【インタビュー】ISSUGI & GRADIS NICE『Day'N'Nite 2』 | 意識の積み重ねが無意識を生む

ISSUGIとGRADIS NICEというマスター2人によるジョイントアルバム『Day'N'Nite 2』がリリースされた。2017年の前作から7年ぶりとなる本作ではGRADIS NICEの、よりバリエーションが増したシンプルかつ強度のあるビートと、ISSUGIとによるスムーズかつデリバリー豊富なラップが強力なグルーヴを生み、そして適材適所に配置されたゲスト陣が、そこに広がりを作っている作品だといえるだろう。

今回FNMNLではISSUGIとGRADIS NICEの2人にインタビューを敢行。ISSUGIが考案してきたテーマも交えながらの会話は、本作の制作を軸にしつつも、ラップやビートメイクを行う際の意識のありかたや、オリジナリティについてなど多様なテーマをはらむ内容となった。2人とも親交の深いDJ・ビートメーカーの竹細工も参加した会話を楽しんでほしい。

取材・構成 : 和田哲郎

撮影 : 横山純

ISSUGI - どうする? 最初、ちょっと質問とかしてもらう? それとも、もう普通に話しだす? 

GRADIS NICE - 質問してもらうのがいいかな。

ISSUGI - そっから膨らましてったりしてみる? 

GRADIS NICE - そっからはもう、フリースタイルで。 

ISSUGI - きっかけは何だろう。 

GRADIS NICE - 俺がアメリカから帰ってきたこと。

ISSUGI - うん。帰ってきてからが、最終的なきっかけかもしんないっすね。 

ISSUGI - ニューヨークにいるときからビートを何個か送ってもらってたんですけど、その後 日本に帰ってきてJ.Studioに来てもらったときに、新しく多分30曲か40曲それぐらい聞かせてもらってその中から選ぼうっていう感じで始めました。 でもそっからちょっと時間たっちゃったんで、アルバム作ってる最後の1カ月ぐらいでビートが当初の半分ぐらい変わったっすね。 GRADISのやり方で、ラッパーの制作が遅いと渡したビートがフレッシュじゃなくなってリリースする時に熱量が下がってるからいつも最近作ったビートでラップしてよって感じなんですよね。 オレもヒップホップは作りたての曲をすぐさまリリースする方が、風が吹く感じが絶対起きるから今回はそのGRADISの提案に乗れるだけだけ乗っかっていきました。 

GRADIS NICE - ISSUGIくんにいつも無理させるから。

ISSUGI - 最後のまじで3週間で、4曲を作んないといけない状況になって(笑)。

竹細工 - 仕事増やすなよ。

ISSUGI - Pugには地方行く時の品川のホームで悲愴感が漂ってるとか言われながら(笑)。 

GRADIS NICE - 悲愴感が漂ってんのとか知ってるけど、それでも強引に言うみたいな。

ISSUGI - だから、アルバムの全体像は頭ん中で軽くイメージしてたんですけど、着地するときには、半分ぐらい変わって生まれ変わりました。

GRADIS NICE - 俺も実際、レコーディング間に合わへんなと思っててんけど、やってくれた。 

ISSUGI - あれ、オレ出来たじゃんと思って、逆に自信ついたもんね。 

GRADIS NICE - 俺は間に合わなくてもいいやって思ってた。 

ISSUGI - 俺もまじでWWW Xでのワンマンの延期がちょっとよぎってたけど、言えねえみたいになって。言えねえと思いながらやってたらできたみたいな感じ(笑)。

GRADIS NICE - いや、ただ、自分が納得いってないものを出しちゃうと。多分、一生納得いかないんですけど、でも、その時にある程度納得いくもんを出せないと、後でISSUGI君がインスタとかにポストしても、もう俺は協力できないから。自分の作品だとしてもいいねとかも押せない。 

ISSUGI - それだと俺も出す意味ないんで(笑)。悲しくないですか。 

ISSUGI - "Chef Banga"っていうタカさん(BES)が入ってるやつと"Wizards"っていう5lack入ってるやつと、あと1曲目の"BK Suede"と、"Step My Game Up"か。 制作後半はかなり燃えましたね、やるぞっていう気持ちで。それもあって1曲目の"BK Suede"とかラップ結構乗ってません? 

竹 - 乗ってる。 

ISSUGI - 結構製作中にGRADISと会話したから、ラップに関しても。ラップうまくなったんすよ、このアルバム作って。 

竹 - そうだよね。 

ISSUGI - まじなんす。短期間にいっぱい曲つくると多分上手くなるね。 

GRADIS NICE - そうだよねとか言ってる。 

ISSUGI - 感じました?それは嬉しいっす。

竹 - 今までと全然、違うからね。

ISSUGI -(笑)。スキルもアルバムごとに更新したいですね。キャリアも長いし今までも本気だけど、もっと良くなれる余地を常に感じてるから。言ったらGRADIS NICEのトラックの時点で、もうやばいからビートは完成してるじゃないですか。だから、ラッパー次第なんすよ、そこは。どれだけ曲を良くできるかっていうのは、ラッパーに懸かってるって話なんです。そこは絶対に。 

GRADIS NICE - 俺が、だるがってるときとか、ISSUGIくんはもう分かってるんで。 

ISSUGI - GRADISに聴かせて上がってないと、リリースしてもつまんなくなっちゃうから。

GRADIS NICE - そうじゃないとずっと、ぐだぐだしてる。俺は作ることしか興味、出なくて。 

ISSUGI

GRADIS NICE - それも、作ってる工程なので興味がある。興味があることしか、できない。

ISSUGI - 俺の友達とか知り合いのビートメーカーの中でもラップを聞いてるというか、ラップにも口出しする感じなんで。タイミングとかにシビアなんすよね。もちろんフロウとかのグルーヴのタイミングに対してもシビアだし、こういうのが良いラップっていう、フロウ以外にも、言葉の面白い遊び方とかにも対しても、ちゃんと考え方を持ってるから、お互いにやばいってなる作品を作りたいなっていうのは、ずっと思ってたんで。 

