NHKの番組『これでわかった!世界のいま』が制作したアニメーションがBlack Lives Matterの抗議活動を歪曲化して伝える
ミネアポリスで警官に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件以降に、全米や世界中で大きな盛り上がりとなっているBlack Lives Matterの抗議活動。アメリカでは、多くのラッパーなどもはじめ人種関係なく抗議の輪に参加しているが、先日放送されたNHKの番組『これでわかった!世界のいま』が、抗議活動を歪曲化して伝え問題になっている。
毎週日曜に放送されているこの番組の最新回では、今回の抗議活動を伝えており、番組Twitterには抗議活動が起こった背景を伝えるアニメーションがアップされている。
アメリカの白人と黒人の格差について、オレが説明しヨーソロー。#アメリカ #抗議デモ #世界のいま #せかいま #国際ニュース #アニメ ? pic.twitter.com/zgPmtEpa9P
— 世界のいま Mr.シップ (@nhk_sekaima) June 7, 2020
このアニメでは、デモが起こった原因として黒人と白人の貧富の格差を上げており、フロイドさんが警察により殺害された事実や、これ以前にも起こっていたアメリカの構造的差別の歴史には触れていない。そしてその後新型コロナウイルスの影響により黒人が経済的なダメージを負ったというデータを出し、それが暴動の背景にあるという見せ方になっている。しかし今回の抗議が主張しているのはBlack Lives Matterであり、経済格差などの前に黒人の命がアメリカという国の構造的な問題により軽視されているという点であり、番組の見せ方は不公正であるといえる。
アメリカ社会は、考え方の違う両者が互いにののしり合って、どんどん分断が深まっていってしまったんだ。#アメリカ #抗議デモ #世界のいま #せかいま #国際ニュース ?
— 世界のいま Mr.シップ (@nhk_sekaima) June 7, 2020
さらに番組のTwitterでは黒人と白人両者の考え方の違いとして相対化し、人種的な不平等が行われているということを全く無視した意見になっている。またアニメに登場するキャラクターもステレオタイプとしか言えないものであり、デモには白人やアジア人も参加しているという事実も表現していない。公共放送として中立であるべきというモットーから、こうした相対化が行われているのかもしれないが、中立の前に不公正な事実があるというのを制作者は忘れているのではないだろうか。FNMNLではNHKに対して番組の制作意図について問い合わせを行なっている。