【インタビュー】SANTAWORLDVIEW 『NICE TO KNEE YOU』 | 自分が主催のゲームをやる

ラッパーのSANTAWORLDVIEWの3rdアルバム『NICE TO KNEE YOU』。今作は自身が手がけたビートを初めて収録し、そして音楽性も最先端のトレンドを取り入れたものから大きく変化しレイドバックしたブーンバップを中心にしたものとなっている。

インタビューでも述べられているが、今作はリファレンスありきではなく、SANTAWORLDVIEWというアーティストを形成してきた土台をもとに制作が進められていった。そこには誰かが作ったゲームに参加するのではなく、自分のゲームを始めるという彼の強い意思があったという。

取材・構成 : 和田哲郎

SANTAWORLDVIEW - もう1ヶ月か。意外と広まってくれてるし、自分も今日聴いてきたんですけど、まだまだ全然聴けるなっていう感覚もあるし。まだ響いてないところでもちゃんと響かせることができれば、もっともっと食い込んでいけるのかな。1ヶ月経ってそういう可能性を感じましたね。

SANTAWORLDVIEW - 漠然としたイメージはあったんですけど、「これだ」みたいなはっきりしたのはなくて。やっぱり"BEGIN"を作っていくうちに、自分の色を出せるようになったというか、プロデューサーの方にも言いたいことを言っていいんだな、みたいに思って。『カウボーイビバップ』のサンプリングをしたいとか、"I Wish For U"とか"Don't Worry"とかも自分でビート作ってAWSM.に投げてアレンジしてもらってとか、そういう風にアルバムの音ができたんで、意見を言えるようになったっていうのはありますね。セカンドアルバムの時はビートストックの中からピックアップしてたので。今回、ほとんどの曲をゼロから作って、サウンドの面でも新しいSANTAWORLDVIEWが出てるのかなって。ビートメイクもずっとやってたんで、そこの変化は結構大きいのかな。トラップって作りやすいけど、◯◯系とか細かくジャンル分けしていくと意外と難しくて、技術が必要になってくる。トラップ以外でもっと色濃いものってなんだ、ってなるとブーンバップだったりファンクだったりジャズだったりで。それらを聞いて研究していくうちに、自分も好きになっていきましたね。

SANTAWORLDVIEW - 懐かしいですね。何年経ったんですかね。

SANTAWORLDVIEW - そうですね。Leonとかと一緒にいて自然にたどり着いたサウンドでもあるし、フロリダに憧れてた部分もあったと思います。

SANTAWORLDVIEW - それに近いかな。自分のサウンドの好みが変わったっていうのは根底にあるんですけど、あの当時って曲作る段階で「これっぽくしようぜ」みたいなリファレンスがあって。それをなくしていった結果でもあるというか、リファレンスありきの作り方はやめて、今まで聴いてきた音楽が、俺を形成しているから、その中にあるじゃんと思って。俺の言いたいこととかやりたいことをやっていくっていう段階で、憧れとか尊敬とかを自分の作品に混ぜちゃいけないなっていうのは感じてたんで。そういう風にやってたら、今作のようなものが根底のサウンドになっていったというか、違う音になっていったのかなって感じはしますね。

SANTAWORLDVIEW - そういったのも今回考えなかったというか、わざと外したというか。自分自身と向き合うためのもの、自分との戦いだったんで。前までは敵やヘイターがいると思ってたんですけど、「最大のヘイターって自分自身だな」って思ってからは、そういったヒップホップゲームとか争いごととか、そういうものにあんまり興味を示さずにいられたんですよ。いろいろヒップホップにまつわる変なこともあるけど、今は全然キレないというか。「俺そこまで行ってないからな」みたいな感じになっちゃってるから、そこは反省しないとなっていう(笑)。うちはうち、よそはよそというか。自分を軸にゲームが始まればいい。そういう考え方になってきた。ゲームに参加するんじゃなくて、自分が主催のゲームをやる。

