【インタビュー】KOJOE 『2nd Childhood』 | 子供のように自由に

昨年KOJOEがリリースしたアルバム『here』は、それまでKOJOEが親交のあったアーティストに加え、ライブで巡る土地土地などで出会った新しいアーティストも参加し、新境地の作品となった。

その後も順調に制作を続けたKOJOEは、わずか9ヶ月でニューアルバム『2nd Childhood』をつくりあげた。本作は前作のような多数のゲストは参加しておらず、仙人掌、RUDEBWOY FACE、5lackという3人のみ。ただその内容はミュージックビデオも公開されている"24"のように、KOJOEの得意とする歌が効いたリラックスしたメロウチューンから、CHAKI ZULUがプロデュースしたグライミーな1曲“OH S**T”も収録されるなど、新たな領域へのチャレンジもしっかり行われている。

前作からの勢いをそのままに、より自由に音楽が作れているというKOJOEに自身のスタジオでインタビューを行った。

取材・構成 : 和田哲郎

- 前作のインタビューの際、「前回が豪華だったから、次の一手が打ちづらいけどモチベーションはすごいある。作り続けるつもり」と言ってましたよね、今回もEPとして作っていたのが、アルバムになってしまったとのことですが。

KOJOE - とりあえずEPを作ろうと思って、深く考えずに「曲何でもいいから作りたいな」って始めた。今回のアルバムに8曲提供しているNariskっていう福岡のビートメーカーがいて、福岡でOliveくん(Olive Oil)に彼を紹介してもらったんだよね。「彼は良いビートメーカーだからアカペラかなんか送ってあげてよ」みたいな話になったから、『here』のアカペラを送って。そしたら3曲ぐらいビートのリミックスを送ってきてくれて、リミックスのインストも送ってくれた。リミックス聞いたらビート結構いい感じって思ったんだけど、でも俺の中でリミックスはなんか違うなって思って。でもビートはすごいカッコいい、ってできたのが”24”なんですよ。そのリミックスのインストに”24”を作って送り返した。リミックスにリミックスを送り返したらオリジナルになった。この感じ夏っぽいしいいなって。1曲目は”24”から始まった感じですね。季節的にも暖かいし、とにかく気持ちいい曲作りたいなっていうのがあったんで、自ずと夏っぽい曲が増えていきましたね。

- 風通しが良い曲が多くて、前作の達成感とか今を肯定できている感じが伝わってきました。精神的なモードはどんな感じでしたか?

KOJOE - 『here』は、「土地」っていうフィジカルな部分じゃなくて「音」が自分の居場所だって気づいたのが大きなコンセプトですごい反響がよくて。ビデオも結構みんなフィールしてくれたし、東京のリリパも成功して。僕も含めクルーとチームも日本中のツアーでいろんなところまわって、いままでより確実にお客さんは増えてるから、今すごい楽しい自分がいる。何周もしてずっとヒップホップをやり続けてきて、セカンドウィンドじゃないけどまた風が吹いてきたことで、すごい楽しい第二の思春期みたい。その中でマインドとしては大人の青春なんだけど、作るコンセプトとしては本当に子供のまんまの心で物事を捉えて自由に楽曲を色々作ろうって。今っぽい曲もあれば、”2nd Childhood”はちょっと80’sっぽい匂いだし、でも古くは聴こえない。とにかく子供の感覚に自分が戻って、なにやっても楽しいし、なんでも触って、掴んだものを口に入れるみたいなマインド。聴いてくれてた人がハッピーになってほしい、気持ちよくなってほしいなって思いながら作ったね。それが「風通しの良さ」につながっているのかな。

- それはKOJOEさんにとって新しい境地ですか?

KOJOE - そうかもしれない。新しいとこに行こうとしている途中というか、初めて音楽を始めた時って初期衝動もあるし、結構未知なことが起こるじゃないですか。でも10年以上のキャリアのプレーヤーになってくると大体予測できることが増える。でもその10年を踏まえた上で、また未知なことが最近多くなってて。音源があってそれに声を乗せてアルバムを作ってそれを出してツアーに回ってっていう一連の流れ作業みたいなのがあったけど、今は自分自身が作るだけじゃなくてディレクションとかプロデュース面で自分が関わることも増えてきた。最近は自分のことを歌うだけじゃなくて、人の人生だったり人のアイディアをディレクションして、100倍でも200倍でも力を持てるようなものにしていく作業をしてた。その結果、自分自身をも客観的に見えるようになった。曲によって毎回作り方のアプローチは違ったりするので、一概には言えないですけど。でも自分のマインドが変わってきて、新しい境地に入ってるとは思いますね。

- 今回メロウなサウンドも印象的なんですけど、KOJOEさんの中でメロウな音楽のルーツってどこらへんにありますか?

