写真家・寺沢美遊の事故車をテーマにした個展がCALM & PUNK GALLERYで開催

写真家・寺沢美遊の個展『BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR』が西麻布・CALM & PUNK GALLERYで1/24(金)から2/9(日)まで開催される。
2021年にLAID BUGでの個展『UNOWNED』を皮切りに、自動車を被写体とした作品を発表しているほか、タレントやセレブリティを被写体にした商業写真の分野でも東京を中心に評価を得ている寺沢。
今回の展覧会は、昨年11月に韓国・ソウルのスペースCORDで開催された個展に続く新作展となり、韓国・聖水洞で撮影された事故車をモチーフにした写真作品に加え、日本で新しく制作された作品が展示。事故車の姿を鮮明に捉えた作品群が並ぶ。
本当は、綺麗な花や美しい景色なんかを撮ってみんなを癒やしてあげたいけど、
私が心の底から惹かれ、安らぐのは、そのようなものではありませんでした。(寺沢美遊)
歪み潰れたフロントパネル、ひび割れたガラスやヘッドライト、内部が露わになった骨格部分――これらが鮮やかな印画紙に焼き付けられ、観る者の「好奇の眼差し」を刺激する。一方で制作過程においては寺沢自身の近年のメンタルヘルスへの姿勢や、事故車に対して修理を施すことで元に戻るという「再生の可能性」や憧れが投影されている。
今展タイトルの 「BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR」(直訳すると「息をする、横になる、死ぬ以外はただの傷跡」)が示唆するように、この展覧会は単なる自己閉塞的なフェティシズムの露呈ではない。むしろ、誰もが思いもせず日常のエラーを引き受けてしまう事故というイベントと、それに直面した人々の「その後」を、事故車という被写体を通して追い続ける寺沢の眼差しは、幸福と不幸が紙一重のように転倒する日常の風景を捉え、モータリゼーション化した現代の社会構造と寺沢自身の視覚言語を浮かび上がらせる。
鉄とガラスのフレームが描く暴力性、そして掬いあげられる眼差しーー寺沢が切り取った断片は、鑑賞者にある種のビジュアルイメージと人間の関係性を問いかける。



今展では作品に加え、個展に合わせて制作されたZINEと選曲とミックスを手がけた音源『E-400』が展示される。
Info

「BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR」
日時 : 2025.1.24 (Fri) — 2.9 (Sun) 13:00 ~ 19:00
場所 : CALM & PUNK GALLERY
〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15
グラフィックデザイン:杉山峻輔
オープニングレセプション
日時 : 2025.1.24 (Fri) 13:00 ~ 16:00 メディア関係者向け / 17:00 ~ 20:00 一般来場者向け場所 : CALM & PUNK GALLERY