Mix for Weekenders Vol.2
SoundCloudにアップロードされているDJミックスの中から、週末を楽しむのにぴったりな物を月2回紹介する連載企画『Mix for Weekenders』。
気候が不安定で体調を崩しやすい今日この頃だが、是非ここで紹介するミックスを聴いて楽しい週末を過ごしてほしい。
1. Ploy - 『CAV EMPT CASETTE』
サウスロンドン出身のUKベーステクノの真髄Ploy。「Hessle Audio」を始め、「Timedance」、「Hemlock Recordings」など、UKの名だたるレーベルから作品を発表してきたUKベース界のホープだ。今年3月には、Skate Thingがデザイナー、Toby Feltwellがディレクターを務めるブランドC.Eからカセットテープのリリースを果たしたPloyが、SoundCloud上にミックス音源をアップロードした。
PloyのミックスはUKのベースミュージックを軸に幅広く展開することなく、常にダンスフロアを意識したグルーヴを保つスタイルで聴衆を魅了している。今回のミックスでも、UKならではのエッセンスを含んだテクノダンスホールからスタートさせると、勢いを抑えることなくベースミュージックを大開放。UKならではのベースミュージックとは「まさにこのとこである」と思わせるくらいの、思い切ったミックスだ。大きな変化を遂げることなく、グルーヴを保ち駆け抜けるスタイルは、タグにもある「sports」そのもではないかと感じる。ミックスを通してPloyから「何も考える必要はないぞ、踊れ!」といったメッセージ性があるように思わせるセットを是非クラブに出掛ける前に聴いて欲しい。
2. DJ Fart In The Club - 『live at cashmere radio 11-5-19』
ベルリンを拠点に活動するDJ Fart In The Clubが、同じくベルリンのエクスペリメンタルシーンを紹介するラジオ局Cashmere Radioから発表したDJミックス。あまりにナンセンスなDJ名とは裏腹に、彼女の持ち味はアシッド感溢れるレイヴなバイブスとアシッドハウス、ジャングル、テクノとジャンルを自在に行き来しながらハードに踊らせる技量の高さだ。
今回のミックスも浮遊感のあるトラックが中心の序盤から徐々にアシッドな激しいベースをフィーチャーしたテクノに移り、時折メロウなトラックを挟み展開にメリハリをつけることでフロアを大いに沸かせている様子を聴くことが出来る。90sのトラックを中心に日々ディグを重ねているという彼女の、セレクターとしてのセンスがとても楽しいミックスである。
3. Felix Hall - 『NTS Radio - Felix Hall - 30.04.2019』
ロンドンを拠点とし、レゲエ・ダンスホールを中心としたミックスをリリースし続けるFelix hall。NTSラジオのホストをマンスリーで務める彼は、The trilogy Tapesから80年〜90年代のダンスホールをミックスしたカセットテープのリリースやイギリスを中心としたパーティーに出演するなど、屈指のローカルDJだ。
今回SoundCloudにアップされたのは、4月30日にNTSで放送されたミックスだ。ダンスホールを中心としたミックスは、2000年代の楽曲を中心に収録。WAYNE WONDERのKeep Them Comingから幕を開け、前半から落ち着かせることのないミックスは、Sly & LenkyNow Thingから一気に拍車をかける展開に。後半も勢いが衰えることないグルーヴを保ちつづけ、まさにサウンドシステムで聴きたいと思わせるフロアライクなミックスとなっている。
4. dj slow jam boys - 『jam1』
国籍、正体共に不明のDJユニットdj slowjam boysによるミックス。その名の通りメロウなR&BやG-Funkを中心とした選曲で、近年再評価が進むウェッサイやサウスのヒップホップ、ニュージャックスイングなどをセクシーに聴かせている。正体は不明ながらスムースな繋ぎからは確かなDJの技術が窺えるが、そこに耽溺せずプレイ自体の楽しさが伝わるようなピースなバイブスが満ちている。
Devin MorrisonやDame-Funkらに代表されるような80s〜90sR&Bリバイバル、あるいは近年のUKストリートソウルの盛り上がりにも呼応するスロウジャム・ミックス。この連載のタイトル通り、週末の夕方にチルしながら聴くのにぴったりなミックスではないだろうか。