【対談】4s4ki × Zheani | 2人の友情とアーティストとしての自由さ

4s4kiは持ち前のクリエイティビティを早速披露してくれた。2021年4月23日 、オーストラリアのアーティストZheaniとのライブストリーミングトークイベントの開始数分前に、4s4kiはスタジオに持参したぬいぐるみと共に現れた。彼女はマペットの「カーミット・ザ・フロッグ」のパーツと馬を組み合わせた奇妙な形をし、耳に大きな安全ピンのついたぬいぐるみを「キメラ」と呼び、ポンと私に手渡すと「今日のイベントでパトリックはこの子を演じたらいいかも。」と言う。思いがけず、MC役の私は4s4kiのキメラになりきって出演することになり、結果的にライブイベントの雰囲気は4s4kiワールドが一層色濃く反映されることとなった。

この些細なエピソードは、4s4kiが今日の日本の音楽シーンにおいて最も魅力的な若手アーティストの一人になった理由を物語っている。4s4kiはYouTubeのライブストリーミングでもポップミュージックでも、ありふれたものを素早く取り込み、彼女独自の新しい視点でユニークに表現してみせる。2018年のデビュー以来、彼女はダンス、ヒップホップ、ロックなどのあらゆるジャンルを組み合わせ、新しいハイエネルギーなサウンドを作り出し、発信し続けている。一方、その革新的なサウンドにのせる歌詞は「現代の日本で若者であるということ」に感情的にリンクしているものだ。4s4kiの音楽は近年海外でも注目されはじめ、同じように音楽を作り続けているZheaniのような、志を同じくするクリエイターとの繋がりが生まれつつある。Zheaniと共に作った“FAIRYTALE”という非常にエッジの効いた曲は、7/7(水)にリリースが予定されているメジャーデビューアルバム『Castle in Madness』にも収録される。4月に行われた本記事の生配信企画は“FAIRYTALE”の制作にまつわる話題を中心に進められたが、その中で、なぜ二人が新世代のアーティストとして世界的に注目されているのかが明らかになった。

4s4ki

今回のライブイベントは、実は二人にとっても初顔合わせ。コラボ曲まで完成させた二人だが、それまでの全てのやりとりは、なんとInstagramのDMを介してのみ行われていたという。オンライン女子会の形で実現した待望の対談は、まず4s4kiが、この日のために自ら英語でしたためたZheaniへのラブレターでスタートする。「2年前にZheaniの音楽を聴いて以来、大ファンです!大、大、大ファン!私の夢叶ったよ。Zheaniの声もファッションも大好き!私にとってのレジェンドだよ。」というラブレターを終始笑顔で聞いていたZheaniは、両手を使った大きなハートのジェスチャーで応える。

Zheani

ひとしきりお互いなぜ惹かれあったのかを語り合ったのち、二人の話題はいよいよ“FAIRYTALE”の制作プロセスに。InstagramのDMのみで曲を一緒に作るまでに至った経緯を説明した4s4kiが、Zheaniの書いた歌詞のテーマについて質問すると、Zheaniは「4s4kiが先に書いた歌詞を自分なりにいじって自分の歌詞にしてみたんだよね。」と答え、「4s4kiの歌詞はとってもサイケに感じたから自分なりの解釈を私の歌詞に取り入れて作り上げたよ。」と続ける。4s4kiが普段の音楽制作プロセスについて「先に作ったトラックに4s4ki語でムニュムニャムニュムニュ~って音を当てたあとにその音に合うような気持ちいい意味のある言葉を選んでいくの。」と説明すると、Zheaniも「私も同じようにリズムから意味のある言葉を選んでいく!分かる!」と言い、2人は思わず2度目の乾杯をした。「ただ音楽を2人で作ったというよりは、4s4kiとアートを作り上げてるって感じだった。2人の間に言葉はさほど必要としなくて、作品を形にしていくことが私たちにとってのコミュニケーションだったね。」とZheaniは当時を振り返る。

