【インタビュー】Awich 『Beat』『Heart』| ヘイターも愛せる

昨年傑作アルバム『8』をリリースしたAwichが『Beat』と『Heart』の2作のEPを同時リリースした。今回の2枚のEPも『8』と同じくChaki Zuluがメインプロデューサーとなっているが、2作は好対照となっていて、『Beat』がアグレッシブなビートの楽曲が多いのに対して、『Heart』はメロウなテイストの作品となっている。

そうした両極端なものが自身の中にあるのが好きだというAwichは、『8』の成功後どのように音楽と、そして自身や騒がしくなる周囲と向き合っていったのだろうか。

取材・構成 : 和田哲郎

- アルバムをリリースした時からかなり状況が変わったと思うんですけど、それが歌詞として新しいEPにも出てるなと思って。

Awich - え、出てますか?(笑)例えばどういうとこに出てます?

- 前のアルバムは個人的な関係の中で生まれた感情が書かれたものかなと思っていて、今作では“So What”が象徴的ですけど、自分とは関係のないヘイターなど自分の外側にあるものを意識せざるを得なくなったのかなと。

Awich - んー、実際そうなのかもしれないです。でも、私昔からそうなんですけどなんか言われても良い部分しか覚えてないし、悪口言われても基本的に「お前誰?」って思ってるんで、だからあんまり人の悪口とか自然と耳には入ってこないんですけど、でもやっぱりそういうのはあると思うし、そういうのがあっても大丈夫、動じないみたいな心構えというか、「だから何?お前には説得力無いし」っていうのを常に思ってるんですよね。実際そんな意識してないのかもですね、ぶっちゃけ。

- “So What”もそういう感じですもんね。(笑)

Awich - Chakiさんも「ふざけてなんぼじゃん?」って。ヒップホップって遊ばれてなんぼでしょってなったんで、ふざけましょーみたいな。その各プロセスっていうのは結構成長に繋がったなと思っていて。

- というと?

Awich - 例えばとやかく言ってくるやつに対して、やっぱり言われている時ってむかつくじゃないですか。でも実際人から見たら、あいつお前のことめっちゃ好きなんだぜっていうのがクリアに見えるじゃないですか。だからそういうの書いてると、あーやっぱ私めっちゃ好かれてるんだなーって思って(笑)そういう事言えるように吹っ切れると気持ちいいんだみたいな。それで実際そうなんですよ。インスタライブとかしててもごちゃごちゃ言ってくるやついるじゃないですか。

- インスタライブ見に来てる時点でっていう話ですもんね(笑)

Awich - そうなんですよ(笑)。この前もインスタライブ中にToyomiが「おやすみー」とか言ってたから「娘が寝るのにこんなことやるのかわいそう」とか、「うるさい母ちゃんだな」とか書いてくるやつがいて、私もそいつを名指しでいじり始めたんですよ。それを聴いたToyomiがなになにーって来て、「なんか超文句言ってくるやつがいてさー、娘がかわいそう、こんなうるさい母ちゃんでって言ってくるやつがいる」って言ったら、いきなり娘がぶち切れて(笑)。ロフトで寝てたんですけど、下に降りてきて、英語で「I was just joking, OK? My mom is working!! 人の家庭に口出ししてくんな!!.バーカ。じゃ、おやすみ〜」とか吐き捨てて去って行って(笑)それで皆「Toyomi Gang Gang!!」「親子Gang Shit!!」とか言ってくれて(笑)それで言われた本人は結構黙ってたけど最後までいて(笑)「結構悪くない、CD買います」ってコメントしてきて(笑)もーーー 好き。とか思っちゃって(笑)こういうことだと思って。そいつもやっぱり私のこと好きなんじゃんみたいな(笑)だからヘイトをヘイトで返すんじゃなくて、愛とか笑いで包み込むことが大事だし、それを曲に落とし込むことによって、確固たるものになるというか。本当にヘイターまで愛せるようになったと思います。