ISSUGI - 最初は、"YingYang"ってやつが結構早くに作ってて、それが一番前なんじゃないかな。あと、"Janomichi"も結構初期かな。ちなみにイントロからドラム入る部分に俺がエフェクトかけたの知ってた?ジュンって消えるやつ。 

GRADIS NICE - え? 俺がやったんやと思ってたわ。 

ISSUGI - いや、俺が勝手にやった(笑)。

GRADIS NICE - 昔の過ぎて、ビートの細かい部分忘れてたわ。

ISSUGI - おい(笑)。

GRADIS NICE - 前作の"TIME"のビートも俺、却下しようとしてたから。強引に持ってかれたんです。俺が1人でやると、そういう却下が入ってまうねん。だから、ちょうどいいんすよ、ISSUGI君いると強引に持ってってくれるから。みんなが聞きたいのと俺が聞きたいの多分、温度差あるんで。そこの間を持っててくれるから、エグゼクティブプロデューサーっす。どっちかというと、俺がプロデュースしてもらったって感じなんですよ、今回のアルバムは。 

ISSUGI - おれアルバム作り好きだから。

ISSUGI - そうですね。会ってから作るのが好きというかその場の空気、雰囲気を感じて作っていくのが好きなんだなと思いました。勿論オレにとってもそれがプラスだったしスタジオセッションから入っていくのがノリでてるっていうか。そんな感じです。 

GRADIS NICE - ファンキーっすね。

ISSUGI - よく言ってるよね、それ。 

GRADIS NICE - ファンキーっていう、癖のある、スタイルがあるってことかな。 

竹 - そうだね。 

GRADIS NICE - 自分のスタイルがある。オリジナリティーのある音楽ですね。それを唯一、理解してくれるんすよ。僕の求めてるファンク具合を理解してくれますよ。 

ISSUGI - 言ってくれるんすよ、いつも、こういうふうに。 

GRADIS NICE - 友達の中でも特に共感してくれるっていうね。いろんなとこを巡り巡っても結局、全部ビートはISSUGI君とこに行き着くんすよね。 

GRADIS NICE

ISSUGI - そう感じました?

ISSUGI - リリックは、インタビューしてもらった、前の『366247』のアルバムのちょい前くらいから、今まで実はオレの言葉って100%は伝わってなかったんだということを感じて。そういう部分を無くしてもっと確実に伝わった方がいいっていう気持ちになったんで、そっからは、そういう感じになってますね。 取りあえず何の事を言ってるか説明しないとわからないラップになりたくなくて。 聴いた人も噛み砕けるような感じにしたいのかもしれないです。以前はそこが自分に足りなかった部分なんだと気づきました。 フロウに関しては、ビート聴いて基本フリースタイルで浮かんでいくんですけど、自分の癖を外す所は外しながら新しい技も見せて最終的に良い16小節にまとめるって感じなのかな。 難しい事をやるのがスキルだとより思わなくなったんでシンプルに研ぐみたいな感じにしたいです。そういう事も前のアルバムより、無意識にできるようにこなれてきたかもです。あと、時間がなかったから、正直考えてる暇もなかった(笑)。GRADISと製作中にクラブとかでラップの話してたりしてたんで、英語と日本語の音節の構造の違いとかそういう部分も、また見直す機会にもなったっすね。改めてライミングの重要性とかも。それもあって乗せ方の細かい部分とかを試しながら後半やってたんで、そういうところで、ワダさんとか竹さんとか、乗せ方の、単純に聞いたときの何か気持ちよさっていうか、あれを感じてくれたのかもしんないっすね。今日はインタビューされるだけじゃなくてしゃべることになると思ったから、何個かテーマを考えてきたよ。 

GRADIS NICE - 途中からそれも入れてこう。やっぱラップのタイミングは大事だよね。 

ISSUGI - タイミングね。『ラップのタイミングについて』って議題にも書いてある。 

GRADIS NICE - 音楽でいうタイミングってのは、0.00001秒ぐらいの感覚で体が感じるんで。 

ISSUGI - 確かに。 

GRADIS NICE - 音楽のタイミングは0.1秒でもでかい動きなんで。本当にもう、数ミリセカンドが重要っすね。 

ISSUGI - やっぱりまず日頃から感じてないと、そのラップってできないんで、人のラップとか聞いて、そのグルーヴっていうかフロウを分かってないと自分はできないから、まず、それが大前提。ラップを聞けてんのかっていうか。 

GRADIS NICE - 感じるってどうします? 難しくないですか?ぱって言われたら。頭で考えてしまうと思うんです。 

GRADIS NICE - でも、感じるという行動を考えなくて良いんですよ。ただ美味しいものを食べた時に美味しいと感じるのと同じですよ。素直に思うままで良いんです。

ISSUGI - 頭でしか聞けてないやつのラップとか聞いてて分かるよね。 

GRADIS NICE - 感じるって言葉を一回、考えた上で行動すると感じる瞬間を逃すんです。感じるっていうのは、素直に体が感じてる状態がベストなんすよね。難しいっすよね、一回、感じるっていう言葉を考えちゃうとね。

ISSUGI - いっつも、こんな話してます。そうだね、途中から感じ方って変えていくのって難しいのかな。1回聴き方凝り固まっちゃうと。 俺も歌詞書く時とかは勿論考えてるんすけど、例えばフリースタイル。ビートが、ボーンッてなって、やりましょうって言ってフリースタイルやる時って、何も頭に用意してない状態でいくじゃないですか? それがノリで感じてる状態なんですよね。瞬間で感じながら、同時にやってくみたいな。 

