NHKの番組『これでわかった!世界のいま』が制作したアニメーションがBlack Lives Matterの抗議活動を歪曲化して伝える

ミネアポリスで警官に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件以降に、全米や世界中で大きな盛り上がりとなっているBlack Lives Matterの抗議活動。アメリカでは、多くのラッパーなどもはじめ人種関係なく抗議の輪に参加しているが、先日放送されたNHKの番組『これでわかった!世界のいま』が、抗議活動を歪曲化して伝え問題になっている。

毎週日曜に放送されているこの番組の最新回では、今回の抗議活動を伝えており、番組Twitterには抗議活動が起こった背景を伝えるアニメーションがアップされている。

このアニメでは、デモが起こった原因として黒人と白人の貧富の格差を上げており、フロイドさんが警察により殺害された事実や、これ以前にも起こっていたアメリカの構造的差別の歴史には触れていない。そしてその後新型コロナウイルスの影響により黒人が経済的なダメージを負ったというデータを出し、それが暴動の背景にあるという見せ方になっている。しかし今回の抗議が主張しているのはBlack Lives Matterであり、経済格差などの前に黒人の命がアメリカという国の構造的な問題により軽視されているという点であり、番組の見せ方は不公正であるといえる。

さらに番組のTwitterでは黒人と白人両者の考え方の違いとして相対化し、人種的な不平等が行われているということを全く無視した意見になっている。またアニメに登場するキャラクターもステレオタイプとしか言えないものであり、デモには白人やアジア人も参加しているという事実も表現していない。公共放送として中立であるべきというモットーから、こうした相対化が行われているのかもしれないが、中立の前に不公正な事実があるというのを制作者は忘れているのではないだろうか。FNMNLではNHKに対して番組の制作意図について問い合わせを行なっている。

RELATED

【スナップ】What are you listening to? Vol.8 in『Black Lives Matter Charity Exhibition "Unity"』

今回は、9/26(土)と9/27(日)の2日間限定で原宿のGallery COMMONにて開催された、Awichが主宰するアートエキシビジョン『Black Lives Matter Charity Exhibition "Unity"』にてスナップ。

今年のXXL Freshmanたちが人種差別や警察による暴力についてディスカッションする動画が公開

毎年の恒例であり新鋭ラッパーの登竜門となっている人気企画「XXL Freshman」。今年はJack Harlow、NLE Choppa、Polo G、Calboy、Baby Keem、Mulatto、Rod Wave、Lil Keed、Chika、24kGoldn、Lil Tjay、Fivio Foreignが選出されたが、今回、今年のFreshmanたちが人種差別や警察による暴力の現状についてディスカッションする動画が公開された。

Black Lives Matterの認知拡大を目的にしたAwich主宰のエキシビジョン『Unity』が開催 | BlackEyePatch、GUCCIMAZE、UTOPIE (Kosuke Kawamura × YOSHIROTTEN)などが参加

Awichが主宰するアートエキシビジョンBlack Lives Matter Charity Exhibition『Unity』が9/26(土)と9/27(日)の2日間限定で、原宿のGallery COMMONで開催される。

MOST POPULAR

ヘイトスピーチや嫌がらせを発見した時にするべき4つのこと

公共の場で嫌がらせを受けている人を見つけた時はこのように行動しようというイラスト付きのリストを投稿され、多くの人にシェアされている。

テキサスで男性が鋼鉄のフェンスとセックスし逮捕

18日、米テキサス州の32歳の男が鋼鉄のフェンスと性行為を行い、告訴された。法廷に現れず、現在逃亡中とのこと。

ヴェネチアのビエンナーレに出展された「世界東京化計画」とは?世界の有名都市が東京に変化する映像作品

6つの都市が「東京のようなアーバンランドスケープになってしまったら?」というテーマ制作された「世界東京化計画」というビデオ作品はヴェネチア・アーキテクチャー・ビエンナーレで展示されている。