- そうですよね。SNSに書くのと曲に書くのとじゃだいぶ違いますよね。

Awich - 実際、つぶやきとかステータスとか書くのってあまり好きじゃないんですよね。他の人がSNSに書いてるのとか見ると、だったら曲にすればと思っちゃうし。SNSだとかっこわるいけど、曲にしたらめちゃかっこいいのにってことがめっちゃあるから、もったいないなと思いますね。それを私がメモったりして(笑)これネタだわぁみたいな。そういう意識の違いです(笑)

- ちなみにエゴサーチとかってするんですか?

Awich - しないです。

- 全く?

Awich - しないですね。なんでしないのか分からないですけど、エゴサーチって自分からネガティブを探しに行ってる気がして。それってわざわざ私に良いことを伝えに来てくれる人達にも失礼だなと思うんです。そこをないがしろにしちゃいがちじゃないですか?なんかこう私のこと好きな人達に失礼だなと思って。だから自分から探すのはやめてます。私に本当に何かを伝えたい人たちは会いに来て言ってくれるし、ライブとかにも来てくれるし。そこを大事にするためにもやってないですね。

- 見えない人の意見というかそこに引っ張られてもって感じですよね。

Awich - そうです、そうです。言うのなんてめっちゃ簡単だから、そこに振り回されるのは自分の状況のありがたさとかを見失う気がするんで。

川副(マネージャー) - 俺らが情報を与えてるからね(笑)

Awich - 良い情報だけ教えてくれるからね(笑)人の悪いことって言われてもピンと来ないけど、自分の悪い事って言われるとめっちゃセンシティブになるし、そういうのは人にやってもらってます。川副さんは氷の心の持ち主なんで。彼にエゴサーチしてもらって、彼に受け止めてもらってます。(笑)後、ツイッターのYENTOWNのアカウントも高性能のエゴサしてくれるので(笑)

- でもそういうのも含めて、よりチームの成熟度が高まってるのかなと思うんですけど。

Awich - それはめっちゃありますね。1人で音楽作るよりも数段上のことをしてる感じが今はあります。信頼できるチームがあるからこそ、アイデアの段階でシェアできるし、アイデアの段階で吟味できるっていう。だから完成が早いんですよ。自分だけがが書いて書いて、暖めて暖めて、それを出した時何か言われると、反発する心も出てくるじゃないですか。かと言って早すぎる段階でアイデア出すのも、信頼できない人達とやってると「分かってくれないんじゃないか」と疑い深くなるし。今はそういう疑いがなくて、アイデアの段階で良い悪いの話が出来て一緒に積み上げていけてる。それはやっぱちゃんと一緒にビジョンを見る能力があるって信頼してる人達じゃないと出来ないですもんね。お互い尊敬し合えてるから、意見とか尊重できるし、そこは人と作ってるからこそ早いし、数もいっぱいこなせるし。自分が1番好きな部分とか1番長けてる部分とかに集中できるから、それはレベルアップしてる気がします。

- ライブパフォーマンスとかもその部分が変わりましたもんね。激しくなったというか。

Awich - そうなんですよ。全然私はライブとかパフォーマンス以外のことに集中しなくていいから。この敏腕マネージャーがいるんで(笑)。

- ライブの部分ではトレーニングを積んでるっていう話を聞いたんですけど。

Awich - そう。去年ぐらいからいろんなとこでのライブが増えて移動とかで体の疲れもたまるし、あと地方行くとその土地自慢の食べ物とかめちゃ食べるから、暴飲暴食なっちゃうし、深夜だし、時間もばらばらだし、ヤバいだろって。さすがに運動しないとなと思ってた時があって。そしたらその矢先沖縄帰ったらポストにはがきが入ってて、「このビルにパーソナルトレーニングジムをオープンしました」って内容で。同じ建物の同じ階の2軒先にパーソナルジムが出来るっていう。私ずっと言ってたんですよ「お金持ちになって家にジムとか作りてー今すぐ!」って。そしたら家の5歩先くらいに出来るっていう(笑)。それで皆、私の家と内装が似すぎてて勘違いして、家に出来てんの?みたいな(笑)

- じゃあそこに通ってるんですか?