GRADIS NICE - でも普段、考えた上でずっとやってるから、人前で披露するときは、感覚でできちゃうっていう。考えの積み重ねが自分の感覚になって。考えるのは、練習と同じ。日々の練習量がどれだけ多いかが、全て感覚につながる。感じられたら、無意識にできる。意識しちゃうと、意識っていう重荷を背負った状態でやらないと駄目なんすけど、でも、無意識で出来るのがベストなパフォーマンスなんで。 

ISSUGI - それは言えてる。 

GRADIS NICE - 意識の積み重ねが無意識になるんですよ。スポーツやってる人もそう。練習のときは改善点を意識したりして次のレベルに持っていこうとするんですけど、本番は無意識に出来てる状態。 

ISSUGI - 本番は無意識で。いつもクラブの外とかで、こういうことを言ってくれるんすよ。 

GRADIS NICE - ISSUGI君とかテツ(Scratch Nice)とかとしか、しゃべんないですけど、こういう話は。もちろん理解してくれようと頑張って、ずっと話、聞いてくれる。他の人は途中でもういいやってなっちゃう、こういう話をすると。 

ISSUGI - いなくなっちゃう(笑)。

GRADIS NICE - そう。こういう、真面目か何かよく分かんない、どうでもいいような話。

ISSUGI - いや、俺こそが、そういうことをずっと考えてるタイプだもん(笑)。

GRADIS NICE - いや、俺のほうが考えてる。いい勝負。俺はもう、起きてからずっと寝るまで考えてる。 

ISSUGI - それは考えてるね(笑)。  

GRADIS NICE - そう。頭おかしくなるんじゃないかと思うぐらい考えてしまうんすね。 

ISSUGI - いいじゃん。 

GRADIS NICE - 考えて、考えて、考える人になってしまいますね。 

ISSUGI - 和田さんは、どうでした?今回の『Day’N’Nite2』。 前作から今回の、ビートの変化とか感じました?何か。俺は結構、前作とは違う感じのGRADISのビートを結構、入れれたのかなと思ってて。これもGRADISと話してて、覚えてるか分かんないんですけど、予定調和とか予定どおりみたいのだと、つまんないっつうか、人は感動しないみたいなことを一緒に話したりしてて。そういうのもあって前みたいなトラックで来ると思ってた人とかも、もしかして、いるかもしれないっすけど、結構GRADISが最近ビートライブで流してるような感じとかは、前のアルバムのビートとは、またちょっと違ったりするし、いい意味で前作と違う感じのビート達にしたかったっていうの、あるよね。 

GRADIS NICE - うん。 

ISSUGI - 今聞いてないっしょ? 

GRADIS NICE - 聞いてる。

ISSUGI - 聞いてた? 

GRADIS NICE - 聞いてる。ここも入れといてください。

ISSUGI - 俺が後で削除するから(笑)。

ISSUGI - やばいっすよね、"Chef Banga"とか、まじで。

GRADIS NICE - オリジナリティーの追求、探求心。全ては日々の鍛錬っすね。極限まで。 

ISSUGI - ビートはよりシンプルになってるんだけど、そこの緻密さが、こんな動物みたいな男なんですけど、几帳面な、微調整に微調整を重ねて、『DAY and NITE』の1から『2』まで来てるっていうのを、俺は感じてて、この人は。 

GRADIS NICE - A型なんで。血液型、めっちゃ好き。 

ISSUGI - A型、聞いて納得しちゃったんすよね。 ぱっとみ豪快に感じるから。何型か分かんないじゃないですか、こんなん。 

GRADIS NICE - 「こんなん」とか言って。 

ISSUGI - イエティだと思ってるんです(笑)。

竹 - カピバラだね。 

ISSUGI - そう。ラフに見えて細かい男なんすよね。

ISSUGI - 俺にその緻密さは、ないんですよね。AB型だからかは知らないんですけど俺はまじでノリと感覚だけで最後までいくんで、そういう細かく調整を重ねていけるのが俺にとっては面白いっつうか。

ISSUGI - ドラムのスイングとかが、グリッドにぴったりでは絶対ないんだけど、ぴったりに近いスイングの、すげえ、ぎりぎりのスイングをしてるっていうふうに感じてる。例えばBuda(Munk)くんとか(Jay) Dillaって、わかりやすくズレてるんで。 GRADISも、ズレてるんだけど、グリッドにかなり近いっていうか安定した感じを聞かせつつも、でも、オフなんですよね。オンのとこもあると思うんすけど、そこの調整が本当に、細かくやってるんだろうなっつうのは感じるっすね。 

GRADIS NICE - 自分の体が理解してるんすよ。上で鳴ってるメロディーのノリに対してどれぐらいズラせばいいか。 前とか後ろにズラせるとか、音量の調節すれば、どれぐらいの雰囲気になるっつうの、体が感じるんすよ。 

GRADIS NICE - 最初の『DAY and NITE』作ってるときはもう、それは感覚だけでしたね。体ではある程度、理解してたんすけど、頭では理解してなかった部分が、今回は体と頭、両方で、それを理解して披露できてるっていう。もちろん完璧ではないんすけど、でも、もっと分かるようになってきたっす、体と頭が両方。 

GRADIS NICE - そうですね。もっとやってったらもっともっと高いレベルに持っていけるっすね。さっき言ってた、0.0001秒の緻密な世界っす。 どれぐらいのずらし方で、どれぐらいのノリになるかっていうの。 

ISSUGI - ビートも単純に気持ちいいし、ラップも、うまく乗せればやばいことになるっていう感じですね。もともと音のビートのミックスが、いいじゃないですか。オリジナルのGRADIS NICEの、鳴りがあってその時点でミックスがもう完成されてるから。そういうところも結構、魅力としてあると思うし。だから、実はいろんな調整作業が上手いんだと思います。 

GRADIS NICE - 趣味なんでね。だから、ずっと追求しちゃうんすよ。 

ISSUGI - いっつも、やってるもんね。 

GRADIS NICE - ないんすよ。仕事っていっちゃうと、もう俺は誰とも連絡を取らなくなっちゃうっすよ、切羽詰まって。 

ISSUGI - そうなの? 