KOJOE - 結構ガキの頃から歌は大好きだし、歌うことが好きだった。小学校の低学年の頃はジャニーズ歌ったりだとか、光GENJIとかTOKIOとかすごい有名だったし。あとは親が聴いてた高橋真梨子、谷村新司、長渕剛、井上陽水とか。男女関係なく結構メロウなバラードとかすごい好きだったんでよく歌ってました。上の姉が年8つ、真ん中の姉が年5つ離れてたんで、俺の歳にしては聴かないような曲がいつも家で流れてた。テレビとかで流れるような日本の邦楽が当たり前のようにかかっていた中で、シンディ・ローパーとかガンズとかニルヴァーナとか、向こうのポップスのトップ10とか海外の洋楽も常に幼稚園とか小学校のときからずっと流れてたから、そういうのもすごい好きでしたね。

- ラップと歌は自然に自分の中で同居してますか?

KOJOE - 最初はラップがやりたかったからラップを作ったんですけど、作っていくうちに自然に歌を混ぜたりとか。最初の頃は聴けたようなもんじゃない下手くそなのもあるけど、とにかく歌を入れたい欲は強くありますね。たぶん歌が入っていないアルバムは一枚も出してないし。ゴリゴリのラップのアルバムを出そうって思ってもやっぱり歌は入っちゃうし。自然と出てきますね。

-「この曲に乗せたい」みたいのは出てくると思うんですけど、「この曲は歌だろ」っていうのはちゃんと切り分けられてるんですか?

KOJOE - いや、なんか適当ですね。初めてビート聴いたときに、メロディが浮かんだらメロディ取るし、ラップが出てきたらラップ。すごい困るのは1曲の曲に対してアイディアが浮かびすぎて、引き際というか、どれに決めたらいいか収拾つかなくなることがほとんどで。基本的にビートをバーッって聴いて、なんか思いつくなってなったら、俺はすぐボイスメモを録る。1曲に対してボイスメモが何十個になったりする。それを聞いていくんですけど、これいいな、これ使える、これ使えねえって。ラップのフローとか思いつくメロディとかボイスメモしちゃうんですけど、大体1回目に残したボイスメモが一番かっこいいんですよね。

- 数十パターンも生まれるのは贅沢な悩みですね。

KOJOE - でも最近はそれが少し上手くまとまってくるようにはなったかな。選びやすくなってきてはいる。あと、たぶん浮かんでないアイディアも色々あって。その曲にあるメロディとかコード進行に本当だったらもっとカッコいいメロディが思いつくはずなのに、それが思いつかなかったりとか。それを求めていくうちにいろんなパターンができすぎちゃうんだろうなってのはあると思います。最初から「あーここだ」っていうメロディを思いつくことができる回数が少しづつ増えてはいるかな。

- 作っていくなかで時間がかかった曲とか、逆にすぐハマったものはどれになりますか?

KOJOE - 時間がかかったって感覚の曲は1曲もないですね。思いついたらバーッって作りきるまでやるんで。1曲に3日かかったとしても、最初の日はバース歌ってそれをブラッシュアップして、時間が無くなったら次の日はフック作って、思いつかなかったら「次の日でいいや」ってその次の日にフックやったり。そうやって3日間、4日間かけてミックスまで持っていって、そしたら次の曲みたいな。たとえばそうやって4日間かかってる間に違うビートが届いて、「うおー!このビートやべえ」って速攻そのビートを録り始めたりして、結局そのビートのほうが先にその日に終わることもあったり。たとえば”Certified Child”とか秒殺で、半日で作りました。何かを録っている時に、これが届いて聴いてヤバかったから。もうこれから先に録りたいってなって。歌詞書いてないけどレコーディングする準備して、聞きながら録りました。書かないで録ったりもする。

- ゲスト陣については、ギュッと絞ってると思うんですけど。この3人はどういう理由で?

