapperの"No Problem" (一部で『チャンスザラッパーチャンス』と呼ばれているあのmeloの曲)をプロデュースしたチームです。Lidoとコラボしたりしていました。ブラスの使い方が特徴的です。
MVはおなじみVM Project Architecture。ミニマルの世界を見て色とカットが素晴らしいです。常に勉強します。ちなみにこちらのビデオはVM Project Architectureたちのお気に入りだそうです。
その後も各チームそれぞれの曲が公開されました。公開されたのが、10月だが、紹介しまいましょう。

HIPHOPTEAMの"TRAUMA"はシリアスなHIP HOPサウンド、PERFORMANCE TEAMの"13월의 춤"はFuture bass的な曲でパフォーマンスがかっこいい!VOCAL TEAMの"바람개비"(風車)は正統派バラードと、それぞれのチームの特色を活かした楽曲になっています。アルバムも11月に発売で、楽しみです!!

3. SiK-K, pH-1, Jay Park - "iffy" (prod by. GroovyRoom)

コメント

SiK-K、pH-1, Jay Park、プロデュースはGroovyRoomと、H1GHR MUSIC勢が集まって作った楽曲です。GroovyRoomのトラック、好き…。Sik-Kはもはや説明不要なくらい今勢いのあるラッパーですね。Yelows Mobのリーダーです。pH-1は「CHANCE THE RAPPER TYPE BEAT "BLESSED”」というFREEのビートに乗せてラップした"Perfect"という曲が話題になりました。ビードジャック的なものが好きなようで、FKJの楽曲でもSoundcloudでやっています。Jay Parkは説明不要ですね。AOMG、そしてH1GHR MUSICのボス。GroovyRoomもYelows Mob、そしてH1GHR MUSIC所属のトラックメイカー2人組です。everywhereというEPが7月末に出ましたが、とてもよかったのでチェックを。

トラックがとてもいいですね。GroovyRoomこのサラッとしたトラックを作ることが本当に上手です。韓国カラッとしたHIP HOP、個人的に好きなようです。ビデオは元Digipediで現在Dingo所属PubertyことGyuri。確かにDigipedi感があります。
それにしてもDingoはいつも動画を出してきますね…。TIPSY liveはアイドルや歌手が酒を飲んで歌う企画が最高なので全部見てください。EXIDは最高でしたね…。

Sik-Kが先日リリースしたEP、「BOYCOLD」はYelows Mobに所属するBOYCOLDが全曲をプロデュースしています。"h1ger gang"がお気に入り。こちらもfeat.にpH-1, Jay Parkが参加しているので、ぜひ。

DJ DJ機器

DJ DJ Kiki

プロフィール

Hi! I'm KIK!?

過去の連載分

RELATED

韓国のディスコDJ Tigerdiscoが再び襲来 | 今度はokadada、サモハンキンポー、stttrなどと共演

韓国のディスコDJで、昨年2度来日しフロアを熱狂の渦に叩き込んだTigerdiscoの再来日が決定、4/8(日)に『매차쿠차 나잇 / めちゃくちゃナイト』に出演する。

月間韓国音楽2017年11~12月編 Selected by stttr & DJ DJ機器

K-Popだけでなくヒップホップ、エレクトロニックミュージックまで、独自の発展を遂げている韓国の音楽シーンから生まれる良曲をピックアップする人気連載。 今月は年末スペシャルで掲載できなかった昨年11月〜12月分を一挙掲載。選曲を担当するのは、もちろんstttrとDJ DJ機器の2人の韓国音楽愛好家。

年間韓国音楽 2017 Selected by stttr & DJ DJ機器

K-Popだけでなくヒップホップ、エレクトロニックミュージックまで、独自の発展を遂げている韓国の音楽シーンから生まれる良曲をピックアップする人気連載。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。