SANTAWORLDVIEW - ニュージーランドに住んだ時の生活も関係するんですけど、一番は"BOUNCE"がバズった時かな。で、次がラップスタア。300万を取り損なって、EP『What just happened?』を出したんですけど、それも自分にとって、アーティストとして芽生えた意識をより自分のものにできたような感覚だったんですよね。あの時はまだバイトしながらだったんで、STUSSYで働きながら休憩中に歌詞を書くみたいなことをしてて。「何やってんのお前」って言われて「歌詞書いてます」とか言うと、「そんなことしないで番号覚えろよ」みたいに言われたりして、なんだこいつとか思ってて。そういった怒りがどこかにあったっていうか、フラストレーションって、制作をすごい助けてくれるもので、創作には怒るって感情が必要なんですよね。怒るのって疲れるじゃないですか。それが芸術に落とし込まれた時、爆発すると思うんですよ。それが『What just happened?』だったと思うんですよね。YamieZimmerと1ヶ月弱で7曲ぐらい作って、それもバズって。だからそれ以降はやっぱり、"BOUNCE"や"Pink juice"みたいな間違いないものを出していけば、それなりのレスポンスが返ってくるんだなっていう、アーティストとしての意識がより強固になっていきましたね。

SANTAWORLDVIEW - 自分の中ではセカンドアルバム『I’M THE ONE』が大きいです。アーティストとしての意識が芽生えたてで、トレンドや流行りを追っかけすぎてしまった時期があって。固定観念というか、流行りのサウンドを取り入れなきゃいけない感じとか、歌詞にも余計な邪念が入っていて……そういう、本当に自分の言葉で、自分のサウンドで臨めているのかっていうのを、セカンドアルバムで感じてしまったんですよね。

SANTAWORLDVIEW - いや、リリース後ですね。改めて聴いてみて、別に悪くはないんですけど、追っかけすぎてたなというか。でも、自分の中ではすごい濃い時間だったんですよ。Koshyくんと1年かけて作って、サウンド的にも超かっこいいんですけど、やっぱり自分の問題として自由にできたかというと、今回のアルバムの方ができていたかなっていう。でも『I’M THE ONE』があって今回ができたんで、大切なものだったなとは感じます。今作が成功で前作が失敗だとするなら、失敗がないと成功できなかったんじゃないかなって。どっちも必要だったと思います。

SANTAWORLDVIEW - 早いし、早いからこそだと思うんですよね。「まだ25歳」とも、「もう25歳」とも捉えられると思うんですよ。

SANTAWORLDVIEW - 俺は結構焦っていて「もう25歳だ」派なんで、「まだ25じゃん」って言われるけど、そうだなと思いつつ、あんま達観しすぎないというか。真面目になりすぎてもあんまいいことないと思うので、25歳らしくいたいなと。時代の流れが早くて、当たり前が当たり前じゃなくなってきてると思うんですよ。だからアルバムの構想を練って28歳の時に出しましょうみたいな、そういう考え方もできたのかもしれないけど、自分の中で思ったことだし、留めておかないで、ちゃんと出しておかないと体に悪いなと思ったので。だから良いタイミングで出せたのかなとは感じます。

SANTAWORLDVIEW - それはそうですね。その焦りも上手く昇華できたのかな。自分を落ち着かせるみたいな気持ちもたぶん含まれてて。結構口酸っぱく今回のアルバムでは歌詞で言ってるんですけど、それは自分のために言ってる、自分を悟すもので、内側から外側に広がっていくようなアルバムになってるんです。

SANTAWORLDVIEW - 今作はビートスイッチする曲もあるんですよね。"Honest / Feeling Good (Piano Black)"とか。あと"Boys don't cry"とか。そういうのは前からかっこいいと思っていたけど、自分じゃできないなって限界を感じてて。でも1%に入って以降、自分の思い通りに動けるようになってきてたんで、勝負だと思いつつ。で、Noconocoくんに呼ばれて、"Boys don't cry"から先に作って。Noconocoくんはやっぱピアノも弾けるので作り方がすごく自由だったんですよね。「ここをこうしてもらって、ここドラム入れて」とか。前までは俺がビートの作り方わからなかったから全部人に任せてたんだけど、そうするとやっぱり「ここ違うなー」って思っても「わかんないけど言えないなー」みたいな、もどかしい感じがあった。今回は言える状態でやったら、ああいうのができちゃったんですよ。面白い感じで作り方の幅が広がっていった。"成せば成る"もNoconocoくんなんですけど、メトロノームだけ最初鳴らして、そこから俺がもうリリックを書いちゃうみたいな。で、書いてる間に「このフローでいくからこんな感じでどうですか」って伝えながら作ったから、フローとサウンドが合体していくような形になった。