KOJOE - 仙人掌はずっと何年も前からやりたかったアーティストの一人。「やろうね」って結構何年も前からずっと言ってた相手だったんでやっと叶った。RUDEBWOYくんはこの前の"BoSS Run DeM”の高田音楽事務所リミックスで入ってくれた経緯でつながって、是非やりたいなって思ってたから。仙人掌とRUDEBWOYってのは他にないから今回やりたかった。ちょっと"BoSS RuN DeM"の後釜的なトラックで、イケイケのトラックをやりたかったからそれが叶った。5lackは安定の5lack。いつもどおり。

- 5lackさんとの曲、”6秒ルール”は、すごい具体的な感じですが、自分のエピソードとか夏の思い出とかが反映されてるんですか?

KOJOE - 大体仲良くなる子だったり、男と女の出会い。人間の印象っていうのは最初の6秒で決まるね。ガタガタ言ってないで最初の6秒でついてこい、っていう言ったらチャラい曲ですよね。人生の中でそういう経験っていうのは俺もあいつもおそらくあって(笑)。「人間の印象は最初の6秒で決まる」っていうのは科学的に実証されているんだyね。仕事場とか接客するところでは、最初の6秒で印象が決まっちゃうから愛想よく接客してくださいってのを俺の嫁が、新しく働き始めた職場で言われてて。ちょうどその話をした時にこのビートを作ってて、「それだ!」って思った。最初印象悪いやつっていうのは、そこからちょっと話すようになっても最終的に印象悪いことが多いし、最初良ければ大体決まる。簡単に言ったら、いい男は6秒で連れてくからなって曲です。

- そういう科学的なところもあってってことなんですね。

KOJOE - それをサマーチューンにした。適当っすけどね(笑)。でも実際そうだなって思う。特にクラブとか暗いし、6秒じゃなくて2秒ぐらいで決まってるっすね。逆に2秒ぐらいで「あいつヤベー」ってなって近づいたら全然ダメだみたいな。6秒じゃなくて6時間後電気つけたらやばいみたいな(笑)

- 仙人掌さんのラッパーとしての魅力ってどういうとこだと考えてますか?

KOJOE - 声がもうラッパーのための声というか。すごい良い声してる。あいつのラップの魅力は、普通の人が言ったら「お前何言ってんだよ」みたいな台詞を言わせたとしても声がかっこいいからかっこよくなる。誰でもできるラップではないってとにかく思う。あとは声が悪そう(笑)だからラップに合ってる。あんなすごく良い奴なのに。

- ラップすると迫力が変わってきますよね

KOJOE - 化けるよね。普段とラップしてるときで全然違う。

- 今回もあの曲はダンスホールっぽいトラックじゃないですか。聞きたかったんですけど、KOJOEさんとダンスホールとかレゲエっていうのはどうリンクしてますか?

KOJOE - 俺がニューヨークにいる時にヒップホップのクラブとかに遊びに行かないで、ジャマイカ人しかいないようなレゲエのクラブによく遊びに行ってたのがデカい。まわりに結構ジャマイカ人の友達がいたりとか。向こうにいる頃から、いまだにアメリカのこととか仕事を手伝ってもらってる大親友のマネージャーがジャマイカ人で、結構身近にジャマイカっがあって。ただただ俺がずっとヒップホップやってるだけで、いままでずっと俺の中でジャマイカっていうのは身近にあった。あとは音楽とダンスが好きでそういう箱に遊びに行ってたのとか、ジャマイカ人のお姉ちゃんをできないパトワ語で口説いたりとかっていうこともね。自分はラップや歌をやってきて、意識的にレゲエをやるっていうわけでもなかった。好きだからいつかやってみたいなとか、ルーツとかカルチャー的なそういうリディムの上でソウルみたいなのを歌ってみたいなとは思ってたけど。自分がラガやったりちょっとパトワを使ってみたりっていうのは日常生活の中ではちょこちょこあったけど、実際自分が歌の上でこうやってやるとは今まで思いもしなかった。