Awich - そうなんです。私の目標とか色々話したら、なんかトレーナーさんも「僕もそういうのをやってみたかったんで是非一緒にやりましょう!」ってなって。 こんな天使いるかよみたいな。しかもイケメンだし(笑)。もうこれ引き寄せたわーって感じです。

- 実際トレーニングして、どこが変わりました?

Awich - やっぱり声ですかね。体って楽器なんですよ。だから、楽器と同じで体も筋肉とか体の中の空間とかが揺れて声が出るから、その感覚を掴むことと、自分のどの部分をもうちょい強くしたら良い声が出るとか、例えば声を出すって時に腹筋が緩かったら、内臓も下に落ちて、横隔膜をコントロールできないから喉だけをを使った声になる。だから腹筋鍛えて、内臓あげていったらめっちゃ声が出る。しかも何時間も歌っても大丈夫。やっぱりそういう風に自分のパフォーマンスや成長することに興味を持てるのはライブが好きだからだと思う。 気持ちいいし、人前に立つ事も好きだし、ちやほやされるのも好きだし(笑)。好きだから、どうすればレベルアップできるかを考えるんですよ。正直、何回も何回もライヴを同じ事やってると退屈になっちゃうから、次良くすることを考えるし。言ったら日々、そのことしか考えてないです。食べるときもそのことしか考えてないし、遊びでもインスピレーションを得るためにやってるし、なんかそう言ったら現金に聞こえるかもしれないけど、でも好きだからしょうがないですもん。そのことしか考えてないから。だからそういうのをめんどくさいっていう人達は、好きじゃないんじゃないって思いますね。他の何かの要素、例えばお金が好きとか、モテることが好きとか。だったら、ラップしなくてもいいじゃんって思います。いい意味で。自分の好きなものもう一回見つめ直して、それやったほうが幸せなんじゃない?って思う。

- 正論ですね(笑)

Awich - あ、あとトレーニングは、イケメンがいるのも大事ですね(笑)。イケメンは大事っす、マジで。あれがイケメンじゃなかったら、今日はいいわ〜ってなりますもん。私の家の2軒先に、イケメンが待ってくれてるって思ったら、行くしかないですね(笑)
好きだったらこういうのも引き寄せちゃうんですよ。(笑)

- EPの話に戻りますね。さっき、色んなスピードがあがったって言ってましたけど、スピード感が上がったからこそ出来た作品って感じなんですか?

Awich - どっちもどっちだと思います。めっちゃ時間かけた曲もあれば、サラッと出来た作品もあるし、どれが良いとか悪いとかではなく。両方大事なんだなと思いました。しかも両方出来るっていうのが自信に繋がったし、その見分けとかバランスが大事なんじゃないかなと思って、どっちか1つのやり方だけじゃなくて、どういうやり方でも作れる作り手とかチームがあって成り立ってると思うし、でも判断力というか、これもっとやってみようよとかこれもっとやれるんじゃねというものもあるし、でもいじりすぎたら最初の方が良かったねっていう時もあるし、そこの判断力っていうのは養われた気がします。

- Qeticのインタビューで、“紙飛行機”はかなり時間をかけて書いたって言ってましたけど、かけた方の作品ってことですね?

