【特集】XXL Freshman 2017に選出されたラッパーたち pt.2

FEATURED  2017.06.26  FNMNL編集部

6/13に今年のXXL Freshmanが発表された。2016年は若干東よりな選出のイメージもあったが、2017年はAmine(オレゴン)Ugly God(ヒューストン)など地域的にはバランスの取れた選出となっているようだ。
SNSではすでに選考基準への不満も出ているが、そこ含めてのFreshmanだといえるだろう。

FNMNLでは選出された10名を2回にわけ、A~Z順で紹介していきたいと思う。ニューカマーをチェックできていない人はこれで一気におさらいして頂きたい。()の中は年齢である。こちらは前編に続き後編となる。

MadeinTYO(25)

Madeintyo

2017年5月25日、Beats主催の渋谷WWW Xでのイベントでの来日も記憶に新しいMadeintyo。

ハワイはホノルルで生まれたMadeintyoは父が軍人であったため転勤が多く、ひとつの土地に長い期間いることいることはほぼなかった。サンディエゴ、ヴァージニア、テキサスとアメリカ中を転々としていたのだが唯一長期間滞在した土地があり、それが日本だそうだ。中学から高校まで約6年間横須賀で過ごし多くの日本カルチャーを吸収していった。

その後アトランタで4年ほど音楽に専念し、今はロサンゼルスに住んでいるようだ。。日本での6年間は作品にも影響を与えている。まずはこの"I want"を聴いていただきたい。

イントロでサンプリングしているのは1960年代にヒットした久美かおりの"髪がゆれている"で、さらにTVアニメ『進撃の巨人」のサンプリングも使われている。リリックを全て日本語訳してMVに載せているのも日本へのメッセージだろう。アトランタのサウンドに、日本のカルチャーをうまくミックスしたこの曲は高評価を受け、2Chainzが参加したリミックスも発表されている。

Travis Scottもリミックスで参加したことで有名になった"Uber Everywhere"は一般の人や観光客も多く利用するUberにフォーカスしたからこそヒットしたのだろう。

ブガッティでもベンツでもポルシェでもなくUber、ロールスロイスでもランボルギーニでもマセラッティでもなくUber everywhereがヒットする時代なのだ。
カムリを乗り回す等身大過ぎる曲が出てきてもおかしくないかもしれない。

Playboi Carti(20)

Playboi Carti
ミックステープを出す前から彼の人気は高く新たなアトランタのニュースターの誕生を世界が見守っていた。4月14日にデビューミックステープが世界に放たれると、その前評判を見事に受け止める内容にCartiの次のスターの座は確実なものとなった。
ミックステープが出る前の活動はこちらに書かれているが、中でもスマッシュヒットとなった"Fetti"はついつい「Fetti on Fetti on Fetti...」と口ずさんでしまうような中毒性にMaxo Creamのダルそうなラップなど聴きいていて心地がよい。

また彼の勢いは音楽業界だけでは収まらず、ファッション業界からも厚い支持を受けている。VFILES Fashion showでのライブや、ファッション誌Vogueに取り上げられたことからも明らかであろう。

こうしてあらゆるジャンルから人気を獲得していったPlayboi Cartiだが、何といってもミックステープに収録されている"Magnolia"の特大ヒットが彼のキャリアにおいて欠かせない。

FNMNLでも取り上げているが彼自身Magnolia(ニューオリオンズの公営団地。治安が悪いことで知られている)出身ではないが、自分と重ねあわせることでMagnoliaの治安の悪さやリアルを忠実に表現している。

Playboi Cartiがここまでヒットしたのは、新世代でありながら、他の新世代たちとは自分を差別化できたことだろう。他の世代のことは関係ないとのたまうLil Yachtyに対し、しっかりと自身をヒップホップの流れの中に置くCarti。どちらがいいという話ではないが、若い世代とそれ以前の世代によるヒップホップの対立が最近はよく取り上げられる中でCartiの立ち位置は独特だ。

補足であるが、Jay-Zがツイッター上ででインスパイアされたラッパーについて触れていたのはご存知だろうか。Playboi Cartiも見事Jay-Zに影響を与えることに成功している。

