DrakeがサンプリングしたMoodymannのライブDJ音源でのMCとその時掛けていたレコードについて

Drakeの新プロジェクト『More Life』のサンプリングなどを含むクレジットはリリース日に明らかにされたが、3曲目の"Passionfruit"はDrakeが2015年末から放ってきたトロピカル・ハウスなメガヒット"Hotline Bling"や"One Dance"の流れを汲む、重要な楽曲であることは間違いない。

この曲をプロデュースしたのは、ロンドンのプロデューサーNana Rogues。彼はラップのビートを多く制作し、イギリスの人気ラップグループSection BoyzやMC、Tinie Tempahの楽曲を担当している。彼による"Passionfruit"には、デトロイト出身のデトロイト・テクノ、ハウス、ディープ・ハウスDJ、Moodymannの声がサンプリングされていることは周知の事実となっている。さて、このMoodymannの声のサンプリングはどこで録音されて、どのような経緯でDrakeの"Passionfruit"までたどり着いたのだろうか?

このMoodymannのサンプリングは、2010年9月にMoodymannがUKマンチェスターのCutlooseの2周年パーティで行った時に行われたライブの録音が元ネタとなっている。

Hold on, hold on, fuck that. Fuck that shit. Hold on, I got to start this mothafuckin' record over again, wait a minute. Fuck that shit. Still on this mothafuckin' record. I'ma play this mothafucka for y'all. Ayy, y'all get some more drinks goin' on, I'll sound a whole lot better. - Drake - Passionfruit on GENIUS

Moodymannは2010年DJの途中で、Moodymannはキズが入ってしまいノイズとループが止まらなくなってしまったレコードを止めて「ちょっとまてまて、もう一回この曲をかけるからな。そして酒を飲め、もっと音楽が良く聴こえるぞ」とMCをしている。偶然このDJセットはそのMoodymannのMCまで録音されていた。

そのMoodymannのMCはこの動画の47分40秒からスタートする。

その時Moodymannが掛けていたレコードは、Moodymannも説明するように、カール・クレイグにMoodymannがもらったホワイト盤のレコード。DJでありプロデューサーのOliver Doller(オリバー・ドラー)の出世作"Doin' Ya Thang"の初期ホワイトプレス盤。このレコードを掛けている時に針が飛んでしまったようだ。

そしてOliver DollerはMoodymannのMCを無断で楽曲にサンプリングしてリリースした。

もう一度この掛けるとMCで言ったMoodymannだが、前言撤回し「ここに来ているやつの中で何かレコードやCDを持っているやつはいないのか」と呼びかけ、DJ中にリクエストタイムをはじめた型破りなDJプレイを聴かせた。

なぜDrake、もしくはプロデューサーのNana RoguesがMoodymannの声をサンプリングしたかは不明であるものの、Drakeは間違いなくUKにも回路を開きつつ、Moodymannというディープ・ハウスという世界にもポップスからの回路を開いたことは間違いない。

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