アメリカの警官による黒人殺害に対するBeyonceの声明文(日本語訳)

警察による黒人殺害や暴力を正当化する人種差別に対して、アメリカ国内だけでなく、世界中の人々が"Black Lives Matter"と声を上げている。

日本語訳/文 横山 純

7月5日未明、ルイジアナ州バトンルージュのコンビニの外でCDを販売していたアルトン・スターリングは、警官に突然取り押さえられ胸と背中を撃たれ死亡した。

7月6日、ミネソタ州セントポールでフィランド・カスティールは運転中、警察に停止命令を受け、そのまま無抵抗のうちに数発撃たれ命を断った。2人共、無実の罪で、しかも警官に対して抵抗した様子もないまま射殺されたと目撃されている。

この痛ましい事件に際してDrake、Chuck D、Wiz Khalifaらのアーティストも自身の考えを表明した。もちろん"Formation"で黒人と女性をエンパワーメントしたBeyonceも自身のウェブサイトに長文の声明文を公開した。

私たちのコミュニティの若い人たちが殺されることにほとほと疲れて、うんざりしてる。
立ち上がり、『殺すことを止めろ』と態度をはっきりさせるかどうかは私たちにかかっています。

私たちは同情を求めていません。
私たちの命に尊厳を払ってほしいのです。

私たちは一つのコミュニティとして立ち上がります。そして私たちを守ると誓った警察による殺人やあらゆる種類の暴力が首尾一貫無く罰せられるべきでないと信じる人達に対して戦います。

そんな私たちの命を奪っていくやつらのせいで、無力感と絶望感を感じてしまう。けど、次世代の権利のために、次世代の善き人々のために、闘い続けていると信じなければいけません。

これは人間としての闘いです。人種、ジェンダー、性的嗜好、関係ありません。社会から排除されていると感じ、自由と人権のために必死になっている人たちのための闘いなんです。

警察官に対するお願いなどではありません。命の重みが分からない人たちへのお願いです。有色人種やマイノリティに対する戦争は終わらせるべきです。

恐怖は言い訳になりません。憎しみは必ず敗北するでしょう。

私たちはみんな、怒りや失望を行動へと変えることができます。声を上げるべきです。地域の政治家や議員に連絡し、社会的、法的変革を要求しましょう。

アルトン・スターリングとフィランド・カスティールのご家族に祈りを捧ながら、私たちのコミュニティの中にはびこる不正義に終止符が打たれるように祈りましょう。

あなたの地域の政治家や議員に連絡して下さい。必ずや声を聞いてもらえるはずです。

Beyonce

そして、議員の連絡先一覧へのリンクと、警察による殺人が起った地域の議会へのリンクが貼られている。

声明文はhttp://www.beyonce.com/で読むことができる。

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