GRADIS NICE - 本当は、仕事って言うべきなんやけど、大人やから。でも、仕事の部分は、もう今回も、ISSUGI君に全部、任してるやろ。それを文句言わずに、よくやってくれるなって俺は心の中で思いながら。

ISSUGI - そんなに大変な思いしてないけどー。 

GRADIS NICE - まじで? 

ISSUGI - うん。 

GRADIS NICE - ほんま? 俺はもう、まじで、これもやってくれんの? これもやってくれんの?って。 

GRADIS NICE - ん? いろいろ。プロモーションとか。俺もう、そこまで意識が行かない。俺は明日、何を作ろうって頭になってて、もう。 

ISSUGI - 制作モードなわけね、常に。 

GRADIS NICE - そう。 

ISSUGI - 作るのは別に嫌ってわけじゃないもんね。 

GRADIS NICE - そう。作って、完成した、ハッピーっていう状態にならないんです。ISSUGI君から「完成したよ」ってメール来たら、一瞬だけおめでとうって10秒ぐらいなって、明日は何、作ろうみたいな。

ISSUGI - 自分で聞くだけみたいな。 

GRADIS NICE - そう。ただ聞きたいから作ってるっていうだけで。メールでビート送れって言われても結構、送ってけえへんやん。スタジオに結局持ってっちゃうみたいな。メールで送ってるときは相当、頑張ってるから、俺。 

ISSUGI - まじで。それ、携帯の向こうでどんな状況になってんだよ(笑)。

GRADIS NICE - もう、そのことから目をそらしてんの。

ISSUGI - 駄目だって。まあしょうがないけど。 

GRADIS NICE - 駄目なのは分かってる。できないのよ。

ISSUGI - でも、いろんな人に送ってんじゃん。 

GRADIS NICE - めっちゃ頑張ってんの、あれ。メールの送信が人生で一番、頑張ってることかも。無理なこと言われても、できないって言いたいんやけど、周りからはメール送るだけやでみたいなん思われんねんけど、できないのよ。

ISSUGI - もう作んのが好きなんだよね。まじで作ってます、本当に 

GRADIS NICE - そう。ただ作るのが好きなんす。作ってないと、もう落ち着かないんすよ。ずっと作りたいから、竹ちゃんに無理やり、モニタースピーカー買わしたんすよ。この前ヨドバシカメラまで連れて行って、無理やりオーディオインターフェース。 

ISSUGI - 買わせてるー(笑 )。

GRADIS NICE - そう。ええやんみたいな。俺が乗せて買わせるっていう。 

竹 - でも、あのスピーカー良かったね。 

GRADIS NICE - ほら。乗ってるからオールOKみたいな。 

ISSUGI - ここまでインタビュー載せてほしい。 

GRADIS NICE - 何気にあれ買ってから、もう20曲は作ってるよね。 

竹 - "Chef Banga"もうちで作ったよね。

ISSUGI - え? あれ、東京で作ってたの? 

GRADIS NICE - そう。 

ISSUGI - やば。まじで、そんな最近のだったんだ。 

GRADIS NICE - これ、いいねみたいな。これは、タカさん合いそうだなって思って温存してて、ISSUGI君に聞かしたら、ISSUGI君が、これ使っていい?って。

ISSUGI - でも、おれもあれ聴いたときft. BES だなと思ったよ。感じ的にね。 そういうのも結構、感覚で分かったりするから、"Wizards"とかも5lackでしょって言ってたし。そういう同じ感覚の部分も、俺も感じてるんで。このビート聞いて、あいつでしょって浮かぶのって、全然、違う人もいるわけじゃないっすか。そういう人らと、なかなか一緒の物を作るの難しかったりするから、そこの感覚が共有できてるっつうのは、あるのかなって。 

ISSUGI - やばかったっすね。もう送られてきてヘッドフォンで聞いて、聴きながらニヤけたもんね。ラップ、やべえ。てか発想がちがう。 

ISSUGI - もう、ほぼ俺が決めて。ほぼっつうか、全部そこは俺が決めていってGRADISに言わないで進めちゃってますね。でも、駄目だったら駄目ってあとで絶対言ってくるんで。全部、問題なかったよね。 

GRADIS NICE - 全然問題ない。あとはもう、フロウとタイミングのとこ以外、ノータッチやもん、俺。リリックは面白かったね。言葉遣いが分かやすくて入ってくる。

ISSUGI - 俺のってこと? 

GRADIS NICE - そう。 

ISSUGI - 多分、俺、前より分かりやすい表現をするようになったと思うんすよ。自然にですけど。前作ぐらいからもう。さっきもワダさんに言ったけど、伝わってなかったんですよ、俺の言葉っていうのは、100パーは。どこかぼやけてて80から90くらいが多かったと思う。 努力って言ったら、ちょっと違うんすけど、単純にもっと伝わって欲しいって思うようになったから。 

GRADIS NICE - いや、努力でいいよ。 

ISSUG - 自分なりにね、努力したよ。そっから良くなったと思うんですよ。 そしたら皆がもっと 「ISSUGIの言ってる事って面白い、耳を傾けてみよう」ってなってくれた気がして。ラッパーって言葉を駆使して表現するものだから、そこまでまずは行かないとラッパーとして特別な存在になれないと思います。 だから今はやっと丁度、自分に対してみんながそう思ってきてくれてるタイミングな気がします。そうなる前は言葉が流れていっちゃって心に引っかかってないんですよね。 自分が求めてるラップっつうか、したいラップって、どういうのなんだろうって考えたときに、フロウも良くて、言葉も面白くて、複雑じゃないけど実は誰にでもできることじゃないみたいな、そういうバランス。 

GRADIS NICE - 意識の積み重ねが無意識を。

ISSUGI - 色々考えるけど、最終やるときは無意識になれてればって事だよね。 

 ISSUGI - 感じましたか。 

GRADIS NICE -"I Am…"って、俺が、ビートこれ駄目だって言ってたやつ? 

