【インタビュー】スチャダラパー『シン・スチャダラ大作戦』|30周年でもとにかくパーティを続けよう

デビューアルバムとなる『スチャダラ大作戦』のリリースから幾星霜。J-POPに日本語ラップの存在を知らしめた小沢健二との大ヒット作“今夜はブギー・バック”や、「1にビート、2にベース、3、4がなくてあと余談」という名キャッチを生み出した『5th Wheel 2The Coach』、ソリッドなビートとラップに展開した『FUN-KEY LP』、BUDDHA BRANDとのドファンキーなコラボ“リーグ・オブ・レジェンド”、90年代音楽シーンのヒーロー(鬼子?)同士がタッグを組んだ電気グルーヴ×スチャダラパー……挙げていけばキリが無さすぎるほどの、作品やムーブメント、カルチャーを生み出してきたスチャダラパーが、デビュー30周年を迎えた今年、アルバム『シン・スチャダラ大作戦』をリリースする。

……と、大上段に振りかぶってみたが、今作でもSDPの「いつも通り」感は、もはや感動すら覚える。ナンセンスに見せてドキリとするワードとフレッシュなライミング(特に「シン」で最後まで踏み続ける“シン・スチャダラパーのテーマ”は、SDPならでは!)、定番と新機軸でアップデートされたビート、そして社会時評と「リアルタイム性」……。

それはずっとスチャダラパーがデビュー以来続けて来たことであり、その「センス」がいかに普遍性と王道性とポピュラリティを獲得してきたかを感じさせられ、その足跡の大きさを改めて感じさせられる。

結成は昭和、デビューは平成、そして令和になってもトップランナーとして活躍するスチャダラパーの真骨頂を見よ(完全にどうかしてるアー写含め)!

取材・文:高木 "JET" 晋一郎

 - まず今回の衝撃のアー写からお話を伺っていきたいんですが……。

Bose - これはね、「少年仮面ライダー隊」になりたかったのよ。

 - 子供の心を忘れないのは素敵ですね!……とは違う気が(笑)

Bose - ANIが持ってるライダーカードとかにチラチラ登場する少年仮面ライダー隊を今回のアー写のモチーフにするのがいいんじゃないかっていう話になって。

ANI - 今年全員50代になる、結成30年を迎えた3人が、揃って少年仮面ライダー隊になってたら

SHINCO - 怖さが増すんじゃないかなと(笑)

Bose - あのヘルメットとかペンダント、衣装も特注で作ったからクオリティが高いんだよね。そもそも大人用なんて無いし。

 - 「ショートパンツ」じゃなくて、「半ズボン」なのも恐怖ポイントですね。

ANI - そこにハイソックスで更にドン!みたいな(笑)

Bose - でも、寒い撮影日にすげーおしゃれな人が歩いてきたんだけど、その人も半ズボンだったもん。

SHINCO - 逆に追いついた?

ANI - B'zの人もざっくりこんな感じでしょう?

SHINCO - B'zも少年仮面ライダー隊!

Bose - 一番仮面ライダーにタイムリーな世代なんじゃない?

SDP - ハッハッハ!

 - しかもアー写のロケ場所は、本当に仮面ライダーの撮影で使われた場所なんですね。

Bose - 尊敬する我らがyart先生(『仮面ライダーロケ地大画報』などを制作する、ロケ地巡りの大家)にロケ地をコーディネートして貰って。何の変哲もない壁に見えたりするけど、実は実際にライダー・カードに登場した場所の壁だから」

ANI - 蜘蛛男、カマキリ男、モグラ獣人……とかでお馴染みの背景でポーズを撮って。

Bose - 三人で写ってる場所は、劇中で本郷猛が住んでたマンション。まだ残ってて。

ANI - 「そこで本郷猛を待ってた少年仮面ライダー隊が、待ってる間に中年になってしまった」というシチュエーション。

SHINCO - しかもまだ待ってる。

SDP - ハッハッハ!

Bose - 「あれ~本郷さんから最近連絡ないな~」っていいながら、ついぞ来ないまま30年が経過して。でも連絡手段はポケベル、携帯を経てLINEとかにアップデートしてて、たまにこうやって集まってまた待ってる。

SHINCO - もはやオフ会(笑)

 - ライヴ会場限定での発売だった『スチャダラパー・シングス』のジャケットもそれに近い流れでしたね。

Bose - 『ストレンジャー・シングス』の本編には登場しなかったタイプの奴らが、アジアの片隅で、未だに「宇宙人出たらしいよ!」って自転車で追っかけてるっていう。

SHINCO - 「あの建物は軍の研究所に違いない!」とか。

ANI - 「福生の方にあるらしいぞ!」って。

SDP - ハッハッハ!

