寺沢美遊が9年ぶりの個展『UNOWNED』をLAIDBUGで開催 | 車と車にまつわる情景を撮影
東京・幡ヶ谷のギャラリーLAIDBUGでフォトグラファーの寺沢美遊による9年ぶりの個展『UNOWNED』が9/4(土)から開催される。
FNMNLでも撮影を行なっている寺沢による個展は、彼女が日常的に利用するカーシェアリングサービスに端を発し、自身にとって「非所有」とは なにかというテーマで撮影された、車と車にまつわる情景が並ぶ。
現代において、車とはどんな意味合いを持つのだろう。
手元にマイク・フェザーストンが2010年に出版した『自動車と移動の社会学 』という本がある。この本には自動車が及ぼす 都市形成、そして個人への影響が書かれているが、こと個人への影響という点に関して、この2021年、どんな変化があった のかを思う。今年上半期の国内乗用車販売台数は前年比で10% 強上昇していると聞いた。
写真家の寺沢美遊による個展『UNOWNED』には、彼女が日常利用するカーシェアリングサービスに端を発し、自身にとっ て“非所有”とはなにかというテーマで撮影した作品が並ぶ。本展はとりわけ車と車にまつわる情景が多い。作品を通じて車 を人間や社会の比喩として扱う事例はこれまでもさまざま存在していて、たとえばかつての映画作品においても車が男性性 /女性性の象徴であったり、社会構造のメタファーとして登場する例は枚挙にいとまがない。そして、やはり寺沢にとっても 車は移動手段以上の事象なのである。“運転しているときに、安心と開放感で自分が自分らしい形をしてると思える。動きや すい服を着てるときのような”と彼女は語る。運動体の延長としての車。だが所有という手段に至らないのはなぜか。そこに 彼女と車、彼女と社会の距離感が見えてくる。
所有することこそが愛、という前提から翻って、所有しないことが愛と呼べるかというシミュレーション。そしてそれにまつわる美 意識について。彼女が出した現時点の回答が本展『UNOWNED』にて垣間見えるだろう。
会期中には今年6月から7月にかけて彼女が訪れたニューヨークでの所感をまとめた手記『Broken Diary』も販売。この ZINEもまた写真とは別の角度から切り取られた彼女の眼差しである。
Info
展示タイトル:「UNOWNED」 /
アーティスト: 寺沢美遊 MIYU TERASAWA
会場:LAID BUG 東京都渋谷区本町6-21-4 B102( 最寄駅・初台、幡ヶ谷 )
日程:2021年9月4日(土) – 9月19日(日) 月曜・火曜 休廊
オープン時間 : 15:00 - 20:00