ライブイベントの前半、“FAIRYTALE”の制作秘話を話しつくすと、話題は最近のアーティスト活動に移り変わる。4s4kiが「最近ライブとかしてる?」と質問すると、Zheaniは5月上旬にアーティストとして初のライブを控えていることを明かした。「初めてのライブだしめちゃくちゃ緊張してるんだよね。」とZheaniが言うと、4s4kiのぬいぐるみキメラこと私は「ライブ経験豊富な4s4kiなら何かZheaniへアドバイス出来るんじゃないか」と促した。4s4kiは「アドバイスできるような立場じゃないけど・・」と前置きしつつ、「練習通りにいかなくても(ライブを)見てくれてるみんなが笑顔っていうだけで自分自身もテンションがアガるんだよね。3月のワンマンライブではZheaniとのコラボを発表できるってだけで、まず嬉しかったしね。自分のテンションあがってれば大丈夫!」と語っていた。

やがて、二人が音楽を作り始めたきっかけについての話題に自然と移行した。Zheaniが「私は音楽を通して伝えたいメッセージがいっぱいあるんだよね。そういう自分がアーティストとしてクールだと思ってる。メッセージを表現する方法として音楽がぴったりだった。一方でただミュージシャンになりたいだけで伝えたいメッセージが何もない人もいっぱいいるよね。」と語ると、4s4kiも「本当にその通り、私も全く一緒だから同意しかない。」と応答。Zheaniはそれを聞いて「ああ、最高。本当に今日このイベントが実現して嬉しいって心から思う。」と呟いた。

ガールズトークらしいファッションの話題では、4s4kiが「Zheaniの挑発的でかっこいいファッションが好き。でも私は肌の露出とかあんまり得意じゃないんだよね。」Zheaniはそれに対し「私も一緒だったよ!いわゆるゴスとかエモっぽいファッションってTumblrとかのSNSで発信されるイメージはとにかく細くて痩せてなきゃそういうファッションは似合わないって感じだったから、私は自分の体型が嫌いだったんだよね。でもある時、私だってこのままの自分でも十分セクシーじゃん!って思えるようになった。そうしたら好きなファッションにも少しずつチャレンジできるようになったし、そんな自分が愛おしいって思えるように自然になっていったよね。」と語る。そんな彼女の回答に、4s4kiは「かっこいい!だよね、自分を愛してあげなきゃだよね。今まで唐揚げとかポテトとか太るんじゃないかって気にして食べれなかったんだけど、いつかZheaniに会えたらそんなこと気にせずに一緒においしいごはんいっぱい食べたい!(笑)」と話すと、Zheaniは「ダーリン!私なんてこのイベントの前に一人でピザ丸ごと一枚食べちゃったよ!」と笑った。

今回のライブイベントで特に強調されていたのは4s4kiとZheaniがグローバルなフィールドの中で二人とも新世代のアーティストである、という点だ。それは音楽的にというより、アーティストとしての志や姿勢によって定義づけされているものであると思う。イベント中、二人に行った「ハイパーポップとしてカテゴライズされることをどう感じているか」という質問の答えで、それはより明確になった。ハイパーポップとは100 gecsに代表されるような、ロック、EDM、ラップなどといった従来の音楽ジャンルとの垣根がより曖昧かつ、多くの場合、重低音がミックスされている新しい音楽の形を指す。二人とも自らのサウンドがハイパーポップに分類されることを否定した上で、「今後も他人にカテゴライズされることに縛られず、自分の今の気持ちやメッセージを大切に自由な表現を続けたい。」と話していたのだ。今回二人は1時間半のガールズトークの中で、ドリンク片手に今までお互い気になっていた質問を次々ぶつけ合い、お互いのアーティストとしての想いや価値観を共有し、Instagramで育んだ友情を確認しあった。そんな二人の対談を間近で見守っていた私も、二人が約束していたライブステージでの共演の実現が今から楽しみでならない。(Patrick St. Michel)

