ドイツのギャングスタラッパーGzuzの“Was Hast Du Gedacht”がアメリカでバイラルヒット中
ドイツのギャングスタラッパーであるGzuzの新曲“Was Hast Du Gedacht”(=お前は何を考えていた)がいま話題だ。なんとこの曲のミュージックビデオがYoutubeにアップされて10日間で約800万回再生されており、しかもこの数字はアメリカのユーザーによってもたらされている。
なぜこの曲はアメリカでヒットになっているのだろうか?
Gzuzはドイツのハンブルク出身の29歳で、ギャングスタラッパー集団187 Strassenbande(187 street gang)のメンバーだ。
ミュージックビデオで、彼は自分のギャングスタライフを沢山のタトゥー覆われた体を露わにしてラップしている。そして実際に銃やマリファナ、コカインなどのドラッグ、セクシーな女性などをビデオに登場させ、なにを言っているか理解できなくとも、ギャングスタのステレオタイプが、これでもかと登場するビデオになっている。
ヒットの背景にミュージックビデオがWorldStarHipHopのチャンネルにアップされたことは容易に推察できる。WorldStarHipHopのチャンネルには900万人以上がチャンネル登録者数を誇り、アメリカのユーザーに届きやすい環境であることは間違いない。しかしただWorldStarHipHopのチャンネルにアップされたからといって、ここまでヒットするわけでは、もちろんない。
2つ目の理由としてはミュージックビデオに出てくる数々の銃、コカインやマリファナなどの薬、トワークする女性などの要素がアメリカの昔のギャングスタラッパー達を思い起こさせるということが考えられる。このビデオは、これまでも常套句のように使用されてきた、アイテムやトピックなどがこれでもかと入っているのだ。
Noisey Germanyはこのビデオに対する、いくつかのリアクションビデオを取り上げて考察しているが、取り上げられたビデオのリアクションで共通しているのが、とても「リアル」なミュージックビデオだということだ。最近のミュージックビデオでは、あまり取り上げられることのなかった、「リアル」なギャングスタライフが映し出されたビデオに心動かされているのかもしれない。人によっては50 Centを思い出すという意見もあるようだ。
Pigeons & PlanesがドイツのラップトリオDat Adamにインタビューしているが、その意見もまたこのビデオの側面を表している。
「ひとつ面白いこととして言えるのは、ドイツのラップシーンにはアメリカのラップシーンでトレンドだったことが1、2年遅れてやってくることだ。たくさんのドイツのラッパーが完璧にアメリカのラッパーをコピーしているよ」とDat Adamは発言している。つまりこのビデオは少し前にトレンドだったアメリカのラッパーの姿が映し出されていると言えるのかもしれない。
現在のアメリカのトレンドのラッパーといえばカラフルなスタイルのLil Pumpや6ix9ineなどが思い浮かぶ。それとは対照的に力強いGzuzの姿は、アメリカのリスナーに対照的に写っているのかもしれない。
「俺らは色々な要素をアメリカから持ってきたんだ。ドイツとアメリカのラップシーンの多様性はよく似ていると思う。なぜならドイツにも詩的なラッパー、おバカなラッパー、ギャングスタラッパーがいるからね」と前述のインタビューでDat Adamは語っている。Keith Apeの"It G Ma"がきっかけで、韓国のラッパーに注目が集まったように、この曲をきっかけにドイツのヒップホップシーンが、より注目されていくことになるのだろうか?