【インタビュー】(sic)boyが好きなバンドTシャツ

全曲をKMがプロデュースしたアルバム『CHAOS TAPE』をリリースした(sic)boy。そのビジュアルからも分かるようにロックから大きな影響を受けており、先日公開されたi-DのインタビューではHYDEをヒーローと挙げるなど、新時代の感性を持ったアーティストだ。

『CHAOS TAPE』というタイトル通り、ラップミュージックからエモーショナルでヘビーなミクスチャーサウンドまで混沌としつつも筋が通った美意識が貫かれた同作は、音楽的な挑戦が刻み込まれている。

今回FNMNLでは(sic)boyがコレクションしているというバンドTシャツについてのインタビューを敢行。セレクトから彼の音楽性が透けて見える内容となった。

取材・構成 : 和田哲郎

撮影 : 西村満

- まず、バンドTシャツとの出会いを教えてください。

(sic)boy - 元々ロックは好きだったんですけど、バンドTシャツを集め出したのは高校1~2年の時で。5 Seconds of Summerっていう、One Directionとかとツアーを回ったりしていたアイドル的なパンクのバンドがいて、MetallicaとかのバンドTシャツをそれこそFear of Godが出す前から着ていて、それがきっかけでMettalicaとかのTシャツを買ってからですね。カットオフしたり、ノースリーブにしたりしてて。そういうDIY的なノリの部分でも、結構新しいなと思いました。黒い服が元々好きなので、黒いボディで赤だったり蛍光色だったりのデザインに惹かれましたね。

 - 自分が買い始めた時に、周りに着ていた人はいましたか?

(sic)boy - めっちゃGorillazを好きな友達がいて、カッコいいのを着ていたのは覚えています。自分が最初に買ったのはNirvanaのスマイルロゴのTシャツが一番最初に買ったものですね。当時はコピーライトとかも全然分からず、原宿でブートのを買って。着てる友達は、高校の頃はあまり見なかったです。

 - 今日は色々思い入れのあるTシャツを持ってきて頂きました。全部で何枚持ってるかも分からないほどあるんですよね?

(sic)boy - 分からないですね。かなりあると思います。今日は特にお気に入りを持ってきました。

1. Marilyn Mansonの『Against All Gods Tour』のTシャツ

(sic)boy - 2004年ぐらいのMarilyn MansonのTシャツですね。結構お気に入りです。友達が譲ってくれて、プレゼントで貰ったんですけど。

 - いつ頃貰ったんですか?

(sic)boy - これは去年ですね。このプリントのものがブートで出てるのか分からないんですけど、横に「Against All Gods」ってツアーの名前が入っていて。アメリカのツアーTシャツですね。この時のMansonが一番カッコよくて好きですね。ちょっと可愛いのが、袖にVivienne Westwoodのブローチが写ってて。普通に着てたのをプリントしたら写っちゃったんだと思うんですけど、ちょっと小ネタが効いてるのが可愛くて好きですね。

2. Marilyn Mansonの2009年のTシャツ

(sic)boy - これは2009年のTシャツで、タグも切れちゃってるけど2009年のコピーライトが入っています。愛用して着ていますね。赤と黒の組み合わせがカラーリングで一番好きなので、お気に入りです。高円寺の古着屋で買いました。

3. Big ChrisがデザインしたMarilyn Mansonの2018年のTシャツ

Mansonの一番新しいやつがこれです。タイダイ染めみたいになってるんですけど、元々こうなってて。これはちょっと風刺画っぽい絵を描くBig Chrisって人がデザインしたMansonのオフィシャルのTシャツです。2018年のものですね。これは結構色んなところで出品されていて、最近フリマアプリで落としました。ちょっと良いなと思って、一目惚れしてしまいましたね。

 - Mansonが今回3枚ありますが、Mansonのアーティストとしての魅力と、アイコンとしての魅力はどのような部分だと思いますか?