Bose - そういうので映画撮りたいもんね。「本郷さんから連絡があったよ!」とか、「あの建物に宇宙人の痕跡が!」って50のおじさん達が騒いでる。だけど、本当に怪人が出てきちゃって、人知れず傷つきながら戦ってたり。

ANI - いましろたかしのマンガみたいな。

Bose - 普段は街の人から「いい歳してなにやってんだか……」って言われて白い目で見られてるんだけど、実際は誰も気付かないところでちょっと町を救っちゃったりしてて。そう考えると、自分たちの今の活動とリンクしてるよね。

 - 街の変わり者かと思ったら……。

Bose - 実は救われてる人とかいたりするっていうね。

SHINCO - それがスチャの30年(笑)

Bose - その意味では、全体のテーマは『まだやってる』って事だよね。

 - 僕は救われてる側なので、ずっと街の変わったオジサンでいて下さい(笑)。そして、そういった「続けてきた」二組である、スチャダラパーとRHYMESTERがタッグを組んだ“Forever Young”が制作されました。RHYMESTERは昨年結成30周年と、キャリアも近いですね。

Bose - その二組のタッグで曲を作りたいね、って話はずっと前からしてたんだよね。

ANI - 具体的になったのは最初の『人間交差点』(2015年)の時? その時にはIllicit Tsuboiくんのトラックの雛形もRHYMESTERが用意してくれて。でもなかなかキッカケが難しくて。

Bose - で、今年TOKYO FMが50周年を迎えるにあたってのキャンペーンソングと、RHYMESTERがコラボで曲を制作してるっていう流れと、僕らの30周年アルバムが出来るっていう流れが合致して、やっと動き出したんだよね。

 - 6人揃いのアー写とジャケットが、全員杖をついた老人というアプローチもスゴいですね。でも、それぐらいまでやり続けて欲しいなと。

Bose - 最初は、SDPは全員宇多丸になってるのはどうだ?って。

 - MUMMY-DさんとDJ JINさんは普通なのに……。

Bose - 宇多丸だけ4人いるっていう(笑)

SHINCO - 一人だけサンプラザ中野が混じってるとか(笑)

Bose - そういう話しをしたら、RHYMESETERは「まあね……」でスルーするみたいな。

ANI - そういうのにちゃんと乗ってこない。

SHINCO - コレ乗ったら損するっていう事が分かってる(笑)

ANI - やっぱり真面目だよね。

SHINCO - ちゃんとしてるし迷わない。

Bose - 賢いよね。すべての判断が的確だし、すぐ答えを出すし。だから制作も楽しかった。

 - Boseさんの「IT'S LIKE THIS Y'ALL」というフレーズは、SDPでは“Shadows Of The Empire”などに登場しますし、RHYMESTERでは“This Y'all,That Y'all”などに登場する、共通して遣っているフレーズですね。それは意識的に?

Bose - いや、別になにも考えてなかった。定番のフレーズってだけで。

 - 「からの~?」というフックはSDPの“Swing'75”から?

Bose - いや、そのパートはD(MUMMY-)Dくんからのアイディア。そこまで細かく考えてないよ(笑)

 - Boseさんが『サンダ対ガイラ』とリリックで二組を例えてますが。

Bose - 『バットマンVSスーパーマン』ほど格好良くはないな、と。ライムスターもそうだけど、スチャはもっとそうじゃない、カルト・クラシックみたいな。

 - でも『サンダ対ガイラ』って同根分身の話じゃないですか。

ANI - フランケンシュタインからの生まれた二組っていうね。

 - だから「同根」にお互いがあるっていう事が、このリリックから意識として受け取れるのが、ファンとしては嬉しかったんですよね。

Bose - 喜ぶだろうねファンは。特に気持ち悪い方は(笑)

 - 宇多丸さんの「Rewrite My Fire」という部分も、RHYMESTERの“And You Don't Stop”からのセルフ・サンプリングだろうし、そこに原曲で続くのは「ここらでリタイヤにゃまだ早いさ/俺達はまだまだ磨きゃ光るダイヤって思いたいじゃん なあ?」じゃないですか。もう思わず涙が!……と、話していくと余計気持ち悪いので止めます(笑)。アルバムの全体像の話を伺うと、今回のアルバムは『シン・スチャダラ大作戦』と名付けられました。

