DEANミニインタビュー | 韓国の若き天才が目指す高み

DEANは今の韓国のアーティストで最も注目されているアーティストだ。伝説的な俳優ジェームズ・ディーンから名前をとったという彼は、16歳から活動を開始。まずはプロデューサーとしてEXOなどにトラックを提供していた。その後2015年にはまず本国ではなくアメリカでシンガーとしてもデビュー。Zicoとの"Pour Up"やAnderson .Paakとの"Put My Hands On You"などでみせた、隙のない構成のトラックやセクシーなボーカルは、すぐさまこの新人の名前を世界中のリスナーに知らしめた。

そして2016年には自身初のEP『130 Mood : TRBL』で、モダンなR&Bの真骨頂といえるサウンドで、リスナーをさらに驚かせつつ客演ではHeizeとのディスコチューンなどでそのエンターテイナーとしての実力も軽々と発揮した。

11/22に初来日公演を行った韓国の天才アーティストに、ライブ直前に話を聞くことができた。彼の目指す高みとは?

インタビュー・構成 和田哲郎 撮影 : 横山純 取材協力 YonYon(BRIDGE)

 

- まず音楽を始めたきっかけについて教えて下さい。

DEAN - 元々飽きっぽい性格で、小さい頃から絵を描いたり、文章を書いたりするのが好きで、そうしたことをやっているうちに自然と音楽に手をつけるようになったよ。音楽だけは飽きないというか、すごく楽しくて自然と続けているうちに職業になっていたね。最初ラップのリリックを書いていて、その後曲を作りはじめたね。

- 曲を作る上でインスピレーションになるものはなんですか?

DEAN - みんなそうだと思うんだけど、映画を観たりとか、自分の経験から歌詞を書くことも、もちろんあるけど、自分の特徴といえるのは頭の中で曲のストーリーを作ってしまうんだ。細かいディテールのところまで考えて、それを歌にしている。

- 例えば"Bonny & Clyde"のミュージックビデオもすごいストーリー仕立てになっていますが、曲を作る時点でそういう絵まで頭に浮かんでいるんですか?

DEAN - まだそこまでは実現できていないんだけど、今後は自分の頭の中で考えた絵をミュージックビデオにしていきたいね。

 

- ミュージックビデオも自分でディレクションしたいですか?

DEAN - そう、ミュージックビデオだけじゃなくて、僕が着る服や髪型に至るまでに、アーティストとしての哲学が入るべきだと思ってる。

DEAN

- コラボ曲も多いですが、例えばZicoとはディープなトラック、Heizeとはディスコ的な曲と、アーティストによって曲を書き分けていますが、それぞれのアーティストのイメージによって書き分けているのでしょうか?

DEAN - アーティストのイメージを持って作るのは、もちろんあると思うんだけど、HeizeとZicoの違いを言うとするならHeizeの場合は、僕がプロデューサーとしての立ち位置で曲を提供したので、僕がHeizeに服を着させるみたいな感じで考えていったんだ。Zicoとの曲に関しては彼のプロジェクトではなくて、僕の曲にコラボする形だったから、僕の曲にZicoがどういう風に参加したらいい曲になるかというのを考えて作ったよ。そこが違うね。

 

- 2015年にアメリカと韓国でデビューしていきなり人気アーティストになったわけですが、そういう状況についてはどう感じていますか?

DEAN - 2015年のデビュー以来、僕の名前も大きくなったと言われてるけど、僕自身は満足はしていなくて、もっと今より高いステージに上がっていきたいし、もっといろんな人に会って音楽を吸収していきたいと思っている。さらに今以上に影響力のあるアーティストになりたい。僕の歌をより多くの人に届けたいし、歌を通じて僕のメッセージを伝えていきたい。例えばKanye Westは彼の発信するファッションや音楽、考え方が大勢の人に広まって、Kanyeを真似しようとする人も多い。僕自身も誰かの目標になるような存在になっていきたい。

- 東京の街としての印象はいかがですか?

DEAN - すごい繊細な都市だなと。例えば建物があったとしたら、その前に花壇があったりしてすごい綺麗に整理されてたり、お店に入っても陳列が綺麗だったり、細かな気遣いができている国なんだなという印象だね。

- ZicoとCrushとの新曲について教えてください。

DEAN - 僕たちは3人ともヒップホップが大好きだから、大衆に向けた曲ではなくて、リアルなヒップホップというのは何かというのをリスナーに訴える曲になってるので、普段リリースしている曲よりは、普通の人には理解しがたいところがあるかもしれないけど、そういうテイストにあえて挑戦した曲になっているよ。

 

- 今年の予定で決まっているものはありますか?

DEAN - まずはアメリカからシングルがリリースされるよ。そのあとはアルバムをリリースするためにヨーロッパにレコーディングしにいくよ。海外からリリースされるものが多いので期待しておいてほしい。

DEAN

RELATED

【インタビュー】JAKOPS | XGと僕は狼

11月8日に、セカンドミニアルバム『AWE』をリリースしたXG。

【インタビュー】JUBEE 『Liberation (Deluxe Edition)』| 泥臭く自分の場所を作る

2020年代における国内ストリートカルチャーの相関図を俯瞰した時に、いま最もハブとなっている一人がJUBEEであることに疑いの余地はないだろう。

【インタビュー】PAS TASTA 『GRAND POP』 │ おれたちの戦いはこれからだ

FUJI ROCKやSUMMER SONICをはじめ大きな舞台への出演を経験した6人組は、今度の2ndアルバム『GRAND POP』にて新たな挑戦を試みたようだ

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

WONKとThe Love ExperimentがチョイスするNYと日本の10曲

東京を拠点に活動するWONKと、NYのThe Love Experimentによる海を越えたコラボ作『BINARY』。11月にリリースされた同作を記念して、ツアーが1月8日(月・祝)にブルーノート東京、1月10日(水)にビルボードライブ大阪、そして1月11日(木)に名古屋ブルーノートにて行われる。