(sic)boy - やっぱり、ちょっとタブー的な要素もアメリカでは日本以上にあると思うんですね。僕が中学生の時に英語を教えるネイティブの先生がいて、好きなアーティストについてスピーチする授業があった時に、Marilyn Mansonって言ったら凄い「No、No!」って言われて(笑)。そういう「危ないヤツ感」が、彼の凄く魅力的なところで。詞もやっぱりめちゃくちゃカッコよくて、アイコンっていうのはその通りだと思います。ビジュアル面もカッコいいですね。Marilyn Mansonは「Anti Christ Super Star」って言っちゃうくらいに感情を丸裸にして、世間では言いづらいことも堂々とやれるっていうのが凄いことだと思います。好き嫌いはもちろん分かれると思いますが、僕は凄くお気に入りのアーティストですね。

4. Slipknotの『All Hope Is Gone Tour』のTシャツ

 - 次はどんなTシャツですか?

(sic)boy - SlipknotのTシャツも2枚持って来ました。これは2008年の『All Hope Is Gone』っていうツアーのマーチャンで、すげーボロボロで。日焼けもしてるし、洗いまくってるせいでここまで劣化してても、夏とかだと全身黒っていうより、こういう褪せた感じが好きで。

 - これはもうヴィンテージ加工をされているように見えますね。

(sic)boy - 本当にそのレベルで、このバックプリントもカッコよくて。タグも着られちゃってるけど、多分ボディはGildanだと思います。相当状態が悪いですね。でも、よく考えたらめちゃくちゃ古いTシャツも結構ありますね。

 - 2004年のTシャツも、もう16年前ですからね。

(sic)boy - それこそこういう古着というか、着倒して洗いまくってヴィンテージになっちゃってる物もあります。普通の人から見たらただの不潔な人なんですけど、これは特に洗い倒してる感があります(笑)元々中古で買ったので状態悪かったんですけど、さらに磨きがかかってますね。

 - それでもいい、と。

(sic)boy - 元々黒だったと考えると結構感慨深いですよね(笑)。

5. Slipknotの『Prepare for Hell Tour』のTシャツ

 - もう一つのSlipknotも首が破れていますね。

(sic)boy - これは僕がビリビリに破きました。これもGildanボディなんですけど。このアルバムがめちゃくちゃお気に入りだったので、これも古着で買いました。

 - どうして破いたんですか?

(sic)boy - 元々破れているとか、ダメージが入っているものが好きで。首回りとか、袖を切ったり。フリンジ的なほつれが洗っていく度に良い感じになっていくんですよね。だから意外とガツガツ着れますね。逆に首を切っちゃうと価値が一気に無くなるんですけど、もうあまり気にせず。リブの部分を、下の線に沿って少し上を残すように切るとそれっぽくなるんですよね。ニットとはまた違うから糸が出て来たりもしないし、洗っても大丈夫ですね。

 - Slipknotも、やっぱりそういう危なさのような部分が好きなんですか?

(sic)boy - そうですね。あと、シンプルにCorey Taylorがめちゃくちゃ好きです。ミクスチャーとか、メタルのゴリゴリのドロップチューニングで淡々とラップして、サビは歌い上げる感じは、Corey TaylorもMansonと同じで二面性というか、おどろおどろしくて不気味な感じがお気に入りですね。 “Psychosocial”が入ってる2008年のアルバム『Punisher: War Zone』が、Slipknotでは一番聴いたアルバムかもしれないですね。

6. L'Arc-en-CielのブートTシャツ

(sic)boy - これもなかなかヤバいですよね(笑)。多分ファングッズなんでしょうね。タグも元々付いてないので、多分ブートだと思いますね。今日持って来た中で唯一アンオフィシャルのTシャツです。これも高円寺のMouseっていう古着屋で買って。面白いのが、これは裏と表のプリントが同じなんですよ。しかも写真を撮ると顔認証するんですよね。これでプリクラとか撮ったら、多分相当面白いと思います(笑)。見た感じ若いので、多分最近のものじゃないですね。これは買ってから一回しか着ていないんですけど、着るのが恥ずかしいとかじゃなくて、飾る用で。hideのTシャツとかも持ってたんですけど、それは手放しちゃって。

 - L'ArcはオフィシャルではこういうTシャツを出していないんですか?

(sic)boy - 多分出てます。白ボディに、4人の顔が四角くなってるものは結構見るんですけど、これはなかなか無いと思いますね。

 - ヤバいですね(笑)。高かったんですか?