Awich - かけた方ですね。なぜなら、サンプリングをしてるから。しかもすごいアーティストの曲をサンプリングしてるわけじゃないですか。良い曲にしようっていうのはもちろんあるし、皆の意見もいろいろ賛否両論出てくるっていうのを覚悟した上で作ってるから、もちろん「これ絶対原曲の方が良い」みたいな反対意見も出てくるはずで。何を目指すってなったときに絶対自分が一生聴ける曲を目指しましたね。“色彩のブルース”っていう一生聴ける名曲をサンプリングするんだったら自分もめちゃくちゃ大好きな曲にするっていうのがChakiさんと2人の目標で。だからこそ、歌詞を一言一句Chakiさんと読みあって、これは本当にこれでいいかみたいな。いや〜ちょっと変えますみたいな(笑)もっとこうしたほうがいいんじゃないみたいなのをめちゃくちゃ話合いまくって、作ったら寝かせて、次の日聴いて、車で聴いて、またスタジオで書いて、また聴いて、何回もその繰り返しです。ちっちゃい音で聴いて、大きい音で聴いて、iPhoneから聴いて、車から聴いて、絶対妥協しないって言って、作ったのがこれですね。

- ちなみにEGO-WRAPPIN’はリアルタイムで聴いてましたか?

Awich - リアルタイムでは、いとこのお姉ちゃんたちが聴いてて、かっこいい曲だなと思ってました。それでビデオとかもテレビとかで流れる時代だったので、すげーみたいな感じで聞いてましたね。自分が歌えるとかそういうのは、結構最近になってからかなと思います。やっぱり歌詞とかかっこいいし、この人頭ぶっ飛んでるなっと思ったのは最近ですね。

- 僕も今回、原曲の方の歌詞を改めて見てみたんですけど、抽象度が高いなと思って(笑)

Awich - そうなんですよ(笑)。バグりですよ(笑)。だって歌詞を書くにあたって私も何回も読んだんですけど、それでもやっぱり意味分からないけど鳥肌が立つんですよ。この感じってなんだろうっていうのを研究しましたもん。どういう意味?みたいな。でも意味とかじゃなくて感覚なのかもねと思って、じゃあどういう感覚?とかそういう自分の中でも自問自答を繰り返して。すげーなーと思って。「アルコールの川をゆっくり歩く」って、、バグってるでしょ(笑)。でもそれがかっこよすぎて、だから歌詞だけでもだめだし、メロディとリズムにパチっと合う言葉っていうのがあるんだなと思って。この言い回しがかっこいいからっていって、無理矢理ハメてもかっこ悪い時あるし。そういう面では直感とか、聴いたときにサラッと出てくる言葉っていうのもめっちゃ必要だと思うんですよ。それがないと頭でっかちになっちゃって作れないと思うし、だから考えることもあれば、本当に感覚を頼りに何回も音聴いて待つみたいな作業もしてみました。それで出てくるのもあれば、話し合いながら出てきた言葉もあるし。そのバランスが大事だなって。バランスって私好きなんですけど。やっぱり、黒か白じゃ無くてその比率だと思うんですよ、なんでも。その黄金の比率を持ってるか持ってないか。味とかもそうじゃないですか。何か1つのスパイスがおいしいんじゃなくて、比率がおいしいんですよ。同じスパイスを持ってたとしても、比率が違えば全然味が変わってくるんですよ。だからバランスが一番大事なんじゃないかなと思うんですよ。それって良いとか悪いとかもそうだと思うんですよ。良いだけでも悪いし、悪いだけだと悪いから。良い悪いのバランスがあって初めて良いと思うんですよ。

- Awichさんはジャズとかスウィング的なものへの興味っていうのは元々あった?

Awich - ありますね。ジャジーなやつ元々好きだし、ジャンルとしてスウィングっていうのをめっちゃ好きってわけじゃないですけど、やっぱり聴くと、めっちゃカッケーって思います。だからそれに歌詞を付けてってなったら興奮しますもん。やりたいと思うし。でもグルーヴがあるのかなっていうエピソードがあって、私って昔から小学校の心電図とかの検査で不整脈って言われるんですよ。それで引っかかって、大学病院とかで何回も何回も検査受けてたんですけど小さい頃から。でも結局、不整脈なんですけど不整脈のイレギュラーなビートのループになってるって言われて、鼓動が。まあだから大丈夫ですみたいな。それでその話をChakiさんにしたら 「それがあなたのグルーヴになってるんじゃない?」みたいな。だからグルーヴ的なものは私の鼓動から来てるものかもしれないです(笑)。

- 今回あえて作品を2つに分けたのは?

