Keith Apeのマネージャーが語るアジアのラッパーが世界の舞台に立つために必要なこと
韓国のラッパーKeith Apeが2年前にリリースした"It G Ma"は、アジアのラップをグローバルなものに押し上げた。この1曲で彼はLAに活動拠点を移すこととなったが、Keith Apeをサポートする、アジア系ラップレーベル/マネジメント会社がCXSHXNLYだ。
CXSHXNLYと急成長中のメディアプラットフォーム88Risingを運営し、アジアのラッパーがアメリカや世界に広がっていくことに大きく貢献してきたSean Miyashiro(ショーン・ミヤシロ)が現在のアジアのヒップホップシーンについてHigh Snobietyのインタビューに答えている。
「カルチャーが移動するとき、そのカルチャーというものは自然と発展していくものだ。そして東洋と西洋は互いに大きく文化的に影響をし合っていて、クリエイティブなことを表現するのにもはや国境はない。カルチャーは海を越えて、それが歓迎される場所に自然と動いていき、そこでの関心や興味が情熱に火をつけ、それが次なる才能を刺激するんだ」。
「そしていまアジアのトラップのシーンはたくさんのアーティストで溢れていて、激しい競争の舞台となっている」。
Miyashiroはこのような混沌としたシーンのなかで成功するための秘訣についてこのように語った。
「ディテールがとても大事なんだ。ヴィジュアルやスワッグ、そして彼らの行動まで重要だ。こういった要素がその人をこのゲームの頂点に立つのを助ける。KeithやThe Cohort(Okasian、Jay All Dayなどが所属する韓国のクルー)のラッパー達は皆それぞれユニークな持ち味をもっていて、人々の度肝を抜いたんだ。音楽自体もユニークだったが、なにより彼らのビジュアルを初めあらゆる要素のアンサンブルは誰も観たことのないものだったんだ。いまではたくさんの若いアーティストたちがこのようなことに頭を使っているよ」
また、現代のアジアのヒップホップの世代とこれまでの世代との違いについてSeanは以下のように話す。なぜ彼らはグローバルなシーンで活躍するようになったのだろうか。
「いまはアジアのヒップホップの変革期。上の世代のアーティストたちは日本や韓国のヒップホップを聴いて育っていて、それが彼らにとっての一番の影響元だった。でもKeith Apeをはじめ今の新しい世代は、アジアのヒップホップが作り上げてきたものを吸収し、同時に海外のシーンから大きく影響を受けている。Travis ScottやYung Lean、migos、Lil Uzi Vertが同じように彼らにインスピレーションを与えているんだ。このシーンのアーティスト達はより豊かで幅広いリファレンスをそれぞれが持っている」
アジアのアーティストが世界に出て行く上で障壁となる言語の問題についてもSeanは重要だと語る。
「英語を話せるアーティストと話せないアーティストの間には、明白な壁がある。英語が話せないと、自分の国に天井があるようなものになってしまう。もし彼らが世界的なアーティストとコラボレーションをしたいなどと思うようになると、そこでは間違いなく英語が重要となってくる。英語でラップができる必要があるということではない。しかしビジネスをやる上、そしてクリエイティビティを高めあっていくために英語が重要となってくるのだ。」
日本でもKOHHを筆頭にLootaやYENTOWNなどのラッパーたちが、その強烈なキャラクターで世界から注目されている今だからこそ、その動きを作り上げた貢献者であるSeanの言葉は傾聴に値する。
High Snobietyの記事はこちらから読むことができる。
(辻本秀太郎)