ISSUGI - そう。

GRADIS NICE - あれ、リリックはめっちゃ良かったよ。だから、ビートは差し替えようかなと思ってたんだけど。 

ISSUGI - 駄目だよ。あれは俺ビート好きだったから。 

GRADIS NICE - こういうやりとりをずっとしてる。 

ISSUGI - 俺の中で、GRADISの今回のビートって何個かに分けられるんですよ。例えば、超大ざっぱに言うと、ちょっと2000年のああいうビートを、GRADISの今の状態でちょっとアップデートしてったものみたいなんが、まず、そういう。

ISSUGI - そう。もう1個が"Me & My Musik"とか"I Am…"の、俺の中でちょっとデトロイトっぽい質感を感じてたんですね。そういうのがあって。あとは"BK Suede"とかは、ちょっとハットとか細かく入ってるちょっとプリセットぽいドラムの音色のような自分の中での定番な感じ。どれも最終的にGRADISのスタイルになってるっていうそういうのとかがあって。あーこうやって話してて、俺、すぐなんの話題だったか分かんなくなっちゃうんですよね(笑)。

ISSUGI - 何の話でしたっけ、これ。 

ISSUGI - そっからなんで俺、このビート分けについて話してるんでしたっけ。 

ISSUGI - そうか。で、"I Am…"は俺の中で聞いたときに、これ、今までGRADISのビートでこういうの、あんまり外に出てないから、そういう意味でも俺は入れたいってなったんですよ。まだ、このスタイルのGRADISはみんな知らないから、絶対面白いっていう意味で、"I Am…"は押し切ったっすね。 

GRADIS NICE - 結果的に良くなるから、いつも、俺が嫌だっつっても。ずっと俺は、でも、あのビートなんで送ってもうたんやろう、これって思ってたのも、あるみたいな。でも、結果的にいいから。

ISSUGI - あれは良かったっしょ。 

GRADIS NICE - いつも大丈夫。嫌がってても、結果的にもうお任せ。 

ISSUGI - 押し切るから。 

GRADIS NICE - どうせ断っても嫌がるんやろうなって思う。もうええわって。 

ISSUGI - 今作は結構、客演が多いじゃないっすか。だから、ソロの曲はソロで、これはこういう事を伝える曲と割と分かるようにしたいかなっていうのは、思ってました。 そういうのが結構みんなに伝わる、シンプルで分かりやすくなってきてるのかなっていう点もありますね。 

ISSUGI - そうかもしんないですね。 

ISSUGI - 別に誰しもが分かる必要ないんですけど、誰もが、ちょっと一瞬その感じ分かるとか、その気持ちになったことあるとか、そういう感覚をもってくれたら嬉しいかなって。だから、自然とそうなっていったっつうか。他の人もインタビューとかで言ってんの聞いたことあるけど、ヒップホップでヒップホップのことを歌うっていうよりかは、日常のことを歌ってそれがヒップホップなんだっていう方が大事。なんで、そういうバランスをうまく詰めれたらなと思ってたんで。『DAY and NITE』って俺の中で結構、陰と陽とか、月と太陽とか、光と影、そういう意味でもあるんですよ。だから、そういうのを入れたかったんで、強気な曲もあるけど、強気じゃない曲もある。1人でいるときの気持ちとか、そういういろいろ、両面を入れたいって、ずっと思ってましたね。 

ISSUGI - いや、曲を作ってるときに孤独さみたいのは感じないっすね。でも、みんな全員、孤独だと思ってるんで、自分が孤独だとかいうよりかは、みんな孤独な部分は絶対あると思うからっていう意味でのものですね。で、もう本当そういうのは、曲によって違うから、タカさんと作ってる曲なんてもう、そんなの微塵もなくて、速攻バーンみたいな感じだし、例えば"XL"とかだったら、ビートに沿っていく部分もあるんで、GRADISのビートを聞いて浮かぶ感情が、まずあるんで、それが最初っすね。それでテーマを浮かばせるっつうか、こういう事を歌おうみたいな事を決めて。だから、ビートからインスピレーションもらって、自分の中にある感情みたいなのを、うまく表現するっていう感じですね。 

GRADIS NICE - 何? 

ISSUGI - 今、俺の視界に入ってた。 

GRADIS NICE - 俺落ち着き無いんでこんな感じなんすよ。 

ISSUGI - そうなの? 