- 面白いですね。日常的には触れてたのに。

KOJOE - でもBoSS RuNとかでラガに挑戦してみて、すごく反応がよくて。いいなって思った。『2nd Childhood』で二回目の思春期、青春だし自由にやりたいなっていうのもあって、今回は何曲かそういうのやってみたりとか。歌もラガもラップもトラップぽいのも自由にやってる感じですよね。

- CHAKIさんがプロデュースした“OH S**T”もグライムっぽいトラックですね。

KOJOE - そうそう。グライムがやりたくて。でもCHAKIくんにもサビはBoSS RuNっぽいのやろうよって。

- もともとグライムもUKのダンスホールを受け継ぐカルチャーですよね。

KOJOE - 移民のカルチャーだしね。他のラッパーでグライムやってる人いないから。海外、特にUKではヒップホップのアーティストと、グライムのアーティストがすごい近いじゃないですか。日本はそこまで近くないと思うし、あまりクラブでグライムを聴いたことないしね。

- 日本人でグライムっぽいライブできる人はそんなに多くないかもしれないですね。

KOJOE - どっちかっていうと、EDMとかかける人がイベントでグライムとかかけたりすんのかな。ヒップホップのイベントでは全然聞いたこと無い。

- USのラップかけるDJとかでグライムかける人はほとんどいないでしょうね。A$AP ROCKYの曲とかで...みたいなのはあるかもしれないですけど。

KOJOE - でもUKのヒップホップのアーティスト超かっけえのいっぱいいるからなあ。だいたいグライムの曲はみんな持ってるじゃん。だからグライムやりたくてCHAKIくんとやった。

- じゃああのトラックもKOJOEさんから「グライムでやりたいんだけど」って?

KOJOE - そうそう。このアーティストとこのアーティストとこのアーティストのこの曲やばくないですか?って一緒にリサーチして、んで1からグライム作ってあれになった。

- ちなみにその「このアーティストがやばい」って出したのって誰ですか?

KOJOE - Stormzyですね。俺はStormzyが一番すきっすね。下手したらUSのアーティストとかひっくるめてもStormzyが一番好きっすよ。

- そうなんですね。Stormzyの面白いところはどこだと思いますか?

KOJOE - 普通にトラップなトラックもあるし、グライムもあるし、ゴスペルもやってるし、全部がパーフェクトなバランスで。昨年出したアルバムは混ざってたなあって。タイトルからして、『Gang Signs & Prayers』って祈りとギャングサインで珍しいなって思って。あのまとまりかたはすごい良かったって思う。Kehalaniとの曲も超やばかったし。ポップだけどグライミーで両方持ってる。グライムがすごい好きな人に言わせると、「あれはポップすぎる」みたいなこと言う人もいるっぽいんだけど、「Skeptaのほうがやべえ」とか。でもSkeptaのラップは大袈裟に言うとBig Daddy Kaneがラップしてるぐらい古く聴こえる。あとは俺Lady Leshurrが超好きで。可愛いから(笑)

- Stormzyのトータルな感じというのは超わかりますね。Skeptaはカッコいいんですけど、ある意味一本調子というかポップなことはそんなにやらないし。Stormzyはいろんなスタイルがあってそれがトータルでバランスがいいですよね。

KOJOE - Skeptaはラップの言葉がおっさんくさい。Stormzyはわかりやすいし難しくないけどダサくない。若いなって思う。あんなゴッツイのに超若い。あいつのアルバムに入ってた”Bad Boys"って曲に参加してるGhettsもラップが超かっこいいよね。でもGhettsのミックステープとかアルバムは超いまいちで。ずっとその勢いでやり続けるからなんか疲れちゃう。でもこのバースはまじでキルしてる。

〜その曲を流す〜

KOJOE - いいっすよねStormzy。このアルバム結構好きです。この2年間ぐらいで一番好き。J Coleの『KOD』も好きだったけど。Kendrick Lamarの『DAMN.』とかよりも俺はこのアルバムがすげえなって思った。

- それはやっぱりバランス感のところで面白いって感じるんですか?