Info

2021年7月7日(水)発売

4s4ki - New Album『Castle in Madness』(読み:キャッスル イン マッドネス)

<形態>

初回限定盤CD 品番:VICL-65537 / 価格:税込\4,444(税抜¥4,040) 

内容:CD(12曲+BONUS TRACK1曲)

特殊パッケージ“初回限定狂気ノ飛出絵本仕様”182mm×182mm×7mm

通常盤CD    品番:VICL-65538 / 価格:税込\2,644(税抜¥2,404)

内容:CD(12曲)

<収録曲>

1.gemstone feat. Puppet

2.FAIRYTALE feat. Zheani 

3.m e l t 

4.ALICE feat. Smrtdeath 

5.天界徘徊feat. 釈迦坊主

6.moonlake

7.幸福論

8.Sugar Junky

9.OBON

10.UNICORN

11.STAR PLAYER

12.kkkk

[ 初回限定盤ボーナストラック]

13. クロニクル(at LIQUIDROOM 20210311) 

▶︎参加アーティスト一覧

Puppet(M1)、Zheani(M2)、Masayoshi Iimori(M2)、gu^2(M3,M6,M12)、 Smrtdeath(M4)、Jakkyboi(M4)、Curtains(M4)、釈迦坊主(M5) Gigandect(M9)、maeshima soshi(M10)、KOTONOHOUSE(M11)

※各ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて同日より配信予定

■4s4ki AL『Castle in Madness』先着予約・購入特典決定!!

2021年7月7日発売の4s4kiメジャーデビューアルバム『Castle in Madness』を対象店舗にてご予約・ご購入の方に特典として先着でオリジナルステッカー「4s4ki“Castle in Madness” Special Sticker」をプレゼント!アルバムジャケット画像をベースにデザインされた、50mm×50mmのホログラム加工のステッカーです。対象店舗ごとにデザインが異なるのでご注意ください。

〔対象店/特典内容〕

◆タワーレコード全国各店/ タワーレコード オンライン → オリジナルステッカー(Type A)

◆HMV全国各店/ HMV&BOOKS online → オリジナルステッカー(Type B)

◆Amazon.co.jp → オリジナルステッカー(Type C)

◆楽天ブックス → オリジナルステッカー(Type D)

◆ビクターオンラインストア → オリジナルステッカー(Type E)

※Amazon.co.jpでは特典付き商品のカートがアップされます。特典をご要望のお客様は特典付き商品をお買い求め下さい。

※特典には数に限りがございます。お早めにご予約下さい。

※特典がなくなり次第キャンペーンは終了とさせて頂きます。

※特典の内容・デザインは予告なく変更する場合がございます。

RELATED

4s4kiが東名阪ワンマンツアーを12月に開催決定

7月にメジャーデビューアルバム『Castle in Madness』をリリースした4s4kiが、12月に自身初となる東名阪ワンマンツアーを開催することを発表した。

4s4kiが新曲“ALICE feat. Smrtdeath”のMVを公開

7月7日(水)にニューアルバム『Castle in Madness』をリリースする4s4kiが、先行シングル“ALICE feat. Smrtdeath”のミュージックビデオを本日公開した。

4s4kiが3月開催の初ワンマンライブから“風俗嬢のiPhone拾った”のライブ映像を公開

7月7日(水)にメジャーデビューアルバム『Castle in Madness』のリリースを控える4s4kiが、今年3月に開催の初ワンマンライブ『4s4ki 1st Oneman Live“4444年”』より“風俗嬢のiPhone拾った”のライブ映像を公開した。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

WONKとThe Love ExperimentがチョイスするNYと日本の10曲

東京を拠点に活動するWONKと、NYのThe Love Experimentによる海を越えたコラボ作『BINARY』。11月にリリースされた同作を記念して、ツアーが1月8日(月・祝)にブルーノート東京、1月10日(水)にビルボードライブ大阪、そして1月11日(木)に名古屋ブルーノートにて行われる。