【Featured】あなたが知らない10人のXXL 2017 Freshman候補ラッパーたち
ニューヨークのヒップホップマガジン『XXL』が主催する毎年恒例のイベント『XXL 2017 Freshman Class』が今年もスタートした。若手のラッパーをフックアップするための機会になる場所を作るために始まった名物企画も今年で10周年。これまでにKendrick Lamar、Travis Scott、Chance The Rapper、Lil Yachtyなど今のヒップホップシーンを牽引するラッパー達が選出され、新人ラッパーにとっての試金石の1つになっている。
今年の候補者にはYoung MAやMadeintyo、Kamaiyahなどがチョイスされているが、まだまだ日本では知名度の低いラッパーが多い。その中からFNMNLが10人のラッパーをピックアップした。もしかすると紹介した10組の中から誰かが選出されるかもしれない。地域もバラバラでスタイルも千差万別なラッパーたちをチェックしてほしい。
文: 野口耕一
AMIR OBE
ミシガン州デトロイトに拠点を置く27歳のラッパー/シンガー。過去にOVOに所属するシンガー、Party Next Doorとシングル「Truth For You」、「I'm Good」で共演し、Drakeのアルバム『If You're Reading This It's Too Late』に収録されている"Star67"をプロデュースなどOVOでは馴染みの繋がりがある。去年、自身2作目となるEP『Won't Find Love in the Hills』をリリースし、今年にはデビューアルバムのリリースを予定している。
BIA
マサチューセッツ州ボストン出身で、Pharrell Williamsのレーベル、I Am Otherに所属するフィメールラッパー。BIAはプエルトリコとイタリアのハーフである。それはラテンとトラップミュージックをブレンドした彼女の音楽スタイルにも遠因している。昨年リリースされ、PharrellとBIAがフィーチャーされたJ Balvinのダンスホールチューン"Safari"では、そんなBIAのマルチな才能の片鱗が伺える。現在のマネージャーに見いだされた後に、i Am Otherに加入。自身の最新EP『Trap Vogue』は完成間近という。
BRUNO MALI KIDD
フロリダ州マイアミのハイチ人ラッパー。シングル"HA"がヒットし、その後若手にも関わらず、ラッパーRick Rossをフィーチャーしたシングル"Monkey Suit"でさらに注目を集める。XXLのインタビューでは、JadakissやJa Rule、Z・ROを聞いて育ち、それが自身のスタイルを形成したと明かしている。
CALEBORATE
カリフォルニア州バークレー出身のラッパー。過去にはアルバムを4作リリースし、自身が生まれた年をタイトルにした最新作『1993』で注目を集める。同アルバムの楽曲では終始ソウルをサンプルし、チルなSoulection周辺の音とも共鳴するトラックになっている。しかし、自身の父親の逮捕を初めとするパーソナルな体験から自身が暮らすベイエリアへの不満などフレッシュかつ野心溢れるリリックが綴られている。
D SAVAGE 3900
昨年、カリフォルニア州ガーデナの高校を卒業し、ラッパーになる。Asap Rocky、Playboi Carti、Uno The Activistらと親交があるが、謎な部分が多い。未だにまとまったリリースは無く、実力は未知数だが、シングルをいくつかすでにリリースしている。
LAJAN SLIM
フロリダ州ラウダーヒル出身の22歳のラッパー。BRUNO MALI KIDDと同じくハイチ人。昨年6月にリリースされたシングル"Haitians"がストリートヒットし、Def Jam Recordsとの契約にまで漕ぎ着けた。自身のアイデンティティーでもある"Haitians"には多くの人がハイチ人に対して差別し、見下しているという偏見へのレスポンスの意味を込めたという。その後は自身のデビューミックステープ『Hood Olympian』をリリースしている。幼い頃から絵画や音楽に興味があり、今ではダンスやエンジニアもこなす。
NESSLY
ブルックリンで生まれ、アトランタ育ちのラッパー/プロデューサー。Nesslyは現在、21歳でラップキャリアはまだまだ浅い。しかし、昨年はミックステープ『Still Finessin』、『solo boy band』の2作をリリースした。過去に、Ro Ransom、Night Lovell、Lil Yachtyとも共演し、今年の活躍が期待されている。エクレクティックなサウンドが特徴だ。
STARRAH
ロサンゼルスを拠点とするシンガーでソングライターとしても活躍。過去には、The Weeknd、Rihanna、Big Seanらと共演し、Travis Scottのヒットソング"Pick Up The Phone."を書いた影の立役者だ。STARRAHという名前はステージの上だけで、アルバムなどにクレジットされる場合には本名の「Brittany Talia Hazzard」でクレジットされている。カメラの前に滅多に姿を表さず、謎の部分が多い。それにも関わらず、楽曲をコンスタントにプロデュース、リリースするミステリアスな彼女のスタイルは、じわじわと注目を高めている。
WARHOL.SS
アトランタ出身で、最近ではシカゴに活動の拠点を置くラッパー。自身のラッパーネームを画家のAndy Warholの名前から引用するなど、Jean Michek Basquiatや他のアメリカ人画家の現代アートがインスピレーションの源となっている。WARHOL.SSの祖父は画家、母はファッションデザイナーというアートに精通した血筋の持ち主。昨年、リリースされたシングル"Speed Racer"がサウンドクラウドでバイラルヒットし、最近ではシングル"Fro Dat"、Maxo Kreamをフィーチャーしたシングル"Jugg Mane"をリリースした。
WIFISFUNERAL
フロリダ州パームビーチを拠点とする20歳のラッパー。自身の名前の「wifi」には世界中の人に聞いてもらいたいという思いを込めた。Odd FutureのEarl Sweatshirtとはお互いがファンであるという。WIFIは高校を中退を理由に母親から実家を追い出され、ラップを本格的に始める。WIFIは当時のことを「人生の分岐点」と振り返る。2015年にミックステープ『Black Heart Revenge』をリリースし、昨年はアルバム『When Hell Falls』をリリースした。
『XXL 2017 Freshman Class』は現在投票を実施中、自分の好きなラッパーやこの企画で見つけたお気に入りのラッパーに投票してみては?