"Honest"に関しては、奇跡ですね(笑)。"Piano Black"って『カウボーイビバップ』の曲を聴いた時に、これラップできるなって思ったんですよ、ちょっとKendrickっぽいし。すげえ使いたいんだけど、サンプリングした時に後ろの音入っちゃうんだよねーって思ってたら、(甲田)まひるちゃんがやってくれて。で、スイッチして"Feeling Good"になるんですけど、たしかメインのループを逆再生したら、たまたまあれになったから、だいぶ奇跡としか言えない。俺の仕事ってラッパーなんで、やっぱり歌詞書いて歌ってなんぼなんですよ。でも、それも大事だけど、所詮はそれって音楽の一部なんだよね。別に歌詞だけめっちゃ見てる人とかいないわけであって、俺はそこに囚われていたなと思いましたね。そういった自分の仕事を一回外して周りの仕事も見てみると、また違った作り方ができたっていうか、フック、バースという流れにこだわらなくなった、というかそれに縛られる必要ないなって。

SANTAWORLDVIEW - あ、俺のですか? よかったです。確かにそうかもしれないですね。俺もずっと感じてたけど、これいったら思想強いかなとか、スピってるやつに思われるかなとか、これいったらキツイなとか考えていたことを一回外してやってみて。心の中にあってずっと取っておいたもの、言いたかったものだったので、だから、やっと言えたなっていうって感じですね。出した後スッキリしたし(笑)。

SANTAWORLDVIEW - "Don't Worry"とかすごいんじゃないかなと思いますね 。改めて聞くと、ビート、ギター、ピアノ、ベース、ドラム、ラップがすべて調和していて。本当美しいなとしか感じなかった。最初聴いた時は俺が思ったものと違ってたんで、そこを修正しつつ、「ギターこうじゃね」とか調整してできたものなので、俺の中ではクラシックなのかなっていう。ラップで言ってることも間違いないし。どれが一番いいかと言われちゃったら甲乙つけられないですけど、うまくできたなって思うのは"Don't Worry"かな。でも、友達に何がよかったか聞いても全員バラバラだったりするから。逆にそれは曲単位じゃなくてアルバム全体としてよかったのかなって思うから、いいことだろうって。

SANTAWORLDVIEW - アルバムらしいでしょ?

SANTAWORLDVIEW - そうなんですよ。俺もずっと後半をメインに考えて作ってたんですけど、AWSM.とかと話し合ったら、「前半がパンチ弱くて後半にガッとくるけど、やっぱ今の若い子たちって後半になればなるほどあんま聴かないよ」みたいに言われて、「そういうもんなのか?」って思っちゃって。で、それだったら俺の伝えたいことを前半に入れてみようってなって、ああいう構成になったという感じですかね。

SANTAWORLDVIEW - まあ、俺の変わり様を聴いてくれって感じですね。アーティストが変わる様って面白いと思うんですよ。アーティストだけじゃなくても憧れてる人がどうしてそういう考え方をするのかみたいなのって一種の楽しみだと思うんで。どうしてSANTAWORLDVIEWがそう思うのか、みたいなのを楽しめたら、よりアルバムの理解度も高まるのかなって。トラックリストを決める時はめっちゃ悩みましたね。"City to City"を前に持ってったほうがいいでしょ、みたいな話もずっとしてたんですけど、でも今のSANTAWORLDVIEWを見せようとなって、こういう感じですね。