GRADIS NICE - 俺落ち着き無いんで。

ISSUGI - ビートやばいから大丈夫だよ(笑)。

ISSUGI -"Freestyle"のやつで。 

ISSUGI -それぐらい。今21ぐらいっすか、Sadajyo。

竹 - そんな若いんだ。 

ISSUGI - Sadajyoは、Spotifyで普通に曲を聞いてたら、どんどん色んな曲がかかるじゃないっすか。そしたらSadajyoの"Zoomer"がかかって、いいじゃんって即思ったんですよね。1週間後ぐらいにBuda君と会ったらSadajyoの話になって、Buda君も、Sadajyoってやつ、いいんだよとか言ってて。で、Buda君も言ってるってことはこれ間違いないなって思って。フリースタイルに、まず誘って。あれはビートジャックだったから、リリースできてないんですよね。だから、オフィシャルで作品を出すときに、もう一回ちゃんと誘いたいなと思ってて。俺の中で、あいつも年齢、若いんすけど、一緒に組んでやってるJeff Loikっていうビートメーカーとかもそうなんすけど、2000年前後のノリが好きっぽいやつらなんですよね。そういうのがあったんで、あのビートが合うんじゃないかなと思って当て込んだって感じです。

ISSUGI - 声が楽器になってる、まず。それが結構でかくて、あとは、リズムの取り方とか、フロウだったりってことになってくると思うんすけど、でも、声が楽器になってるっていうのが結構、俺はそういうラッパー好きなんで、Sadajyoもそういうところ、ありますね。

GRADIS NICE - ISSUGI君まじで、しゃべってる。

ISSUGI - いつも、まじだよ。 

GRADIS NICE - (真似をして)いつも、まじだよ。 

ISSUGI - いっつも、まじだよ。 

竹 - そういうこと言っちゃ駄目でしょ、本当。 

GRADIS NICE - 俺、ISSUGI君ちゃかすの好きなんすよ、普段。 

ISSUGI - オレにLineで変なスタンプ送ってきて、反応楽しんでくるんですよ(笑)。 「何も返せないやろ」みたいな感じで。 てか、自分も真面目なときも全然あんじゃん。次、行きましょ。俺の質問。

GRADIS NICE - ビートのテーマは2000年代初期かな。

ISSUGI - 急に割り込むじゃん(笑 )。

GRADIS NICE - でも、普段DJしてるときの延長線上っすよ、ビートは、今回の大体。そういうノリっすね。 

ISSUGI - そしたら次のテーマは「ベースラインについてのこだわり」。 

GRADIS NICE - 鼻歌で歌ってるような感じかな、ベースライン。メロディーを主張しない、バランスを保ちつつ鼻歌で歌えるぐらい程度。 

ISSUGI -"YingYang"のベースライン、やばかったね。 

GRADIS NICE - やばかった? 

ISSUGI - うん。他の曲もやばいけど、"YingYang"のベースライン結構、良くない? 

GRADIS NICE - もうちょっと直したかったけどね。 

ISSUGI - いや。直さなくていいんだって。 

GRADIS NICE - こういうことになるんすよね。ただ、でも、作ってる上でベースラインを充てる工程は好きっすね。全工程、好きっすけど、ベースを充てたらどういうビートになるかってのは、いつもわくわくするっす。 

竹 - そこがGRADIS NICEの真骨頂っすわ。 

GRADIS NICE -「真骨頂」とか言ってる。 

ISSUGI - ユニークさについて結構この前、話したんすけど、ユニークであることが大事だと俺らは思ってて。 

GRADIS NICE - 重要っすね。

ISSUGI - そのユニークさって何なんだろうっていうのを結構、掘り下げてるわけじゃないんですけど。で、俺は個人的に、テクニックも大事だけどユニークさの方が重要だよねって話してて。俺、個人的に、面白いラップが好きだって思うんですけど、その面白いっていうのが、笑えるっていう意味じゃなくて、"興味深い"っていう意味での面白いっていうものが欲しくて。それがないと、つまんないんですよ。どんなに良いこと言ってても、ユニークじゃなかったら、んーみたいな感じがあるから、俺は重要だと思ってて。だから、そういうとこだよね。 

GRADIS NICE - ユニークってのは重要っすね。ユニークって言われたときは、特におまえのビート、ユニークだって言われたら、すごくうれしいっす。ファンキーって言われたり、クレイジーなビートだって言われるのも好きっすね。全部に共通するのは、スタイルがある事がやっぱり重要です。

ISSUGI - ユニークとファンキーとクレイジーは、スタイルと。 

GRADIS NICE - そう。オリジナリティーの追求っすよね。誰々っぽいっていうのが評価対象になったりする場面もあったりすると思うんすけど、自分はそれは特に必要なくって、別に音楽に限らず、優れたアーティストの人たちを見てたり一緒に行動してたら、いつも感じるのは誰々っぽいじゃなくて自分の追求なんですよね。トレンドとか流行りは自分が生んでいくものなんですよ。スタイルのあるやつらがトレンドを生んでいくんすよ。

ISSUGI - 絶対そうだわ。

GRADIS NICE - いかに最先端で今っぽいとかどうでもいいんすよ。最新の音楽を作ってるやつらも、古くさい音を聞いて、別にそれがユニークだって思えばそれが採用されて、それが次のトレンドになるし。だから、常に胸を張って自分のスタイルを主張してる姿勢が、すごい重要やと思うんすよね。そういう部分において、ユニークなもの作っていくという事は、すごく必要不可欠な要素で。新しい音楽を聴いた時に自分が想像もしてなかったようなサウンドが飛び出てきたときに興奮します。予定調和じゃない状態。 

ISSUGI - 自分軸を持ってるやつしか、それは手に入らないんじゃないですか。自分がないのに人の真似したり、しょっちゅう追い掛けるものとかを変えてたら、そのユニークさは手に入らない。

GRADIS NICE - でもって言いたくないねんけど、まねは重要やと思うよ。自分がまねをしたり、何かに影響を受けて作ったところで、それにはならない。自分のものになるんで。一番最初の段階とかでまねは、すごい重要やと思う。まねをし続けてれば、自分のものに、どんどんなっていくって。 

ISSUGI -「初めはないStyle そんなもん」、そうなんすよ。自分が好きなものを追求してたら、それがスタイルになるっていうのは絶対ある。 

ISSUGI - こういう感じのビートの質感のアルバムって、最近あんまりなかったんじゃないっすかね? だからオレも作ってて楽しかったし、わくわくしてました。 じゃあ次。でも、あんまりもう議題ないんですよね。 

GRADIS NICE - 全然いい、何でも。結構しゃべってるっすもんね。俺、日本に帰ってきてから、これ、誰かに言ったかどうかは覚えてないけど、こたつで作ってるねん。 

ISSUGI - 何、言い出すかと思ったら。それ、家でってこと? 