KOJOE - バランス感。全部がカッコよく同居してる。グライムもヒップホップもトラップもゴスペルも。ゴスペルがあんなにすんなり入ってこれるってすげえなって。しかもガチで神様に歌ってるけど、でもダサくなってない。ストリートのやつが本当に神様が必要で歌ってる歌というか。んでそれに救われる人がたくさんいて、カッコいいんですよね。あーそういうゴスペルの存在の仕方があるんだって。結構ゴスペルラッパーとかゴスペルギャングスタみたいな、昔超ギャングで人殺したけど今はゴスペルに目覚めましたみたいなラッパーたちのグループがたくさんアメリカにはあるんですけど。とにかくダサいじゃないですか。それが無い。メインに自分があって、ちょっとつまんでる感じだからいいのかな。ゴスペルアルバム出されたら逆に戸惑うし。他の言葉は普通に「FUCK」とか、そういうカースワードは使ってるのにゴスペルが存在してて、全然ありだなって。

- どっちかっていうと今のアメリカのヒップホップより、UKのほうが関心持ってるんですか?それともStormzyが特別?

KOJOE - Stormzyが特別ですね。あとLady Leshurr。可愛いから(笑)実際、冗談抜きでこいつはめっちゃかっこよくて、客のモッシュが尋常じゃなくて、男顔負けなくらい盛り上げるんですよ。しかもラップがクソうまい!USはUSでカッコいいやついっぱいいるし。特に場所は関係なくカッコいいやつはカッコいい。たまたま俺の今の人生のこのタイミングで、俺の中ではグライムが新しくてグライムしたかったっていうのがあって。それをCHAKIくんとできたのはかなりアツい。他の人とやってないことがやりたかったから。CHAKIくんはクソやばいトラップ系の音を色んな人に提供してるし、YENTOWNでもそういう曲たくさん作ってるから。どうせならいままでCHAKIくんが出してきたものを超えたいじゃないですか。でもそれってすごいハードル高い。今風のトラップを俺がやったり、他の人とやってることをCHAKIくんとやってもしょうがないし、新しいことやりたいなって。グライムがちょうどやりたかったからピッタリだった。極悪なホーンをブワーンって、あれは絶対使いたかった。UKは面白そうだから行ってみたくて、この間ライブで外国人のヤツが「お前UKに来ないのか?絶対UKに来い。待ってるぞ」って言ってくれたし、待っててほしいね。

- CHAKIさんのビートメーカーとしての魅力というか面白さはどんなところですか?

KOJOE - その場で真っ白なところからアイディアを構築していくセッションだった。日本でもこんなその場でできる人いるんだなって。やっぱりあんまりいないんで。自分で何曲か作って、それを送ってくる人がほぼ全員。アイディア持ってきてくれて、その人の性格をその場で喋りながら読み取りつつ、その場で作っていくのってそう簡単にできることじゃないし、すげえ楽しかったですね。ビートメーカーって言ったら失礼なぐらい。もうプロデュースさせたら完璧。喋りながら「こういうのどう思う?」とか「俺これ好きっすよ」とかそういうのどんどん合わせて組み立てていく。アイディアが粘土だとしたら、二人で持ってきた粘土で像につくりあげていくのを先導してくれる。歌ってても、こっちが「あ、ここはアレだったな」って思ったことは大体もう向こうで拾ってくれてて。「ここはこうしようよ」っていうのを言ってくれるからすごいやりやすかったですね、アイディアも言ってくれるし、俺が持ってきたアイディアを広げてくれる。「この最後の部分は音程もう1音上げて歌ったほうがカッコよく響くんじゃない?」とか、言い方も上手いし、話の持って行き方も上手い。こっちのモチベーションが上がったまま先導してくれる感じ。録りながらミックスして粗を削ってく、いい音のまま。エンジニアとしてすごいし、プロデューサーとしても優れてるんだよね。その両方が揃ってると録りやすいし、安心感がある。もっと作りたいなってすごい思いました。

- ビートメーカーとプロデューサーって同じ意味で使う人もいるんですけどそこは違う。

KOJOE - 天と地の違いだと思いますね。ビート作って丸投げっていうのとプロデュースは。ビートメーカーが何かに対して劣っているわけじゃなくて。ビートメーカーはビートメーカーっていうジャンル、プロデューサーはプロデューサーで。あの人はエンジニアとプロデュースとビートメーカーが全部できる人だから。海外でもそこまで全部できる人ってたくさんはいないと思うし。スタジオとかも几帳面だったし。性格が分かる。機材の話とかでも盛り上がりましたね。ただ欲しいものがいっぱい増えただけですけど(笑)。あとは音が24時間爆音でかけれる場所だったんで、すげえ羨ましかった。いいなあ。うちはそこまでの防音はまだできてないから。