PnB Rock(25)

PNB Rock
フィラデルフィア出身のシンガーで、ヒット曲”Selfish”はBillboard HOT100で51位を記録し、今後の活躍にますます期待がかかっている。しかし彼は今まで順風満帆な生活を送ってきたわけではない。彼の甘い歌声からは想像できない過酷な人生を歩んでいる。
FADERによると、PnB Rockの家庭環境はかなりよくなかったようだ。シングルマザーの母親と4人兄弟で育った彼は避難所を出たり入ったりの貧しい家庭を送っていた。15歳のとき父親のように接していた叔父が何者かに殺されたことで、ストリートでの生活を決意する。ストリートで生き抜くため彼はドラッグディーラーになり4年の月日が経った頃、彼は33ヶ月の実刑判決を受けてしまう。19歳の彼には自分と向き合うには十分すぎる時間だった。刑務所の中で曲を書き、出所と同時に彼はヒットし始めた。

数年前にインスタグラム上で流行った#TBH ポスト(To Be Honest)というバズに乗っかり人気を得ていった。#TBHとは、一般人が歌でも写真でも何かをUPしてそれを見た人たちが正直に(To Be Honest)感想を述べていくものだ。もともとは正直な感想が欲しかったらいいね押してね!みたいな文化が発祥らしいが、うまくその波に乗れたPnBはインターネットから着実にファンを増やしていった。

最初のミックステープ『Real N’ggas Bangas』、二作目『RnB 2』の作品が認められたPnBはAtlantic Recordsと契約を結び、期待された3作目の『RnB 3』ではFetty Wapをフューチャーした”Jelous”が大ヒット。

2017年1月に入りリリースされた新作『GTTM: Goin Thru the Motions』ではA Boggie Wit Da HoodieやQuavo、Ty Dolla $ign、Wiz Khalifa、YFN Lucciなどそうそうたるメンバーを集め、彼の歌声を堪能できるアルバムが出来上がった。以下のリンクから聴くことができる。正直に言って(#TBH)、このアルバムは素晴らしい。

Ugly God(20)

Ugly God

SoundCloudから人気を獲得していったUgly Godというラッパーをご存知だろうか?今回のフレッシュマンでただ1人アメリカは南部ヒューストンからの選出だ。Ugly Godは大のポケモン好きとして知られておりいくつかのポケモンとUgly Godについて取り上げたい。

彼のSoundCloudのプロフィール画像はワニノコ、新曲"Bitch"のジャケット画像はUgly Godとおもわしき人物が主人公サトシのキャップをかぶっている、Danny Wolfと共にプロデュースしたヒット曲"Water"では水の中をサングラスしながら泳いでいるカメックスの上でUgly Godとムサシは性行為を行っているように見える。おそらくUgly Godのみぞわかる世界なのだろう、特にコメントはない。

一年前にポケモンGOが流行ったのを覚えているだろうか。街中がポケモンGOをやる人で溢れ返り歩きスマホが社会現象になったのはさすがに忘れることはないだろう。空前のポケモンGOブームに対するUgly Godの対応が面白かったので紹介したい。

ゲームボーイ時代からポケモンにハマっていたUgly God。彼はゲームボーイを一度もやったことがないにもかかわらず、ポケモンGOからやり始めたユーザーに対してどうしたら自身のポケモン愛を伝えられるか考え、インスタグラム上で初代のポケモンを見せびらかしたのだ。その投稿は既に消されているが、おそらく相当悔しかったのだろう。

まだまだリリースされている曲は少ないが"Water"や"Bitch"など何度も繰り返されるコーラスは心地よく新たなミックステープが楽しみだ。しかしツイッターにて発表が遅れているのが報告され、正式なリリース日程はまだ決まっていない。

カバーアートとトラックリストは既に公開されており、14曲中10曲をUgly Godがプロデュースし客演にはLil Yachty、XXXtentacion、Ski Mask The Slump Godなどがわかっている。少しずつではあるがインスタグラム上のストーリーで曲を公開しているので興味のある方はフォローしてみて欲しい。