SANTAWORLDVIEW - もう肩に彫るぐらいなんで。ほんと、一番好きなアニメで。

SANTAWORLDVIEW - 高校生の時が初見で「なんだこれ!」って衝撃ですよ。「カウボーイなのに宇宙?」みたいな、めちゃくちゃなんですけど、やっぱかっこいいんだよね。"Tank!"ってオープニング曲から始まるんですけど、「なに今の」みたいな衝撃がすごい強くて、巻き戻して見たりもしてて。オープニング以外にも間で流れてくるサントラもすごくかっこいいんですよ。まさかの日本人の菅野よう子さんだったっていう。そこから電車でもサントラを聴くようになりましたね。

SANTAWORLDVIEW - 衝撃でしたね。でもヒップホップに落とし込もうとは思ってなかったです。ビートメイクを学んでから、「あれこれいけんじゃね?」みたいな、もしかしたら面白い化学反応になるんじゃないかと思ってやってみたらできたのが"COWBOY'S LIFE (TOO GOOD TOO BAD)"で。

SANTAWORLDVIEW - いやいや、もう、「ええっ許可取れるんだ」みたいな。ほんと、ありがとうございますとしか思わなかったですね。サンプリングの時も手紙書いて、「これいけるかなあ」みたいな話してて。もう作り終えた後だったんで、まさかの本当にオッケーをもらえて嬉しかったですね。アルバムの前にMVを出した時もたしか菅野よう子さんが反応してくれて。自分が好きだったものに関われたのは大きいし、関わっていいんだ、みたいな気持ちにもなれましたね。自由でいいなって。本当にやりたかった夢も叶いましたね。

SANTAWORLDVIEW - 音楽の聴き方は確かに変わったかもしれないです。ラッパー目線でずっと聴いてたから、やっぱ凝り固まったり悩んだり迷ったりとかあったんですけど、ビートメイク学んでからすっきりしたような。やっぱり、ビートがあってこそなんで。でっかい学びしたかな、ビートメイクで。

SANTAWORLDVIEW - Logicですね。なんも叩けないです。キーボードでやってたんですけど、やっぱりあれ難しいですね。

SANTAWORLDVIEW - ピアノやってて毎回思うんですけど、指はね、むずいんですよ。中指と薬指と小指が本当に難しくて。小指と薬指がどうしても一緒に動いてしまうから。指の練習してるんですよ……ほら、薬指だけは動かせないんですよ。体の使い方はいいかもしれないですけど、指とか足とか、そういう先端はもしかしたら下手なのかな、みたいな。だからピアノ弾いててめっちゃキレてるんですよ。「動け、薬指!」って、「動けー!」って(笑)。

SANTAWORLDVIEW - ビートメイクって莫大な時間がかかるじゃないですか。当時、コロナが流行ってロックダウンになる前に、暇になる前にPCを買おうと思ったのが吉ですね。それ以降、本当に暇になったんで「あっぶねー」とか思いながら、40万もしたんだからやってみようってなるじゃないですか。はじめはよかったんですよ。初めてとりあえずPCを触ってみるみたいな、やり方も分からないけど、ヤミーを家に呼んだり電話したりして、最初のいろはだけ教えてもらって。「スネアはここだよ」とか位置を教えてもらって、あとは自由に試行錯誤しながらやっていったんですけど、最初マジでクッソつまんなかったですよ。思う通りに作れないから(笑)。イライラするんですよ。けど気づいたら10時間くらい経ってて、いい時間の使い方にはなってるんだなって。相当集中してたと思うんですよ。でも楽しいって感情は一切なかった。むしろ苦しみに近かったかもしれない。