- スタジオでの日常的な過ごし方ってどういう感じなんですか。

KOJOE - テレビを消音にして、こっちでビートとか音楽かけて。ビート作ってる時はテレビつけっぱなしで、歩きまわったりとかカオスですね。飽きてきたらNETFLIXとかの音つけて、ビートの音はいったん消して。休憩して。テレビの音大きめでビートの音小さめで、でもビートは刻めるようにかけといて。メインはテレビのドラマをみつつ、でもビートは聞こえるから歌詞は書きつつ。色々ながら作業が結構多いです。

- 結構毎日ここで作業してますか?

KOJOE - そうですね。毎日なにかしてます。昨日はISSUGIとBESくんとCRAMのやつ録って。あとB.I.G.JOEくんのやつ録って。で、このビート作ってたんで。なにかしらは毎日してます。あとはillmoreのを録らなきゃいけないんだ。忘れてた。とりあえずこのアルバムがやっとできたから、またビートに集中できる。あとは色んなアーティストをプロデュースしたい。

- スタジオを作ったことで、自分の視野も広がった感じに。

KOJOE - そうですね。自分がスタジオ作ったから、ここで録れるものは自分のものだけじゃなくて色んな人の録りたいなって思ってるんで。今、BUPPONがここにきてレコーディングしててアルバム作ってるんですけど。それは全部俺がエグゼクティヴ・プロデューサーで監修で、音は全部illmoreがやってて。人のものを録ったり、エグゼクティブプロデューサーとかディレクション的な面で色んな人を輝かせるための作業は楽しいなって最近思う。そいつが思ってなかったようなことをやらせてみて実際そいつが、「これやばくないっすか」ってなったら嬉しいし。人それぞれの味だったりテイストとかスタイルがある中で、俺のテイストも落とし込みつつすごい良いものが最終的にできればいいね。あとはいなたいラッパーに超爽やかなビートで歌わせたりとか、普段使わないようなビートで、それで実際すげえかっこいい曲もあったりするし。やるからには他の人じゃできないことを落とし込めればなあって。自分のことだけじゃなくて他のアーティストで、ここでやったから曲が広がったり、そういうのができるようになりたい。今回CHAKIくんとも仕事させてもらって、やっぱりすごいプロだった。すごい楽しかったし、スタイルは違えど自分が目指すべきところってのはああいうとこにあるのかなって。やっぱメジャーな仕事とか、締切キンキンなやつとか、相当乗りこなしてるんだなって感じた。そういうのを俺もしたいっすね。歌謡曲歌ってる子のアルバムとかにめちゃくちゃコアなバラード2曲とか、超昭和の歌謡曲みたいなので「なんだこれ!?懐かしいぞ」ってプロデューサー見たら俺みたいな。そういうのやってみたいですね。アルバム聞いたら超ポップで、ヒップホップ聞いてるやつからしたら「なんだよこのアルバム」ってなったとしても、その中に「お、この曲よくね?」ってなったのが俺プロデュースだったら別にいいじゃん。音楽やってる人はひとりひとり色んな思いがあって、魂を入れ込むわけじゃないですか。それの歯車のひとつになれるっていうのは光栄なことだし。現実な問題で、ただ単に自分の好きなコアなヒップホップをやり続けて生き残っていって大金持ちになれるかって言ったらなれないしガッツリ金稼ぎたいし、稼がなきゃ夢がないから。でもいまさらブレることもできないし。いきなり俺がポップなわけわからんアルバムを出そうとしても俺は出せないから。でもポップなやつと関わることは悪いことだと思わない。それをやることによって俺のヒップホップ色が薄くなるかって言ったらそうじゃないし。自由に音楽を作りたいですよね。いろんな音楽やってるプロがいて、いろんな職人さんがいるところで、いろんなセッションをしてみたいな。どんどんその気持ちが強くなってる。