GRADIS NICE - そう。こたつで。

ISSUGI - それは何か関係あんの? 

GRADIS NICE - ない。 

ISSUGI - ないんだ。何のために言ったんだよ(笑)。

竹 - でも、スタジオとかで作ったわけじゃないんだね、みんな。 

GRADIS NICE - こたつでごろごろしながら作った。 

竹 - 仕事部屋ちゃんと作れって話になっちゃいますから。  

ISSUGI - ワダさん、何かありますか。 

GRADIS NICE - え? そんだけ紙あって、もうないの? 全部、言ってもうた? 出尽くしたの?

ISSUGI - でも、大体終わったかな。 違うかなっていうのもあるけどさ。トラックの上のハードルを越えていく動きに凹凸が生まれて、グルーヴになるっていうのがあるんですよ。 

GRADIS NICE - え? どういうこと? 

ISSUGI - 多分ビート上に、ハードルっていうのがドラムなのかベースなのか分かんないんですけど、それをラップで乗り越えていくのか分かんないんすけど、そういう。 

GRADIS NICE - 障害物の話? 

ISSUGI - そう。 

GRADIS NICE - 例えば、この部屋があって、いっぱい物が今あるじゃないっすか。だから落ち着くんすけど、ここが、ただ広い何もない空間だったら、落ち着かないじゃないっすか。色々あって、やっと落ち着く空間じゃないっすか。それも音と一緒で、ただまっすぐな、平坦な何もない状態だったら音を楽しめないけど、そこに障害物を置いていくことで、ビートも完成されるしっていう話してたっけ。部屋のレイアウトと一緒で、障害物の置き場所がグルーヴを生んでいくんすよ。 

ISSUGI - "Wizards"のリリックとかは、それを俺は覚えてて、"障害物超え生まれる凹凸"とか言ってて。 

GRADIS NICE - そういうことだったの?

ISSUGI - それで超えてくのが結構クロヒョウとか、すげえいい感じでいれるじゃないっすか、かっこよく乗って。 

GRADIS NICE - 動物の躍動感。馬もグルーヴがあるじゃないっすか、パッカラパッカラって。

ISSUGI - 走り方。動物の走り方って、グルーヴ半端ないんですよ。 

GRADIS NICE - 人間の呼吸もグルーヴがあるんです。全部、一緒。その呼吸のグルーヴが音に全部、反映できるのが、乗れる音ってことっすね。呼吸が反映されてる音が、全ては。 

ISSUGI - 自分的に障害物っていうのが、現状からのスキルアップかもしんないし日々の悩み的なものかもしれないから、そういうのを乗り越えたときに生まれるグルーヴっつうのもあるっていうのは、俺は自分的には、そういうことも考えてました。 

GRADIS NICE - いいね。深い。 

ISSUGI - オレのユーモアはそんな感じでラップに入れ込んでくから。 

GRADIS NICE - 深い。 

ISSUGI - あとは、ラッパーの言葉についてはどう?

GRADIS NICE - 言葉? 

ISSUGI - うん。 

GRADIS NICE - 言葉はもう、ユニークかどうかやな。

ISSUGI - それ、さっきのだね。 

GRADIS NICE - ユニークなライムを。どういうライムをするのかっていう。ハハハハッって笑えるけど、そういうばかな笑いじゃなくて、頭のいい笑い。頭のいいライム。 

GRADIS NICE - 頭がフル回転で。みんな頭いいと思うんすよ、人間はみんな生まれた時点で。だから、その考えるっていう行動を、どれだけ自分の人生で時間を費やしてるかっていう。考えれば考えるほど、どんどん頭も研ぎ澄まされていくし、考えも一緒。考えるっていう行動が、すごい重要やと思うんす。考えて行うっていう。 

ISSUGI - GRADISが、俺のこのアルバムの曲のリリックとかも、この部分良かったよとか言ってくれるじゃん。結構そういう、あんまり言ってくれるビートメーカーって実は、いなかったりするんすよ。だから、ラップをすげえ聞いてるっつうか、そういうところもあるよね。 

GRADIS NICE - 前世、ラッパーやったかもしれへん。 

ISSUGI - ありえるね。 

GRADIS NICE - ビートを作ってるときは、頭ん中でラップしてますけどね、常に。 

ISSUGI - 言ってるね。いいビートメーカーは、絶対そういうふうにやってそう。 

GRADIS NICE - 普通に。言語はどうかっていう問題ではなくって。 

ISSUGI - 音的に、はめに行ってって感じ。 

GRADIS NICE - そう。完全にラップしてるねえ、頭の中で。 

ISSUGI - あと、ラップが入る、英語と日本語の構造上の違いもあるんすけど、例えばキックの1拍目の頭で入るって言ったら、ちょっとおかしいんすけど、英語だったら、例えば、ふって何かやってんじゃん、よく、ちょっと。 

GRADIS NICE - 空気ね。 

ISSUGI - そう。そういうのは、ちょっと分かってるやつのほうが、うまく乗せられたり。もう言葉の話じゃなくて、乗せ方の話になっちゃったんすけど。 

GRADIS NICE - 空気の使い方っす。 

ISSUGI - でも俺、もうほとんど、乗せ方に関しては無意識っすね、ここでしょっていうふうになってるだけなんで。それに1で入ってもいいんすよ。 

GRADIS NICE - でも、その1をまた分割すればいいっす。1の前の0.00001秒前でも後ろでも、タイミングは全て変わるんで。1拍がどうとか、どうでもいいんすよ、もう本当に。それはもう、ただ単純に大きい拍なんで。違う国ぐらいのレベルの距離感なんで、自分の中でも。もっと、それよりも小さい、中の話。 