(sic)boy - 安かったです(笑)。結構前に買ったので、そんなに高くないですね。このhydeさんもなかなか良いんですよ。誰が作ったんだろう......。コピーライトも入っていなくて。確かL'Arcの昔のTシャツでデッドストックのものを見たことがあるんですけど、「オフィシャルじゃないものは買わないようにしましょう」みたいなタグが付いてて。だから当時そういうムーブメントがあったんじゃないかと思います。これはなかなか良いTシャツですね。お気に入りです。

7. Red Hot Chili Peppersの『I'm with You Tour』のTシャツ

(sic)boy - これはRed Hot Chili Peppersの『I'm with You』のツアーTシャツです。

 - 唯一黒じゃないですね。

(sic)boy - そうですね。これが唯一白いボディで。ハエの有名なジャケットの。レッチリのTシャツはこれと、あと普通のロゴのやつも持ってるんですけど。

 - レッチリのTシャツはめっちゃ出回っていますよね。それこそブートのやつもあるけど。

(sic)boy - 『Blood Sugar Sex Magic』のやつが超カッコいいですよね。

 - オフィシャルだと、『Blood Sugar Sex Magic』の頃の物なんて凄く高くなってますよね。

(sic)boy - 超高いですね。これは、ちょっとクリーム色っぽいボディに白い文字が入ってるのが面白いなと。

 - それはたまに着ますか?

(sic)boy - これもあまり着ないですね。飾ったり。たまに着ますけど、着倒すってほどじゃないです。やっぱり白なので汚れちゃうのがちょっと......汚れるのは良いんですけど、白だと目立っちゃうんですよね。よく物をこぼすので。これも2011年の、Joshが初参加したアルバムで。結構このアルバムが好きで聴いていました。

 - レッチリはカラオケで歌うと聞きましたが......。

(sic)boy - はい、友達と。最近あまり行っていないんですけど。

 - それぞれ好きなバンドは違っても、レッチリの曲はみんな知ってるのが凄いですよね。

(sic)boy - そうですね、僕の友達はみんな好きですね。

 - バンドとしてはどのような部分が好きですか?

(sic)boy - ライブが一番好きなアーティストが何かって聞かれたらレッチリかもしれないですね。ライブがかなり好きです。ジャムというか、ChadとFleaの阿吽の呼吸とか。ライブパフォーマンスと即興性というか、“Can't Stop”のAnthonyが出てくるまでの入りの3分ぐらいのセッションが好きです。後はキャラクター性ですね。超面白い。みんなフロントマン、みたいな。

8. KISSのTシャツ

 - 次はKISSのTシャツですね。

(sic)boy - これはおじさんから貰ったものです。これも相当洗い尽くしたのか、元からこういう色なのか不明で。

 - でも黒だったっぽいですよね。グレーじゃなさそう。

(sic)boy - 黒だったっぽいですね。バンドTシャツって今は結構みんな買ったり着たりしますけど、元はお土産感覚というか。ツアーやライブを観に行って、その場で着て、お土産で買って帰って寝巻きにする、みたいな。今まではそういう一連の流れがあったと思うんですけど、これもずっと寝巻きだったっぽくて。僕も家で着てるんですけど。文字とかも消えちゃうんですよね。これは2003から2004のアメリカツアーかな。身幅がめっちゃ広いです。

 - 他にも、Deep Purpleとかも持ってるんですよね?

(sic)boy - そうですね、今日は持って来てないんですけど。KISSもアイコニックじゃないですか。日本だとネタまでは行かないですけど......。

 - CMとかでネタっぽく出たりもしますよね。

(sic)boy - でもやっぱり、こうやって並ぶと異世界感がありますね。カッコいいですね。

9. My Chemical RomanceのTシャツ

(sic)boy - これはMy Chemical Romanceの一番新しいTシャツですね。2020年のものです。本来は日本にDownloadで来る予定で販売するはずだったものを、BLITZっていう渋谷のセンター街にあるバンドTシャツやグッズをオフィシャルで売ってる店に買いに行きました。

 - タグの付け方が今っぽいですね。プリントされてて。どこのボディなんですかね?