XXXtentacion(19)

今回のXXLフレッシュマン最年少、唯一10代。フロリダ出身で独特なスタイル、欠かすことのない話題性など世界中のメディアの注目を浴びている。いろいろな問題が起こりすぎているため情報を追えてない方もいるかもしれない。一度ここでXXXtentacionについて頭の中を整理しよう。

「Drakeフロウ盗用問題」
2017年の初めにXXXがドDrakeにフロウをパクられたと言い話題になったのを覚えているだろうか。問題になったのはDrakeの"KMT"。
そして酷似していると指摘された曲がこちらだ。

Drakeはこの騒動に対して全く興味を示さず沈黙を貫いたが、XXXは逆に沈黙ならばとDrakeの弱点であるジャマイカ・カルチャーの問題などでディスをし続けた。
この一件でDrakeは盗用を認めることはなかったが、XXXの"Look At Me"は大きな注目を得てBillboardのHOT100入りも果たした。総じてみるとXXXの批判は成功であったかもしれない。

「OffsetとSahbabiiのビーフに乱入問題」

MigosのOffsetが逆さの十字をつけているLil Uzi Vertを批判したところSahbabiiがそこに噛みつきSNS上でのビーフに発展した。「Offsetの逆さ十字批判」を「先輩ラッパーの後輩批判」と捉えたXXXtentacionはOffsetに対して「お前は若い世代のサポートをしたいと思ってるんじゃないか?お前のキャリアは終わった」と反撃した。
OffsetはDrakeに盗用の疑いがかかった時に、Drake擁護派の意見をとったためそれに対してのカウンターの意味もあっただろう。

「XXXtentacionいきなり殴られる事件」

この事件は複雑なので順番に説明していく。この内容はComplexにて詳しく書かれている。

2017年4月9日

サンディエゴで行われたDesiignerのアウトレットツアーにXXXの盟友Ski Mask The Slump GodとRob Stoneが出演した際、Ski Maskが時間になっても姿を現さずRob Stoneのステージを奪い取ろうとしたらしいのだ。あくまでRob Stone側からの説明だが、地元でその待遇をされれば緊迫常態になるのは目に見えている。すぐにTwitter上で言い合いになり、XXXが乱入してくる。

2017年4月10日

その後カリフォルニアのライブにてRob StoneとSki Maskがステージ上でもみ合いになり、Ski Maskがステージ上から落とされる事件がおこる。
この事件からサンディエゴVSフロリダの新世代ビーフの構図が出来上がった。その後はインスタライブなどSNS上でのビーフが主戦上となった。

2017年5月1日

Rob Stoneがフロリダで行われたローリングラウドミュージックフェスティバルにおいてブッキングされていたものの、出演がキャンセルになりSki Maskに変更される。

2017年6月7日

XXXtentacionがサンディエゴにてステージに上がってきた暴漢から強烈なパンチを食らう
この動画はインターネット上でも数多く出回った。
この件に関しRob Stoneは「地元サンディエゴが起こした事件だ」と発言しており、ツイッター上で魔人ブウを殴っている絵を投稿している。(以前ステージ上でのXXXが魔人ブウにそっくりだったためだ。

2017年 6月9日
Rob Stoneはアンサーソングを書き、一応ここまでが大まかな筋となっている。
XXXtentacionはアグレッシブに人に噛み付くことで、その知名度をあげてきたしかもSNSを巧みに利用し、ファンを煽る様は賛否分かれるだろう。

それに呼応するかのようにライブでも、ものすごいダイブをしたかと思えば、次の日にはディルドがステージに投げ込まれているというように、スカムカルチャーすれすれの書いていて意味のわからないことばかりが起こる。しかしそんな事件を楽しんでみているリスナーがいるのも事実であり、彼の行動、発言、ライブ、ビーフが目立つのは確かだ。次は何を起こすのか?果たしてXXXは毎年恒例のFreshmanサイファーでも何かを起こすのだろうか?(Yoshito Takahashi)

 

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