【ライブレポート】藤田織也、Gucci Prince、DJ Chin-NenがSOUNDALLY生配信イベントで画面越しに熱気を伝える
『LINE LIVE アーティストライブ powered by SOUNDALLY』が9/10にLINE LIVEなどで配信された。このイベントはLINEが提供するデジタル音源流通サービス・SOUNDALLYが主催したもの。2回目となる今回は司会に渡辺志保を迎え、SOUNDALLYを通じて新曲をリリースしたGucci Prince、DJ Chin-Nen、藤田織也(ふじたけんや)が出演した。
取材・構成 : 宮崎敬太
撮影 : sugino terukazu、kubo naoharu
Gucci Prince
トップバッターはGucci Prince。お台場を拠点に活動していたNormcore Boyzの活動休止後すぐにソロEP『Flatts』をリリースすると、6月には『戦極MCBATTLE U-22 MCBATTLE2021 FINAL』に出場。さらに新曲もほぼ1ヶ月に1曲のペースで発表するなど、ヤングガンのほとばしるエネルギーを表現に落とし込んで活動している。特徴はUKのスタイルやサウンドにフィールしているところだ。
無観客&生配信という環境はバイブスのコントロールや緊張感という面で、演者とっては決して簡単な現場ではないはずだが、Gucci Princeは1曲目の“地獄”からトップスピードでパワフルにパフォーマンスする。LINE LIVEのアプリで配信されていることもあり、初めてGucci Princeを見る人も多かったようで、「だれかわからんけどええ」などポジティブなコメントが流れていた。Gucci Princeは「みなさんこんにちは。初めましての人も久しぶりの人もいるかと思いますがGucciです!今日はLINE LIVEに呼んでいただきありがとうございます。俺は生ライブだろうが配信ライブだろうが、ライブ自体に変わりないと思うので、画面の向こうで見てるみんなも俺の曲で踊るなり叫んだり、みんなそれぞれ楽しんでくれたらなと思います」と語りかける。
そこに神戸のグライムMC・Catarrh Nisinの作品に参加した“Player Killin'”、さらに攻撃的なドリル“Fake Mandem”を畳み掛ける。ちなみに“Player Killin'”は9月1日に配信されたばかり。続く“Chatan”はGucci Prince名義の新曲。メンバー全員が10代という沖縄のクルー・SugLawd Familiarと制作した。
「今みんなそれぞれ大変だと思うけど、それは俺だけじゃないし、みんなも変わんないし、俺も超絶バッド入ったことも全然あるけど、でも誰かに相談しようが何をしようが結局それを変えられるのは自分しかいないんだよね。選択(するのは)自分だから。誰かの言葉借りちゃうけど、人生は選択の連続って間違いないから。それを肝に命じてみんなちゃんとやっていけばいいと思う。それでみんなぶち上がって、成り上がっていけばいいいと思うし、みんなでどんどんカマしていこうぜ」とポジティブなメッセージを残して、洗練されたグライム“Bacon Part.I”で幕を閉じた。
なおGucci Princeはライブでも披露した“CHATAN”のMVを今週公開。10月8日には全曲客演を迎えたEPをリリースする予定とのこと。
DJ Chin-Nen
2番手は本場ニューヨークでのDJ活動を経て、現在は日本各地でレギュラーパーティを持つプロデューサーのDJ Chin-Nenが登場。代表曲“I SEWAR feat. Rashel”はiTunesのR&B/ソウルのカテゴリーでトップミュージックビデオ1位に輝き、Spotify Viral 50にもチャートインした。
Chin-Nenは“Selling myself feat. Ymagik”と“Movie Star feat. Ymagik & KEN THE 390”といった自身の楽曲をミックスしながら、「一方通行じゃない!みなさん楽しんでいきましょう」と寄せられるコメントやハートなどで反応してくれた人の名前をリアルタイムで読み上げていく。視聴者のテンションも高まったところで、宮崎出身のシンガーソングライターのNOBUがゲストで登場。DJ Chin-Nenとともに制作した“Stay The Night”を歌った。
