SoundCloudがユーザーが自身の楽曲をApple MusicやSpotifyに配信できる新機能を追加
昨年には、DJ用ソフトウェアで楽曲を再生できる機能を発表し、大きな話題となったSoundCloudが更なる新機能を追加することを公式ブログで発表した。その新機能というのが、SoundCloudの有料版であるSoundCloud Pro、SoundCloud Pro Unlimitedのユーザーであれば登録料として、SpotifyやApple Musicなど他のストリーミングサービスに直接自身の楽曲を配信できるというものだ。
このサービスは初めはベータ版としてスタートするが、上記のストリーミングサービス以外にもYouTube MusicやAmazon Musicなどに配信できるとのこと。通常のストリーミングサービスであればアーティスト側はその権利の何%かをストリーミングサービス側に譲らなければいけないので、楽曲の利益の全てを受け取ることは出来ないが、このSoundCloudの新サービスではアーティスト側の権利は100%保証されるとともに、楽曲による利益も100%アーティストが受け取ることが出来る。SoundCloudはこのストリーミングサービスの概念を覆す新機能の追加により、ProやPro Unlimitedなど有料版の登録者を増やすことを狙っていると見られている。
ただし、この新機能を利用するには、SoundCloudの有料版ユーザーであるという条件以外にも18歳以上であること、著作権を侵害していないこと、少なくとも前月に1000回以上再生されている楽曲があること、そしてオリジナル楽曲であること、楽曲を制作する際に違法サンプリングなどを使用しないことが条件だそう。多くの条件があるが、SoundCloudラッパーなど昨今、独自のシーンを築き上げているSoundCloudにおいて、これらの条件を満たしているユーザーは少なくはないであろう。
しかし、先述したように、アーティストが利益の100%を受け取れるという既存のストリーミングサービスの概念を打ち破るこの新機能だが、上手く行くとは一概には言えないかもしれない。なぜなら、他のストリーミングサービスに配信したところで、そのサービスにおいての再生回数が少なければ、結局そのアーティストは楽曲による利益よりも登録料としてSoundCloudに払う月額の方が多くなってしまうからだ。ちなみにSoundCloud Proの月額利用料は6ドル(約670円)、Pro Unlimitedの月額利用料は12ドル(約1330円)だ。ただ現在この有料プラン自体は日本ではローンチしていない。
とはいいつつも、この新機能がインディーのアーティストにとって大きなチャンスとなりうる可能性を秘めているとともに、SoundCloudが音楽プラットフォーム業界の構図を一気に塗り替えてしまう可能性があるのも事実だ。このサービスがアーティスト側にとって吉と出るか凶と出るか、今後の動きにも注目である。