LIVE AND DIRECT Powered by POP YOURS | Vol.1 Daichi Yamamoto

ライブパフォーマンスは現代のアーティストにとって最重要の要素の一つである。『LIVE AND DIRECT』はヒップホップフェス『POP YOURS』とのコラボでライブにフォーカスするインタビューを行う。アーティスト自身がこれまで最も衝撃を受けたライブ、自身のキャリアで最も手応えがあったライブ、ライブ前のルーティンなどなど、観客が知らないライブの舞台裏を少しだけ覗く。1回目のゲストは『POP YOURS』にも出演し、4月1日に自身初のLIQUIDROOM公演『gr(l)owing season』を開催するDaichi Yamamotoに登場してもらう。

取材・構成 : 宮崎敬太

ステージですべてを出し切るアーティストのライブが好き

- これまで一番食らったライブを教えてください。映像作品でも構いません。

Daichi Yamamoto - Young FathersかThundercatのどっちかなんだよな。2017年くらいかな。まだロンドンにいた時。あと去年フジロックで見たGEZANですね。

- Young Fathersはどんなバンドですか?

Daichi Yamamoto - スコットランドの3人組のバンドで。ラップしたり、歌ったり、よくわからない感じ。感情の出し方が荒々しくて。3人組なんだけど、僕が見た時はステージに5〜6人いたんですよ。歌ってるポーズとかもデビット・バーンみたいな感じというか。コンテンポラリーっぽいけど、そこまで狙ってなくて。音楽が憑依しているような感じ。

- アートな雰囲気もありつつ、パンクっぽい。ニューウェーブみたいな?

Daichi Yamamoto - そうですね。確かにアートっぽくはあるんですけど、そんなに固くないんですよ。もっとナチュラルで、そこがすごくかっこよかった。ロンドンの『Afropunk Festival』というフェスで見たんですけど、めちゃくちゃ長くて僕はすでに疲れはてていたんですよ(笑)。でも彼らが出てきてぶち上がったのを覚えてますね。

- Thundercatも『Afropunk』で見たんですか?

Daichi Yamamoto - いやロンドンの「HEAVEN」というクラブですね。ピアノとドラムとの3人編成で、みんなめちゃくちゃ上手いんですよ。3人で合奏してるというより、個々で演奏してるような印象でしたね。分離してるんだけど、全員めちゃくちゃすごくて。圧倒されちゃって、細かいことを覚えてないんですよ。

- GEZANは?

Daichi Yamamoto - 僕、GEZANみたいなバンドが好きなんだと思います。ステージですべてを出し切るみたいな。YouTubeでもJames Brownとかジャズの人のライブとかよく見るんですけど、演奏中に気絶しちゃうんじゃないかってくらい(楽器を)吹くんですよ。そういうの見ると「うぉぉぉ」となるんですよね。

- Daichiさん自身もいずれそういうパフォーマンスをしてみたい?

Daichi Yamamoto - 今の所はそういう曲がないんですよね(笑)。でも作ったらやってみたいかもしれないです。

150〜200人くらいの会場で感じられる一体感が好き

- ご自身が手応えを感じたライブを教えてください。

Daichi Yamamoto - ライブのクオリティ自体には納得してなくて、もっとできるんじゃないかなと思ってるんですけど、京都のMETROでやる時はお客さんのノリがすごくアットホームなことがあるんですよ。一体感があるというか。この前も感じたんですけど。自分の出来というより、その空間がすごくよかったんです。4年くらい前に北九州に行った時もそういう感じになったことがあって。他県のライブはそういう感じになることが多いんですよね。

- 大会場よりも小規模な会場のほうが一体感を感じることが多い?

