Mix for Weekenders Vol.1

今回スタートする新企画『Mix for Weekenders』。SoundCloudには日夜、世界中のDJによるミックスの音源がアップロードされている。しかし、DJ個人やパーティに比べてDJミックスというフォーマットは見過ごされがちかもしれない。アルバムやプレイリストとはまた違った形でありながらDJ一人一人の個性やセンスを楽しめる「作品」としてのDJミックスの面白さを伝えたいということで、FNMNLでは日々アップされるDJミックスの中から編集部が厳選したものを、月2回の週末に紹介する。

クラブカルチャーを愛し様々なイベントに足繁く通う方からDJに馴染みの無い方にまで幅広くオススメ出来るこれらのミックスが、これから遊びに行くパーティを選ぶ参考になれば幸いだ。

1. 『music for… growing up in suburbs - Priori』

シドニーを拠点とするOli WrightとTobias Vogelによるプロジェクトear to ear。彼らはその時々の環境や状況などをミックスやイベントを通して、自らのアイディアを様々な人に拡散し、影響与えるプラットフォーム的な役割を果たしている。

今回紹介するミックスは、新たにリリースされた『music for... growing up in the suburbs - Priori』だ。モントリール出身のPrioriはPROJECT PABLOとのユニットJUMP SOURCEや、カナダの新興レーベルNAFFのオーナーであることでも知られる。また彼は様々な名義を持ち、一貫してアンビエンスなサウンドをモチーフとした曲をリリースしている。

『music for... growing up in the suburbs - Priori』は、彼の幼少期がどのようなものだったのか窺えるミックスだ。Prioriは郊外で育ち、夢想、環境について熟孝すること、アンビエントやポストパンクを通して154のStrikeに出会ったことなどが10代だった頃の彼の心境に変化をもたらした。そんな彼のミックスはアンビエントサウンドをベースにダウンテンポなハウスやブレイクビーツを挟む、自由自在なスタイルだ。そこには彼が幼少期の頃感じていた複雑な感情が壮大かつ繊細に表現されている。モントリオール出身の独特な雰囲気を生み出す彼のミックスを是非聴いてみてほしい。

2. 『EARCAVE 420 GRAVITY MIX』

レアグルーヴやファンクを始めとしたレコードのリイシューや新世代のアーティストの作品をリリースし続けるワシントンDCのレーベルPPUから、4月20日を記念しこちらのミックスがアップされた。

ミックスに収録された楽曲の多くはPPUからリリースされた作品で占められ、スペイシーなテクノからダンスホール、ダウンテンポのファンクとジャンルを問わず、PPUの持ち味であるオブスキュアなテイストを味わえる。

「420」というコンセプトに違わずトリッピーなミックスに仕上がっており、アシッドなシンセベースをフィーチャーしたテクノが中心となった前半から一気にメロウなディスコにシフトする展開は、まさしくタグにある「HITS FROM THE BONG」といった感覚だ。その後も心地よいファンクのグルーヴが継続したかと思えばスクリューされたR&Bで一気にスロウダウンし、再びディスコで持ち上げた後にダンスホールでフィニッシュ。最高のトリップを楽しむことが出来る。

3. 『Crack Mix 274 - Simo Cell』

ChangsieやYaziなどのローカルDJ も含む様々なアーティストがミックスを提供してきたUKのインデペンデントプラットフォームCrack Magazineから今回、2月に初来日ツアーを敢行したSimo Cellのミックスが公開された。フランス・ナント出身の彼は10年を超えるDJキャリアを持ち、「Livity Sound」や「TimeDance」といったブリストルのベース・テクノを象徴するレーベルからリリースを遂げている。またリヨンの地下レーベルBFDMからリリースを果たすなど、まさにフランスのテクノ/ベースミュージックの雄と言える。

Simo Cellはベースミュージックを始めエレクトロミュージックの潮流を独自に消化したスタイルで知られ、今回のミックスでもダークなテクノやアンビエント、ベースミュージックを聴かせている。声ネタがサンプリングされた冒頭からじわじわと激しさを増し一気に爆発するインダストリアルな中盤、そこからアンビエントをエモーショナルに聴かせる流れは、まるで彼が吸収した様々な電子音楽を巡る旅に連れて行かれるような感覚に陥る。

一貫してエクスペリメンタルでありながらキャッチーさを持ち合わせ、出来ればクラブのスピーカーで聴きたかったと思わせられるほど踊れるこちらのミックスで、これから待ち受ける5月病の時期を乗り越えてみてはいかがだろうか。

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