【特集 Red Bull Music Festival Tokyo】ShintaroとMarzyが共謀するオンラインパーティ『PLUG (24 HOURS)』

世界的ターンテーブリストのShintaro、そしてストリートを賑わせるDJのMarzyは、実はプライベート含めて親密な仲。意外な組み合わせの彼らが中心となった、24時間ブッ続けのパーティ『PLUG (24 HOURS)』が10/6(土)昼12時からRed Bull Music Studios Tokyoで配信されることになった。

国内外の現場で活躍する若手のダンスミュージック系アーティストが一堂に介し、東京からパーティの雰囲気を全国に届ける。この場ならではのサプライズ企画も多数盛り込まれ、普段のパーティより濃厚で見逃せない一日になるだろう。Red Bull Music 3Styleでの世界チャンピオンと日本を代表するヒップホップクルーYENTOWNの一員による、国内から世界へとシーンを掻き混ぜる全貌を伺った。

10/3追記

24時間にわたるイベントのタイムテーブルも公開となった。

取材・文:高岡謙太郎

キーワードはライフスタイル

- まずは今回の24時間行われるパーティを配信することになったきっかけを教えてください。

Shintaro - それはMarzyとの出会いが大きいですね。新しいDJの形というか今までのDJと違って、彼は個性が強すぎるんです。Marzyのキャラクターは自分は持ってないもの。繋ぎやミックス、スクラッチの技術というDJプレイの内容だけではなく、自分の周りの友達やファッションなどを含めた発信の仕方が斬新だと思って、何か一緒にやりたいなと思っていて。だから、音楽性だけでなくライフスタイルやキャラクター、そして彼や自分の周りのDJや友達などのカルチャー含めて、パーティを視覚的に見せたいと思ったのが配信のきっかけですね。

- 確かにDJブースにいると存在感ありますよね。ライフスタイルは大きなキーワードになりそうですが、音楽が生活すべてになった感じですか?

Shintaro - そうですね。彼はまさに。いつでも常に”Marzy”みたいな。

- ステージでもプライベートでも分け隔てなく。

Marzy - (シャウトするような大声で)はい! そうですね。プライベートと隔てないです!

周りのお客さんも巻き込む

Shintaro - それと今遊んでる人たちが、お客さんとクルーが近い距離感で遊んでいて、周りのお客さんもカッコいいので見せたいですね。その雰囲気はクラブに来られない人にはどうなっているのかわからないから、みんなと遊んでる状況を見せたら広がると思っています。好きになってもらうためにまずは知ってもらわないと。

Marzy - そう!遊んでいるのを広めたい感じ。ファンと距離は近い感じですね!友達ぐらいの域までファンが来れる活動は新しい。よりストリート目線で、お客さんとステージのギャップをなくしていて、客がステージに上がって来ても全然ウェルカムだし、一日をみんなで過ごす!

Shintaro - 例えば、YENTOWNのクルーはファンも服装を真似しているから近い雰囲気になるのが面白い。こういう音楽かけて、こういう人たちがいて、こういう見た目で、こういう風に動いてというのを、クラブに行けない人たちに視覚的に楽しんで貰えれば。配信元のDommuneさんは今まで音楽制作などのコアな部分にフォーカスしていたけれど、自分たちは一歩引いて一般の人のためにと思って入り口をグッと下げています。

サプライズ前提の枠組み

Shintaro - そういったライフスタイルを含める意味もあって、配信時間を24時間にしました。昼12時から翌日の昼12時まで、24時間の生活をどう使うか。それをカジュアルでポップにやりたいと思っていて、Marzyに現場にいる誰かをインタビューしてもらったり。

Marzy - とっ捕まえますね! 全員知り合いなんでやりやすいです。

- 出演者とコミュニケーションをとりやすいのは重要ですね。

Shintaro - 今回のメンツは、クルーは違えどみんなそれぞれのイベントに遊びに行って仲良いので。出ている面々の交流はめちゃめちゃあります。

- 今の世代は、クルー同士でカッコよさを競い合うのではなく、クルーが集まってもっと大きくしていこうという印象がありますが、どうでしょう?

Shintaro - 競い合ってもしょうがないので、みんな仲いいですね。

- 目標は東京全体として盛り上げていきたいという感じですか?

Shintaro - 世界ですね。今回は国内のみの配信なんですが、どういう人たちがいま世界で評価されていて、どういう音楽をかけて世界に評価されているのか、その辺を伝えたいですね。

Marzy - 日本でも競い合うでもなく、最終的に海外に行くためにひとつになった方がいいかな!

Shintaro - あと、”24時間みんなでやろう”ってなんかいいじゃないですか。

Marzy - 単純にね!

Shintaro - うちらも楽しみたいので。みんなとは普段忙しいからなかなか会えない。この日で一緒になって自由にコラボしてもらって、アクシデント的な何かが起きることを前提にしたいですね。

- 飛び入りもあるんですか?