Bose - 『スチャダラ大作戦』から30年目のアルバムってことでね。

 - “イントロダクシン”も、“スチャダラパーのテーマPT. 2”の冒頭を再構築した形になってますね。

SHINCO - その部分でも『スチャダラ大作戦』を彷彿とさせるというか。

ANI - アップデートして。

 - そういった新録曲と既発曲によって、今作は構成されていますね。

Bose - 僕らはここ最近、会場リリースに向けて年に2~3曲作ってて、それを貯めて、新曲も加えてアルバムにするっていう形だったんだよね。

SHINCO - その方式だと、内容的にも自由度が高くなったりする部分もあって。プロダクション的にもその都度その都度フレッシュな方向を探っていくことが出来るし。

 - 全体として、過去のリリックの引用の部分が印象に残りました。例えば“スチャダラパー・シン・グス”の「引き継ぐ思想"そこがいいんじゃない”/“でもやるんだよ”でいくしかないじゃない」の、「そこがいいんじゃない」のみうらじゅんイズムは“スチャダラパーのテーマPT. 2”、「でもやるんだよ」の根本敬イズムは“ノーベルやんちゃDE賞”にも登場します。

ANI - 結局そこかなっていうね。何年かに一度は「そこがいいんじゃない!」「でもやるんだよ!」っていう精神にさせられるからね。

SHINCO - 自分を鼓舞するために。

Bose - そのイズムを元に、ANIはいまも頼まれてもないのに必死にスタンプを集めたりしてるわけだから。

ANI - スタンプラリーとかじゃなくて、駅に普通においてあるスタンプからコンビニのプリキュア迄、隈なく集めてるから(笑)。みうらさんも未だにレイマ(冷蔵庫マグネット)を集めてるし、誰もやってない、やりたくもないことを探すのはみうらイズムなのかなって。

Bose - そういう流れで、ハズレとわかりきって、熱心なファンしか見ないような、若いアイドルとか俳優が出てる恋愛映画とかも見に行ったりしなくちゃ。もう一種の修行として。

SHINCO - 肌がツルッツルに補正されてるやつ。 監督が〇〇の〇〇◯とか絶対見なきゃダメでしょ。

Bose - 名前出すなっつーの(笑)。しかし“スチャダラパーのテーマ PT.2”で『そこがいいんじゃない』って言って、そこから30年経っても、ま~だ言ってるんだから。

ANI - 「スチャダラパーってなんか嫌じゃない?」

Bose - 「でもそこがいいんじゃない!」

SDP - ハッハッハ!

ANI - 結局変わってない。でも、あの言葉は全てを肯定してくれるんだよね、我々みたいなものを。

 - その意味では新たに刻むと言うか、あえて再登場させた感じですか?

ANI - いや、あえてじゃない、当たり前に染み込んでいるから。

SHINCO - 口をついて出ちゃった。

ANI - どうしようもなくなると「そこがいいんじゃない!」と「でもやるんだよ!」で乗り切るっていうか。

Bose - 乗り切れる魔法の呪文ですよ。我々にとっての般若心経(笑)

ANI - お題目(笑)

 - そういう原点的なところも見つつ、「新規のシーンに鼻息もWicked」というリリックのように、新しいシーンもちゃんと見据えているというところがスチャダラパーの強さなのかなって。そして新しいシーンとの邂逅という意味では、BoseさんはBIM『NOT BUSY』に収録された“Be.feat, Bose”を制作されましたね。

Bose - THE OTOGIBANASHI'SとはWoofin'でも対談してたり、ライヴもお互いに見たり面識はそこそこあって。だから、今回の制作に関してもなんの違和感もなく進んで。違和感が無さすぎて、打ち合わせて次の日ぐらいにはもうほぼ出来上がってた(笑)。それぐらいスムーズだったし、もういくらでも作れるわ、これならってぐらい話が早かった。

ANI - 制作はBIMんちで作ったの?