Daichi Yamamoto - そうですね。東京でもKATAみたいな小さな会場だと感じるので、もしかしたら人数なのかも。多すぎると伝わらない場所が出てきちゃう気がするんですよ。個人的な感覚としては150〜200人くらいのライブが一番一体感が生まれる気がする。

- ではライブにはどんな心構えでのぞむんですか?あと練習で意識していることとか。

Daichi Yamamoto - 30分のセットリストの合わせリハだったら、それを3周くらいやって、苦手な曲を何回か歌って。違うメロディーラインで歌ったほうがいいかな、とか。何も考えなくてもラップできるようにしておきますね。新しい曲を披露する時が難しいんですよ。4月1日にLIQUIDROOMで『gr(l)owing season』というワンマンをやるんですけど、だいたい1ヶ月くらい前から週2回くらい合わせリハをしますね。去年のリリパは新しい曲が多かったから、2ヶ月前くらいから準備し始めてました。

- 合わせリハ以外に個人では何か準備をしますか?

Daichi Yamamoto - 好きなアーティストのライブをYouTubeで見て、次のライブの始まり方はこういうのもありかなとか、情報集めみたいなことはしますね。

どんなに練習しても新曲を初披露するのは難しい

- ライブ当日のルーティンはありますか?

Daichi Yamamoto - できるだけ1人になる時間を作るようにしてますね。できないこと現場もあるので、そういう時は深呼吸したり。何も考えないようにしてます。

- すごく馬鹿な質問だと思いますが、緊張するものですか?

Daichi Yamamoto - 緊張は緊張なんですけど、ネガティブじゃない。

- わくわくする緊張感みたいな。

Daichi Yamamoto - そうですね。

- ライブ中にステージからはどんな景色が見えてるんですか? もしくはどんなことを考えてステージでパフォーマンスしてるんですか?

Daichi Yamamoto - ライトがあるのでお客さんの顔まではそんなに見えないんですよ。パフォーマンスに関しては、何も考えないでもできるレベルまでは仕上げているんですが、そうすると自動運転みたいな感じというか、今やってるパフォーマンスと別のことを考えちゃうことがあるんですね。「さっきのあのシーンはこうすればよかった」とか。でも口はずっとラップしてる、みたいな。良い感じの時は自動でラップしながらパフォーマンスにも入り込んでるんです。

- ライブで難しいのはどんなことですか?

Daichi Yamamoto - 初めての曲をやる時ですね。どんだけ練習しても、ライブで初めてやると、ぎこちなく感じてしまう。一回でも歌えば、次からは身にしみて歌えるというか。

- お客さんの反応というのはどのように感じるんですか?

Daichi Yamamoto - 最近はできないけど、やっぱり一緒に歌ってくれると嬉しいですね。そういえば、名古屋のライブで全曲の歌詞を覚えて、一緒にラップしてくれた人がいて。京都でライブした時も前列でめっちゃ歌ってる人がいるなと思ったら、その名古屋の方だったんですよね(笑)。

- ライブに手応えを感じるようになったのはいつ頃からですか?

Daichi Yamamoto - 去年のワンマンあたりからですね。普段は3人編成でライブをしてるんですが、ワンマンあたりからかなり率直に意見交換できるようになったんです。2人は歳上だからあまり言い返せなくて(笑)。最近はそういうこともあまり気にしなくなった。単純に仲良くなりましたね。

『gr(l)owing season』は一歩進んだなという感じ

- 4月1日のワンマン『gr(l)owing season』はLIQUIDROOMですよね。過去最大キャパの会場になります。

Daichi Yamamoto - すごい気が張ってますね。もう始まってる感じがあるんですよ。ずっと背筋が伸びてるというか。一週間くらい便秘なんですよね(笑)。逆にそこで気づいたんですよ。「俺、めっちゃ気張ってるんだな」って。

- どんなライブになるんですか?

Daichi Yamamoto - 今準備しているところなんですが、これまで以上に楽しい内容になりそうです。うまくいくかどうかは別として自分でやったみたい方向性のパフォーマンスに近づけてる気がするんです。そういう意味では僕自身すごく楽しみですね。僕自身、ライブが中途半端なカラオケみたくなることに煮え切らない思いがあって。DJが声ありのトラックを流して、自分がどんどんお客さんを煽るようなライブも好きなんですけど、自分はそこまでできてないし、かといって、いわゆる生物というか、その瞬間でしか生まれ得ない空間を作ることもできてなかった気がして。自分的に、悪い意味でカラオケ感があるなと思っていたんです。今回はそういうのから抜けれるのかなって。

- 僕はDaichiさんのライブを見てカラオケ感を感じたことはないですけど、今回はこれまでのライブとはだいぶ変わった感じになりそうですね。

Daichi Yamamoto - だいぶ変わるまではいかないですけど、一歩進んだなという感じはしてます。

- 『gr(l)owing season』を経て、新しい作品リリースにつながっていくんですか?

