GQの「クリーンなアーティスト特集」に登場したVince Staplesが自分の他にラッパーが出ていないことを疑問視
ドラッグを完全に断ったと告白したA$AP Rockyや「リーンをやめた」と発言したFutureなど、ラッパーの間でドラッグの使用をやめる動きが活発化している。そんな中かねてよりストレートエッジを貫いていることで知られているVince StaplesがGQの「クリーンなアーティスト特集」に登場するも、そこで取り上げられたアーティストのセレクトに異議を唱えている。
GQの特集は、現在ドラッグを使用せず素面で創作を行っているアーティストに話を聞くというもの。登場したのはAerosmithのSteven TylerやJulian Baker、Ben Harpetらといった顔ぶれで、Vince Staplesは唯一ラッパーとしてインタビューに応えた。その後Vince StaplesはBillboardによる別のインタビューの中でこの人選に対し、「俺はあの中でただ一人の都会に住んでいる人で、ドラッグをやらない都会人はもっと沢山いるはずだ」と、自分の他にもっと話を聞くべき相手がいると主張。更に「J. Coleにマリファナを吸わないことについて話を聞けただろうし、Kendrickにインタビューすることも出来たはずだ。もっと話を聞くべき相手がいるだろ。俺が言いたいのは、ドラッグについて話すならもっとリアルなことについて話すべきで、普通とは違う人に聞いてもしょうがないってことだ。人生は人生だし、俺は恵まれてるからドラッグは必要ない」と、自分は普通の人とは違うので適切な人選ではないと語っている。
確かに記事に登場するのはカントリーやクラシックなロックなどドラッグから遠いジャンルのアーティストが多い。Vince StaplesはSteven Tylerのようにドラッグ中毒を抜け出し今のようなライフスタイルを手にした者と自らを比較し、「俺はドラッグについてSteven Tylerとは全く違う答えを言うだろう。全く別の人生を歩んできてるからな。ドラッグを使うことは俺の頭の中の片隅にしかなかった。死や貧困に囲まれていると、ドラッグについて考える暇が無かったんだよ」と語っている。彼の独特な人生観が伝わってくる言葉だが、確かに一般的な事例とは言えないだろう。
ラッパーたちが各々ドラッグをやめていく中、「そもそも使用したいと思わなかった」と格の違いを見せつけたVince Staples。シーンの中でも独立した立ち位置を築いている彼だが、それはドラッグについても同じだったようだ。