Bose - 歌ったのはBIMんち。「これ家で全部作ってるんだ」って言うのは、今っぽくもありつつ、なんか昔の僕らっぽかった。それこそ『スチャダラ大作戦』とか『タワーリング・ナンセンス』『WILD FANCY ALLIANCE』とかをANIとSHINCOの実家であーでもないこーでもない、って言いながら作ってた頃っていうか。

ANI - BIMんちも川崎だよね。

Bose - そうそう。そこまでANIとSHINCOの実家まで制作しに行ってた頃と一緒。30年ぶりに(笑)

ANI - ボーちゃんがウチの実家まで赤い軽に乗ってやってきてた頃と変わらない気持ちで。

Bose - ほんとそれ。でも、そういう部分を感じなかったら、一緒にやらなかったかも知れないね。確かに年齢で言ったら彼のお父さんと同じぐらいなんだけど、違和感はほとんど無かったし、結局『年齢ではない』って事を再確認した部分はあるね。

ANI - 川崎もBAD HOPやTHE OTOGIBANASHI'Sが出てきたり、フレッシュだよね。俺らの頃なんて“春マゲドン”でも書いてる通り、マジでマルチ商法とかねずみ講が流行っててて。

SHINCO - あそこのANIくんのパートは、川崎の当時のどん詰まり感が出ててスゴくいい(笑)

ANI - 「ホントにここから抜け出したい!地元ダサすぎていやや!」ってなってた頃(笑)。息してるだけでダサくなってくる感覚だったもん。

SHINCO - 多摩川超えるまで息止めとこうみたいな。

ANI - 「やーね川崎」って……

SHINCO - 「でもそこがいいんじゃない!」……にはもうちょっと経ないと無理だった(笑)

 - その“春マゲドン”の「粛々と作る最新ミュージック」「値打ちこかずに芯食った新譜を出す」というフレーズが登場しますが、BIMくんとのコラボなどの動きも含めて、SDPは常にアップデートし続けているというのが、今回のアルバムの素敵な部分だと感じました。コラボ曲で伺うと、スチャダラパーとEGO-WRAPPIN'名義での“ミクロボーイとマクロガール”も収録されます。

ANI - 最初はSDPの“よさGなスキャット”のリミックスをエゴに作ってもらう話だったんだよね。

SHINCO - そうそう。リミックスとかリアレンジみたいなことを話してて。

ANI - で、その話を振ったら「それなら一緒に曲をつくろうか」って話になって。

SHINCO - ずっと前から「機会があったら一緒に」って話はしてたしね。

Bose - SHINCOが森くん(森雅樹)と仲良いから。それでビートは森くんとSHINCOで作って。

 - ニコイチみたいな、不思議な構成のトラックですね。

SHINCO - 森くんが持ってきたアイデアと僕のイメージをすり合わせて作ったんだけど、結果すげー変なトラックが出来て(笑)

Bose - 森くんっぽい感触も勿論あるんだけれども、でもエゴでは絶対これはリリースしないだろうなって内容だよね。

SHINCO - そのトラックをよっちゃん(中納良恵)が選んだのはスゲえと思った。で、うちらの作業場にエゴの2人が来て、よっちゃんが正座しながら仮歌を入れるっていう。中納良恵があのきったねえ作業場で歌ってると思うとオモロイ(笑)

 - のんさんのMV出演も話題になりましたね。ただ、オチはのんさんとSDPが顔面交換アプリで遊ぶという。

ANI - 当時のアー写もSDPの3人がそれぞれ顔面交換してる写真にして。

Bose - それを意外と誰もツッコんでこなくて、「3人全部僕の顔なのに、アー写とかの顔ってやっぱり誰も見てないんだ(笑)」って思って。

ANI - すぐ気づいたの(石野)卓球だけ。連絡してきたもん。「俺らも使っていい?」って(笑)

Bose - それで、割とちゃんとしたところには僕の顔が3人分置き換わってるのにして、ちゃんと見てねえだろうな、って気を抜いてるとこにはANIの顔バージョンにしたり(笑)

 - 構成的には、スチャ側がミクロ、中納さんがマクロのことを歌うという内容ですね。

Bose - ラップ・パートはスチャお得意の、えんえん細かい事をゴニョゴニョやってるっていうイメージだよね。

ANI - 細道に行けば行くほど偉いみたいな。

Bose - それに対して、僕らを俯瞰でみてる女性が「また集まってわけわからん細かい事ゴニョゴニョやってる!外から見たら大して変わらんわ!」みたいな、いつも陥りがちなことが曲になったというか。

ANI - 本人たち的なコダワリとは別に、引いて見ると全くその違いがわからないっていう(笑)

Bose - そういうイメージをよっちゃんに伝えたら、マクロの視点から見るという内容を歌詞にしてくれて。

SHINCO - あんな訳わかんないラップを渡されて困ったと思うけど、スゴい見事な位置に着地したなって。

 - ある種の慈母心的な感触のある中納さんの声だからこそ、成り立つ部分もありますね。この曲の「正気か、中2か、診てもらうなら小児科」っていう歌詞は、ライミングとしても上手いし、言い得て妙だなと。

Bose - 言うたらクランケですよ。しかも、そういう奴を狙ってくる商品も多いじゃん。ANIがライダーカード欲しさに……

ANI - レーザーディスク25枚組の仮面ライダーを買った時は完全に狙われた(笑)

Bose - そういう戦略に「やーねー、小金を持ったオジサンを狙った商法って……」

ANI - 「でもそこがいいんじゃない!」

SDP - ハッハッハ!