SANTAWORLDVIEW - 最初ってなんでもそうですけど、苦しい方が勝つと思うんですよね。覚えなきゃいけないし、師匠みたいな存在がいないと相当ムズいと思います。でも師匠の言う通りにしすぎると自分の色も消えちゃうし、そこが難しくて。だから師匠のヤミーも全体を教えてくれはしなかったけど、骨組みだけはしっかり学んで、今、3年やってるんですけど2年経った時に一回諦めたんですよ。その当時はまだトラップがメインである程度は作れてたんですけど、あんまりいいビートが作れなかったんで、ビートメイクで悩むのは一回やめようと。ラップで悩んでビートメイクでも悩んでたらもう死ぬなって(笑)。じゃあビートメイク一回捨てようみたいな、肩の荷をおろして、その後ラップやってみたらできてたんで。ビートメイクをまたやり始めたのはたぶん今年入ってから、春ぐらいにまたやり始めて。そこからピアノももう一回弾き始めて、で、今に至るっていう感じですね。

SANTAWORLDVIEW - もうクソ楽しいっす。作る楽曲もブーンバップ調になっていったり、やっぱここ1年で聴いた音楽とか習った音楽が変わったからなのかな。めっちゃ作れるようになって、結構すごいですよ。前は凝り固まってた。ビートもラップと一緒で、もっと自由でいいんだな、みたいに思い始めてから。「仕事が遊び」って言うじゃないですか。でも仕事だからやっぱり緊張するし、ガチでやんなきゃいけないじゃないですか。ほんといかなる時も遊び心を忘れちゃいけないなみたいな、それが芸術には必要なんだなみたいな、そういうことを思ってたら視野が広がって、できるようになったんですよね。

SANTAWORLDVIEW - ブーンバップの方が作れますね。でもブーンバップって奥深くて、わざとMIDIをずらすとかあるじゃないですか。そういうことは別にしてないんですけど、全然聴けるよっていうくらいのビート作れてるんで。"Arrivederci"も自分で作ったビートで、携帯のGarageBandで作ったんですけど。次は自分のビートを5曲ぐらい採用したいですね。ビートは今12個ぐらいストックあるんで。その中から選んでEP作れたらいいなと思ってます。

 

SANTAWORLDVIEW - 普遍は存在しないんで。永遠はたぶんないと思うんで。変わり続けることが最大の強みなのかな。時には変な方向に行くけれども、悩まなければ大丈夫です。

SANTAWORLDVIEW - 全然ありますよ。サウンドが考えすぎでぐちゃぐちゃになっちゃったり、歌詞も上手いこと言わなきゃとか思い続けてると、やっぱもう出なくなっちゃう。そうじゃなくて、自分の言いたいことが根底にないと書けないですよね。何も書けなくなってくるし、何も出なくなってきますね。

SANTAWORLDVIEW - 前まではめっちゃ悲観的でしたよ。もう戦争始まるよ、もうパンドラの箱開いちゃってんだよね、って言ってたんですけど、マジだったじゃないですか。Puff Daddyの件とかも。マジじゃん、もう笑えねえじゃん、って。いざマジってなると人間笑えなくなるというか、あんまり信じたくなかったですけど、意外と真実なのであれば、それはやばいなって思って、勘ぐってた時期もあったんですけど、アーティストとしてそれを持ち込んで不安を煽るようなことはしたくなかったんで、一線引いて自分の中でも対応してましたけど。ここ最近本当に思うのは、それが事実であったのならば仕方ないけど、観測者が存在しないと事象って判断できないんで、俺はもういい方向に考えるようにしましたね。悪いニュースがやってたら変えるし、都知事選とかある程度の情報は入れますけど、基本は陰謀系とか人身売買系の話はシャットダウンしますね。見ないようにしてるし、戦争についてもあんまり考えないようにしてます。戦争が始まるんじゃないかって思うこと自体が、戦争を始める第一歩になってるんじゃないかっていうか。俺はしてほしくないし。悪い方向に意識し続けると悪い方向に行くなら、いい方向に考え続ければいい方向に行くのかな、みたいな実験してますね。いっぱい勘ぐったしね、陰謀系で。ふざけたりしてたからね。俺はもういいかな、みたいな。それが事実だったのが悲しいけど。

SANTAWORLDVIEW - 今日は『我輩は猫である』を読んできて、むずいですマジで。え?え?みたいな、言ってる言葉がすごい古いのか分からないですけど、すんげーむずいんですよね。漢字もよく分からないから、調べながら読んだりして2、3ページしか読めなかったり。本は大切だと思いますね。小説はあんまり読まないですけど、哲学の本とかそっちの本。あと水の本とか最近読みました。