Shintaro - 全然あります。みんなグローバルな友達が多いので、その時日本に来てる人たちも乱入してDJするサプライズもあるかも。「何が起きるのか?誰が来るのか?」はやってみないと自分もわからない。なので、タイムテーブルは各クルーの時間内で自由にやってくださいと伝えてあって、細かい内容は決めてないんです。誰を入れようとクルーのカラーになれば最高ですね。

Marzy - 最高ですね! アーティストにとってワンダーランドでございます!

世界水準の日本人アーティストが一堂に

- では、世界的に評価されている出演者の中で、チェックすべき方を教えてください。

Shintaro - みんなそれぞれ魅力があるんです。トレッキー(TREKKIE TRAX)はアメリカでもツアーしたり。YENTOWNはヒップホップシーンを代表するクルーDosingは日本にいる外国人のコミュニティで、海外のクルーだからアイデアもやってる事も面白い。インターナショナルな友達もいて感度がすごい。あとstarRoさんは説明不要のグラミー賞にノミネートされたアーティスト。海外でガチ活躍。トレッキーのMasayoshiも海外で活躍していて。

- みなさんジャンルが近そうで遠そうな気もしますが。

Marzy - 実はひとつで繋がってまして。つまりダンスミュージックってやつですよ!いろいろなジャンルではあるけれど、踊らせてみんなで楽しむバイブは一緒なんで。日本だけでなく、海外というか世界のグローバルまで意識して曲を作っているアーティストかな。視点が海外世界向き!

世界を制したDJとストリートDJの出逢い

- それでは話を戻しまして、お二人の出会いを聞かせて頂けますか?

Marzy - 出会い系でしたっけ?

Shintaro - 出会い系だね。

Marzy - アプリで出会ったっていうことにしてもいいですか(笑)?

Shintaro - クラブの楽屋でAlamakiさんに紹介してもらったんだっけ?

Marzy - お互いが近い先輩に繋いでもらって。その前に大学時代、Shintaroがやってたクラブに遊びに行っていて、元々名前は知ってた。出会ってみると「あっ! いたわ。こいつ!」って思い出す。

Shintaro - 自分は今まで一人で活動していたので、Marzyの出会いで紹介してもらった人達が多いんですよ。みんな友達になったから今回のアイデアに至ったかな。

Marzy - 昔いた界隈は違ったんです!でも重なる部分が多かったから、共有してパーティーまで至った流れです。

- ターンテーブリスト的な立ち位置と、ヒップホップ的な立ち位置ですもんね。

Shintaro - ヤングカルチャー系ですよ。

Marzy - ストリート視点!

- ストリート視点とプロフェッショナルの融合はなかなかない。

Marzy - そうですね!なんかおもろい。ないですね。

Shintaro - それとターンテーブリストのイメージも変えていきたい。スクラッチを好きな人に見せるのではなく、自分はいろいろやりたくなるのでいろいろチャレンジしたい。だからもっと広くカジュアルに見せたい。DJのためのDJより、ファッションなどとも繋がったり、友達と遊ぶツールとしてDJを使ってもいい。そもそも自分がスクラッチ始めたのも「これをやればモテる!」と思って始めているんで、カッコよければなんだっていいんじゃないかな。

- MarzyさんからみてShintaroさんはどう見えますか?

Marzy - スターです!スーパースターみたいな。世界を取ってる分、視野や視点も違う。世界を回ってる部分は自分がこれから身に付けていきたい。そこを共有させていただいてる!

Shintaro - やっぱり世界に行っていろいろ見た中でも、今の日本の友達のカルチャーはカッコいいんで。

Marzy - そこをフュージョンした感じ! 世界を見てきた人と世界を見たいストリートからの人が混じり合う。

ふたりのヤバいパーティ

- ヤバいパーティーになりそうですね。ちなみに今まで体験した一番ヤバいパーティーを教えてもらえますか?

Marzy - ヤバパっすか! 真鶴でやった「Lost Paradice」ってフェスですかね。昼間から野外にテントを張って、海の近くのグラウンドにステージ配置して。アーティストも豪華で海外からもDJ呼んで、ぶっ通しで外で楽しむのが不思議な感じでした。

Shintaro - 自分もMarzyがDJするから遊びに行って、出演者と友達が隔てなく遊んでいて面白かったですね。自分のヤバかったイベントはいっぱいあるけど、やっぱりRed Bull Music 3Styleかな。ライブ配信していて、プレイ中にFacebookでたくさんのコメントが付いて。そういうネットで現場にいない人とその現場感を共有が出来たからいいかな。

この日ならではの他の企画

Marzy - それと今回は単純にクラブじゃない場所でやりたい欲があります! 自分的に新鮮で新しい気持ちでやれる。こういうスタジオはDJ的にいいですね。

Shintaro - Red Bullの音楽スタジオは、音もバチバチ良いし。Pioneer DJさんが協力してくれるので、当日はモニターとサブベースを足してもらいます。あと、スタジオの壁の凹凸にプロジェクションマッピングを永田真人くんがします。だからテンションがすごいあがる。

Marzy - メッチャヤバそうだね!