Awich - EPを出したいってなったんですけど、EPとして出すには出したい曲が多すぎる。でもアルバムにするには曲数が少なすぎる。ってなってて。あと『8』が自分の中でもすごく良かったと思っているから、それ以上の物じゃないと絶対アルバムと呼びたくなかったんで。じゃあ2つに分けて2枚同時に発売するのはどう?ってChakiさんに言われて。それめちゃいいっすねって。それで分け方とか曲順とかタイトルとかめっちゃ悩んだんですけど、結果的には2つが対になるものみたいな感じで作れて良かったなぁって思ったし、これもできるし全然違うあれもできるっていうのが自分の中でもめっちゃ好きなんですよ。通常では存在しえない2つの要素が一緒になってるのが好き。自分の中にも正反対な部分があるし、だからこそ面白いと思ってもらえるのかなって。多分、自分の脳みその中でどっかそうなりたいって思ってる部分もあるし、そういう風に生きてきたっていう部分もあると思うから、だからそういう面でも2つ同時に出すっていうのは結構意味のあることで、それがなんか結局ポンッって出たアイデアからどんどん良い方向に向かっていって、悩みはしましたけど結局めちゃ良い結果になりましたね。

- 最初からそういう方向になってたのかなと思ってましたね。

Awich - 結局、そうなっていくもののように感じてます。なんか導かれてる感じがします。『8』からそうですけど。やっぱ好きなことやってるって、そういうことなんだろうなぁって思って、引力みたいなのが強まってきてると思う。それは自分に正直に好きなことやってればやってるほど、そういう部分もコントロール出来てきてるし、強まってきてると思います。好きなことやってなかったり、自分に嘘ついてたりしてたらどんどん衰えていくんだろうなとも思うし。ずっと集中して、ありがたいと思ってやってればどんどん高まっていく。だからこそ結果的に偶然のように見える出来方のものでも、元々そういう方向に向かってたんだと思うんですよ。だからほんとにきれいに収まるというか。それをまたありがたいと思って次に行けばまた次もそういうことが起こると思うし。そういう力は日々日々強くなってると思います。

- 今回分け方としては『Beat』の方はヒップホップ的なビートっていう意味と、打ち倒す的なビートの意味もありますよね。攻撃的な部分と、受容する部分が分けられると思ったんですけど。

Awich - そうだと思います。だからジャケットとかも受け入れるものと与えるものと跳ね返すものとっていうのを象徴する絵みたいな。結果的にそうなったから。

- 2つのモードで歌詞を書く時って、自分の中の考えてる部分とか感じてる部分って違ったりするんですか?

Awich - いや、一緒ですね。1つの深いテーマから、色々な感情とか、気持ちとかが枝分かれに生まれてきて、それにまつわるシチュエーションの話が出来るじゃないですか。断面で見るとめちゃかけ離れてるけど、根源は自分の中では一緒なんですよ。それは説明しないとわかんない部分でもあったりすると思うんですけど。やっぱり人それぞれ見方って違うし、それが面白いと思ってるし、だから日々メモみたいなの書いてるんで。だから、全然違う人が言っているように見えたとしても、元を正せば私の中でずっと軸を持っていたいと思うし、めちゃ私のことを聴いてくれてる人は、「結局Awich作品は全て、一つの軸にたどり着くんだ!」みたいな聴き方も楽しいと思うし、断片だけ聴いて自分の生活に当てはめて聴くのも面白いだろうし、色んな聴き方があると思います。