SANTAWORLDVIEW - 水ってマジヤバいんですよ。情報を記憶することができる媒体らしくて。『水は答えを知っている』っていう本なんですけど。琵琶湖とかのちゃんとした神職の人を呼んでお清めした後の水を調べると、綺麗な六角形になってるとか。他にも10人以上で水を囲んで「クソだ!」とか汚い言葉入れた後に水を見てみると、ぐちゃぐちゃになってる。で、逆にいい言葉を与え続けると綺麗な四角形になる……これマジで面白くて。別に陰謀とかそういうのじゃなく、パッと行き当たった本で、マジじゃんと思って。地震前の水とかも調査してみるとちゃんとした予兆になってたりする。電子レンジの中に入れたり近づけた水もぐちゃぐちゃになってるらしいですね。そういう目に見えないものって、周波数とか言うじゃないですか。あと紫外線とか電磁波とか。そういったものを水は捉えてるわけで、要するにいい言葉を思い続けるだけで、目に見えないだけでバーンって電磁波が出てて周りに影響を与えてるんだよ、みたいなことを言っていて。俺より頭のいい人が本出して言ってるわけだから、これガチじゃんみたいな。ビビりましたね。自分の記憶に残ってる本は3、4冊くらいですかね。今言った本と神秘学の本と、フロイトの本と、あとはニーチェの本かな。それは結構でかいかな。通勤時間とか、気づいたらiPhoneめっちゃスクロールしてるじゃないですか、家の中とかでも。ふと我に返って周り見るんですよ。みんな同じことやってるなって。それがね、SF映画みたいなシーンになってて「怖っ!」と思って、じゃあ携帯見ないで何かしようと思って、最近は電車座ったら音楽聴いて、ルービックキューブ回して本読むみたいな、10分間頭起こすみたいなことやっているんですけど。

SANTAWORLDVIEW - 今日は自分のアルバム聴いてきたんですけど、最近入れたのはJames Brownとか。あとMadlibの2003年のジャズアルバム『Shades of Blue: Madlib Invades Blue Note』があって、これめっちゃいいですね。ブルーノートをサンプリングしていて、すごい渋い。サンプリング技術もそうだし、音としてやっぱりすごいなっていう。あと水曜日のカンパネラとか聴いてますね。"赤猫"って曲が好きです。

SANTAWORLDVIEW – AWSM.とかとも話しあったんですけど、たしかに可能性はあるっていうか、見えてるなっていうか、俺自身も楽しみなんですよね。でも、やるってなったらもっともっとジャズを知らないと通用しないと思うんで。相当ディグらないと。それこそ師匠みたいな人がいればね。ジャズに関してはまひるちゃんに聞くことが多いかな。そういう意味では可能性もあります。

SANTAWORLDVIEW - そうですよね、たぶん。俺も思ってたんで。何かの節目だと思うんですよ。25って数字は。

SANTAWORLDVIEW - そこも楽しみですよ。自分がいざ30歳になった時に何を感じるのか、30歳になって30歳らしいアルバムを出すのか。30歳らしさってなんなのかってなってくるんですけど、むしろもっと若くありたいと思ってチャラい曲出すっていうこともワンチャンある(笑)。そこも面白いな、みたいな。老いに対する捉え方だし。だからこそ、25歳の時に出した今回のアルバムを、30歳になった時にもう一回聴いて面白いと思えるかも、結局捉え方次第じゃないですか。30歳になっても年齢にビビらずはっちゃけていたいっていう心はある、ちゃんと。逆に超チャラいアルバム出したら面白いですね。踊ろうぜ的なね。若くありたかった、みたいな。

