A Tribe Called Questが冷遇された今年のグラミー賞を振り返る |「俺は賞を取って帰るはずだと思ってた」
今年の1月にグラミー賞授賞式が行われ、Kendrick LamarやJay-Zなどヒップホップのアーティストは多くの主要部門にノミネートされた。惜しくも受賞は逃したがヒップホップの影響力の拡大にアーティストやファンは概ね満足したようだが、それはみんなではなかったようだ。
A Tribe Called Quest のメンバーConsequenceとAli Shaheedは3/13、ラジオ番組『Sway' Universe』に登場。そこでは、Billionaire Boys Clubとのコラボレーションについて語られているが、インタビューの終盤にはグラミー賞にノミネートされなかった怒りを露わにする。
ATCQの現時点でのキャリア最後のアルバム『We Got From Here...Thanks You 4 Your Service』がグラミー賞にノミネートされなかったことについて「みんなに正直に話すよ。俺は賞を取って帰るはずだと思ってた」とConsequenceは受賞できなかった悔しさを滲ませる。
グラミー賞の常連Jimmy Jamは以前、同ラジオに出演した際、「去年はグラミーの舞台に立ったのを覚えているか?そこにいた多くの人が『何に文句をつけるんだ?ATCQのパフォーマンスがノミネートするべきだった』。ショーも含めた作品の中でどれが本当に賞にふさわしいかということ」とATCQに賛辞を送った。
しかし、Shaheedはそれを受けても快く思っていない様子。「グループでパフォーマンスをしたのが残念賞と一緒と言うのは、培ってきたアートに対する侮辱だ」とJimmy Jamの意見に対して反対意見を述べた。
Consequenceの口調はさらに熱を帯びる。「あれは彼の最後の努力の遺作だ」と言い、アルバムのリリース前に亡くなったATCQのメンバーPhife Dawgの名前を挙げて切り返す。「俺はその偉大さを共感してほしいんだ。黒人に起こった数々の出来事は、俺たちの兄弟や姉妹がなぜノミネートされなかった理由を考えさられる」とグラミーが自分たちに理解を示していないとし、最後には「めちゃくちゃだ」と吐き捨てる。
ブラックカルチャーを押し上げてきた重要な声というのは、すぐに忘れられる。それはビジネスでは自然なことであり運命だと、2人はPhifeとの思い出と共に悲しむ。「18年ぶりに活動を再開し、その次の年にパフォーマンスしたアーティストなら自然とみんなはこの12カ月に俺に何か着飾るものがあると思っているだろう」とConsequenceは続ける。そして、Shaheedは「世界中のいくつものパーティーに行くことはできないし、28年後にATCQの曲がプレイされるとは限らない」と語り「アルバムをリリースしたところで、18年後でも同じことができるか?だれがシーンを動かしている?今の流れとはそういうものだ」と自分の位置を見つめる。
ATCQのメンバーQ-Tipも2人と同様にグラミー賞や他の称号に関して興味が無いという。ATCQは兼ねてよりグラミー賞に権威的なこととして疑いの目を向けてきた。そこで、Consequenceは、グラミー賞を受賞したことで、アーティストの方針が変わると考える。「他人への配慮と功績への尊敬の念を俺たちにもう少し優遇するべきじゃないか?間違いなくそれがヒップホップのゲームだよ」と語った。
そしてShaheedも「グラミーの歴史に目を通して見ると、そこには何者かの力が働いていて、有無を言わせずアーティストがプッシュされる。それでは何時まで経ってもおれたちのレコードにメリットはない」とグラミーの運営に警鐘を鳴らし、「俺たちのグラミー賞は、今まで培ってきた30年間の遺産だ」と自負した。
そんなATCQは最新アルバムから"The Space Program"のミュージックビデオを近日公開予定。ConsequenceとAli Shaheedが出演した『Sway' Universe』のインタビューは下記のYoutubeから視聴することができる。