- 『Beat』と『Heart』でアーティスト名が出てなかったら、これ違うアーティストって勘違いする人もいそうですよね。

Awich - いると思いますね。やっぱバランスですね(笑)。それが好きなんですよ私は。そういう人間なんですよ。(笑)多重人格(笑)Chakiさんも二面性ありますけどね。強面そうなのに中身はギャルみたいな。だから引き出しも一杯出してくれるし、それやろうよって言われるとやりたくなっちゃう。全てのきっかけはChakiさんかな。全ての色んな見せ方とか。もちろん私がこれやりたいっすって言うときもあるけど、それと全く違うことをやろうよとか言って出したり。全体像見てくれてるしいつも。そういう面ではめっちゃ勉強になるし、信頼できるしって感じっす。

- やってみたい国内のアーティストとかビートメイカーとかいます?

Awich - わかんないっす(笑)私自分の曲しか聴かないんですよね、とか言って(笑)。人の曲とか最近あんまり聴かないですね、正直。自分の曲ばっか聴いてるんで。やりたいビートメイカーとかもあんま。今の状況に満足してるじゃないけどChakiさんとの関係にもっともっとポテンシャルがあると思ってるから。Chakiさんとの関係は別に完成しているわけではないし、これからも成長していくと思う。でももちろん出会いはあると思うし、オープンではあるんですけど、一生懸命ずっと良い曲を作っていくとどんどんそういう方向は開けていくと思うし、って感じですね。だけど、例えばエス・デブリンっていう舞台美術家だったり、『アトランタ』を作ってるヒロ・ムライっていうディレクターだったり、音楽じゃないジャンルで一緒にやりたいって思ってる人はいます。でも今はそれを探すのに労力を割くよりも今は良い作品を作っていく。そうすればどんどん良い方向に向かっていくと思います。

- 最後に次はどういうものを考えてますか。

Awich - やっぱ『8』みたいなアルバムはまた作りたいと思ってるんですけど、数段上のやつを作らないと自分でも満足しないと思う。来年の春くらいには出したいと思ってるし。そこから大きい舞台でもやりたいと思ってるし。あとは海外にも行きたいですね。ガンガン。そういう大まかなビジョンはあるんですけど、具体的な部分はチームに任せて、とにかく良い作品を作るっていうことを目標としてます。逆に集中できる環境が整ってるから、私はそれが仕事で、他のことに気を配ってる時間あっったら曲作れ!って言われるくらいのチームが出来てるのはめちゃありがたいことだし。もともと曲作るのもパフォーマンスするのもめっちゃ好きだし、それやっとけば、あと感謝の気持ちを忘れなければ、すごいとこいけると思ってます。宇宙行けると思ってます(笑)。

Info

“Beat”
1. So What (Prod. Chaki Zulu)

2. NEBUTA ft. kZm (Prod. Sam Tiba)

3. Long Time (Prod. B.O Beatz & Chaki Zulu)

4. 紙飛行機 (Prod. Chaki Zulu)
iTunes:https://itunes.apple.com/jp/album/id1437352736?app=itunes&ls=1 Apple Music:https://itunes.apple.com/jp/album/id1437352736?app=apple&ls=1 Spotify:https://open.spotify.com/album/2ritaE130olm7hb7LZIlaO

"Heart”
1. Love Me Up (Prod. Chaki Zulu)

2. Pressure (Prod. Chaki Zulu)

3. Fade Away (Prod. Chaki Zulu)

4. If She Cries (Prod. LeJKeys)
iTunes:https://itunes.apple.com/jp/album/id1437357195?app=itunes&ls=1 Apple Music:https://itunes.apple.com/jp/album/id1437357195?app=apple&ls=1 Spotify:https://open.spotify.com/album/2A3SsZA2YDsBoTRNHbvKPc
Executive Producer: Chaki Zulu | Artwork: KEITA SUZUKI | Label : YENTOWN / bpm tokyo

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