SANTAWORLDVIEW - やっぱり固定観念って植え付けられるものじゃないですか。常識だったり規範だったり。Simi Labの〈常識って何? んなもんガソリンぶっかけ火付けちまえ〉みたいな感じがヒップホップっていうか、常識にアンチテーゼ張ってるような感じなんで、常に。自分がやってるのがヒップホップでよかったなって思うのはそこですね。常に常識を疑えるような目でいたいから。そういった目を持った状態で常識を見つめることで書ける幸せとかがあって。間違ってないと思いますね。言いたいこと言えたりとか。俺も一時期は陰謀にハマって。やっぱ思想強いんですよ。でも、それを曲に落とし込んで言うとなるとやっぱ扇動になってしまうし、あと、自己承認欲求が出てるなって思って。「俺はこんなことも知ってるんだぞ」みたいな、ちょっとした欲が出てると思うんですよ。「俺は世界の闇知っちゃってんだぞ」みたいな。優越感とか陶酔だと思うんですけど。そういうのを抑えてくれたのが哲学だったんで、改めて俺は何も知らないんだなと、その状態で臨めたというか、もっと崇高な場所に行けたというか。陰謀論とかの話題より、人生って何?みたいな。そういった目線で物事を見て作れたっていうか。陰謀ばっかりに囚われなかったのは奇跡ですね。自分で中では奇跡だと思う。だってヤバいでしょ、今Xとかでもどんどん事実になってて、あの当時のまんまでいたら「俺の言った通りじゃん」みたいな、超ヤバい陰謀オタクになってましたよ。だからよかったですよ。

SANTAWORLDVIEW - ですかね。もともとたぶん哲学とかの方が好きだったんですかね。陰謀論ってやっぱ、どこかしら信憑性ねえなっていうのと、捏造がたまにあるんで100%信じるやつは本気でバカだと思いますよ。俺もちょっと本気でバカだったんだなっていう(笑)。でも、マジでバカだなと思うことが事実だったから、そうなってくると話違うよねって。そういうことなんですよ。

SANTAWORLDVIEW - 本当ですよ。日本ね、それこそあんまりパッとしないというか、真似じゃないのっていう疑問も出てきてるというか。俺も前までモノマネしてたんだな、みたいな。憧れてる人の真似をしてたけど、俺はそこから抜け出すことができたなって感じします。

Info

SANTAWORLDVIEW ワンマンライブ

『NICE TO KNEE YOU SHOW 2024』

イープラスにて前売りチケット販売中

URL: https://eplus.jp/santaworldview/

日時:2024年9月15日(日) 

OPEN 17:00 | START 18:00

会場:渋谷 WWW X

出演:SANTAWORLDVIEW with AWSM. & 甲田まひる SPECIAL BAND SET

SPECIAL GUESTS:Bank.Somsaart, Kaneee, Leon Fanourakis, MonyHorse, Only U, ゆるふわギャング, 9for (A to Z) and more...

前売:¥4,000 (1ドリンク別)

当日:¥4,500 (1ドリンク別)

※未成年入場可

SANTAWORLDVIEW 『NICE TO KNEE YOU』

Release Date: 2024.06.07 (FRI)

Label: 1% | ONEPERCENT

URL: https://linkco.re/vgnssCbu

Tracklist:

01. BEGIN (Prod. Taka Perry)

02. COWBOY'S LIFE (TOO GOOD TOO BAD) (Prod. 菅野よう子 & Taka Perry)

03. Honest / Feeling Good (Piano Black) (Prod. 菅野よう子, AWSM. & 甲田まひる)

04. I Wish For U feat. Bank.Somsaart (Prod. AWSM.)

05. Don't Worry (Prod. AWSM. & SANTAWORLDVIEW)

06. Boys don't cry (Prod. NOCONOCO & Chevy Legato)

07. Arrivederci (Prod. SANTAWORLDVIEW)

08. MOMENT (Prod. YamieZimmer)

09. City to City feat. WILYWNKA (Prod. Taka Perry)

10. Chandelier feat. 9for (YamieZimmer)

11. 成せば成る (Prod. NOCONOCO & Yas Nomura)

12. Better Days feat. Kaneee (Prod. STUTS)

Album Artwork by Ryu Nishiyama

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