ISSUGI - 結構よく言ってんのが、どこが1小節目の頭かも分かってなくていいって言ってて、もう入りたくなったところで入って、やめるところでやめればいいっていう考えを持ってて。でも俺もそれ、すげえいいなと思ってて。 

GRADIS NICE - 何だったらもう、ビートに乗らなくていい。オフでいい。みたいな。普通にラップしてるだけで乗ってるから、無理して乗らなくていいみたいな。無理して乗っちゃうから、予定調和になる。 

ISSUGI - あー、なるほど。 

GRADIS NICE - 無理しなくていい。ただ感じれればいいです。だから、感じるっていうやな。感じるってのが、すごい重要、自分を持っていくためには。 腹八分目でいいんす。 

GRADIS NICE - 八分目でやってんのが、いいんすよ。余裕でやるっていうの。さらっとこなすってのが、かっこいいんすよ。 

ISSUGI - なるほど。 

GRADIS NICE - そう。常に。でも、その精神状態に持っていくためには日々、水面下での100パーでの鍛錬。 

ISSUGI - そこでは100パーで。 

GRADIS NICE - そこでは100パー。1人のときには100パーで。 

ISSUGI - おもしろい。 

GRADIS NICE - ぶち切れる状態で。壊れるぐらい。 

ISSUGI - 以来ですか。

ISSUGI - 2023がアルバム出てないのは、ヘルレイザーのコンピレーションを俺とSCRATCH NICEで作ってたから、あれがアルバム制作の代わりって感じでしたね。 2023はシングルを結構作ってリリースするのにハマってました。 おれ2012アルバム出してないんですね。

ISSUGI - あー顔面神経麻痺で、その後『EARR』(2013)から復活したっぽいすね。 俺、2012から2023まで絶対、毎年1枚は出してるってことっすか、何らかの作品を。 

竹 - すごいな。 

ISSUGI - あんま気にしてないけどね(笑)。

GRADIS NICE - すげえな。

ISSUGI - 余裕だよ、こんなの。 

GRADIS NICE - 余裕? 

ISSUGI - 余裕。永久にできる。 

竹 - 好きなことだからね。 

GRADIS NICE - まじで。そんなやってた? すごい。

GRADIS NICE - 普段しゃべってるもんな。

ISSUGI - この感じ、だいぶ普段どおりだよね。 

GRADIS NICE - 常に。普段どおり。 

ISSUGI - でも、いいアルバムできたっていう感触はあるよね。 

GRADIS NICE - うん。あるね。 

ISSUGI - お互いにあるから。 

竹 - 傑作じゃないでしょうか。

ISSUGI - 本当っすか。そのせりふで最後、締めます? 傑作じゃないでしょうかっつって。 

竹 - いいよ。傑作ですよ。 

ISSUGI - 本当っすか。超うれしいっすわ。

Info

title : Day'N'Nite 2

artist : ISSUGI & GRADIS NICE

label : DOGEAR RECORDS

release: CD, STREAMING / 2024年10月23日

Day'N'Nite 2 - ISSUGI & GRADIS NICE

1.BK Suede

2.YingYang ft Epic,Eujin

3.Step My Game Up ft Sadajyo

4.I Am...

5.Me & My Musik ft JJJ

6.XL

7.Ichi ft Sparta

8.Janomichi ft 5lack

9.Da Two ft 仙人掌

10.Chef Banga ft BES

11.Wizards ft 5lack

12.Day'N'Nite 2

Recorded at J.Studio(TYO)

Mixed by Tappo Green Hill, JJJ, SPARTA, 5lack, ISSUGI & GRADIS NICE

Mastered by Shiota Hiroshi

配信リンク:

https://linkco.re/qcG8uVT6

2024/11/30 (SAT)

DOGEAR RECORDS 18th Anniversary Party at clubasia

Open  24:00

Close  5:00

Advance ticket:¥3500 +1d ¥700

Door:¥4000 +1d ¥700

■LIVE

MONJU feat. S-kaine, Sadajyo

KOJOE

弗猫建物

■Beat Live

Malik Abdul-Rahmaan

GQ

CRAM

Aru-2

■GUEST DJ

DJ QUIETSTORM

G.O.K

■DJ

KID FRESINO

BUDAMUNK 

SCRATCH NICE

GRADIS NICE

CHANGYUU

WATTER

SOUSHI

Ticket :

https://clubasia.jp/events/7884

RELATED

Campanella、ISSUGI & GRADIS NICE、Kaneee、Kohjiya、OMSB、STUTSが出演する『#1229 Year End Party』がMIDNIGHT EASTで開催

昨年も好評を博した 『#1229 Year End Party』が、今年も12/29(日)にMIDNIGHT EAST (Spotify O-EAST & AZUMAYA)で開催される。

【インタビュー】DYGL 『Cut the Collar』| 楽しい場を作るという意味でのロック

DYGLが先ごろ発表したニューEP『Cut the Collar』は、自由を謳歌するバンドの現在地をそのまま鳴らしたかのような作品だ。

【インタビュー】maya ongaku 『Electronic Phantoms』| 亡霊 / AI / シンクロニシティ

GURUGURU BRAIN/BAYON PRODUCTIONから共同リリースされたデビュー・アルバム『Approach to Anima』が幅広いリスナーの評価を受け、ヨーロッパ・ツアーを含む積極的なライブ活動で数多くの観客を魅了してきたバンド、maya ongaku

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。