SHINCO - 今度『侍ジャイアンツ』のblu-ray BOX 出るでしょ?

ANI - 番場蛮。それは買うから。

Bose - 買うんかい。やっぱ小児科だわ。

ANI - でも、この前『ジャングル黒べえ』のDVD ボックス買ったんだけど……結局全然見てない!

Bose - はっはっは!

ANI - 流してたら「楽しみにしてたはずの“ウラウラベッカンコー”がうるさい!言い過ぎ!」って(笑)

 - それANIさんのボリュームのさじ加減じゃないですか(笑)

ANI - それであんまり見てないもん。もー、びっくりした。

Bose - あんなに欲しかったのに。

ANI - すげー嬉しかったのに。

SHINCO - 「あれ!?見ない!」って(笑)

 - “そ・れ・ば・な”のリリックから何も変わってない(笑)。そして和楽器の“ゆったり畳で和みスチャ”、オルゴールの“たっぷりダラっとオルゴール”、ボサノバの“のんびり100パー ラテとボサ”で構成された3枚の特典CDですが……。

SHINCO - 聴いた、全部?

- 気が狂うかと思いました。

SDP - ハッハッハ!

Bose - 「なんだ!これは!」だよね

ANI - 今回はオマケで特典盤をつけようっていうのがアイディアとしてあって。

Bose - そして「不毛な音楽ってあるよね~この世に」っていう話に流れて。マッサージとかに行くと聴かされる、ポップスの別アレンジってあるじゃない。

SHINCO - 和風ファミレスとかね。

 - 一度、蕎麦屋でTRFの“EZ DO DANCE”の琴アレンジを聴いて、どういう感情になれば良いんだ……と。

Bose - そうそう。ああいう音楽を聴かされてる時って、何を聴いてるんだろうって不思議な気持ちになるじゃない。

ANI - それを今回お届けできたらいいなと。言うたらイヤゲモノだよね。「ついてきたけどいらない!」みたいな。

Bose - でも意外と聴いちゃうね、っていうのもあるんだけどさ。で、その悪ふざけを思いついて、すぐプロに頼んだら、そのアレンジもすぐ出来たからこれで行こう!と。思いついてすぐ形になったスピード感が良かったね。じっくり構想を練るようなもんじゃないから。

SHINCO - だけど「本編よりこっちの方が良かったね、ラップいらなかったね」とか言われたらショックだわ。

Bose - そこまで言わなくても、「メッチャ落ち着きました」とかは言われそう。

SHINCO - そういう反応ってあるからな~。

ANI - ボケに対してマジボケで返してくる奴。「他の曲でも聴いてみたい!」とか。

Bose - 作らないよ!もう!(笑)

 - 最後に、改めて30年を迎えての感慨を訊かせて下さい。

SHINCO - は~……やるんじゃなかった!(笑)

 - そういう悪質ギャグ止めて下さい(笑)

ANI - でも、すぐ経つよね。

Bose - 30年なのにね。

ANI - だって電スチャのリリース(電気グルーヴ×スチャダラパー「電気グルーヴとかスチャダラパー」2005年)から15年経ってるんだから怖くない?

SHINCO - 怖っ!全然最近の気持ちでいる。

Bose - そしてそこからの進化の無さ(笑)。活動の流れは確かにデビューの頃と比べればスローなんだけど、それでも辞めないで続けてるっていうね。

ANI - 「よく考えること」も止めたんじゃない?

SDP - ハッハッハ!

ANI - だからこの先もなんも変わんないんじゃない?