続いて登場したのはシンガーのNadia。彼女はダンスボーカルグループ・BananaLemonに所属しているが、もともとはDJとして活動しており、プレイしながらマイクを持つスタイルで活躍していた。そんな彼女が“あなたの世界で”を歌唱する。ユーザーたちは「歌上手」「素敵な曲」などのコメントが届いた。そして、このイベント当日に配信されたばかりの新曲“Rainbow”を披露する。「無理する必要なんてない」というテーマで作られたこの曲をNadiaが伸びやかな声で歌うと、視聴者は虹の絵文字で反応してイベントを盛り上げた。
藤田織也
トリを飾ったのは19歳のシンガー・藤田織也。KENYA名義では、PETZの“Never Stop”や“Endless Rage”、さらにKAHOHの“Summer Time”などにも参加している。
最初の曲は今年の1月に発表したソロデビュー曲“ALL MINE”。10歳でJUJUの武道館ライブに出演し、ニューヨークのアポロ・シアターで開催されている「アマチュアナイト」も二度経験しているだけあって、新人とは思えない堂々とした立ち振る舞いで、セクシーなオルタナティブR&Bをしっとりと、かつグルーヴも感じさせながらパフォーマンスする。2曲目はミディアムテンポのダンスホールナンバー“Next to you”。AK-69のアルバム『THE RACE』に収録されている曲で、藤田が所属するヒップホップクルー・Bleecker Chrome名義で客演している。今回は藤田が歌う1ヴァース目を披露した。
簡単な自己紹介をすると、「織也くん〜、待ってました!」といったコメントやアイテムで視聴者からの応援が届いていた。歌っていない時は19歳の少年で、そのギャップに驚かされる。そして最後の1曲はイベント当日に配信された2ndシングル“MIRROR”。マイケル・ジャクソンの“Man In The Mirror”をイメージしたという。ポジティブなディスコサウンドに乗せて、「ありのままの自分を受け入れよう」というメッセージを込めたリリックを安定感のあるヴォーカルで披露した。
ライブ後のインタビューでは、司会の渡辺を「しっかりしてるわね〜」と感心させてしまうほど、落ち着いた話ぶり。現在絶賛制作中らしく、今月半ばにLAに行くとのこと。「年内のリリースを楽しみにしてほしい」と語った。さらに今回の生配信ライブについて聞かれると、「やる気が一層増して。たくさんの新規の方に見ていただいて、“こいつ誰だ?”と思った人もいると思うんですけど、もしも少しでも興味を持っていただけたら、僕含め、他のアーティストさんも聴いてもらいたいです」とフレッシュなコメントしてくれた。
あっという間の1時間だったが、なんと最終的な視聴者数は20万人以上。利用者が多いLINE LIVEでの番組ということもあり、多くの一見さんが目撃する、スマホ時代の音楽番組という印象を持った。当面の間、リアルでのライブイベント開催が難しい状況にあるだけに、新曲プロモーションという意味でも可能性を秘めた新しいコンテンツになりうるのかもしれない。
Info
藤田織也「MIRROR」https://ffm.to/lakj8h3
DJ Chin-Nen「RAINBOW (feat. Nadia (BananaLemon))https://ffm.to/4k6xj0k
Gucci Prince「CHATAN (feat. SugLawd Familiar)」https://ffm.to/chatan
Set List
・Gucci Prince
01. 地獄 feat.釈迦坊主&Spada
02. Player Killin' feat.Itaq, Gucci Prince
03. Fake Mandem
04. CHATAN feat. SugLawd Familiar
05. Bacon Part.I
・DJ Chin-Nen
00. DJ Chin-Nen Mix Show
01. STAY THE NIGHT feat. NOBU
02. あなたの世界で feat. NADIA
03. RAINBOW feat. NADIA
・藤田織也
01. ALL MINE
02. Next to you
03. MIRROR