Shintaro - 他にも色々な企画を考えていて。まずは当日はスタジオも開放します。そこでスタジオ内のハードディスクを共有して、アーティストが入れ替わりで曲を作っていく企画もあります。例えば、ファイル名にstarRoと書いてフレーズを作ってもらって、その次に入ったtokyovitaminがビートを作って、データを上書きして曲にする。企画はそれだけでなく、素材を提供してもらう企画もあります。今回の出演者から視聴者にビート提供を募ります。番組でデモをどこに送ったらいいのかわからないビートメイカーをリリースできたら結構ドラマチックで面白いかな。

- 普段のクラブイベントではできないコミュニケーションの取り方を考えているんですね。

Shintaro - そうなんですよ。もっとポップに距離を詰められたらなと思って。それと、Dommuneさんに「24時間やるなら、長い時間一緒にいるのでお客さんと距離感が近くなる」と言われて。だから、現場以外の見てる側も参加出来るようなインタラクティブなイベントにしたい。

Marzy - 普段見てくれてる人と接したいので! 何が好きなのかを聞きたい。アーティストだったり、なにから聴き始めたのかも興味ある!

Shintaro - だから、Twitter上でアーティストとどんどん絡めるようにするしたい。例えば、Awichに対して質問があれば、Twitter上でMarzyに拾ってもらって、DJの転換のタイミングにトークを差し込んで答えていく。あと今回のイベントのplugのロゴ入りのXLARGE®のポシェットを限定販売で作る事になったので、配信中の24時間だけ受注販売します。

- テレフォンショッピングみたいな。

Shintaro - そうそう。あとはBoilerRoomみたいなのをやってみたいのもあって。

Marzy - Boiler Roomと24時間テレビを一緒にしたような(笑)

Shintaro - そう。ちょっとした24時間テレビみたいな感じですね

Marzy - Ishikawaが24時間走る! 誰かフルチンになるかもしれない! 鶴瓶?

丸一日眠れない当日に向けて

- 一番寝られないのは誰なんですか?

Marzy - この二人です!

Shintaro - まあ5分ぐらいなら寝ていいよ(笑)。

Marzy - 仮眠は5分に一回。5分ごとに取ります!

Shintaro - 俺は寝ないっす。目を瞑っているかもしれないけど寝ないっす(笑)。

Marzy - 仕事的感覚もなく、その場を楽しむいいお祭りにしたいですね!

Shintaro - このイベントで、例えばトレッキーのファンだったけど、tokyovitaminも気に入ってほしいし。

Marzy - なんでも!眺めて頂けたら嬉しいな!

- では当日はまずサイトにアクセスすればよいですか?

Shintaro - 基本はDommuneです。各自のtwitterも賑やかになるので見てもらえると。それとDommuneで特定のハッシュタグ入れると、いつものように右側に流れてくるので。「Ishikawaさんがここで坊主にしています」とかをTwitterに上げたり(笑)。

- かなり企画が盛り込まれてますね!

Shintaro - 頑張ります。

- 最後に、他にもRed Bull Music Festival Tokyoの興味深いイベントが行われますが、お二人が楽しみにしてるイベントを教えてもらえますか?

Shintaro - カラオケかな? あと電車はどうなるんだろう。山手線はやばい。電車とカラオケでですね。

Marzy - はい!電車行きたい!電車かカラオケです!

Info

plug (24 Hours)

開 催 概 要

日 時:2018年10月6日(土)開演12:00〜10月7日(日)終演12:00

場 所:Red Bull Music Studios Tokyo(渋谷)

料 金:無料(ライブストリーミング配信)

出 演:ALAMAKI, Awich (YENTOWN), BINGO, CALUMECS (Dosing), Carpainter (TREKKIE TRAX), DJ CHARI (BCDMG), DJ RINA, iivvyy, Jin Dogg, JOMMY, kZm (YENTOWN), MARZY (PROPERPEDIGREE / YENTOWN), Masayoshi Iimori (TREKKIE TRAX), MonyHorse (YENTOWN), PETZ (YENTOWN), Seimei (TREKKIE TRAX), SHINTARO, ShioriyBradshaw, starRo, Steffen¥oshiki (Dosing), WATAPACHI (PROPERPEDIGREE), Yon Yon, Young Coco, Yo-Sea (BCDMG) and more (A-Z)

 

24時間、ビートを止めるな。

 

TOKYOミュージックシーンの“イマ”を代表するクリエイターたちによる24時間ノンストップライブ配信プログラム。No.1 DJを決める大会「Red Bull Music 3Style」で日本人唯一の世界王者に輝いたSHINTARO、さらにTOKYOシーンのマスコット的存在のDJ MARZYによって、現在最注目ともいえるYENTOWNやTREKKIE TRAX、BCDMG、Dosing、PROPERPEDIGREE、tokyovitaminといった、まさにTOKYOの“イマ”を代表する"CREW"がRed Bull Music Studios Tokyoに集結。彼らの個性が24時間でひとつに繋がるとき、どんなミラクルが起きるのか? 今後も続々と参加アーティストが名乗りを挙げてくるだろう!

 

※本イベントはライブストリーミング配信でご覧頂くプログラムです。

※タイムテーブルや出演者は、都合により変更となる場合がございます。

https://www.redbull.com/jp-ja/music/events/plug-24hours

 

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