- コアがあるからこそ自由さも許容できるようになるってところですよね。

KOJOE - 俺は、歌が好きだからこそ歌をやりたいんですよね。たとえば10代の女の子がHHみたいな歌を歌ったら絶対カッコいいじゃないですか。そういうのプロデュースしたかったりだとか。Wu-Tang Clanのファーストぐらい音が悪いダーティーなビートの寄せ集めに、めちゃくちゃイケてる歌を乗せる。その子はまだ18歳。みたいな。良くないですか?日本にまだいなくないですか?それを1から、歌いい感じだな、ちょっと声もいい感じだなっていう子を育てたいです。あとは普通に歌謡曲に携わったりとか。嫌なものは途中で「やらねえ!」ってどうせなっちゃうから。そこはお互いのセッションじゃないですか。こっちもそれなりの理由があってぶつかって、向こうも「こういう風にやってくれ」「いやこれのほうがカッコいい」ってやりあいたい。それをアルバムの中にメイクできて、それがアイドルの子のアルバムだったらそれはそれで面白い。そのかわり相当カッコよく歌ってもらいますけどね。それまで終わらない。とにかく自由にいろんな音楽に携わりたいですね。日本の今の子が歌うような言葉じゃなくて、カッコいいメロディのついたカッコいい曲を歌謡曲に落とし込めたら楽しいなって思うんですよね。ちょっとづつ日本のポップ、歌謡曲のバランスを崩していければと面白いな。っていうモノに繋げるために、いろんな人が聞いてくれて、名刺がわりのアルバムになればいいなって思う。

Info

アーティスト: KOJOE
タイトル: 2nd Childhood
レーベル: P-VINE / JAZZY SPORT
品番: PCD-25268
発売日: 2018年8月22日(水)
税抜販売価格: 2.500円

1. inori
Prod by Narisk
2. Sacrifice Pt. I
Prod by Narisk
3. Whateva
Prod by illmore
4. 24
Prod by Narisk
5. back in da day
Prod by Narisk
6. don’t be mad
Prod by Narisk
7. 6秒ルール feat. 5lack
Prod by Kojoe
8. WARnin’ feat. 仙人掌 & RUDEBWOY FACE
Prod by Kojoe & ShingoBeats
9. OH S**T
Prod by Chaki Zulu
10. Church
Prod by Kojoe
11. Certified Child
Prod by Narisk
12. hey sky
Prod by Narisk
13. Sacrifice Pt.II
Prod by Narisk
14. 2nd Childhood
Prod by Devin Morrison

KOJOE「here」RELEASE PARTY in FUKUOKA
Supported by COCALERO

2018.09.17 (祝/月) OPEN 18:00 at Early Believers
ADV: 3,400yen *無くなり次第終了*
DAY: 4,000yen (共に+1D ORDER)

■Release Live : KOJOE Feat. AKANE, Awich, BUPPON, ISSUGI, WAPPER
■Guest Artist: Olive Oil & Popy Oil, BUPPON, illmore, YELLADIGOS
■DJ: 3104st with DANCE SESSION
■SHOP: JAZZY SPORT, Don’t Find, Chilly Source

【TICKET INFO】
■ローソンチケット L-CODE 83191
■Livepocket https://t.livepocket.jp/e/917here_fk
■DARAHA BEATS (今泉) 090-2867-1233
■Don't Find (大名) 092-405-0809
■House of Steel (北九州/門司港) houseofsteel093@yahoo.co.jp
■KIETH FLACK (舞鶴) 092-762-7733
■OP1 (大名) 092-724-8882
■SQUASH DAIMYO (大名) 092-724-9552
■SQUASH IMAIZUMI (今泉) 092-734-3037
■STS (平尾) 092-523-7520
■TROOP RECORDS (大名) 092-725-7173

Early Believers
〒810-0001 福岡市中央区天神3-5-19
Mail: info@e-b.jp

Tel: 092-738-7337

<AFTER PARTY> 22:30
at Kieth Flack
ADV: 2,000yen // DAY: 2,500yen *Early Believersの半券提示: 1,000yen
(共に+1D ORDER)
■GUEST : 16FLIP
■DJ : SHOE, KLO-DO, DJ POM, NARISK, Lo-p, DJ PAULOS
<TOTAL INFO>
KIETH FLACK
〒810-0073 福岡市中央区舞鶴1-8-28 マジックスクウェアビル 1/2F
TEL&FAX 092.762.7733
WEB http://www.kiethflack.net
E-MAIL information@kiethflack.net

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