(sic)boy - 分からないですね、元々このままで売られていて。かなり好きなバンドなので、中々気に入ってますね。まだこれも着ていないんですけど。

 - 結構買って満足するところもあるんですか?

(sic)boy - いや、単純に買って間も無いってだけですね。これは普通に着るか破いて着るか、まだ決めてないです。

 - 破いても良い感じになりそうですね。

(sic)boy - そうですね。でもボディが綺麗すぎると、それもまた難しいんですよね。だから意外と洗っていったら良い感じになりそうですね。マイケミはオフィシャルのバンドTシャツを中々見つけられなくて。探してもMサイズとかSとかXSとかで。エモのカルチャーって、黒いTシャツをピチッと着るイメージもあると思うんですけど、Fall Out Boy然り、この時期のバンドは大きいサイズが中々出ないんです。

 - やっぱりサイズ感的には大きな物が好きですか?

(sic)boy - そうですね。LかXLを中心に選んでいます。動きやすいっていうのもありますね。ライブとかでも邪魔にならないし、シルエットも大きいのが好きかもしれないです。

 - バンドTシャツを買う時に、オススメの買い方などはありますか?「中々見つけられないな」みたいな人もいると思うので。

(sic)boy - 結構古着とかで買ってると思うんですけど、意外と新品でオフィシャルだけ扱ってる店に行って買うのも最近は多いですね。結構種類があるので、選べて良いのかなって。でも古いのが欲しいとなると、それはやっぱり運と出会いの問題なので。

 - 結構フリマアプリも見ますか?

(sic)boy - 見ます見ます。友達とかも結構見てて。古着屋さんも結構行くので。でもやっぱり状態を見て決めたいっていうのがありますね。出来るだけ古着屋さんで探すのが良いと思います。

 - 自分でもこういう感じのTシャツを作ってみたいですか?

(sic)boy - 作りたいですね。ちゃんとコピーライトも付けて。

 - 良さそうですね。いわゆるバンドTシャツっぽいデザインを出来る人は中々少なそうですけど。

(sic)boy - Mansonをオマージュして、全員自分とか(笑)。コラージュして。それも面白そうだなと。「(sic)boys」みたいな。絶対売れないだろうな(笑)。

 - KMくんとセットでも良さそうですね(笑)。

(sic)boy - ヤバいですね(笑)。

 - アルバムについて、改めてどういう作品になったと思いますか?

(sic)boy - 文字通り「CHAOS」な内容ですね。今やれることを詰め込んで、KMさんと切磋琢磨して作りました。

 - どういうシチュエーションで聴いて欲しいですか?

(sic)boy - 曲それぞれの表情がかなりバラついてるので、その時その時に聴いてくれる人に寄り添えるといいな、って感じです。

 - ゲストも豪華なアーティストが揃ったと思いますが、ゲストはどうやって選んでいきましたか?

(sic)boy - 僕とKMさんで「この曲はこういう感じにしたい」って話をしている時に、「この曲はこういう人をフィーチャリングしたら良いんじゃない?」ってアドバイスを貰って。「確かに、なるほど」って感じで。やっぱりみんな忙しい中参加してくれたのは感謝していますね。

 - ありがとうございました。

インタビュー内でも登場していた(sic)boyのアーティストTシャツがオンラインストアで販売開始!デザインはMarilyn Mansonのオマージュに。

Info

■アーティスト名: (sic)boy、KM

■アルバム名: CHAOS TAPE

■発売: 2020 年 10 月 28 日(水) 0:00

■配信リンク: https://fanlink.to/CHAOS_TAPE

■CD予約リンク: https://tower.jp/item/5108234

■レーベル:add. some labels

■収録曲

1.HELL YEAH

2.Set me free feat.JUBEE  

3.BAKEMON(DEATH RAVE)

4.眠くない街

5.Heaven’s Drive feat.vividboooy

6.Pink Vomit Interlude

7.Pink Vomit feat.LEX

8.Ghost of You  

9.U&(dead)I

10.走馬灯

11.Kill this feat.Only U

12.Akuma Emoji

13. Akuma Emoji (KM Back to 2002 Remix) ※CD限定

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