Bose - なにか大きく変わるっていうイメージもないし、なんか人ごとみたいになってたきたよね。「え?30年もやってるんですか、スチャダラパーって!?」みたいな。

ANI - でも人からは「あれで30年出来るなら楽勝じゃない?」って思われてるぐらいがいいよね。

SHINCO - そういう見本。

Bose - そういえば昨日『だいじょうぶだぁ』やってたんだけど(このインタビュー収録は3月4日)、志村けんがまだ「ひとみばあちゃん」をやってて。それを受けるのが千鳥の大悟なんだけど、ひとみばあちゃんに対して「ワシ、それ見たぞ昔!」って。

SDP - ハッハッハ!

SHINCO - そのツッコミ最高だね。

Bose - それが超面白かったし、ひとみばあちゃんも大悟のツッコミによって進化してんだなって思ったんだよね。

 - ひとみばあちゃんがSDPだとすると、大悟がBIMくんだったりする訳ですよね。

Bose - そうそう。それでいいんだよな、って思った。

SHINCO - 「知ってるぞ、それ!」って(笑)

Bose - 「とにかくパーティを続けよう……ワシ聴いたぞ!それ!」って(笑)

SDP - ハッハッハ!

ANI - まあ、とにかくパーティを続けようですよ!続けるぞ!

Info

スチャダラパー デビュー 30 周年記念アルバム『シン・スチャダラ大作戦』

2020年4月8日発売

シン・スチャダラ大作戦(S 盤)
DDCB-14069 ¥3,000+税

シン・スチャダラ大作戦(D 盤)
DDCB-14071 ¥3,000+税

シン・スチャダラ大作戦(P 盤)
DDCB-14073 ¥3,000+税

≪シン・スチャダラ大作戦 収録曲≫※3 形態共通
1. イントロダクシン
2. シン・スチャダラパーのテーマ
3. スチャダラパー・シン・グス
4. ミクロボーイとマクロガール/スチャダラパーと EGO-WRAPPIN'
5. セブンティーン・ブギ
6. ヨン・ザ・マイク feat. ロボ宙 & かせきさいだぁ
7. その日その時
8. 春マゲドン
9. やっぱりひねくれたいの feat. ロボ宙
10. サマージャム 2020
11. マイ レギュレーション
12. Forever Young /スチャダラパーからのライムスター
13. 帰ろう Chant

S 盤 特典 CD 収録曲 『ゆったり畳で和みスチャ』
( インスト/和楽器 )
01. 彼方からの手紙
02. 今夜はブギー・バック
03. ドゥビドゥ What?
04.From 喜怒哀楽
05. サマージャム `95 06.B-BOYブンガク
07. アーバン文法
08. ライツカメラアクション
09. レッツロックオン
10. ミクロボーイとマクロガール
D 盤 特典 CD 収録曲 『たっぷりダラっとオルゴール』
( インスト/オルゴール )
01. 今夜はブギー・バック 02.GET UP AND DANCE 03. サマージャム `95
04. 大人になっても 05.CHECK THE WORD
06. ライツカメラアクション 07.Hey! Hey! Alright
08. 中庸平凡パンチ
09. レッツロックオン
10. ミクロボーイとマクロガール
P 盤 特典 CD 収録曲 『のんびり 100 パー ラテとボサ』
( インスト/ボサノバ )
01. N.I.C.E GUY
02. ヒマの過ごし方
03. 今夜はブギー・バック
04. サマージャム `95
05. ドリジナルコンセプト
06. 5W1H
07.LET IT FLOW AGAIN
08. ライツカメラアクション
09. レッツロックオン
10. ミクロボーイとマクロガール

http://www.schadaraparr.net/

RELATED

【インタビュー】JAKOPS | XGと僕は狼

11月8日に、セカンドミニアルバム『AWE』をリリースしたXG。

【インタビュー】JUBEE 『Liberation (Deluxe Edition)』| 泥臭く自分の場所を作る

2020年代における国内ストリートカルチャーの相関図を俯瞰した時に、いま最もハブとなっている一人がJUBEEであることに疑いの余地はないだろう。

【インタビュー】PAS TASTA 『GRAND POP』 │ おれたちの戦いはこれからだ

FUJI ROCKやSUMMER SONICをはじめ大きな舞台への出演を経験した6人組は、今度の2ndアルバム『GRAND POP』にて新たな挑戦を試みたようだ

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

WONKとThe Love ExperimentがチョイスするNYと日本の10曲

東京を拠点に活動するWONKと、NYのThe Love Experimentによる海を越えたコラボ作『BINARY』。11月にリリースされた同作を記念して、ツアーが1月8日(月・祝)にブルーノート東京、1月10日(水)にビルボードライブ大阪、そして1月11日(木)に名古屋ブルーノートにて行われる。