Daichi Yamamoto - リリースに関しては未定ですが、次のLIQUIDROOM公演は『POP YOURS』とかには繋げていけるのかな、と思っていますね。『POP YOURS』は会場が大きいので、初めてイヤモニを使うんですよ。この前耳の型も取ってきて。だったら良いマイクを買ってみようかな、とかも考えてます。たぶん5月いっぱいまでライブが続いていく予定です。

Info

『gr(l)owing season』

日時:2022年4月1日(金) OPEN 18:00 / START 19:00

会場:恵比寿 LIQUIDROOM ※Sold Out

Live : Daichi Yamamoto / Phennel Koliander / Kzyboost / Mika Arisaka / Bobby Bellwood aka sauce81

Guest Artists : JJJ / KID FRESINO / STUTS

日時:2022年4月17日(日)OPEN 17:00 / START 18:00

会場:KYOTO METRO

Live : Daichi Yamamoto / Phennel Koliander / Kzyboost

Guest Artist : TBA

Ticket : https://eplus.jp/sf/detail/3584240001-P0030001

『POP YOURS』

日時:2022年5月21日(土)・5月22日(日)

会場:幕張メッセ国際展示場9〜11ホール

■出演者

DAY1(5月21日)

PUNPEE/田我流/JJJ/JP THE WAVY/LEX/OZworld/SALU/(sic)boy/STUTS/VaVa/ゆるふわギャング

and more

DAY2(5月22日)

BAD HOP/Awich / BIM (BAND SET)/C.O.S.A./Daichi Yamamoto/どんぐりず/kZm/MONJU/ralph/5lack/Tohji/¥ellow Bucks

and more

■チケット

ローソンチケット / e+ / チケットぴあ

2日通し券 S席:¥22,000(全席指定)

1日券 S席:¥12,000(全席指定)

1日券 A席:¥9,800 (全席指定)※A席のみ3月12日(土)発売

主催:株式会社スペースシャワーネットワーク

制作:SMASH

制作協力:HOT STUFF PROMOTION

Artwork:nagafujiriku

Design:Kei Sakawaki

■お問い合わせ窓口

SMASH:03-3444-6751 / HOT STUFF PROMOTION:03-5720-9999

■メールアドレス (事務局) 

info.popyours@spaceshower.net

■オフィシャルサイト

popyours.jp

■POP YOURS SNS

Instagram https://www.instagram.com/pop_yours/

TikTok https://www.tiktok.com/@pop_yours

Twitter https://twitter.com/POP__YOURS

YouTube https://www.youtube.com/channel/UCtgGM0Uv1Gjoe6BqB7d9Vrw/featured 

related

Seiho Interviewed by okadada | 『着いたけど、どこいる?』

近年はおでん屋「そのとうり」、和菓子屋「かんたんなゆめ」のプロデュースなど、音楽だけでなく活動の幅を広げているSeihoが3年ぶりの単独公演を5/14(土)に渋谷 Spotify O-EASTで開催する。

Daichi YamamotoとAaron Choulaiが2018年に発表したジョイントプロジェクト『WINDOW』から仙人掌、GAPPERが参加した"All Day Remix"が7インチでリリース

Daichi Yamamotoとジャズ・ピアニスト、作曲家、ビートメイカーのAaron Choulaiが2018年に発表したジョイント作『WINDOW』から、仙人掌、GAPPERをフィーチャーした"All Day Remix"が7インチでリリースされることになった。

【インタビュー】Demonia | パンデミック以降のSoundCloudシーンを捉えるパーティー

2020年代、パンデミックに抑圧された現実に抗うように、ケレン味のある電子音をビートに変調された声でラップする新たなシーン――digicore――はSoundCloudを拠点とし、日本国内でも数多くのアーティストが登場している。

most popular

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。