ラップとポップの垣根を越える注目プロデューサーMurda Beatz

カナダのオンタリオ州フォートエリー出身の23歳のプロデューサーMurda Beatzは去年、自身の初ミックステープ『Keep God First』をリリースした。USやカナダのラッパー/シンガーと数多く共演をこなし、Nicki Minajの"No Frauds"、Drakeの"Portland"、Migosの"Get Right Witcha"など2017年にヒットした楽曲を手掛ける、最も注目されているプロデューサーの1人だ。

そんなMurda BeatzがComplexのインタビューに登場。今後の方向性や噂されているTravis ScottとQuavoのコラボアルバムやビートメーカーとしての姿勢についてなども語っている。

Murda BeatzのプロデューサーとしてのキャリアはMigosとの共演からスタート。多くのラッパーやプロデューサーと同じようにインターネット上で人気を集め、今ではラップとポップシーンの垣根をこえて注目を集めるプロデューサーとなった。

そんな進化し続けるMurda Beatzが最も称賛された経験に関してDrakeのアルバム『Views』に収録されている"With You"だと明かした。"With You"はラッパー/シンガーのParty Next Doorをフューチャーしたトロピカルなトラック。日ごろアトランタのラッパーを中心に楽曲提供しているMurda Beatzのビートとは違い、流行を意識した爽やかなトラックになっている。

Murda Beatzは「俺はみんなに自分が色んなことができることを広めたかったし、プロダクションの可能性を広げたかったんだ。そんな多くのドアを開くことで、身の回りの多くのことも変わってくるからね」と語る。Murda Beatzは今までのリスナーが期待するようなトラップソングを作ることに重きを置くだけでなく、彼を知らないリスナーにもアプローチしていくようオールジャンルのビートを作っていくという。

その言葉通り、Murda Beatzはイギリスのボーイズグループ、One Directionの元メンバーであるZaynとPart Next Doorを迎えたダンスホールチューン"Still Got Time"をライター/プロデューサーのFrank Dukesと共にプロデュースした。

 

今までラップミュージックのプロデューサーとポップシーンのアーティストとコラボした楽曲は少なくない。去年はアトランタのビートメーカーのMike Will Made itがBeyonceの"Formation"をプロデュースし、話題となった。Murda Beatzはその後を追うようにSelena GomezのプロデュースやMigos、Gucci Maneをアーバンにした形でポップソングのトップにランクインさせたいという野望を考えており、ポップシーンへのMurda Beatzの挑戦はラップシーンのスタイルも忘れず、新たなビートを取り入れるスタイルの両輪で進んでいく。

Murda Beatzが期待される理由はそれだけではない。なぜなら、彼がプロデュースした新たなヒットソングの中にはもう一つ、Drakeの最新アルバム『More Life』に収録されている"Portland"があるからだ。"Portland"でMurda Beatzはフルートを使い、今年の局所的な流行を意識したビートに仕上げている。

インタビューでMurda BeatzはTravis ScottとQuavoとの新作についても明らかにした。TravisとQuavoのコラボアルバムが噂さされるきっかけとなった楽曲、"Lo-Fi."をプロデュースしたのもMurda Beatzだ。Murda Beatは現在、Party Next Doorやそのほかのアーティストとのアルバムを製作中だ。その合間を縫ってLAで楽曲製作のすべてを行ったと明かした。

最後に、かなりのスピードで数々のヒットソングを量産してきたMurda Beatzは長期休暇は嫌いかという質問に対し「みんなは休暇を取らなければならないけど、俺はまだまだビートを作っていたいんだ」と答え「コンスタントに仕事をこなしていくと、インスピレーションの源に影響がでることがある。だけど、俺にとっては切り離せない生活の一部なんだ」と語った。Murda Beatzがビートメイクという自身の仕事に懸ける情熱は他人のそれとは違うと強調する。一日一日がクリエイティブな思考を呼び覚ますサイクルになっている。それがMurda Beatzのトラックがクラブやポップシーンでヒットしている秘訣かもしれない。Murda Beatzのトラックはこれからも鳴りやむことはない。(野口耕一)

 

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