ヒュンダイグループがソウルにレコードストアをオープン。地元レコード店からは批判の声も

先月ソウルの梨泰院にオープンした2階建てのおしゃれなレコードストア Vinyl & Plastic。しかし地元レコードショップやファンたちから経営方法に対して批判の声が上がった。

ヒュンダイグループの関連会社、クレジットカード会社のヒュンダイカードは、6月10日にソウルのファッショナブルなエリア、梨泰院(イテウォン)に4000枚のレコードと8000枚のCDを揃えたVinyl & Plasticをオープンさせた。

店内にはターンテーブルや試聴機が備え付けられており、来客者は自由に音楽を楽しむことができる。また、LPアルバムを購入する際にヒュンダイカードを利用して支払うと破格の20〜30%のディスカウントを受けることができる。ヒュンダイカードは音楽や文化に関する施設を近年多くオープンさせており、10000枚のレア盤を保存するという「Music Library」プロジェクトやUnderstageというコンサートホールを運営している。

レコードブームを後押しするような大企業のプロジェクトは一日に4000人の来場客を記録するなど、ひとまずは成功しているように見える。しかしVinyl & Plasticは現在、地元レコードストアや音楽ファンからの批判にさらされている。レコードショップオーナーやファンたちはVinyl & Plasticの経営方針などに抗議するため、プラカードを持ち店の前に立ち抗議した。

レコードストアのオーナーたちで結成されたグループらの批判を要約すると、1、レコード市場は大変小さく、小さな個人経営のレコードショップによって成立している。経済的な体力がある大企業が参入すると個人経営のレコードショップは廃業を余儀なくされてしまう。2、ヒュンダイカードを利用して買い物すると大幅な値引き受けることができるが、そういう不当な値引きをは地元レコードストアとの公平な競争を阻害している。といったものである。

この抗議を受けてVinyl & Plasticは地元レコードストアとの「平和的な共存」のために、中古レコードの販売を取り止め、地元レコードストアのマップを作成し、公開した。

地元レコードストアのオーナーたちで結成された協会のリーダーは「レコードショップというのは音楽に情熱を傾けてきた専門家たちによって運営されている。生計を立てることのできる売上なんてほとんどない。僕たちはお金を稼ぐためにレコードを売っているのではない。けど、Vinyl & Plasticは利益を得るためにレコードショップを経営している」と地元メディアに語った。

via Indie record shop owners oppose large Itaewon music store

RELATED

Radioheadの試聴会を開催中、暴漢に襲われたイスタンブールのレコード店が閉店

トルコ・イスタンブールのレコード・ストア「Velvet Indieground」が閉店した。このレコード店の名前を覚えている方はいるだろうか?昨年、このレコード店はRadioheadの試聴会を開催。しかしその途中に20人の武装した男が乱入し、多くの来場者が怪我をした。

UKのアナログ・レコード専門メディアによる世界の名レコード店50選 | 日本からはディスクユニオン渋谷店とDub Store Recordが選出

英アナログ・レコード専門メディアVinyl Factoryがニューデリーからサンパウロまで、世界中にある名レコード店を50をリストアップした。日本のレコード店、ディスクユニオン渋谷店とDub Store Recordがリストの中に入っている。

フォト&インタビュー | イ・ラン 「このピアスは乳首」「私はドラァグクイーンの時はイザベル」「あなたも香水つけてデモに行く?」

Interview and Photography by Jun Yokoyama / 取材協力: SWEET DREAMS PRESS、IRA ヤマガタ・トゥイークスターのダンサーとして、そしてソウル・ホンデシーンを代表するシンガーソングライター/映像作家、文筆家、イラストレーターとして活躍...

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。